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【 1 2 月 2 4 日 夜 ⑤ 】


ジャー・・・・

しぃ「・・ふう。」

今日は本当にいろんなことが起こった。

たった一日の出来事なのに・・私の今までの人生を180度変えてくれた。

内藤君と出会って・・・こんなに幸せになれるなんて・・信じられない・・・

しぃ「あ・・・・くすくす・・なんかまたドキドキしてきた・・」

まだ・・・私の心は現実に付いて行けていないみたい。たまにこうやって脈拍があがってくるの・・

ドキドキ・・ドキドキ・・ふふ・・・そのたびに内藤君を抱きしめたくなる・・

本当に・・・大好き。


しぃ「・・・「サトリ」・・言わなきゃ・・いけないよね。」

うん・・そうだ・・さっきの人の言う通り。これ以上隠したって・・意味がないわ。

もう内藤君は、私にとってなくてはならない人になった。

もちろん彼もそう思ってくれている。皮肉にも・・・「サトリ」のおかげで分かったの・・

うん・・この「ドア」を開けて・・そこにいる内藤君に・・打ち明けよう。すべてを。

しぃ「・・・やっと・・決意したんだね。・・いいさ・・最後に・・もうひとつだけ・・勇気をあげる。」

しぃ「・・!!?」

え・・・・何?・・鏡の中の私が・・喋った?


しぃ「・・・・」

しぃ「・・・・・くすっ・・・」

もう、何言ってんのよ・・また変なの見ちゃった。目の前の鏡に映ってるのは、幸せそうな顔した自分じゃない。

しぃ「うん、さあ・・行こう。」

もう大丈夫。何も怖くない。さあ、「ドア」をくぐろう。大好きな内藤君に、すべてを。

・・握ったドアノブが・・・熱い・・・気がした。


ガチャ・・・


しぃ「・・・あれ・・いない?」


あれ?内藤君?・・・どこ?・・・マスターも・・いない・・?


ヒュッ・・

コツン!・・


しぃ「!何?・・あ・・・」


私の頭になにか小さいものがぶつかった。・・・あれ?・・・・これ・・


しぃ「・・・これ・・お母さんの・・ピアス?」



しぃママ「こぉら!・・・なに勝手に私のピアスしてるの?しかも片方だけ・・」


しぃ「え・・え?」

しぃママ「・・・ほら・・おいで。」


声がした方を振り向くと・・・お母さんがいた。いるはずの内藤君がいなくって・・
いないはずのお母さんが・・いた・・・


しぃママ「・・もう・・ぼーっとしないの。」

コツ・・

コツ・・


お母さんにそっくりな「それ」が・・・私に近づいてくる。



しぃママ「もう・・なに?そっくりじゃないよ。」

コツ・・

コツ・・


しぃ「・・え・・」

しぃママ「ほら。」
ぎゅう・・

しぃ「うぁ・・」

しぃママ「・・・ほら・・そっくりなものじゃないよ。
      ・・あなたの・・しぃの大好きな・・・ママ。」
ぎゅう・・


しぃ「え・・えぇ・・」

わけが分からない。いきなり現れて・・近づいてきて・・抱きついてきた。

気味が悪いと・・思う前に・・・思い出した。

この感覚。この力。この匂い。この温度。・・・まさしく・・どれをとっても・・これは・・


しぃ「・・お母さん。・・・お母さんなの?」


しぃママ「そうよ?あなたの大好きなお母さん。」

しぃ「え・・・だ・・だって・・・お母さんは・・」

しぃママ「うん。死んだ。・・・ママは・・今だけ帰って来ました。」
ぎゅう・・

しぃ「だ・・だって・・お・・おか・・・」

しぃママ「・・・ほら・・・どうしたの?」

しぃ「お・・おか・・・ママ!!ママァ!!!」
ぎゅうう・・・

ママだ・・ここにいるのはママだ!この優しい声はママだ!このやわらかい手・・・・
温もり・・なんで・・・ママ・・どうして!?分からない!!いや・・そんな事どうでもいい!!


