ヘルシングとか再殺部隊的な何かが会議中。
吸血鬼が占拠する村を、どうするか。隊長が下した結論とは――
A:部下。主人公的な何か。
B:隊長。一見好々爺な鬼畜。普段は
明るいイメージだが、キレると反面、静かに怖い。
A1「焦土……作戦……?」
B1「うん、そうだよ。それが、どうかした?」
A2「……何故、そんな……作戦を……」
B2「わからない? ……あそこはね、もうダメだよ。1日持たない。
なら、さっさと片付けた方がいい。……解るよね。今の、状況」
A3「……ッ」
B3「勿論、僕だって辛いよ? でも、ね。仕方が無い事だってあるんだから。
僕らも、ほら。慈善事業じゃないし、ね」
A4「……お言葉ですが、隊長」
B4「うん、何?」
A5「あの村には、まだ、生存者がいます」
B5「うん」
A6「…………焦土作戦を、実行すれば……その生存者たちの命も、失われます」
B6「うん」
A7「……それでも、よろしいのですか?」
B7「……」
A8「……彼等は、今も、助けを待っています。
血の海の中、恐怖の中で、今死ぬかもしれない、そう思いながらも……助けを、待っています」
B8「……」
A9「その彼等の希望を、踏みにじるおつもりですか? ……隊長……!」
B9「……ははは。悪い言い方だね」
A10「ッ……!?」
B10「生存者? 希望? ……ふざけないでよ。今、ここで実行しないと……そんなもの、もっと失われる事になる」
A11「隊長……!」
B11「あそこには、もはや生存者なんて、いない。みんな、じきに食われるからね。……吸血鬼に。
知ってるでしょ? 吸血鬼の特性。吸血鬼が血を吸えば、みんな死ぬ。よくてゾンビ、悪くてアイツらの下僕だ。
あの村は今や、吸血鬼の繁殖場だよ」
A12「しかし、隊長、私は」
B12「うるさいよ」
A13「ッ!?」
B13「生存者だって? そいつらがみんな食われりゃ、ただヤツらの数が増えるだけだ。
増えればどうなる? あの村のちっぽけな希望を優先すれば、こっちの希望なんて――消えうせる」
A14「しかし、その為に……その為に、今もまだ生きている人々を、無為に扱えとおっしゃるのですか!?」
B14「(一転、空気を切り替えて)……黙れ。ガキが」
A15「……隊、長……」
B15「優先順位を、間違えるな。彼らが生き残るよりも、奴らが死滅する方が、先だ。まず、殺せ。殲滅しろ。増える間など、一時も与えるな」
A16「……」
B16「増えれば、終わる。なら、餌ごと、焼き払え」
A17「隊長、……あ、あなた、は」
B17「(再び、切り替えて)……ま。つまりはそういうコト、だよ。わかったかな? ……英雄もどき君」
A18「あ……」
B18「……爆撃機を用意。法儀礼済みの弾薬ありったけ積んで」
A19「隊長ッ!!」
B19「……何?」
A20「……こ、……子ども……」
B20「ん?」
A21「子どもも……殺す、おつもりですか」
B21「……ああ。そういや、君は……」
A22「……お願いします。甘い事も、分かっています。しかし、それでも…………それでも……!」
B22「生き残り、だったね。君は。……なら、なおさら……わからないかなあ?」
A23「……え?」
B23「見知った大人たちがゾンビになって、知り合いを喰らっていく。血と臓物と千切れた手足や頭に塗れて。いつ終わるとも知れない悪夢の中にずっといて。
唯一生き残っても。ずっとずっとあの様が忘れられなくて。毎日、寝ても覚めても悪夢の中で苦しみ続けて。
呼吸する事すら罪に思えて。いくら吸血鬼を殺しても罪悪感なんて消えなくて。それでも許せなくて。殺して殺して殺して殺して殺し続けて……」
A24「あ……ぁ、あぁ……!」
B24「……解るさ。僕も、同じだったから。そして、最後にはこう結論付けるんだ。“こうして、生き残るくらいなら”」
B25「――“あの時、死んだ方がマシだった”」
A25「――ッ隊長!!!」
B26「行くよ。――これより、悪夢を、終わらせる」
最終更新:2010年10月18日 02:06