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【12月28日 昼②】


四人は次の目的地、しぃの連れて行く場所にむかっていた。
時計の針はもう夕方の四時を指している。映画館の事件の所為で多少予定が狂ってしまった。

男「・・・まずいな・・・」
サトリ「ん?どうしたの?」
男「いや・・・このままじゃあ・・・内藤の選んだそこまで・・いけないかも・・」
サトリ「あ・・・うん・・・大丈夫だよ。」
男「え?」
サトリ「ほら・・見て・・」

俺とサトリの歩く少し前を・・・内藤としぃさんが手を繋いで歩いていた。

男「あ・・・そうか・・」
サトリ「ね?・・・もう・・二人とも・・私達がいなくたって・・」


もう俺達は二人に手を繋ぐよう指示はしていない。それ以前に、二人は俺達より先に手を繋ぎ、俺達より先に歩き出した。まるで・・・こっちが連れて来られたみたいに・・

もう、内藤にしぃさんを避ける理由はなくなっている。確信が俺にはある。しぃさんも、もう内藤から逃げる理由がなくなっている。確信がサトリにはある。

いつのまにか・・あの二人は・・俺とサトリのように・・互いが必要な存在になったみたいだ。本当は、最後に俺とサトリは、内藤としぃさんを二人っきりにして・・どうにかいいムードに持っていく計画だった。その計画も・・完膚なきまでに失敗みたいだ。

俺とサトリ。妹と松本君。館長と嫁さん。言葉に表せば全く同じなのに、その表現が全く違った・・好きな人への「愛」
それがすれ違っていた内藤としぃさんにさまざまな考えを起こらせ・・・その結果・・二人は俺達の予想を斜め上に突き抜けていった。


サトリ「さっきね?KOTO・・・お嫁さんにね?私達言われたことがあるの。」
男「ん?何?」
サトリ「お嫁さんはね?館長さんと出会って・・自分がやっと表にだせたって・・
    本当に好きな人がいれば・・それまでの自分が嘘みたいな・・
    とっても新しい自分が現れるって・・私が、男君とこうやって・・
    手を繋げるようになって・・明るくなれたように・・」
男「・・・うん・・・サトリは本当に変わったね。本当に・・
    やっと俺もサトリの姿をこの目で見れた。」
サトリ「うん・・私は・・やっと・・「サトリ」から・・
    「女の子」になれたんだ・・しぃも・・・あと少しで・・ね?」

どうやら・・・さっき見た映画のおかげで、しぃさんの中でも・・しぃさんを苦しめていた最後の鎖が外れたみたいだ。
ほんの数日前までの・・無表情でそっけない・・ただの「美人」だったしぃさんはもういない。そこにいるのは、内藤という存在に惹かれている一人の「女の子」だ。

内藤も同じく・・・漫画に逃げて、目の前にあった手が届くかもしれない現実が・・なくなることばかり心配して、触りもしなかった「弱虫」じゃない。しぃさんという、自分の隣で笑ってくれる・・愛しい人の手をもう離さない逃げるという選択肢をなくした「男」がそこにいる。


ここまできたら・・二人はりっぱなカップルだろう・・でも・・最後に一つ・・二人が乗り越えないといけない壁。



「サトリ」



それを、しぃさんは内藤に明かすことができるのか?
それを、内藤は飲み込むことができるのか?

それしか・・・いや・・最後の難問・・それが残っている。


男「あのな?サトリ・・」
サトリ「?」


男「俺な・・・一つ思ってたことがあったんだ。」
サトリ「?何?」
男「あの・・あ・・ちょっとまって。」
男「内藤!」
内藤「お?どうしたお?」
男「ごめん!ちょっと先行ってて!!すぐ行くから!」
内藤「・・・?」
しぃ「・・内藤君。行こ。」
ぐいっ・・
内藤「お?・・・うん・・・」
     (?あ・・しぃさん・・二人に気をつかってるのかお・・)
しぃ「・・・」(ううん・・・・違うの。あなたと・・二人きりになりたいの。)
内藤「わかったお!先行ってるお!」
男「ごめんな!すぐ行くから!」
サトリ「?」