しぃ「ママ!!わた・・私・・会いたかった!!ママ!!
      もう一度・・ママに逢いたかったよぉ!!」
ぎゅう・・・

しぃママ「!おー・・いちち・・・もう・・大きくなったねぇー?」

しぃ「うぇぇ・・ぐすっ・・ママ・・ままぁ・・・ふぇぇ・・うぁぁぁん!!」


しぃは、目の前で起こった奇跡に・・強い抱擁とその目からぼろぼろと零れる涙で・・応えました。


しぃママ「うん・・・やっぱり・・まだ・・泣き虫ね?」

しぃ「ママ・・ひっく・・・だ・・だって・・・ひっく・・」

しぃママ「うんうん。可愛い可愛い。」
さすさす・・

しぃ「ママ・・大好き・・ママ・・」

しぃママ「うん・・・ママも・・・愛してるよ。」
ぎゅう・・

久しぶりの親子の再会・・しぃは顔をくしゃくしゃにしてママに甘えました。

懐かしい・・出来ることならもう一度包まれたかったそのママの腕で・・内藤にそうするように身を任せました。


しぃママ「うん・・いい子。ごめんね?ママ勝手にリタイアしちゃって・・」
しぃ「寂しかった・・もう一度逢いたかった・・ママ・・」
しぃママ「あら?こうゆう時は「そんなことない!さみしくなんかなかったよ!」
      って言うんじゃないの?」
しぃ「だって・・だって・・」
ぎゅう・・
しぃママ「ん・・もう・・全然変わってない・・あまえんぼさん?」
しぃ「うん・・いいの・・あまえんぼで・・いいの・・」
ぎゅう・・


しぃは思いました。変わっていないんじゃない。変わっていた・・ずっとこうやって誰かに甘えることが出来なかった・・忘れていた・・

内藤君に・・・すべてを思い出さしてもらった。元に戻してもらった。

思った時・・それはもちろんママに伝わっていた。


しぃママ「ねぇしぃ?・・・その子はどんな子?」
しぃ「ん・・えっと・・優しくて・・カッコいい・・っていってももっと
      カッコいい人なんていっぱいいるかもしれないけど・・もう・・
      私のなかでママもパパも追い抜いて、
      私の一番好きな人になっちゃった。///」
しぃママ「あら?なんか嫉妬しちゃうわ。」
しぃ「えへへ・・」
しぃママ「その・・内藤君?内藤君もちゃんとしぃのコト愛してくれてる?」
しぃ「うん・・もちろん。もう私の傍から離れないって・・」
しぃママ「くすくす・・ホント・・男の人ってみんな同じコト言うのね?」
しぃ「え?」
しぃママ「パパも・・私にそう言ってくれた。私が「サトリ」だって明かして・・
      一度別れてしまって・・もう一度初めからやり直して・・
      その時・・何度も何度も私に言ってくれたわ。
      愛してる・・もう離さない・・ずっと傍にいる・・って・・」
しぃ「あ・・」


しぃママ「みんな・・同じコトばっかり・・でもとっても大切で、とっても嬉しい言葉だよね?」
しぃ「うん・・そうだね・・」
しぃママ「でも・・それ以上に嬉しかったのは・・」
こつん・・
しぃ「?」

ママが私のおでこに・・自分のおでこを重ねてきた。

しぃママ「・・・・」(・・「ココ」でも・・そう想ってくれてたコト・・)
しぃ「・・・・うん・・」
      (・・・ちょっと・・卑怯かもしれないけど・・「ココ」の気持ちで・・)
しぃママ「ね?・・「サトリ」のおかげで・・・
      私たちは心から愛されているのを再確認できるの。」
しぃ「うん・・わかってる。」

