『星の眠る丘』

A:男性。藤村。クールに見えて実はツッコミ気質。
B:男性。やたらロマンにこだわる。発言がいちいちバカっぽい。


A01「流れ星が落ちてきた。流れ星がこの街に落ちてきた。それはもう、美しい光景だった。昨
  夜午前1時38分。7色の軌跡が空の天辺からまっすぐに落ちてきた。地上に降り立ってぱっと
  輝いた。ほんの一瞬の、花火よりも儚い瞬きだった」

B01「藤村」
A02「……うん?」
B02「楽しいな!」
A03「どこがだよ!楽しくねーよ!かれこれ何時間穴掘ってるんだよ俺たち!」
B03「楽しいな!」
A04「聞けよ!」
B04「藤村、この下には何が埋まってるんだろうな」
A05「何って……、流れ星のかけらだろうが!お前が言ったんだろ、昨日流れ星がここに落ち
  たって。一緒に探そうぜって」
B05「つまり、藤村は流れ星のかけらが埋まっていると、そう考えているわけか」
A06「は……?おい、まさか」
B06「違う違う。大丈夫、ちゃんと見た。流れ星が落ちるのをこの目でしっかり見た。嘘じゃな
  い。俺を信じろ」
A07「……ったく。流れ星が埋まってるんじゃなきゃ、何が埋まってるってんだ」
B07「そうだな……ロマン、かな?」
A08「お前……。さっきから訳わからんこと言ってると思ったら、それを言うためのフリか!
  しょうもないネタ仕込んでるんじゃねえよ!」
B08「どうどうどう。危ない、熱くなるな、俺たちは今人を殺せる凶器を持っているんだぞ。
  知ってるか?戦争で最も多くの敵を殺した武器は」
A09「シャベルだろ、知ってるわそのくらい!……ったく、殴られたくなかったら黙って手を動
  かす」
B09「へーい」
(※シャベルが何か固いものにぶつかり、カツンと音を立てる)
B10「……と、あれ?何かある。藤村、手伝ってくれ」

(※時間が飛んで、掘り出した後。掘り出されたのは、人間の頭ほどの大きさの金属質の玉。表
 面は焼け焦げたように朽ちている)
B11「さて、何だろうな、これ。見た目はボロボロ、でかくて重くて、……お、表面に小さい穴
  が3つ」
A10「それって……」
B12「なるほど、これが流れ星のかけらか!」
A11「いやいやいや!どう考えてもこれ、ただのボロっちいボウリングの玉だろ!」
B13「いいや、これは間違いなく本物の流れ星だね」
A12「根拠は?」
B14「その方がロマンがあるからだ!」
A13「おい!」
B15「だいたい、これがボウリングの玉だなんて納得できるか。そんなの全然面白くない。ロマ
  ンがねえよ。いい年した男が2人、流れ星のかけらだなんてロマンチックなものを求めて丸1
  日穴掘りしてるんだぜ?神様だかお星様だか知らないが、少しは空気を読めってんだ」
A14「どんな理屈だよ」
B16「じゃあ、お前はどう思うよ」
A15「俺か?うーん……そうだな、俺もこれが本物の流れ星ってことにしてやってもいいかな」
B17「ほほう。その理由は?」
A16「別に、なんとなくだ」
B18「んじゃ、2人の意見も一致したところで、そろそろ帰るか。ところでこの玉はどうする?」
A17「適当に埋めなおしとけ。持って帰るのも面倒だろ」
B19「なるほど。そりゃロマンチック」
A18「……はあ。しかしよく考えると、このでかい穴をまた埋めなおさなきゃならんのか。面倒
  くさい」
B20「いいじゃん、楽しいじゃないか!」
A19「なあ、もしかしてお前、さっきからそれ、本気で言ってる?」
B21「え?」
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最終更新:2011年03月09日 22:55