アットウィキロゴ

【 1 2 月 2 4 日 夜 】


内藤「・・しぃ!・・・・何処にいるんだ!・・しぃ!!」

おかしい・・・さっきから・・・全く・・・人の気配がない。

僕はとりあえず・・一つだけあったその足跡にそって進んでみるが・・・何も見えてこない。

内藤「しぃ!!・・・返事をして!!しぃ!!」


だめだ・・まったく・・声が返ってこない・・・僕の声だけが・・響き渡る・・・


おかしい・・・こんな街・・見たことがない・・・人の気配どころか・・


灯りが点いている電灯でさえ・・・なんだか・・そこにあるように思えない・・


内藤「・・なんだよ・・・・なんなんだ・・・ココは・・・」


まるで・・・・僕だけが・・・一時停止された・・・映画の中に・・閉じ込められたみたいだ・・


内藤「・・・・くそっ!!・・・なんだよ・・・」



いや・・・

ちがう・・

僕だけじゃない。ここには・・・しぃも・・いるんだ。


そうだ。しぃだって・・・こんなところを・・・・一人で歩いていった・・

なにか・・あるんだ。ここに。もしかしたら・・しぃは、どこかでまた泣いているかもしれない!

今!!それを見つけて!!しぃを助けてあげれるのは・・・僕だけだ!!



内藤「しぃ!!待ってろ!!すぐ行くから!!絶対見つけてやるから!!!」


僕は・・・そのあてのない道を・・ただひたすら走った。これが本当にしぃの足跡かもわからないけど・・

一刻も早く・・・しぃを見つけて・・思いっきり抱きしめてやる!!!!



ザッザッザッ・・・

しぃ「・・・・・・」

この人に続いて歩いて・・・・もうどの位の時間が経っただろう・・・

時間の感覚が・・・ない。

それよりも・・・私は・・・なぜ・・・何の疑問も抱かず・・・この人に付いていっているのだろう・・

ジョルジュ「はは・・・・無理もない・・・ワタシは・・
      君から見たら赤の他人にしかみえないもんな・・・」

ええ・・その通り。・・・いったい・・あなたは誰なの?

ジョルジュ「ワタシは・・・ん・・君に話しても・・わからないさ・・」

?・・いちいち・・・意味のわからないことを言うのね?

ジョルジュ「ははは・・・そうかい?・・まあ・・・言葉なんてそんなもんさ・・」

こと・・・・ば?


ジョルジュ「そう。僕がなにを喋ろうと・・・
       本当にその言葉が正しいなんてなんでわかるんだい?」

なんでって・・・私は・・・・

ジョルジュ「・・・「サトリ」だから?そうだよね・・・」

・・うん・・・どんなにきれいな言葉でも・・私の前では・・・それは裸も同然・・

ジョルジュ「・・まったくもって・・厄介なものだ。」

その通り・・私の前では・・誰も・・嘘はつけない・・・

ジョルジュ「・・・内藤君でも・・そう続くんだろう?」

・・・・・・・・・



ジョルジュ「ははは・・・隠したって無駄だよ。ワタシも「それ」だもん。」

・・・・ああ・・・・なるほど・・・どうりで・・・さっきから私は全く喋ってないもんね・・・

ジョルジュ「うん・・・少し気づくのが遅いね。
       まあ・・・仕方ない。「ココ」はそういうところさ。」

うん・・・わかる・・・なんだか・・・懐かしい・・・

ジョルジュ「・・「ココ」は・・・君たち・・・いや・・・「ワタシ」達のいた世界さ。」

私達・・・の・・・世界?

ジョルジュ「うん。「コレ」の所為で・・・人間の世界に居れなくなったワタシ達が・・・
       独自に編み出した世界。」


独自の・・・世界・・

ジョルジュ「正確には・・・今まで君がいた世界の・・時間の狭間。」

もう・・・全然わからないわ・・・

ジョルジュ「まあ・・・要は・・遠い昔・・・
       「ワタシ」達は「ココ」に逃げていたんだ。」

・・・・・

ジョルジュ「遠い昔・・・「コレ」が・・・今よりずっと強く出ていた時代・・・
      「 ワタシ」達は・・そっちで辛く・・人からおびえて暮らすことより・・・・
        こっちで自由に生きる事を選んだ。」

・・・・逃げたって事?

