作者:Elika


ナレーション01
「世界に混沌が訪れていた
 世界はカオスに満たされていた
 その大地に大いなる傷跡を残して

 ある者は昏き波動に身を侵され
 またある者は命と引き換えに国を護り
 己の『道』を模索する者は好機を逃してなるものかと立ち上がり
 かつての英雄は静かに、その*-*-*-時が訪れるのを待っていた

 ――その瞳に、それぞれの炎を宿して」

アイリーン01「おにいちゃん、どうしてもいっちゃうの?」
ルード01「ああ。世界が俺を呼んでいるんだ」
アイリーン02「おにいちゃんなら、きっと大丈夫だよね。悪い王様なんて、やっつけちゃうよね?」
ルード02「ああ、必ず――必ず、この世界を救ってみせる!」
アイリーン03「うん、信じてる!ケホッ、ゲホゲホッ!!」
ルード03「アイリーン!!」
アイリーン04「わた、私は大丈夫だから…おにいちゃんが帰ってくるのを、待ってるから」
ルード04「待っていろ、必ず世界に、光を取り戻してやるからな!」

ナレーション02
 「ある者は、故郷の妹の、未来のために――――」

フレイ01「姫……わたくしは必ず、お父上の仇をとってまいります」
シンシア01「フレイさん……どうか、ご武運を」
フレイ02「ありがたきお言葉。王国騎士隊長フレイ=マーゴット、これより魔王討伐へ出陣いたします!」
シンシア02「フレイ……無茶しないでね」
フレイ03「シンシアこそ、私がいないからって抜け駆け禁止なんだからね?」
シンシア03「ふふっ、早く戻ってこないとジュリウス君と結婚しちゃうんだから!」
フレイ04「ジュリウスはなんて言うかなー?」
シンシア04「あら、当然お姫様の命令には従うでしょ?」
フレイ05「あーっ、職権乱用!?」
シンシア05「うふふふふ」
フレイ06「あっははははははははは」

ナレーション03
 「ある者は、幼馴染の両親の、そして今は亡き*-*-*-*-主君の仇討ちのために――――」

マックス01「お?魔王討伐?」
ルード05「あ、ああ……」
マックス02「俺も連れていきなよ。役に立つぜ?」
フレイ07「貴様、何者だ?」
マックス03「俺はマックス、こう見えても賢者!」
ルード06「なっ…!!」
フレイ08「わたくしの知る限り、一般的な賢者様は、このように軽くはないぞ……」
マックス04「知的好奇心の赴くまま、俺は魔王に会ってみたい!」
ルード07「会うだけ、なのか?」
マックス05「いーんや、個人的に恨みとかあるから多分倒したくなると思う。とにかく連れていきなよ!な!」
フレイ09「なんだかよくわからないが……魔術に長けた者がいるのは心強いな」
ルード08「実力のほどは定かではないが……共に歩む仲間が増えるのは、喜ばしいことだしな」
マックス06「んじゃ、決っまりーっと!よろしくな、ええっと」
ルード09「ルード=バンヤードだ」
フレイ10「フレイ=マーゴット、ヴェルキア王国騎士隊長だ」
マックス07「ルードに、フレイか。改めて!」
ルード10「よろしく!」
フレイ11「よろしく頼む」

マックス08「まずは、魔王討伐に一歩近づいた、か……」

ナレーション04
 「ある者は、したたかな欲のために――――」

ウィル01「とうとうここまで、たどり着いたか」
ルード11「はい。あなたが、伝説の勇者様――――」
ウィル02「ははっ、昔の話だ。今は見てのとおりただのオヤジさ――鍛冶屋の、な」
マックス09「ふーん、でもあんたのその剣、あんたに使ってほしそうだぜ?」
フレイ12「マックス!やめないか!!」
ウィル03「ほほぅ、おまえさんこいつの言葉がわかるのか」
マックス10「これでも一応、賢者なんでね」
ウィル04「さぞかし学のある御仁とお見受けした。能ある鷹はなんとやら、ってな」
ルード12「ははは、だってさ、マックス」
マックス11「ん?どういうこと?」
フレイ13「見た目は阿呆そのものだ、とおっしゃってるんだ」
マックス12「な、そんなぁぁ~~?!」
ウィル05「重剣のウィリアム、さび付くにはまだ早そうだな」