ママのおでこ・・暖かい。ママから伝わってくる思念・・とってもやさしい。


しぃママ「ねえ・・」
しぃ「・・ん?」
しぃママ「まだ・・内藤君に・・「サトリ」を・・」
し「うん。言ってないよ。」
しぃママ「あ・・・そっか・・」
しぃ「・・・くす。」
ぎゅう・・
しぃママ「・・うに?」
しぃ「・・まだ言ってないけど・・もうだいじょうぶ。もう・・・伝える。」
しぃママ「・・うん・・そっか・・」
しぃ「ほんとはね?トイレのドアから出て・・内藤君に抱きついて・・キスして・・
      内藤君にいっぱい・・私の「愛」といっしょに・・
      私の秘密を伝えようと思ってた。」
しぃママ「あら・・・」
しぃ「そしたら・・内藤君が居なくなってて・・
      代わりにママがいて・・びっくりしちゃった。」
ぎゅう・・
しぃママ「くすくす・・ごめんね?・・それにしても・・しぃは・・」
しぃ「?」
しぃママ「・・・キス魔?」
しぃ「え!!?あ・・・う・・うぅ・・/////」
しぃママ「あれぇ?図星かなぁ?うりうり・・」
しぃ「ふにゅ・・/////だって・・しょうがないもん・・大好きだから・・
      内藤君の・・全部が欲しいの・・
      ずぅー・・・・っと・・独り占めしたいの。/////」
しぃママ「・・・・全部欲しいか・・・
      あんまりそれは内藤君に言わないほうがいいかもねぇ・・/////」
しぃ「?」


しぃママ「・・うん・・じゃあ・・ママしぃを励ましてあげようと思ったけど・・
      もう必要ないみたいね・・しぃは・・・・もうなんにも怯えてない・・」
ぎゅう・・
しぃ「・・・うん・・怖くないよ・・・内藤君に・・全部話す・・」
しぃママ「・・ママがね・・ママがパパに・・「サトリ」を話した時・・」
しぃ「・・ん・・」
しぃママ「パパに・・・打ち明けたときの話・・」
しぃ「・・・」

ママはゆっくりと・・昔のコトを話しだした。



しぃママ「・・あのとき・・・パパとっても・・びっくりしてた。
      ・・そうよね?今までずっと・・私に心の中見られていたんだから・・」
しぃ「・・・・」
しぃママ「すぐには・・・飲み込んでくれなかった。
      すぐには君に答えられないって・・・少しだけ・・・時間をくださいって・・」
しぃ「・・うん・・」
しぃママ「・・・そのあと・・パパから返ってきた答えは・・・ん・・
      答なんて返ってこなかった。パパはそのまま・・ママの前から消えちゃった。
      ううん。ママがパパの前からいなくなったのかも知れない。
      とにかく・・二人ともバラバラになっちゃったの。」
しぃ「・・・・」
しぃママ「二人とも若かったし、お互いに愛し合ってはいたけど・・
      ママが臆病だった所為で、長い間なにも言えなかった所為で・・
      二人とも辛い時間を過ごしたの・・」
しぃ「・・パパも・・そう言ってた。」
しぃママ「うん・・ママ・・とってもパパのコト好きだった。
      ママの初めての恋人。初キッスの相手・・初体験の・・愛しい人。」
しぃ「は・・はつたい・・/////」
しぃママ「ん?あら・・なにも恥ずかしがることはないわ・・愛し合っていたんだもん。
      当たり前。しぃだって・・内藤君に優しくしてもらいなさい?」
しぃ「う・・・うぅ・・・////」


しぃママ「いままで愛し合っていた二人が・・
      こんなに簡単に別れられるものなんだぁ・・って・・
      ずっと一人で考えてたの。何度も何度も・・パパを思い出して泣いた・・
      何度も・・何度も・・「サトリ」の力を怨んだ。
      でも・・そんな時・・パパから一通の手紙が届いたんだ。」
しぃ「あ・・・パパからだったの?」
しぃママ「?うん、そうよ。ママその手紙を開くのが本当に怖かった。
      もしこの中に・・パパからの最後のメッセージが入っていたらどうしよう、
      パパにもう・・完全に逢えなくなるなんて・・・ってね。」
しぃ「うん・・結局・・手紙にはなんて書いてあったの?」
しぃママ「・・・ごめんなさい。君には逢えそうにないって。」
しぃ「え・・」
しぃママ「・・・その後に・・もし、このまま・・しばらく手紙だけで
      やりとりできないかって・・顔を見なくても、
      これなら君ともう一度向き合えるって。」
しぃ「やっぱり・・・パパも・・」
しぃママ「ママとっても嬉しかった。またパパと話し合える・・手紙ではあるけど、
      またパパと世界を共有できるって・・ボロボロ涙をこぼしたわ。
      すぐにお返事を書いたの。もちろん、いつでもお返事まってますって。」