ジョルジュ「うん・・仕方ないだろ?
       今こそ「コレ」の力は弱くなったけど・・以前はもっと・・」

ああ・・・やっぱり・・・「サトリ」はどんどん・・小さく・・・

ジョルジュ「・・「ココ」に・・・逃げてきても・・・それでも・・
       「人」を・・・愛したかった「ワタシ」達がいた・・」

・・・それが・・

ジョルジュ「君達だ。」

・・・私・・達・・・

ジョルジュ「・・・どんなに傷ついても・・・迫害されても・・それでも・・・
       「愛」がほしかった。」


・・・愛・・・


ジョルジュ「何人も・・途中で諦め・・こっちに戻ってきた。」

・・・・・

ジョルジュ「・・最近・・「ワタシ」達の方に近づいてきた若者が言っていたんだけど・・」

・・・何?・・・・

ジョルジュ「・・「コレ」なんて・・・愛に比べれば・・大した力なんて持たない。
       「コレ」を人に明かして・・幸せになれなかった人などいない。」

・・・なにそれ・・・嘘よね?

ジョルジュ「・・・もちろん。何人もが・・・打ち明けたおかげで・・幸せを失った。
       家族を、友人を、地位を、名誉を。」

そうよね?・・奇麗事だけじゃ・・ないわよね?


ジョルジュ「・・人間の世界なんだ・・しかたない・・自分達以外の「ヒト」なんて・・
       「人」から見れば、脅威以外のなんでもなかった。でもね?」

・・・・?

ジョルジュ「そうやって・・・追いやられ・・・死んでいった「ワタシ」達は・・
       皆同じことを考えていたんだ。」

・・・もう・・・焦らさないでよ・・・

ジョルジュ「皆・・・最後まで愛したことを忘れなかった。」

・・・・はぁ?

ジョルジュ「死してなお・・・それでも・・・人を愛したことを誇りに思った。」

・・・なにいってんの・・・

ジョルジュ「・・・・「サトリ」があろうがなかろうが・・・
       愛することはやめられない。そうゆうことさ。」

・・・ますます・・・訳が分からないわ・・・


ジョルジュ「分からないことはないだろう?現に・・君だって恋をしているじゃないか。」

・・・そりゃ・・私も・・・人間だもの・・・

ジョルジュ「ちがうよ。君は人間ではない。「サトリ」だ。」

・・・・・

ジョルジュ「さらに言えば・・・・「サトリ」でも・・「人間」でもない。
       君は、人間とサトリの間にできた・・・新しい「何か」。」

・・・もう・・やめてよ・・・

ジョルジュ「・・・やめないよ?・・昔は・・「サトリ」は男にも現れていたんだ。」

・・・・・・

ジョルジュ「・・・しかし・・・初めて・・・「サトリ」が「人」と交わった時・・
       ある問題が生じた。」

・・・「サトリ」が・・・弱くなった?

ジョルジュ「・・・分かってるじゃないか。そう・・「サトリ」の中に・・
       「人」の遺伝子が入ることによって・・どんどん「サトリ」が
       弱くなっていったんだ。ほら・・・
       あの子は・・もう「サトリ」の範囲が凄く狭いだろ?」

・・・・うん・・・私も・・・もう・・・


ジョルジュ「・・・明らかに・・・「サトリ」は弱くなっている。
       「ワタシ」達がおびえていたこの力は・・いとも簡単に消えていってるんだ。
       もう・・・あと少し・・・あと少しで・・完全に・・・」

・・・よかった・・・・

ジョルジュ「・・しかし・・・君はそれを・・・黙っていようと言う。」

・・・なによ?何かいけないの?

ジョルジュ「・・・いつくるか分からないその時まで・・ずっと隠していくつもりだろ?」

・・いいじゃない・・もう・・

ジョルジュ「よくないよ。さっきも言ったとおり・・・「彼」は人間なんだ。・・・
       君がずっと変わらないと思っても・・もしかしたら・・・
       君を嫌いになるかもしれない。」

・・・何よ!内藤君は・・・そんな人じゃない!!

ジョルジュ「・・・なぜ・・・そう言えるんだい?」

・・だって・・・信じてるもの・・・内藤君なら・・ずっと・・・私を愛してくれる。


ジョルジュ「はは・・・・あはははっ!!!」

何が可笑しいのよ!!あなたに何が分かるの!!?

