「では、退学手続き、早めにお願いするよ、杉崎鍵君。」
    企業の男、枯野はそう言うと部屋を出た。
    俺に時間は残されてないようだ。



    俺は家を目指し学校を出た。
    途中の横断歩道で俺は立ち止まり考える。
    どうすればいい?
    それだけが俺の思考を支配した。
    そして俺が青になった横断歩道を渡ると、



    トラックが俺を目掛け突っ込んできた。


    スピードを緩めずに。


    俺は為す術も無くトラックに吹っ飛ばされた。

    最後の思考の中で俺はただ生徒会の皆の顔を思い浮かべた。



    それから、どれだけの時間が経ったのだろう・・・
    俺は目を覚ました。
    最初に目にした光景は見慣れない病室だった。

    「あ・・・杉崎先輩!」
    起き上がった俺の前に居たのは真冬ちゃんだった。
    「あれ・・・えっと何で俺病院なんかに・・・」
    そして俺は思い出した。
    トラックに轢かれた事。
    だがそれが俺の中の最後の記憶ではなかった
    もう一つ。記憶がある。
    それはうまく言葉には表せない。
    ただ1つだけ確信できることがある。
    それはとても怖かった。
    そこには行きたくない。

    「杉崎先輩!」
    真冬ちゃんの呼びかけに俺は真冬ちゃんを見る。
    「あぁ、真冬ちゃん、おはよう。」
    「先輩・・・よかった・・・」
    どうやら俺のことを心配してくれたようだ。
    「所で真冬ちゃん、俺どんくらい眠ってたんだ?」
    「えっと・・・2週間ぐらいです。」
    え・・・
    2週間・・・
    どうやら俺は大分時間を食っていたようだ。

    そして俺は1つ厄介なものに気づいた。
    視界が変だ。
    俺の視界に真冬ちゃんも、ベットも壁もちゃんと見える。
    だが、1つだけおかしいところがある。
    線が見える。全てのものに。
    どうやら俺の目はおかしくなったらしいな・・・
    だがその線を見ていると俺はあまり良い気分にはなれない。
    むしろトラックに轢かれた後にある記憶で覚えた恐怖に似た感覚を覚えた。
    この線はなんだろう・・・
    俺は好奇心の所為か脇にあった果物ナイフを手に取った。
    そして俺は近くにあったイスにあった線をなぞった。
    あっさりと形が崩れた。
    力もいれずになぞっただけなのに。
    「杉崎先輩・・・?」
    ただ口を開いたまま驚いている真冬ちゃんが居た。
    「あ・・・な、なんかさ・・・線が見えてそれをなぞったらこうなったんだ。」
    真冬ちゃんは少し俯いて、
    「・・・それは先輩が目覚めたときから見えたものですか?」
    真冬ちゃんはまじめな表情で言った。
    俺は正直に、
    「あぁ、そうだよ。」
    といった。
    「そうですか・・・」
    そして真冬ちゃんは自分の鞄からそれを取り出した。
    それは・・・・眼鏡だった。
    「先輩、これ掛けて貰えますか?」
    真冬ちゃんはそう言って俺に眼鏡を渡す。
    「えっと・・・掛ければいいんだよね。」
    そして俺は受け取った眼鏡を掛ける。
    その瞬間、俺の視界から自然と線は消えていた。
    「真冬ちゃん、これ・・・」
    「その眼鏡を掛けている間は少なくとも線は見えなくなります。その間は先輩は普通の生活を送れます。」
    真冬ちゃは笑顔で告げる。
    「でも、眼鏡ははずさないで下さいね。」
    そう言って真冬ちゃんは俺に釘打った。
    どうやらこれは外しちゃいけないらしい。
    「真冬ちゃん、この線・・・なんなんだ?」
    俺は真冬ちゃんに問う。
    そして、少しの間をあけて・・・
    「先輩は、魔眼を手に入れたんです。」
    真冬ちゃんは確かにそう告げた。
    「魔眼・・・?」
    俺は正直戸惑った。
    そんなものないと言った方がいい。
    ありえない話だ。
    だが真冬ちゃんは真剣に話を続けた。
    「先輩は眠っている間に恐らくずっと死を視ていたんです。それで先輩は死が・・・線が見えるようになったんです。」
    「それって・・・どういうこと?」
    俺は混乱したまま聞いた。
    「簡単に言うと先輩が線通りに斬るとそれはあっさりと切れてしまうんです。それがいかなる物でも人だろうと。
    生きているなら神様だって殺せてしまう魔眼なんです。先輩が手に入れた魔眼は。」
    真冬ちゃんが言っていることはつまりこうだ。
    俺に斬れないものなどない。そういうことだった。
    「だけど先輩がその眼鏡さえしていれば大丈夫です。安心してください。」
    「あぁ、ありがとう。真冬ちゃん。所で真冬ちゃん、他のみんなは?」
    「お姉ちゃん達は生徒会の仕事をしてます。先輩が居ない間はみんなで雑務をこなして・・・毎日1人ずつ交代で先輩の様子を、
    見に来ることになっていたんです。今日は真冬が先輩の様子を見に来る番だったのですよ。」
    「そうか、ありがとう。俺も退院したらちゃんと仕事するよ。」

