一足早いクリスマスプレゼント



登場人物
A……ケーキ屋の店長。
B……バイト店員。


B01「店長ー。クリスマスケーキ、どんなのを作るんですか?」
A01「ああ、イチゴとチョコを中心で考えている。
   カップルには新作を用意してみたんだが、ちょっと見てくれるか」
B02「はいはい、見ますよー。美味しそうなケーキは、見るだけで楽しいですもんねー」
A02「そうか。では、存分に楽しんでくれ」
B03「……あの、店長。なんだかこれ、ケーキとして異常な色してません? あとサイズ」
A03「幸せな者は太るべし。ヤンキーアメリカのケーキを参考にした、超ファットケーキだ。
   これ一つで、一ヶ月分のカロリー摂取が可能!」
B04「重っ!? っていうか、何自信満々に言ってるんですか!
   こんなケーキ? ケーキって呼んでいいのこれ? みたいな物体、誰も買いませんよ!」
A04「安心しろ。――味は悪くない」
B05「これでまずかったら、食品ですらありませんよ……」
A05「とりあえず味見してみたらどうだ。意見はそれからでも遅くない」
B06「はあ……じゃあ、一口だけ――う、何これ!?
   もったりとして、濃厚で……脳に、甘さが脳にくる……!?」
A06「おや、そんなにぐったりとしてどうした。風邪でもひいたのか?」
B07「へこたれてるんですよ! ……うわぁ、気持ち悪い。
   肝臓がフォアグラになるのって、こういう気分なのかな……」
A07「ちなみに今の一口で、2000キロカロリーほどある」
B08「多いなまた!? っていうか、どうやってそこまで凝縮したんですか!
   何、錬金術? 料理と思わせて、実はオカルトなパワーが働いてる?」
A08「失礼な事を言うな。生地やクリームに、牛脂を練り込んでみただけだ」
B09「何やってるんですか!? それはもう、ケーキへの冒涜ですよ!」
B09「最高級黒毛和牛の牛脂だぞ」
B10「だからなんだっていうんですか! ブランドイメージがむしろ逆効果ですよ!」
A10「ふむ……確かに犬も喜んで食った後、ぐったりしてうつむいていたな」
B11「動物が食べられないような物を、人に食べさせないでください!」
A11「安心しろ、これはカップル用だと言ったはずだ。
   聖夜にダウンして、嫌な思い出ができれば大成功だ」
B12「……それ、店にもダメージあると思うんですけど」
A12「ふむ……さて、普通のケーキを作るとするか」
B13「か、考えてなかったな!? 最悪だこの人!」
A13「ははは、お詫びに残ったこのケーキは君にあげよう。
   一足早いクリスマスプレゼントだと思ってくれ」
B14「いるかー!? こんなの、ロウソク代わりに燃やすぐらいしか使い道ありませんよ!」
A14「やれやれ、食べ物を粗末にする子だ……」
B15「あんたが言うなぁ!?」