【12月29日 朝】
時計の針は午前二時。雨がまばらに降っていた。
もうここは現実の世界。お父さんもお母さんもマスターもいない。
無人の駅前に、僕としぃだけ。
しぃ「・・雨・・降ってるね・・」
内藤「・・うん・・」
しぃ「・・もう・・こんな時間だ・・お父さん心配してるな・・」
内藤「・・そうだね・・帰ろうか。」
しぃ「うん・・」
二人で・・朝通ってきた道を引き返す。
ほんの数時間前にココから始まったWデートは・・これ以上ない幸せな結果を残してくれた。
内藤「・・いろいろ・・あったね・・」
しぃ「・・うん・・ほんと・・」
内藤「・・なんか・・・嘘みたい・・」
しぃ「・・ん・・・」
ちゅ・・
しぃ「・・ん・・ふふ・・嘘じゃないよ?」
内藤「・・はは・・・そうだね・・」
しぃ「ずっと・・一緒だよ・・」
ぎゅ・・
内藤「・・うん・・」
小雨が降っている夜道を、しぃの手を握って歩く。傘を差すほどじゃないから、そのままで。
今日はしぃと数え切れない抱擁と数え切れないキスをした。付き合い始めたカップルなのにおかしいかな?・・わかんないけど・・これが僕達の・・恋愛。
しぃ「・・・あーあ・・家が見えてきた・・」
内藤「・・うん・・・」
しぃが残念そうに言った。・・なるほど駅に近い。
しぃ「・・あ・・」
玄関に着くと、扉に紙が這ってあるのを見つけた。しぃのお父さんの伝言らしい。
しぃ「・・お父さん・・今日はサトパパ達と出かけてるんだって。」
内藤「あ・・・そう・・!・・う・・うん・・」
おいおい・・・まじですか・・・これって・・・・いや・・
内藤「そっか・・じゃ・・暖かくして・・おやすみ・・」
しぃ「・・え・・・あ・・・うん・・」
しぃを無事家に送って・・今日のデートは終了。・・考えすぎ考えすぎ・・
僕も早く家に帰らないと・・・おじいちゃんが心配する。
しぃ「・・・まって・・」
内藤「・・ん・・・?」
ぎゅ・・・
しぃが後ろから抱きついてきた。
内藤「・・・なに・・?お別れの・・キス?」
しぃ「・・ん・・・」
ちゅう・・ちゅ・・
はい、本日二回目の大人キス。
しぃ「・・ん・・・ぷはっ・・・大好き・・」
ぎゅう・・
内藤「うん・・僕も・・・ほら・・早く家に入らないと風邪引くよ?」
しぃ「・・・・帰りたいの?」
内藤「・・え・・・・」
しぃ「もう・・・さよならしたい?」
内藤「え・・あ・・う・・うん・・か・・帰らないと・・」
・・帰りたいわけ・・・ないじゃん。もっと・・しぃと一緒に居たい。その・・・
いろいろ・・まだしぃと・・・・あー・・だめだって・・
しぃ「・・・・いいよ。」
内藤「・・え・・・?」
しぃ「・・・今日は・・一緒に居て。」
ぎゅう・・
内藤「あ・・・見たなぁ?」
しぃ「・・////」
内藤「・・・うん・・でも・・」
しぃ「・・・一緒に・・居てよ・・・もっと・・内藤君が欲しいの。」
・・聞き間違いかと・・・僕の想像かと・・・違う・・はっきり・・聞こえた。
しぃ「・・・もう一つ・・私に・・・初めてをちょうだい。」
内藤「・・・いいの?」
しぃ「・・・・」
こくん・・
しぃ「・・・内藤君が・・大好きだから・・」
ぎゅう・・
内藤「・・・しぃ・・・」
キィ・・
ガチャン・・・
しぃの家は・・なんだかいい匂いがした。
あとで気付いたんだけど・・・それはしぃの匂いだった。やわらかくって、かわいい・・
しぃの・・やさしい匂い。
こうして・・・僕としぃの長い一日が終わった。人が出逢って・・愛し合って・・
互いを確認するまで・・全部一日でやっちゃった。
隣で眠るしぃの横顔に・・起きないようにキスをした。
男・・・荒巻・・・斉藤先生・・・サトリちゃん・・・館長・・嫁さん・・
松本君・・妹さん・・マスター・・お父さん・・お母さん・・
みんなのおかげで・・・こうしてしぃの寝顔を見ることが出来た。みんなありがとう。
僕らは、絶対に幸せになります。全力で・・しぃを愛していきます。
窓から覗く満月を見ながら・・しぃを抱きしめ・・内藤は誓いました。
弱虫なんていない。そこにいるのは・・・
強い意思を持った成長した恋人達。