    数日後俺は退院した。
    その間深夏や知弦さんが見に来てくれて、俺はちゃんと普通に接した。

    俺は退院し、学校へ向かう。
    そして横断歩道を渡った。
    そこに・・・俺を目掛けて突進する物体が見えた。
    ・・・・・・・・・トラックだった。
    俺は真っ先に逃げようとした。
    いや、逃げなければと思った。
    そして、
    俺の足は俺の信号を受け付けず勝手に動いた。
    俺の意思などまったく無視し、逃げていた。
    そして気づけば登校中の生徒の群れの中に居た。
    「なんだ・・・これ・・・?」
    俺は混乱した。
    数日前の魔眼といい、今のトラックといい、変なことが多すぎる。
    それにしても今の俺の逃げ方、逃げるというより逃亡と言った方が正しかった。
    名付けるなら・・・逃亡・群鶏(チキン・チキン)!
    いや、やっぱ今のなし。深夏がいつか付けた名前じゃないか。
    そして俺が目を覚まして最初の生徒会室へ足を踏み入れると、
    「おかえり!」
    みんながそう言ってくれた。
    そして俺は口を開き、
    「おぉ、待たせたな!俺のハーレムたち!」
    自信を持って、俺はそう言った。

    みんなが帰ると俺は雑務をこなしていた。
    会長は、
    「折角退院したばっかなんだから今日ぐらいは帰りなさいよ!」
    と、言って居たのだが、流石にずっとサボっているわけにはいかない。
    たまった仕事は山ほどある。
    俺は少しずつ雑務をこなしていった。

    帰るころにはもう夜だった。
    「あ~、もう夜か・・・」
    俺は一人、呟く。
    俺は帰り、少し考えていた。
    今日と2週間前のトラック。
    流石に多すぎる。しかもどれも周りに人が居ない時に俺を狙っていた。
    この結果から考えられるのは1つ。
    企業が俺を消そうとしている。
    俺が、秘密を口外することを恐れて。
    そう考えるのが妥当だろう。
    どうやら俺は厄介な所まで来ているようだった。

    気づくと俺は路地裏まで来ていた。
    どうやら考え事をしているうちにここまで来てしまったらしい。
    すると、
    「お前が杉崎鍵か?」
    後ろから男が話しかけてきた。
    少し暗くて顔が見えないが柄の悪い男だと思った。
    恐らく近くの高校の不良か何かだろう。俺はそう確信した。
    「だとしたら?」
    俺は余裕の表情で問う。
    「死んでもらう。」
    男は確かにそう告げた。
    気づくと俺は囲まれていた。
    何人もの男達に。
    俺は確信していた。
    どうやら企業は俺を殺さなきゃ気がすまないらしい。
    「あら、男にはここまでモテたくないんだがな・・・」
    俺は呟く。
    おそらくここではトラックの時のように逃亡・群鶏のようなことは出来ないだろう。
    囲まれて、逃げ道がないんだ。そんなところで逃げるスキルが発動するわけないだろう。