男とサトリは・・・内藤達から離れ、そこに立ち止まりました。
あたりには人の姿はなくなり、いつのまにか小さなステージのように・・そこには二人しかいなくなりました。


サトリ「?どうしたの?」
男「サトリ・・・抱きしめてもいい?」
サトリ「ふぇ!?」
男「・・・大丈夫。もう誰も居ないから。ほら。おいで・・・」
サトリ「・・・うん・・」

いつもなら・・大体はサトリから抱擁を求めるのに・・この時は男からそれを望んだ。

ぎゅ・・
男「うん・・・暖かい・・サトリ・・・俺のコト・・好き?」
サトリ「・・・どうしたの?急に?」
男「・・・・・」
サトリ「・・・うん・・・もちろん・・・大好き。」
男「・・・俺も・・」
ぎゅ・・
サトリ「ふぇ・・はぐはぐ・・」
男「じゃあ・・もう一つ質問。」
サトリ「??」


男「・・・サトリは・・・「サトリ」の力を・・本当は俺に言いたかった?
     言いたくなかった?」
サトリ「え・・どうして?」
男「・・・答えて。」

男君は、私を優しく抱きしめながら・・・いつになくまじめな声で話しかけてくる・・

サトリ「私は・・・」
男「・・・大丈夫・・嘘はつかないで。」
サトリ「・・・・私は・・・男君に・・明かしたくなかった・・この力のコト・・・」
男「・・・なんで?」
サトリ「・・・だって・・「これ」の所為で・・とっても辛い思いをしたから・・・
     ほら・・あの時・・・サトラレの・・」
男「うん・・・そうだよな・・」
さすさす・・
サトリ「ふぇ・・/////」
男「ごめんな・・・」
サトリ「ぅぅ・・////もう大丈夫だって・・でも・・撫でて・・///」
男「ふふ・・・・甘えん坊。」
さすさす・・・
サトリ「////」
男「・・・でもな?あの時確かに俺はサトリを傷つけて・・・でもそれのおかげで・・
     こうやってサトリの頭を撫でてあげれるんだけど・・・ちょっとだけ・・
     疑問があったんだ・・・」


サトリ「ん・・・なぁに?」
男「もし・・・サトリが・・・始めて俺を好きになってくれた時・・
     「サトリ」の力を恐れずに俺に近づいてくれていたら?」
サトリ「え・・・」
男「・・・もちろん・・そんなの無理だよな・・わかってる・・でもな?
     もし・・・そうやって俺に近づいてくれていたら・・
     俺達はもっと早く結ばれていたはずなんだ。」
サトリ「・・・・え・・・でも・・・」
男「いいや・・絶対にそうなんだ。「サトリ」の力なんて・・
     愛することに比べたらとってもちっぽけなものなんだ。」
サトリ「でも・・・しぃのママは・・・それで辛い思いをしたんだよ?
     私のママだって・・・」
男「それはね?互いが強く愛し合うようになってから伝えたから・・・そうなってしまったんだよ?」
サトリ「???」
男「・・・うーん・・・その・・・
     どこまでが強く愛し合うなのかはわからないけど・・・
     とにかく愛した人が傍から居なくなるのが嫌だから・・
     「サトリ」を隠していたんだろ?だから・・・そう思う前から・・
     その秘密を伝えてしまえば・・それは何の問題にもならないと思うんだ。」
サトリ「・・・なんで?」


男「・・ほら。結果的に皆・・・「サトリ」を打ち明けてから・・・
     どんなことがあっても・・皆幸せになってるだろう?
     一度は離れても・・絶対にその二人は元に戻るんだ。
     サトリ」の力なんて・・愛し合う二人の前じゃ・・
     なんの力も持たないんだ。」
サトリ「・・それは・・」
男「これは俺の考えだから・・間違っているかもしれない。でもね?
     サトリのご先祖様たちがこれの所為で・・これを打ち明けた所為で
     幸せになれなかった人なんていなかったはずなんだ。」
サトリ「・・・そんなの・・わかんないよ・・・」
男「わかるんだ・・俺がサトリを好き・・
     いや、愛するようになってから初めてわかったんだけど、
     人の心が見えることなんて、「愛」にくらべたらなんの力も持たない。
     他人の心が見えたから、傷ついてしまった。でもそれは、
     愛する人の抱擁で消せる。
     愛する人の心が見える所為で・・傷ついてしまった。でもそれも、
     真正面から話し合うことで・・打ち消せる。
     愛する人の心が見える所為で、気付かなくていい嘘に気付いてしまった。
     それも・・・それ以上にもらえる愛する思いによって消せるんだ。
     そうだろ?」
サトリ「あ・・・・」