ママはとっても嬉しそうに・・私よりも女の子みたいな無邪気な顔になっていた。


しぃママ「それからは毎日がずっとわくわくしてた。
      早起きして、郵便屋さんにお手紙もらって・・
      パパったら、初めこそ週一回送られてくるかどうかだったのが
      どんどん間隔が狭まってきてついには毎日とどくようになったの!
      もうほんっと嬉しかった・・パパが・・私のために手紙を毎日書いてくれる・・
      どんどん・・・逢いたくなってきたの・・・でも・・私からは逢いにくくて・・・
      それでも・・パパにどんなに思われても・・
      ママはパパに逢いたかったから・・決心してパパのもとへ行こうとした。
      そしたら・・・」
しぃ「玄関の前に・・パパがいた。」
しぃママ「あら・・・もう・・パパったら・・・全部話してるのね。・・
      ふふっ・・そう。パパがいたの。びっくりした・・
      それよりもいきなり現れたもんだから、またパパの心を見てしまう
      ・・だめだ・・逃げなきゃって・・でも、気がついたらパパに抱きついてた。
      逢いたかったって泣きながら・・やさしく・・抱きしめてくれた。
      僕も・・逢いたかったって・・言いながら・・」
しぃ「うん・・やっぱりパパとママだ・・うん・・」

ママはパパと同じ話を嬉しそうに話してくる。一度聞いた話なのに・・ママ目線だから、とっても新鮮。


しぃママ「もう一度パパと初めからやり直して・・・
      もうママも「サトリ」から逃げないように、
      パパも・・ママに嘘はつかないでくれた。
      ううん、初めて会ったときから、パパはママになにも
      嘘はついてなかったの。だから・・ママはパパを好きになってたんだ。」
しぃ「うん・・内藤君も・・自分についた嘘以外・・私にはなんにも嘘はついてないなぁ・・」
しぃママ「ね?パパは・・・本当に好きな人なら、
      心を見られてもなんともないんだって・・
      やっと気づいた・・いままでごめんねって・・
      パパ・・かっこいいでしょ?」
しぃ「うん!」
しぃママ「えへへー////あ・・そうだ・・しぃが私たち二人の間にできた時ー」
しぃ「!!/////もう/////パパからきいたよぉ・・/////」
しぃママ「え・・//////あらら・・パパったら・・///うん・・あの時は・・
      ママ相変わらず幸せで・・パパの子供がほしいって・・
      思ってた矢先にしぃが来てくれたんだよ?ほんとーにうれしかった!」
ぎゅー・・
しぃ「う・・うぁ/////やめてよ・・・はずかしぃ・・///」
しぃママ「なーんにも恥ずかしくないよ?パパとママが愛し合って・・
      それでしぃが生まれたんだから・・大好き。」
ぎゅー・・


しぃママ「・・それで・・あとになって考えてみたら・・
      初めから私は「サトリ」だって言っていれば・・
      ママとパパはもっと早く結ばれていたんじゃないかなって。だからね・・
      しぃに好きな人ができた時にそれをちゃんと教えてあげなきゃって・・
      それだけが心残りだったんだけど・・安心した。
しぃはちゃんと答えを見つけていたんだね。ママ・・やっとしぃに全部話せた・・・」

ママの目に・・また涙が浮かんできた。

しぃ「ママ・・」
しぃママ「あ・・もう・・あんまり時間ないみたい・・あ・・あとね・・ママもうひとつ心配してることがあったの。」
しぃ「え・・・なぁに?」

私の目にも・・涙が浮かんできた。


しぃママ「前にね・・「サトリ」が引き起こした悲しい出来事があって・・
      それの所為で離れ離れになってしまった家族がいるって聞いていて・・
      そんなことがしぃ達の身に起こったら嫌だなぁって・・
      今、まさにそれが起こりそうになってて・・
      怖くなってママ戻ってきたんだけど・・大丈夫みたい。」
しぃ「え・・なに言ってるかわかんないよ・・ママ・・」