    ―――頭が痛い。


    ―――眼鏡を外せと命令している。


    男達が襲い掛かってきた。
    あぁ、手が勝手に眼鏡を外してしまった。
    手が勝手にポケットからカッターを取り出した。
    そして手は自動的に男の一人の線をなぞる。
    腕にあった線を自動的になぞり、男の腕は簡単に崩れ落ちた。
    「あああああぁぁぁぁぁ!!!」
    男は叫んでいた。
    何人の男達は俺に迷わず襲い掛かり何人かは恐怖から逃げようとしていた。
    俺はすぐに襲い掛かった男達の線をなぞる。
    なぞった線はあっさりと崩れ落ちる。崩壊する。
    気づくと俺を襲い掛かった男達は死んでいた。
    それを見て逃げようとする数人の男達、
    俺はすぐに雑務鞄からそれを取り出す。
    それはいつしか、雑務鞄に入れた鞭。
    普段なら必要ないが射程範囲が広い分何かと使いやすい。
    俺は逃げる男達の線を目掛けて、
    鞭で男達の線を斬る。
    背中を見せていた男達は何が起こったのかも分からないまま、人ではない形と化していた。
    そして気づけば全員殺していた。
    「ハハハ・・・」

    俺は笑っていた。

    俺は何をしたんだろう・・・

    俺はどうしてこんなことをしたんだろう・・・

    俺は・・・家を目指し、駆け出した。

    次の日、生徒会室で俺はいつもどおりの日々を過ごしていた。

    そしていつもどおり、俺は雑務をこなすと学校の門をくぐり、家を目指した。
    と、そこで、
    「杉崎。」
    俺は呼び止められる。
    それはこの学校の英語の教員、桜井だった。

    桜井は俺を路地裏まで連れて行った。
    「杉崎。」
    桜井は俺の名を呼ぶ。
    「なんですか、先生?」
    「早いところ退学届けを出すんだ。そうすれば他の生徒会メンバーには手を出さないって上の《スタッフ》も言っている。」
    「ですが、先生、1つ、質問をしていいですか?」
    「どうした?杉崎?」
    「その手に隠しているものは何ですか?」
    俺は気づいていた。
    桜井は手に何かを隠し持っている。
    桜井は俺が《企業》の会議の時に目撃しているから《スタッフ》の一員だと分かっている。
    おそらく桜井は直々に俺を殺しに来たんだろう。
    トラックで轢き殺すよりも確実で、
    そこらへんの不良に殺してもらうより簡単な方法。
    《企業》はスタッフを動かしたのだろう。
    「・・・」
    桜井は黙ったままだった。
    「先生。何を持っているんですか?」
    そして桜井は口を開き、
    「勘のいい子供は嫌いだよ。」
    そう言って俺にそれを突き付ける。
    桜井はナイフを手にしていた。
    「お前さえ死ねば俺は幹部に入れてもらえるんだよ!」
    そう言って桜井は俺を刺そうと駆け出す。
    俺は下がって、間合いを取って、眼鏡を外した。
    それは3度目の魔眼の使用。
    真冬ちゃんは外すなと言われていたが、流石に俺の命を・・・いや生徒会の皆を守るためなら仕方がない。
    俺は桜井を見た。
    その死を。線を。
    俺は少し間合いを取ろうとまた下がろうとすると小石につまずいて転んでしまった。
    「はっ!残念だったな。杉崎。」
    そう言って桜井は俺を見下ろす。
    俺は桜井を睨んだまま、その死を見ていた。
    あぁ、こんな所で俺は死んでしまうのか。
    俺はまた守れないのだろうか。
    俺はあの笑顔を守れないまま死んでしまうのだろうか。
    そんなの許さない。
    こんな線しか見えないのに、
    不意にある時胸に刻んだ言葉を思い出す。