確かに・・そうだ・・私達は・・「サトリ」を打ち明けてから・・幸せになれなかった話しを聞いたことがない・・想像だけなら・・いろいろバッドエンドを考えていたけれど・・・それは全部想像だった・・「サトリ」を打ち明けた所為で・・・別れた人は・・・いない・・・

サトリ「・・・・ほんとだ・・・」
男「な?そうだろ?・・・だから・・・こんな力・・・
     初めから伝えちゃえばいいんだよ・・サトリやしぃさん達が
     思っているほど・・「サトリ」の力は強くない。
     むしろ・・「最愛」によって・・その力は逆にプラスになるんだ。」
サトリ「・・・じゃあ・・ほとんど出会ったばかりのしぃと内藤君は・・
     「サトリ」の力を明かせば・・・すぐに幸せになれるの?」
男「・・・うん・・・内藤が・・・本当に心の底から・・
     しぃさんを愛せるのなら・・今日の内藤を見れば・・
     大丈夫に思えるんだ。」


男君の考えは・・・私達では絶対に考えられないことだった・・
初めから・・好きな人に「サトリ」を伝える・・そんなこと・・・皆怖くって出来なかった。

結果が怖かったから。人の心が見える所為で・・嫌われるが怖かったから・・でも・・それを乗り越えて・・・恐怖を殺して・・・打ち明けた人は・・皆・・例外なく・・幸せになってるんだ・・なんで・・何で誰も気付かなかったんだろう・・
「サトリ」を打ち明けなかった所為で・・・幸せになれなかった人はいない。

サトリ「・・・男君。」
男「ん?」
サトリ「私も・・そう思う。「サトリ」なんて・・愛にくらべたら・・
     とってもちっちゃいんだね?」
男「・・・うん・・・」
サトリ「・・・よかった・・男君に出会えて・・・」
男「・・・何言ってんだよ?」
サトリ「・・・え?・・・」
男「サトリが自分で言ってただろ?俺達が出会ったのは・・必然だって・・
     出会えてよかったんじゃないよ?
     当たり前なんだ・・これが・・・・」
サトリ「・・・・大好き。」
ぎゅう・・
男「・・・うん・・」


男は・・しぃが思っていた・・「サトリ」を打ち明けた所為で不幸になった人がいるという考えを・・・真っ向から否定していました。

どっちが正しいのか・・・明らかになるのは・・・もう少し・・先・・


サトリ「・・・男君・・ココ開けていい?」
男「え!?」

サトリは・・俺の着ているライダースのジッパーに指を掛けると・・・恥ずかしそうに訴えてきた。

サトリ「・・・もっと・・男君の温もりがほしい・・・」
男「・・・・うん・・・いいよ・・・じゃあさ・・・」
サトリ「?」
男「・・・・サトリの・・・そのコートのボタンも・・開けていい?」
サトリ「え・・・・////あ・・・うん////」
男「・・・」
ぎゅう・・・

