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『見上げれば七色の奇跡』

A:女性。わがまま。癇癪持ち。天真爛漫もどきのバカ。ロマンチック厨二病。
B:男性。ヤマダハルオ。振り回されつつ振り回すバカ。現実主義と見せかけて厨二病キザ。


(※SE:バタバタとけたたましい足音を立ててAがBの私室へ走り来る音)
A01「オーロラ!」
B01「……オーロラ?」
A02「オーロラ!」
B02「えっ」
A03「オーロラ見に行こう!」
B03「えっ」
A04「オーロラ!行こう!40秒で支度して!」
B04「いや、ちょ、待て!オーロラって、北極?まさか北極?今から北極行くの!?」
A05「違うの!オーロラが見れるの!ここで!この街で!さっきニュースでやってた!」
B05「は?」
A06「ええと、なんだっけ。どこぞのテロリストが気まぐれに核ミサイルをぶっ放してみたら、い
   い感じにオゾン層が粉々に砕け散って、一方遥か彼方の太陽さんも俄然(がぜん)やる気り
   んりん、ただいま宇宙プラズマ絶賛増量中!……とかなんとか。良くわかんないけど今世界
   中でオーロラ見放題らしいよ」
B06「えっ、何それ、俺ら死ぬの?」
A07「死なないの。オーロラ見るの」
B07「嫌だー!そんなグランド世紀末見たくないー!」
A08「見ようよ!きっと夜空にぶわーっと広がって、きらきらーって輝いて、きゅんきゅんーって
   綺麗だよ!」
B08「死ぬ!絶対死ぬ!」
A09「そうだね。いつもの街の、特別な時間。見上げれば七色の奇跡。隣にあなた。触れあう手と
   手。時間よ止まれ。恋人たちの夜は永遠に。……ヤバイ、キュン死しちゃうかも」
B09「嫌だー!実際割とマジで死ぬー!『ヤマダハルオ、ロマンチックのために世紀末自殺す』と
   かお墓に刻まれちゃうー!」
A10「うだうだうるさい!もう、何なの!?そんなに私とデートするのが嫌ならはっきり言えばい
   いじゃん!」
B10「デートが嫌とかそういう問題じゃなくてだな」
A11「ハル君、私のこと嫌いなんだ。ハル君浮気者なんだ。……ハル君の、ハル君の」
B11「だから」
A12「バカー!」
(※SE:ドドドドドドド、とAがBに立て続けに7発の急所突きを打ち込む音)
A13「護身流殺法、必殺七点急所突き」
(※SE:ドカーン、とAがBにフィニッシュブロウを叩き込む音)
B12「『エイトヒットコンボ・クリティカルダメージ!』……ぐはぁっ」
A14「バカー!」
(※SE:バタン、とAがドアを開けて外へ走り去る音)
B13「ま、待て……外は……危険が、危ない……グフッ」

(※近所の公園(跡)の噴水(跡)にBが腰掛けている。辺りにはビュオオ、と乾いた風が吹きす
 さび、ガランガランと瓦礫が音を立てて転がり、さらにはウゾゾゾゾ、とゾンビめいたうめき
 声を上げて瀕死の人間達が這いずりまわっている)

A15「もう。もう。もう。ハル君のバカ。オーロラなのに。ロマンチックなのに。デートなのに。
   久しぶりのデートなのに。バカ。バカバカバカバカバカ。バカー!」
(※SE:ザッザッザッ、とBが歩いて近づく音)
B14「……あんまりバカバカと騒ぐな」
A16「ハル君……」
B15「ご近所さんにバカだと思われるぞ」
A17「む。……ふ、ふん。何しに来たの」
B16「ちょっとな。癇癪(かんしゃく)起こして家を飛び出した迷子の仔猫を探しに。お前、知ら
   ない?」
A18「……知らない」
B17「そう。……隣、いいか」
A19「……知らない」
(※SE:ザッ、とBがAの隣に腰掛ける音)
B18「ふー。……それにしても、まさか本当にオーロラが見られるなんてなあ」
A20「勝手に見ないで。さっきは見たくないって言ってたくせに。ハル君はオーロラを見る権利無
   し。空見るの禁止」
B19「……」
A21「……何よ」
B20「いや、やることないからお前を見てた。空見るの禁止されたし」
A22「は?やめてよ。そこらへん適当に眺めてたらいいじゃん」
B21「いやあ、絶望的にナーバスになる景色なんで出来れば全力で目を背けたいんだが」
A23「だからってこっち見ないでよ。エッチ。変態。バカ」
B22「お前、本当に見てて飽きないやつだな。表情とかクルクル変わる」
A24「……こっち見んな、バカ」
B23「じゃあ空見よっと」
A25「あっそ」
B24「……」
A26「……綺麗だな」
B25「街中では見えにくいってどこかで聞いたけど、今電気止まってて真っ暗だし、オーロラ見る
   にはちょうどいいな」
A27「……猫、探しに行かないの?迷子なんでしょ」
B26「ああ、すげー心配したぞ。外こんなだし。世紀末だし。むしろ何で平気なの?って感じ」
A28「知らないよそんなの。というかお互い様でしょ」
B27「ま、だけど正直ほっとしたよ。ついでにデートもできたし」
A29「デート?……これ、デートなんだ」
B28「そりゃもう。いつもの街の特別な時間。見上げれば七色の奇跡。そして隣にはお前が」
A30「ごめん、降参します」
B29「時間よ止まれ、そなたは美しい」
A31「うるさい。黙れ。今すぐロマンチックに自殺しろ」
B30「はっはっは。嫌です。むしろ死ぬまで生きたいです。……さ、そろそろ帰ろうぜ。体冷えた
   だろ、風邪引くぞ」
A32「やだ。もうちょっと」
B31「わがままめ」
A33「飽きるまでずっと眺めていたい。ハル君の隣で」
B32「……あと何年かかるんだよ」
A34「ずっと」