    せめて俺の手の届く人の笑顔ぐらい俺が守る。

    二度と失いたくないから。

    不恰好でいい。

    醜くていい。

    泥臭くていい。

    浅ましくくていい。

    情けなくていい。

    手段は選ばない。

    そう。

    手段は選ばない。

    「死ねぇぇぇぇ!」
    そう言って桜井はナイフを持った手を俺を目掛けて振り落とす。
    俺は手を上げて、その桜井の腕を見つめる。
    そして、
    「残念だけど、ここからは俺の反撃だ。」
    俺はそう宣言した。

    俺は振り上げた手で桜井の手の軌道をそらした。
    ただそらしただけではない。
    桜井の腕にあった死の線をなぞりながらそらしたのだ。
    結果、桜井の腕は死の線通りに切り落とされ、桜井はその激痛から痛みを訴えた。
    「杉崎ぃぃぃ!!お前、何をしたぁ!!」
    桜井は痛みを堪えながらも俺に問う。
    俺は桜井を見て、気づいた。
    線だけではない。点が見える。
    それは何かは、分からない。
    だが、1つ思ったことがある。
    あの点を突けばきっとこの敵は死ぬ。
    「俺は決めたんだ。あの笑顔を守る。そのためなら手段は選ばない。だから・・・!」
    俺は切り落とされた桜井の腕に収まっているナイフを手に取る。
    「《企業》は滅べばいいんだよ!!」
    俺は桜井の胸元にある点を突いた。

    俺は家に帰り、自分の部屋に入ると思考を開始した。
    俺は今まで何人か殺した。
    昨日の不良。
    そして、《スタッフ》桜井。
    不良は謎の死を遂げてると、ニュースで発表されていて、俺が捕まることはないだろう。
    問題は桜井だ。
    《企業》はおそらく桜井の死にいずれ気づくだろう。
    《スタッフ》の1人に手を出したんだ。いずれ向こうから奇襲が来るだろう。
    でも、《企業》は桜井の死によって、警察側から《企業》の存在がばれることを恐れているはず。
    確かに《企業》の存在は秘密だが、桜井は学園の教師だ。
    そこから《企業》の存在がばれる恐れがある。
    と、なると桜井の死体は恐らく真っ先に《企業》によって処理されるだろう。
    問題はこの後だ。
    ここまできたんだ。ちゃんとすべての黒幕・・・枯野は俺が殺す。
    それで、ちゃんと俺のハーレム・・・大事な皆を守れるはずだ。
    おそらく明日にでも企業は他のみんなに手を出すかも知れない。
    時間がない。
    明日にでも枯野を殺す必要がある。
    でも、どこで?どうやって?
    殺すだけなら簡単だ。
    だが、その後の事を考えなければならない。
    そして俺はすべての事を終わらせる計画を立てた。

    次の日、俺は学校へ向かった。
    鞄にはちゃんと武器を詰めた。
    ナイフ。カッター。それに鞭。
    ちゃんと線さえ見えればどんな敵でも殺してみせる。
    俺はそう確信していた。

    放課後に至るまでひどくつらかった。
    その間にもしも皆が殺されているんじゃないかと考えると胸が痛む。
    とりあえず深夏はクラスにいたし、話だと真冬ちゃんもちゃんと生きているとのこと。
    会長と知弦さんの安否も気になる。
    だがそこで、
    「2年生、杉崎鍵、至急、講堂まで来なさい。」
    放送は俺を呼び出すものだった。
    ついに・・・来たか。
    俺はすぐに準備を始めた。
    もしもの時盾になる鞄を手にし、
    武器となる鞭とナイフ、それにカッターをポケットにしまい、
    俺は講堂へと足を進めた。