俺達は・・・いつもより随分薄着で・・・二人の温もりを共感し合った。


サトリ「・・・うん・・・あったかぁい・・・」
男「・・・」(うぅ・・む・・胸が・・・)
サトリ「!!」
男「あ!ご、ごめん・・」
サトリ「///・・・ごめんね?」
男「・・・ん?なにが?」
サトリ「あの・・・私・・・胸ちっちゃいから・・・」
男「!!!!」
サトリ「あ!!・・・ごめん・・・なに言ってんだろ・・うぅ///」
男「・・・あやまんなくていいよ?」
ぎゅう・・・
サトリ「うぁ・・・////」
男「ぜんぜん・・・サトリはそのままで全然可愛いから・・」
サトリ「・・・ちっちゃくても?」
男「・・そんなに・・小さくないと思うけどなぁ?はは・・//////」
サトリ「・・・あの・・・」
男「・・?」
サトリ「・・・触って・・みる?」
男「・・・え・・な、何を?」
サトリ「・・・私の・・・胸・・」
男「!!!!!!い、い、・・・いいの?」
サトリ「////////だ・・だって・・・こっ恋人同士なんだし・・・////」
男「・・・・ほんとに?」
サトリ「・・・うん・・・」
男「・・・・・」
サトリ「・・・・」
ドクン・・
ドクン・・・



すっ・・・


サトリ「・・んっ・・・どう?////」

男「・・うん/////・・・よく・・・わかんない・・」(うお・・・ぬぅ・・・)

サトリ「・・・くすくす・・/////」

男「・・・でも・・・暖かい・・・サトリ・・・」

サトリ「・・・ん・・・」

男「・・・・」

サトリ「・・・キス。」

男「・・・うん・・・」

ちゅ・・・


その時のキスは・・・・いままでのそれより・・・少し長かった。
内藤としぃさんのことなんか・・・・どうでもよくなってた・・・

サトリ・・・お前、可愛すぎ。





男とサトリちゃんが見えなくなった。

しぃさんは、もう僕の手を離そうとしない。

僕も・・・もうこの手を離さない。

本当は・・・今日はずっと・・・僕は男達に頼っていた。僕の力で、しぃさんを振り向かせるのはやっぱり難しいって思ってたから・・ちょっとだけずるして、僕が前に出れるタイミングを伺っていた。

でも・・・しぃさんが自分から僕に歩んできてくれた。ずっと僕の手を握っていてくれる。そうゆう流れになってしまったとはいえ・・僕に膝枕をしてくれた。それに・・・あの映画館で・・・僕に言おうとしていた言葉は・・・

考えすぎかなって思ったけど・・ずっと僕を見て笑ってくれるしぃさんを見ていると・・・間違いじゃないみたいだ・・
しぃさんも・・その・・・好きで・・いてくれて・・・いる・・・

あとは・・・それを確かめるだけ。しぃさんが連れて行ってくれる、その場所で・・・僕はこの想いをしぃさんに伝えよう。
もう・・・どんな答が返ってきても・・・怖くない。
むしろ・・・決まった答しか・・返ってこない気がする。しぃさんは必ず・・僕の問いに答えてくれる。


男とサトリちゃんが・・・来ないうちに・・僕は告白する。
もう、人を愛するのは怖くない。しぃさんのこの小さな手の温もりが・・僕に最後の勇気をくれた。




私が内藤君とこの海沿いの一本道を歩いているうちに、夕方の五時を廻ってしまった。

もう・・今日のデートはここで終わりかもしれない。

内藤君は・・・ここで・・私に告白してくれるみたい・・・「サトリ」ゆえの盗み聞きになっちゃったけど・・・とっても・・どきどきしてる・・

サトリが男君のおかげで明るくなれたように、私も内藤君のおかげで・・「サトリ」が怖くなくなった。
本当に私を愛してくれる人から伝わってくる思いは・・・絶対に私を裏切らない。
この間の・・・私の心に傷をつけた内藤君の思いは・・・内藤君自身が自分についた嘘だったみたい。
それを私が勝手に変に思いこんで、勝手に傷ついていた。でももう大丈夫・・・

内藤君は・・・ずっと私のコトを考えていてくれている。


サトリと男君は、二人で正面から話す勇気をくれた。
妹さんと松本君は、思い出の連鎖が恋を実らせてくれることを教えてくれた。
館長と奥さんは、等身大の自分で相手に接する大切さ、素直になれる喜びを教えてくれた。