ジョルジュ「だってさ?信じているんだろ?内藤君を。信じているなら・・
       話せばいいじゃないか!信じているから・・・
       理解してくれるんだろ!?」

・・・あ・・・・・

ジョルジュ「君はまだ逃げているんだよ。まだ心のどこかで怯えている。
       だからそんな矛盾が生まれるんだ。」

ウソ・・・ウソよ!!でたらめ言わないで!!!

ジョルジュ「ウソじゃないさ・・・それは・・君が一番分かっているだろう?」


いやだ!やめろ!!もう話しかけるな!!

ジョルジュ「・・君自身が今日言っていたじゃないか。
       「サトリ」を正面から受けてやるって。先祖から伝わってきた
       忌々しい力を・・君はココで終わらせることができるんだ!」

・・・・・え?・・・

ジョルジュ「もう・・・君で・・・君の家系の「サトリ」は最後なんだ。
       もう・・サトリが生まれることはない・・・最後だからこそ・・・
       君の味わってきた辛い想いを・・・わかってもらおうよ・・」

・・・さい・・ご・・・

ジョルジュ「ここまで・・ほんとに長かった・・・
       何度も・・逃げたり・・諦めたり・・それでも・・・最後まで・・
       逃げずに!諦めずに!愛する人と・・
       最後まで愛し合ってきた「ワタシ」達の希望なんだ!!」

・・・最後の・・希望・・・


ジョルジュ「もう・・だれも・・・辛い思いをしなくていいんだ。君だって・・
       彼に愛してもらえるんだ・・大丈夫だから・・・
       彼なら・・今しか・・ない・・」

何でよ・・・・なんで・・・あなたに・・・そんなのがわかるのよ・・

ジョルジュ「・・言ったろ?「ココ」は・・「サトリ」の世界。
       「ココ」には・・「サトリ」しか入れない。このあいだ・・・
       「サトリ」ガ引き起こした奇跡によって初めて「サトリ」以外が
       「ココ」に来たけど・・・そんな奇跡はもう・・・起こらない・・」

・・・え・・・なに・・・・え?・・・

ジョルジュ「いいかい?・・・もう・・・なにも恐れなくていい。
       サトリちゃんだって・・言えたんだ。君だって・・大丈夫だから・・
       もう・・・昔みたいな悲しい結果は・・絶対生まれないから・・」

・・そんな・・・わから・・ないよ・・・


ジョルジュ「・・確かに・・・100%ではないかも知れない。でも・・・
       過去の「ワタシ」達が作ってきた愛は・・
       それを限りなく100%に近いところまで持ってきたんだ!
      ・・あとは・・君次第・・・がんばって・・」

私・・・次第・・・

ジョルジュ「・・・・あ・・・もう・・来たみたいだ・・・うん・・・
      ここで・・お別れだ。」

え・・・まって!・・・まだ・・・

ジョルジュ「大丈夫!彼を・・信じて・・・」

しぃ「まって!!!」

内藤「しぃ!!」



・・・・気が付いたら・・・私は降り注ぐ雪の下で・・・空に向かって手を伸ばしていた。

内藤「しぃ!!こっちだ!!返事をして!!」

・・音のない世界に・・色のない世界に・・・・愛する人の声で・・すべてが・・つながっていく・・

ああ・・・なんだか分からない・・意識が・・・薄れていく・・・



どさっ・・・



内藤「!!・・し・・しぃ!!??おい!僕だ!!内藤だよ!!しぃ!!」


ああ・・・暖かい・・あれ?・・・内藤君?・・・


内藤「ねぇ!!返事をして!!僕だよ!?内藤だよ!!」


・・うん・・わかってる・・私の・・大事な・・大事な・・・恋人・・


内藤「おい!!どうしたんだよ!!?なにがあったんだ!起きてよ!!
      また僕に・・キスしてよ!!!」
ぎゅう・・

・・・もう・・・なによ・・・内藤君も・・・甘えん坊じゃない・・ふふ・・


内藤「・・・ごめん・・・僕・・・必死に・・・探したんだ・・
      遅くなったかも知れないけど!!やっとしぃを見つけたんだ!!
      もう離さないから!!もう逃げないから!!君を一生愛していくから!!
      ・・・お願いだ・・・・答えてよ・・・
      もう一度・・・僕を・・・抱きしめてよ・・・」
ぎゅう・・