ママの体が・・少しずつ薄くなっていくのがわかる・・ああ・・もうお別れだ・・

しぃママ「・・いいの・・わからなくても・・もう・・大丈夫だから・・
      絶対に内藤君と幸せな家庭を築きなさい。内藤君に幸せにしてもらって・・
      内藤君にたくさん愛をあげなさい。」
しぃ「うん・・ひっく・・うん・・わかった・・」
しぃママ「・・最後にね・・パパに・・ありがとうって・・伝えてもらえる?
      ママは・・短い人生だったかもしれないけど・・・ずっと幸せでした。
      パパも・・ん・・ママもそうするから・・
      し・・しぃの幸せを願っていてくださいって・・・
      ん・・お願いできる?」
しぃ「ひっく!うん!私・・・うっく・・絶対約束する!」


ママの体は・・・ほとんど消えてしまった。・・・悲しいけど・・寂しいけど・・もう・・大丈夫。




しぃ「・・・絶対に・・・約束だから!!・・ひっく・・絶対に・・幸せになるから!!
      私・・・パパとママの子供で・・・とっても嬉しいから!!
      ママ!!大好き!!もう・・寂しくない!!」



しぃママ「・・・・うん・・・ありがとう・・・ママも・・・
      しぃと・・・パパに出会えて・・幸せでした・・・
      次の・・・世界でも・・・絶対に・・・出会おう・・・ね・・・大好き・・」





バイバイ・・・・






しぃ「・・・ママ・・・ありがとう・・・ママ・・・」





ママはいなくなった。そこには・・またひとつ大きくなった私と・・二つのピアスが・・・


外に出たら・・内藤君がいる・・うん・・・もう・・私はなにも恐れない。絶対に幸せになる。



ママと・・約束したから・・

 





内藤ママ「・・うん・・・さてと・・」

内藤「ん・・・・・?」

内藤ママは内藤の腕から離れると外に出て行きました。


ガチャ・・



内藤ママ「うわぁ・・・真っ白・・・すごいね・・」

内藤「うん・・・おかげで本当に迷ったよ。」

内藤ママ「ここも・・・もう・・最後。」

内藤「え?」


内藤ママは少し離れたところまで歩いていき、内藤に話しかけました。


内藤ママ「ねえ僕!」

内藤「なに!?」

内藤ママ「しぃちゃんのコト・・・大切にしてあげてね!!」


内藤「・・・うん!もちろん!!」

内藤ママ「・・・おじいちゃんに・・ありがとうって・・言っといて!!」

内藤「・・え・・・」

あ・・・そうか・・・・もう・・・・

内藤ママ「・・うん。お別れ。」


・・もう・・・最後だ。お母さんと・・会うのは・・これが最後・・


内藤「・・お母さん!!」

内藤ママ「・・・・なぁに!?」

内藤「僕・・・お母さんの部屋にあったCD・・
      お父さんのもってたギターで・・練習したんだ!」

内藤ママ「あ・・・うん!」

内藤「ずっと・・・・ずっと寂しくて・・一人で頑張ってた・・
      お父さんとお母さんが・・僕の傍にいてくれるようなきがしてた・・・
      いつか・・いつかこの素晴らしさを誰かに聞いてもらおうと思って!!
      お父さんとお母さんの思い出を・・・ちゃんと僕が残して行こうって!!」


内藤の目に・・・なんど流したかわからない涙がまた現れました。


内藤「それで・・やっと・・しぃに聞かすことができた!しぃに僕の大好きな・・
      お父さんとお母さんの思い出を知ってもらえたんだ!!」

内藤ママ「うん・・・うん・・・」

内藤「ずっと・・誰にも聞かせられなかった・・やっとできた、僕の大切な恋人なんだ!!
      僕は!絶対にしぃと幸せになる・・うぐっ・・・だから・・・だから・・」


内藤「いままで僕のことを見守ってくれて!!ありがとう!!・・
      僕は・・もう・・しぃと二人で生きていく!!」


内藤のお母さんへの決意表明。もう、お母さんの影は追っていかない。
ぼろぼろ涙を零しながら、内藤ママもちゃんとそれを聞きました。




内藤ママ「僕・・・うん・・・ほんとに立派になったね・・」


内藤ママは両手を生涯愛した最愛の息子のほうに向けました。


内藤ママ「僕!ママに・・ママに僕のぬくもりを抱いたままサヨナラさせて!!」

内藤「・・・」

ザッザッ・・・・

雪を踏みしめる音がこだまする。

内藤ママ「・・・」

ザッザッ・・




「サトリ」の歴史・・人類の歴史・・地球の歴史・・そんな莫大な時間に比べれば、僅かでしかなかった。
でも・・その短い時間のなかで・・たしかに、「愛」は存在した。「絆」は存在した。


