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好きな人に愛の告白、というものには誰しも憧れがある
例えば、自分の誕生日に帰り道の公園で幼馴染から……とか、卒業式の夜、二つ上の外国人の先輩に呼び出されて……とか
例えば、卒業式の日に誰もいない部室で先輩と……とか、インターハイで優勝した後の打ち上げの最中に呼び出されて同級生から……とか
他にも、ただの会話の途中でさらっと……とか、下宿を去るときに呼びとめられて……とか
俺は受動的なものしか経験していなかったけれど、そのときに彼女たちから伝えられた言葉は、何とも嬉しかった
そう、それはとても拒否しがたい言葉だった
一番最初の告白を受けて十年後、とうとう彼女たちの誘惑に負けて、六人の彼女と肉体関係まで持ってしまった俺は罪悪感に苛まれながら、プロ雀士として平凡な日々を過ごしていた
そして、俺は今日、大事な話があるということで六人目の彼女の部屋を訪れていた
俺の隣に座る彼女は愛おしそうに腹を撫で、俺に告げた
霞「おめでたです、って」
この光景は、もう見飽きた
照「おめでた?らしい」
エイスリン「きょうたろう、子どもだって」
憩「おめでたらしいですーぅ」
咏「生理が……来ないんだよ」
郁乃「こん中に赤ちゃんがおるんや」
これが六回目だった
三者三様に笑いながら、一人は疑問符を浮かべながら、もう一人はいよいよ自分の幼児体型がおかしいんじゃないか、と不安を抱きながら
その報告を聞く度に、俺の背中に自責の念が降り積もっていった
霞「……他の子たちと相談して決めたんだけどね」
霞「みんな、京太郎くんの子どもを産もうってことになったの」
霞「みんな同じくらい京太郎くんのことが好きで、京太郎くんもみんなのことが好きなんでしょ?」
そう問いかける霞さんの笑顔に、怒りも悲しみも見えなかった
夕飯をいただいて、家を出る
街の明かりは俺を憐れむように暗く輝いて、降り出した雨は項垂れる俺の頭を叩いて行った
俺が優柔不断なせいで、彼女たちには嫌な決断を強いてきた
初めから断ってさえいれば、彼女たちには他の生活があったはずだ
他の誰かと結ばれて、家庭を築き、自分だけを愛してもらう
俺は、そんな彼女たちの未来を潰してしまったのだ
誰一人として、俺を裁かず、蔑まず、責めない
そんな日常に、嫌気が差していった
肩に付いた水滴を払い、ドアを開けると、寂しい居間が俺を迎えてくれた
プロになって借り始めたこの部屋は四年の間、俺の一人暮らしだった
誰もいないから自分で料理をして、誰もいないから俺だけで寝ていた
……ああ
誰もいないのなら、自分で裁くしかないのか
誰も与えないのなら、自分で与えればいいんだ
やはり俺は莫迦のようだ
剃刀の切れ味は鋭く、人の血は勢いよく飛び出す
顔はそっと冷めるように、心臓は速く鼓動を打つ
これが俺の俺への報い
救いようのない俺に対する俺の罰
血の海へ倒れこむ音が、聞こえた
最終更新:2013年10月13日 18:49