内藤君・・安心して・・私はもちろんあなたの想いに答えます。もう・・私も愛されることから逃げません。

だから・・・この道の先の・・ステージに着いたら・・私にあなたの想いをその口から伝えてください。


しぃと内藤がそれぞれ重大な決心をしたまま・・二人の目に、夜の浜辺が映りました。

しぃが連れてきた・・・しぃの来たかった場所。なんの変哲もない、ただの浜辺に。



【12月28日 夜】


内藤「お・・・・ここは?」
しぃ「・・・・うん・・・海。」

しぃが内藤を連れてきたところは・・夏ならばそこは人たちでごった返しになるだろう・・浜辺。
もっとも・・今は冬・・・お世辞でも決していい場所とは言えません。

内藤「・・・ここが・・しぃさんの・・・来たかった所?」
しぃ「・・・うん・・」

しぃは頷くと、内藤の手を離し・・夜の浜辺に近づいていきました。


内藤「!!しぃさん?」
しぃ「私ね・・・海・・好きなの。」
内藤「・・・・??」
しぃ「・・もちろん・・・この時期はこんな所・・
     来るべきじゃないかも知れないけれど・・私がこの綺麗な浜辺を
     見ることができるのは・・・今ぐらいなの・・」

しぃは「サトリ」だから・・夏の泳げる時期の海は、なによりも居心地の悪いものでした。

しぃ「ほら・・ココ・・・とっても砂が綺麗でしょ?」
内藤「・・うん・・それに・・海の水も透き通ってるお・・・」
しぃ「そうなの。それに・・ココにはちょっとした秘密があるの。ほら・・・見て?」
内藤「?・・・あ・・・・」


内藤がしぃが指差したほうを見てみると・・そこには、対岸の灯台から放たれている光に、海の砂が反射して、まるで晴れた日の夜空のように・・綺麗に輝いていました。

しぃ「・・・ね?・・・凄いでしょ?」
内藤「お・・・本当だお・・・夜空・・・みたいだお・・・」
しぃ「私ね?たまに・・一人で寂しくなったり、辛くなったりしたら
     ココに来るようにしていたの。ココに来て・・
     この浜辺を見つめていたら・・全部忘れられそうで・・」

しぃは徐々に・・海に近づいていきます。

内藤「しぃさん!そんなにそっち行ったら濡れちゃうお?」
しぃ「・・・でもね?・・私・・・もうココには一人で来ないことに決めたわ。」
内藤「・・・・?」


しぃ「ここに来るときは、いっつも一人で寂しい思いをしていた。
     もういやなんだ・・一人は・・」
内藤「・・・」
しぃ「もう・・・私・・・一人で抱え込みたくない。
     一人で悩まみたくない。私は・・・・」




しぃ「私の・・・好きな人と・・・二人で・・・
     この浜辺で思い出が作りたいの!!」


しぃは内藤の方に背を向けて・・・海に向かって叫びました。



しぃ「内藤君!!」
内藤「・・・・なんだお!」
しぃ「私ね・・・・内藤君が・・・」

波の音に邪魔されながらも、内藤に背を向けながらも・・しぃはちゃんと・・自分の想いを叫びました。
恥ずかしさ、寒さ、恐怖、・・・・どれが本当の理由かはわからないけど・・・その目に涙を浮かべながら、自分の想いを口にしました。










しぃ「私・・・・内藤君が・・・・大好き!!!」











内藤「お・・・・」

しぃ「・・・ごめんね?・・・本当は・・・あなたから言ってほしかったけど・・
      私・・・もう我慢できなかった・・・内藤君に・・・伝えたかった!」

内藤「・・・・・」

しぃ「内藤君に・・・お母さんに似ているって言われたときから気になってた!
      内藤君が私をあの二人から助けてくれたときから好きになった!!
      本屋さんで私を優しく抱きしめてくれたときからもう
      あなたしか見えなかった!!
      あのとき・・・・思いがけないコトで・・内藤君から逃げたときも・・
      ホントは内藤君に追いかけてきてほしかった!!」

しぃは・・・一度も内藤の方を振り向かず・・・まるで海に全てを打ち明けるように喋り続けます。

しぃ「・・サトリに励まされた夜・・ずっと内藤君のことばっかり考えてた!
      今日の朝・・ひっく・・やっと内藤君に逢えて・・・
      うっ・・嬉しかった!内藤君に手を握ってもらえて・・
      もうあなたしかいないって・・・えっく・・・思ったの!!
      映画館で・・あんな格好して・・内藤君に可愛いって
      言って貰えて・・・とっても愛しくなったの!!」