それは、これから流れる時間の中で・・決して消えない。ずっと・・どこかに残っていく。


ぎゅう・・・



内藤「お母さん・・ありがとう。僕・・本当にお母さんの子供でよかった・・」
内藤ママ「私も・・短い間だったけど・・・僕のお母さんができて幸せでした・・
      これからは・・しぃちゃんと・・ママ達以上の思い出を作ってね・・」
ぎゅう・・
内藤「うん・・うん・・絶対・・しぃは僕が守っていくから・・・
      お父さんと・・仲良くしてね・・」
内藤ママ「お父さんにも・・僕がちゃんと立派になったって・・言っておくから・・」
ぎゅう・・・


お父さんは、お母さんのいるこの世界にいるんだ。・・すぐに・・お母さんの元に・・行く。


お母さんの足は、もう雪にとけていた。



内藤ママ「よかった・・最後に・・僕に逢えて・・ママも・・寂しくない・・
      またパパと・・二人で幸せに暮らすから・・ありがとう・・」
内藤「・・・お母さん・・僕としぃのコト・・見守っていてね・・
      お母さん達からもらった愛情は・・そのまましぃにあげるから・・」
ぎゅう・・
内藤ママ「うん・・ママが生きた・・
      そっちの世界に残した「愛」・・ママがもらってきた「絆」・・
      全部そのまま・・受け継いで・・ください・・・」




内藤ママ「さあ・・・涙を拭いて。しぃちゃんを受け止めてあげて。ママは・・」


あなた達に出会えて・・本当に幸せでした。



さよなら・・・大好きな・・・僕・・・・




無限に広がる雪原に・・お母さんの姿は消えた。




内藤「ありがとう・・・もう・・・それしか・・言えないや・・・」



僕の 後ろで ドアの 開いた 音が した。



しぃ「・・・・」

内藤「・・・・」

涙を拭った僕の目に、最愛の人が写った。

出逢ってまだ一週間も経ってない。付き合おうといってまだ一日も経ってない。

でも、もう僕らは離れられない。それを・・運命と言うのだろうか。


内藤「・・・しぃ!」

しぃ「・・・はい・・」

内藤「・・僕に・・言いたいことがあるんでしょ・・」

しぃ「・・・うん・・」


内藤「・・・おいで。」

しぃ「・・・うん!」

大きく広げた僕の腕に、しぃが飛び込んできた。

ダッ!

ギュウ!!

内藤「おっと!!」

ぼすん!

勢いあまって、二人とも雪の上に倒れてしまった。でもそのまま・・しぃは僕に最後の秘密を話し出した。


しぃ「・・キスしていい?」
内藤「ん・・もちろん。」
ちゅ・・
しぃ「・・あのね・・私ね・・内藤君に秘密にしてたことがあるの。」
内藤「・・・「サトリ」・・でしょ?」
しぃ「!!え・・・なんで・・」
ぎゅう・・
内藤「・・僕も・・「それ」なんだ。」
しぃ「え・・・内藤君も・・サトリ?」
内藤「ううん。・・・もう僕には力は残っていないけど・・
      「サトリ」の血は流れてるんだ。お父さんと・・お母さんの・・血が・・」
しぃ「え・・え・・?」
内藤「ごめんね?隠していたわけじゃないんだ。僕自身・・忘れていた・・
      やっと思い出せたんだ。」
しぃ「・・・」
内藤「しぃが・・あの日僕の前からいなくなったのも・・これの所為なんでしょ?」
しぃ「あ・・うん・・」
内藤「・・もう・・しぃだけに辛い思いはさせない。」
ぎゅう・・




内藤「僕が・・しぃを一生守っていく!!」



倒れたまま・・天に向かって叫んだ。さっきまでの先が見えなかった闇が嘘みたいな晴天の空に。



しぃ「内藤君・・」
内藤「・・あ・・しぃの話を聞くって言ったのに・・ごめん・・僕から言っちゃったね?」
しぃ「・・いいの。全部・・分かってくれるんだね・・」
内藤「・・うん・・・「サトリ」は・・もう僕らには勝てないよ・・」
しぃ「・・うん・・ありがとう・・これからは・・」



