第4話 Lady Diamond Dust

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この島にいて彼女の名前を知らない物は居ない。 「レディ・ダイヤモンドダスト」 彼女はある武装商船団のリーダーだった、 そんな彼女の指揮する船団が航海の最中に大嵐に巻き込まれ、この島へと流れ着いたのは今を遡る事10年前の話になる。 彼女は島の周りに数多く見られたシードラゴン(海藻に擬態するタツノオトシゴに似た魚)よりこの島をシードラゴン島と名付けた。 こうして我々西方文明の歴史に始めてシードラゴン島の名前が刻まれたわけである。 もっとも、今だにこの島を彼女の名前をとってDDアイランドと呼ぶ者も決して少なくない。 彼女は漂着した地点に仲間と共に拠点を築き、島の探索へと乗り出した。 そして半年が過ぎ、いつもの様に数名の仲間を伴って探索へ出た彼女はそのまま拠点に戻ってくる事は無かった。 10年が過ぎても彼女の消息は杳として知れない。 未だに目撃話がいくつも聞こえてくるが、そのいずれもが眉唾ものだ。 彼女の築いた拠点は今では立派な港町になり、アンカー(錨)の町と呼ばれている。 今日も多くの冒険者達がアンカーの町より島の探索に出かけて行く。 そして出発する彼らを港に鎮座する彼女の銅像が静かに見送るのだ。 ~探検家ウィリアム・バーンハルトの手記より~

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