酔い夢



ナ01「煙草の煙がくゆる、薄暗いバーのカウンター。
   派手さはないが美しい女と、その父親と言ってもいい年代の男がいた」

A01「……スクリュー・ドライバー。ほとんどジョークね。
   こんな使い古しの手で、私を口説くつもり?」
B01「君が酒に強いと、知っているからこそ注文した。
   逆に尋ねるが、私はそんな風に思われるほど古臭い人間かい?」
A02「あら、私の父と一つしか歳が違わない筈よ?」
B02「話が合いそうで助かるな」
A03「話をする必要があるの?」
B03「あるとも。娘さんをくださいと、いつか言うべき時が来る」
A04「残念ね。そんなセリフを言われて嬉しいのは、男を知らない女だけよ」
B04「全てを知ったつもりかい? 気が早いんだな」
A05「だったら教えてくれる? 私の知らないこと」
B05「それはいいが、その前に酒を飲んだらどうだ」
A06「お酒の勢いを借りなきゃいけないような人だったかしら」
B06「いいや、より熱くなるためさ」
A07「そう言って、今まで何人の女を酔わせて来たの?」
B07「なに、些末なことだ。
   それに――君は酔わせてしまっても構わないだろう?」
A08「……ええ、そうね。とりあえず乾杯しましょ」
B08「何に?」
A09「月並みだけど――未来に、でどうかしら」
B09「では、未来に乾杯だ」

SE:グラス合わせる音

B10「……そこまでは、そこまでは憶えてるんだよ刑事さん。
   でもな? 目が覚めたらな?
   何故か私は檻の中というわけでな?
   刑事さん……私ゃ何をやったっていうんですかい!?」

ナ02「飲み過ぎは程々に。人生を千鳥足で歩かないようにしましょう」


終わり