しぃ「ずっと・・私を幸せにしてください。」



内藤君に・・ぽろぽろ涙を零しながら伝えた。もう・・なんにも残ってないや。



内藤「・・・はい。僕はしぃを大切にします。・・ふふ・・・こんなこと・・
      出遭ったばかりなのに・・変だね?」
しぃ「・・・そんなことないよ。・・大好き・・」
内藤「うん。・・そうだ・・僕・・学校卒業したら・・館長に頼んで・・
      あの映画館で働かしてもらうよ。」
しぃ「え・・?」
内藤「僕ね・・いつか自分の演奏で食べていくのが夢だったんだ・・
      誰にもそんなの恥ずかしくて言えなかったけど・・館長なら分かってくれる。・・
      すぐに・・しぃを幸せにしてあげれる。いいかな?それでも・・」
しぃ「・・そんな・・内藤君こそ・・」
内藤「僕は大丈夫。今の僕の演奏なら・・
      ジミヘンやクラプトン・・リッチーやエディ・・誰にだって負ける気がしない。
      確信はないけど・・険しい道だと思うけど・・しぃがついて来て
      くれるなら・・・なんだってやってやる。」
しぃ「・・うん・・・ありがとう。」



内藤「・・・僕からの・・プロポーズ・・・受け取ってくれるかい?」


しぃ「・・・はい・・一生・・あなたに・・ついて行きます。」


内藤「・・・うん・・・わかった。がんばります!」



しぃ「・・じゃあ・・ほら・・」


内藤「・・誓いの・・キス?」


しぃ「うん・・・それも・・・・大人のキス。」


内藤「・・・ん・・・」




ちゅ・・・



初めて手を繋いだ。初めて抱きつかれた。初めて告白された。初めてキスした。大人のキスも。

僕の最初で最後の恋人に、最初で最後のプロポーズをした。


普通の人たちに比べたら・・ありえないことだろう。


でも、僕らはこれが当たり前。初めから決まっていたコト。


やっと・・・僕の人生が始まった気がした。愛するしぃのおかげで。


【 1 2 月 2 4 日 夜 ⑥ 】


しばらくそのままの体勢で、しぃと抱き合ってみたりキスしたりしていた。

雪の絨毯に埋もれていくしぃが可愛くって・・何度もキスをした。

二人だけの世界。


さてと・・そろそろ帰らないと・・




しぃ「えぇ・・・もう帰るの?」
内藤「多分・・結構な時間が経ってるはずなんだ・・そろそろ帰らないと・・」
しぃ「・・はぁ・・うん。わかった・・帰っても・・もっともっとキスしてね?」
内藤「しぃは本当に・・キスが好きなんだね?」
ちゅ・・
しぃ「・・・ん・・・ふふっ////大好き。」
ちゅう・・


マスター「ほっほっほ・・・そろそろお帰りの時間ですかな?」




気が付いたらマスターが後ろにいた。しぃが恥ずかしがってる。僕と二人きりなら思いっきり甘えてくるのに・・やっぱり人の前じゃ恥ずかしいみたい。


しぃ「うぅ・・当たり前だよぉ・・////」
内藤「はは・・そうだね・・マスター!!」


マスター「ほっほ・・・なんですかな?」

内藤「僕・・・ココに戻ってこれてよかった!ありがとう!」

マスター「いえいえ・・世界中の子供達に・・「幸せ」というプレゼントを
     配るのが・・「私」の仕事ですから・・・」

内藤「?」

マスター「さて・・・もうそろそろお別れの時間ですね・・ほら・・」

内藤「・・あ・・・」


マスターが空を指さしたので、僕もつられて見てみると

晴天の空が飴玉が砕けるように夜空になりつつあった。

マスター「・・ここの世界を開くのも・・どうやら最後になりそうですね・・」

内藤「・・もう・・ここには・・」

マスター「はい。もう戻って来れません。
      ここが・・残された彼方達「サトリ」に伝えることは・・なにもありません。
      「サトリ」は君達で終わり・・」