内藤「・・・・」

しぃ「大好き!!もう・・彼方しか・・・愛せないの・・・
      もう・・一人はいやなの!!だから・・お願い・・・・
      内藤君の・・気持ちも・・・私に・・・教えて・・・・
      逃げないから・・絶対・・私・・逃げないから!!」


空から・・・少しずつ・・・パウダースノーが降ってきました。




二人の間に・・・重い沈黙が訪れました。

それは人間の考える時間にして、数十秒ぐらいだったかもしれません・・・

しかし・・・しぃにとって・・それは永遠と同じぐらい・・とても長く思えました。




・・・

・・・・・・

・・・・・・・もしかして・・・・もう後ろには・・・内藤君はいないの?

私が勝手に・・・こんなことを・・・言ってしまったから・・呆れて・・帰ってしまったの?

なんで・・・なんでこんなに・・・静かなの・・・・答えてよ・・・・内藤君!!




ああ・・・だめだ・・・怖い・・・振り向きたいのに・・・体が動かない!!

ザッザッザッ・・

いやだ・・・声も・・・でない・・・なんだか・・・意識も・・・

ザッザッザッ・・・・

ああ・・・やっぱり・・・だめだったのかな?・・・内藤君は・・・また・・・心で私に嘘ついてたのかな?

がばっ!

・・・あれ・・・あったかい・・・なに?・・・・・あ・・・・ああ・・



内藤「・・・ごめん・・・お待たせ・・」
ぎゅう・・
しぃ「あ・・・・内藤君・・・」
ぎゅう・・・
内藤「ほんとうに・・・・ありがとう・・・僕も・・・やっと・・
     本当のことが言える・・」
ぎゅう・・
しぃ「うん・・・言って?」
内藤「・・・・僕も・・・・僕も・・」









内藤「・・・僕も・・・僕もしぃさんのことが・・・大好きだ!!」











内藤は・・しぃを後ろから抱きしめると・・・その想いを・・思いっきり海にぶつけました。
一瞬倒れそうになったしぃの体を・・男がサトリにそうするように・・しっかりと抱きしめながら・・


少しだけ・・・少しだけ・・・しぃの靴が海水に触れました。




しぃ「・・・内藤・・・君・・・」

内藤「ごめん・・・僕・・・いっつも・・・逃げてたから・・今も・・すぐに答えれなかった・・」

ぎゅう・・

内藤「でも・・・・しぃさんが・・・しぃさんが僕に想いを伝えてくれたのに・・
      これ以上逃げることなんてできなかったよ・・・
      ありがとう・・・本当に・・・」


内藤は・・・しぃの体を、後ろから・・強く・・優しく・・・抱きしめました。

 



しぃ「うん・・・ねぇ?」

内藤「ん・・・・何?」

しぃ「わがまま・・・言っていい?」

内藤「・・・うん・・いいよ・・」

しぃ「・・・後ろからじゃなくて・・・前から・・抱きしめて・・」

内藤「・・・ん・・・」


内藤は、しぃを一度手放すと・・正面から優しく抱きしめました。

 



ぎゅ・・

内藤「・・・これで・・いい?」

しぃ「/////・・・うん・・・もう一つ・・」

内藤「なに?」

しぃ「私に・・私に・・愛してるって言って?」

内藤「ん・・・////わ・・わかった・・・しぃさん・・・」

しぃ「あ・・しぃって呼んでよ?」

内藤「・・・しぃ・・・愛してる・・」

しぃ「・・・うん////私も・・・大好き・・・」

ぎゅう・・・

内藤「・・・うん・・」



しぃ「・・じゃあね・・・最後。」

内藤「・・・・」

しぃ「・・・あのね・・・その・・・」

内藤「・・・うん・・いいの?」

しぃ「・・・ん・・いいよ・・・」

内藤「・・・・」

しぃ「・・・・」



ちゅ・・・



ふたりは  やっと   この星空の下で  結ばれました。   誓いの口づけとともに・・・







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最終更新:2007年01月03日 13:56