赤い靴
作者:変態 ◆9lpMgcDCvw
BGM ワルツの曲
少女が履いたのは、鮮血(ち)の様に赤い靴。
散々注意されていたのに、少女は履いてしまった。
その美しさに魅入られて、自らの足を入れてしまった。
履いた直後に襲ってきたのは、後悔と、足を焼く痛み。
痛い、痛いよぉ!と泣き叫びながらも、彼女の足は止まらなかった。
彼女が履いたのは、古の賢者が作った、悪戯妖精を懲らしめるための靴
少女の異変に気付いた村人達は彼女を助けようと、頭を捻って考え続けた。
思いついては実行し続けた。けれども、どれを試そうと少女の足から靴が外れることは無かった。
思い切って足を切ってしまおうと、村人達は斧を持ち出した。
踊り続ける少女を押さえつけて、その美しい足に斧を振り下ろした。
だが、彼女の足はまるで鉄の様に斧を弾いてしまった。
コレには村人達もお手上げだった。そして、村人達は彼女を助けることをあきらめた。
少女は泣いた。助けて欲しいと懇願した。しかし、村人達は口を噤(つぐ)み、目を逸らし耳を塞いだ。
それから、一ヶ月間、少女の助けを望む声が村に響き続けた。
爪が剥がれ、骨が砕けて、指が拉げて、足が腐っても少女は踊り続けた。
いつしか彼女は、泣きながら崖から落ちて死んだ。
地面に赤い花を咲かせて。
それでも、足は動き続ける。一定のリズムを刻んで。踊り続ける。
ずっと、ずっと……
【あとがき】
アンデルセン童話の赤い靴の救いを無くしてみた。結構強引だし、改悪だから微妙。やっぱり鬱の時に(ry
最終更新:2010年10月17日 10:05