ナレーション05
 「ある者は、若き光に導かれるままに、重い腰をあげた――――」

ルード13「とうとうたどり着いた……」
フレイ14「ここが、魔王城『邪聖の間』か……」
マックス13「武者震いするー!いえーい!」
ウィル06「この緊張感……悪くないな」
ルード14「みんな!これがおそらく最後の戦いだ!気合を入れていこう!」
フレイ15「心得た!」
ウィル07「応!」
マックス14「ほいきた!」

魔王01「待っていたぞ、勇者達――――」
フレイ16「おまえが…おまえが魔王か!」
魔王02「いかにも。従うべき主君を一瞬にして失った哀れなる騎士よ」
フレイ17「きっ、貴様ぁぁぁぁぁぁあああああああっ!!」
ウィル08「危ねぇ!!マックス!」
魔王03「ぬぅん!」
マックス15「姉さん短気すぎっ!あらよっと!」
フレイ18「んぁあっ!!」
ルード15「フレイ、落ち着け!先走ってどうする!」
フレイ19「離せ!離さぬか!!こやつ、わたくしを愚弄するばかりか我が主君たる王までも!!」
ウィル09「空気がビリビリいってやがるぜ……」
マックス16「っだぁーシールド限界っ!」
ルード16「っっ!!伏せろ!!」
魔王04「ふぉぁああああああ!!」
ウィル10「なんのぉ!!」
魔王05「ほぅ……剣気ではじくか。なかなかに楽しめそうだ」
マックス17「あんたすげぇな、やっぱり」
ウィル11「老いぼれてもまだまだいけるぜ」
ルード17「でも、何度も持ちこたえられる様子じゃないな……」
フレイ20「っ!!ウィル殿!!」
ウィル12「ははっ、やはりブランクがあるのは否めないな……情けねぇ……」
ルード18「一気にケリをつけよう、フレイ!」
フレイ21「あ、ああ」
ルード19「マックスを頼む、マックスはありったけの魔力で詠唱を!!」
マックス18「ククク……ようやっと来た……俺の、俺自身の完成の為に、魔王には散ってもらおう!」
ウィル13「へっ、とうとう本性現したな、賢者さんよぉ」
ルード20「ウィリアムさんは俺と一緒に!」
ウィル13「応、せいぜい足手まといにならんようにするさ」
フレイ22「守りはまかせろ!」
魔王06「こちらも全力で応えよう、魔界の王たる我が波動、しかと見よ、ふはははははははははははははは!!」
ウィル14「若造、くるぞ!!」
ルード21「うおぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!!」
マックス19「古の禁呪、銀の月、金の陽、その身を焼き尽くせ、業火、煉獄の!!」
フレイ23「雑魚が小ざかしい!!はぁっ!」
魔王07「ぬぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーッ!!」
ウィル15「ふんぬぁあああ!」
ルード22「行くぞぉぉおおおっ!!」
マックス20「これで……完成やぁああああああああっ!!!」
フレイ24「っ!!こんな魔術、はじめて見るぞ!!」
マックス21「ひゃははははははははははははははははは、死ねぇえええええええええええい!!」
ルード23「これが、最後の一撃だぁああああああああっ!!!」
魔王08「なに……っ!!バカな……バカなぁあああああああああああああああああああああっ!!!」

ナレーション06
 「こうして、それぞれに異なる意思を持った4人の戦士達によって、闇の覇者・魔王は倒され、世界に平和が訪れた」

ルード24「ただいま、アイリーン……」
アイリーン05「おにいちゃん……!!!」

シンシア06「フレイ、よくぞ無事に戻ってくれました」
フレイ25「はい。これもすべて姫様と先王の為と――――」
シンシア07「よかった……ほんとによかった!フレイ!!」

マックス22「さて、賢者も飽きたしそろそろまた名前を変えて、『道』を極めるかぁ。次は――――」

ウィル16「ふっ――まだまだ世界は、若い光に満ち溢れている、か……」

ナレーション07
 「それぞれが、また日常に戻る
 その大地に、偉大なる4つの名を刻みつけ、世界は形を変え、今日も廻る
 ある者は平凡な生活を愛し
 ある者は約束を果たし
 己の『道』を極める*-*-*-久遠の旅路はどこまでも続き
 かつての英雄は再び穏やかな波のように後進を見守っていく

 ――光は、やがて伝説となる」

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最終更新:2009年08月08日 20:39