・・あれ?・・・冷たい・・・あ・・涙・・


内藤「・・しぃ・・うぅ・・何なんだよ・・くっ・・僕達が・・何をしたってんだよ!!」


・・・内藤君?・・・泣いてる?・・・もう・・なんでよ・・やめて・・笑って・・


内藤「・・いやだ・・いやだ!!しぃ!!起きて!!僕に話しかけて!!
      もう一度笑ってよ!!」


あ・・・そうか・・・私が・・黙ってるから・・・心配して・・・くれてるんだ・・・


内藤「・・しぃ・・・しぃ・・・帰ってきて・・お願い・・」
ぎゅう・・・




しぃ「・・・ん・・な・・内藤・・君?」



内藤「・・!!し・・しぃ!」
しぃ「・・・んもう・・なに・・・泣いてるの?」
ぎゅう・・
しぃ「うぁ・・////」
内藤「・・よかった・・・もう・・・離さない・・」
ぎゅ・・
しぃ「///ちょ・・ちょっと・・痛いよ/////」
内藤「・・・ごめん・・でも・・・本当に・・・怖かったんだ・・・
      僕の傍から居なくなって・・探しても探しても見つからなくて・・・
      やっと・・・見つけたのに・・返事をしてくれなくて
      ・・う・・うぅ・・」
しぃ「・・うん・・ごめんね?・・泣かないで?」
内藤「・・うっく・・だって・・」
しぃ「ふふ・・・泣き虫・・」
ちゅ・・
内藤「・・・だって・・・ほんとに・・探したんだよ?」
しぃ「・・・うん・・・ごめんね?」
ぎゅう・・
しぃ「・・もう・・どこにも・・・行かないから・・・
      私・・ずっと・・内藤君の・・傍にいるから・・」
内藤「・・・うん・・・」
ちゅ・・


体を起こしてみると・・・そこは真っ白な・・雪の国だった。

絵本の世界みたい。見渡す限り真っ白で・・そんな夢景色の真ん中で、内藤君と二人で座ってるの。

・・ふふ・・へんなの。こんなわけも分からない所なのに・・とっても・・安心してるの。

内藤「・・しぃ・・」
しぃ「・・ふふ・・大好き。」

内藤君は・・今なにを言おうとしたんだろう・・大丈夫・・・ココはね?私たちの世界なの。

なんにも・・怖がることはないの。

しぃ「ふふ・・きれいだね。」
内藤「あ・・うん・・」
しぃ「・・・怖い?」
内藤「・・え?・・・」
しぃ「・・大丈夫。だから・・キス。」
内藤「え?・・あ・・ん・・・」
ちゅ・・


しぃ「・・うふふ・・愛してる・・」
内藤「・・うん・・僕も・・」
しぃ「・・・ずっと・・傍にいてね?」
内藤「うん・・ずっと・・一緒・・」
ぎゅ・・・


よかった・・しぃは・・元気みたいだ。

ココは・・どこだろう?本当に・・真っ白の世界・・

いつのまにか・・建物はひとつ残らず・・消えてしまった。

雪の絨毯の真ん中に・・僕らしかいない。僕ら・・・二人の世界。


隣でしぃが・・喜んでいる。

目の前に広がる景色と・・僕が傍にいることで・・ちょっと子供に戻ってるみたい。

このままでも・・いいんだけど・・とにかく・・帰る方法を探さないと・・

内藤「・・よっと・・」

しぃ「?どこいくの?」

内藤「どこって・・探さなきゃ・・帰り道。」

しぃ「えー・・まだココにいたい・・・」

内藤「だって・・帰んなきゃ・・皆心配するよ?」

しぃ「・・ぷー・・・」

内藤「・・・ほら・・膨れてないで・・」

しぃ「・・だっこ。」

内藤「・・・・え?」

しぃ「・・だっこ。だっこして?」


内藤「・・・だっこ・・って・・」

しぃ「・・だっこしてくれないと・・動かないもん。」

内藤「・・・はぁ・・」

だめだ・・・もう完全に子供だ・・・なんか・・かわいいけど・・これはこれで厄介だな・・

内藤「・・ほら?」

しぃ「・・ちがう!お姫様だっこ!」

内藤「・・・・・うん・・」
ぎゅ・・

しぃ「えへへー/////」

内藤「・・・もう////」

しぃをお姫様だっこしてあげると・・とっても喜んでくれた。

なんだろ・・・ものすごい軽い。女の子って・・・こんなに軽いの?

いや・・これも・・「ココ」の所為なんだろう。


僕は、両腕にお姫様を抱えたまま・・もとの世界に帰る道を探した。





12月24日②へ








タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年01月03日 14:02