内藤「・・・僕が・・「サトリ」になる可能性は・・」

しぃ「え・・?」


・・一応・・聞いておいてもいいだろう。まぁ・・「サトリ」に戻ったとしても・・なんらかわらずしぃを愛していくが・・・



ジョルジュ「その心配はいらないさ。」


いつのまにか僕の視界に入っていた男が喋った。


内藤「・・・・あ・・あなたは・・あの時の・・」

ジョルジュ「うん。僕のキーホルダーは役に立ったみたいだね。」


内藤「・・はい。これのおかげでここに戻って来れました。」

ジョルジュ「そっか・・うん・・じゃあ、もうそれを返してもらっていいかな?」

内藤「・・はい!」

シュ・・

パシン!

ジョルジュ「・・うん・・ありがとう・・・」


内藤「・・・いいや・・お礼を言うのはこっちだよ・・・・お父さん。」
しぃ「・・・・ふぇ?」




ジョルジュ「・・・あれ・・なんだ・・ばれてたの?」

内藤「・・・顔が・・・お父さんに戻ってるよ。」

内藤パパ「あ・・・あー・・そうか・・ははは・・」


内藤パパは恥ずかしそうに顔を覆いました。


内藤「やっぱり・・見守っていてくれたんだね。」

内藤パパ「・・うん・・僕の・・最後の役目だ・・「サトリ」を幸せに導く・・最後の。」

内藤「じゃあ・・・これからは・・」

内藤パパ「うん。こっちでママとまたやり直すさ。
      いきなり会いに行ってびっくりさせてやる!」

内藤「はは・・・ほんとに・・よかった・・」
しぃ「・・内藤君・・」

内藤君の目から流れてくる涙を拭ってあげる。


内藤パパ「さて・・僕。もう君が「サトリ」になることはないよ。パパ頑張ったんだ。
      君達で・・「サトリ」は最後・・だから・・辛いかもし」


内藤「全っ然!!大丈夫!!「サトリ」なんて関係ないさ!!しぃは僕が守っていく!!」
しぃ「・・うん・・だいじょーぶ!!」
ぎゅう・・


 
マスター「・・ほっほっほ・・・もうなにも心配はいらないんですね・・」

内藤パパ「あー・・そっかぁ・・うん!二人とも!!幸せにね!!」


お母さんがそうなったように・・・お父さんの体も消えつつある。



内藤パパ「しぃちゃん!僕のコト・・よろしくね・・元気な家庭を作ってください!」

しぃ「・・はい!ぜったいに・・ぜったいに幸せになります!」

内藤パパ「・・最後に・・僕!」

内藤「うん・・なに!」

内藤パパ「あいつの店に置いてきた・・サンバースト!!僕にあげるから!!
      あれを使って・・もっともっと・・いい音をだせるようがんばってね!」

内藤「あ・・・あれ・・お父さんの・・・うん!まかして!」


内藤パパ「うん・・・いい顔だ。パパも・・安心してママの所にいけるよ。
      ありがとうマスター・・僕にこの役目をやらしてくれて・・」

マスター「いいえ・・・あなたしか・・・適任者がいませんでしたから・・」



内藤パパ「うし!それじゃぁ・・・サヨナラだ!!君達も・・気を付けて帰るんだよ!
      もう・・ココに来ないように・・仲良くそっちで暮らしてください!」


・・・僕の・・人生も・・やっと・・繋がった。・・うん・・・


ありがとう・・・幸せに・・・・ね・・・


わずかに残った空に、お父さんは消えていった。これ以上ない、笑顔とともに。



内藤「・・うん・・約束・・」
しぃ「・・おとうさん・・・」



マスター「さて・・・それじゃあ、もうココの「ドア」を閉めますよ?」

マスターがばーぼんはうすのドアを閉めようとしていた。


内藤「うん・・いろいろ・・ありがとう。」

マスター「・・・本当に・・いい顔をしている・・その顔をしてくれるだけで・・
      私は幸せです。さあ・・・次の子供達が待っている。お元気で!」

しぃ「・・サヨナラ!」



サンタクロース「・・メリークリスマス・・今度は・・君達がサンタさんに・・・」


ガチャ・・・



マスターがドアを閉めると、僕達は元のあの駅に戻っていた。







12月29日へ











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最終更新:2007年01月03日 14:07