    俺が講堂に行くとそこには《企業》の枯野が居た。
    ひょっとしたら俺はここで死ぬのかもしれない。
    そう思うと、俺は余計に気持ちを引き締めていかなければならない。
    「杉崎君、お前は何故まだ退学届けを出さない?」
    枯野は舞台から俺を見下ろしながら問う。
    「あぁ、退学届け?それならあるぜ。」
    俺はそう言って退学届けを枯野に見せる。
    「今、届けてやるよ。」
    そして、俺は眼鏡を外す。
    これで・・・最後にする。
    俺は枯野を見つめながら舞台の上にあがる。
    そして、俺は枯野の近くにたどり着くと、
    「んじゃ、お前はここで、死ぬん・・・」
    「消えてもらうのはお前のほうだ。」
    俺が言い切る前に枯野はすぐにそう宣言した。
    枯野はそれを手に持ち俺を狙う。
    枯野は・・・拳銃を持っていた。
    「残念だが君の抵抗もここまでだ。」
    俺の足が動かない。
    逃げられない。
    まさか枯野が拳銃なんて用意しているとは予想外だ。
    「一応この銃はサイレント機能がついていてな。講堂だろうがどこだろうが音は響かない。
    安心しろ。お前の死はちゃんと理事長から発表される。」
    そして枯野は引き金を引く。


    あぁ、ここで終わるのだろうか。


    だが、そこで、俺の足は自動的に動いた。


    逃げたのだ。銃弾から。


    俺はここに来て思い出した。自分のもう一つの能力。


    逃亡・群鶏。


    それは確かに逃げることしか出来ないが、


    確かな防御になる。


    「な、なんだと・・・」
    流石の枯野も驚いているようだ。
    それはそうだろう。
    銃弾を撃った後に人間が避けたんだ。普通なら死んでいるのに。
    「お、お前がこれ以上生きているとほ、他の人間が死ぬことになるんだぞ。それが嫌なら死ねぇ!」
    動揺しながらも枯野は叫びながら引き金を引く。

    「お前は確かこう言ったな。『俺のハーレムが幸福であることを望むなら馬鹿なことはしないこと』だと。」

    俺は銃弾を避けながら言う。

    「だがなぁ!俺が居ないんじゃ俺のハーレムは意味ないんだよ!俺が居なけりゃ彼女らは悲しむ!そんなの幸せじゃねぇんだよ!
    誰1人として欠かせない!俺のハーレムだからな!」

    そして俺は最後、枯野の元まで駆けていき、

    「俺は、俺のハーレムを守る!だから《企業》は滅べ!」

    枯野の点を俺は突いた。

    俺が枯野を殺すと彼女は現れた。
    「真儀瑠先生・・・」
    「やぁ、杉崎、とりあえずご苦労だったな。」
    「見てたんですか?」
    「あぁ、全部な。とりあえず枯野を殺したのは感謝する。あいつは消えたほうが良かったからな。」
    「・・・そうですか・・・」
    「あぁ、所で杉崎、ちゃんと後始末しないとな。」
    「あ・・・はい。分かってます。」
    「良ければ私がすべて事を終わらせるんだが・・・」
    「え・・・」
    正直俺はこの後、ちゃんと警察へ行きすべて話そうと思っていた。
    企業さえ居なければ俺の・・・いや、俺のハーレムの平和は守られる。そう確信していたから。

    「いや、実は私の友達は神なんだ。」
    彼女ははっきりとそう告げた。
    「それで、一応《企業》をつぶすように頼まれてな。一応仕切っていた枯野は死んだし、事実上《企業》はもういらない。
    この始末は友達の神が全部片付けてくれるからあとは大人に任せな。」
    彼女はそう言って、俺の頭を撫でた。
    「よくやった。杉崎。だからもういいぞ。生徒会へ行け。」
    そして俺は、
    「・・・行って来ます。」
    俺は生徒会室へと駆け出した。

    俺は生徒会室の前で呼吸を整える。
    頑張って手に入れた平和だ。
    俺は守ることが出来た。
    だから・・・
    俺は扉を開ける。

    「やぁ!待たせたな!俺のハーレム達よ!」
    今日もみんな俺を出迎えてくれた。

    後日談。
    俺は1つ気になったことがあり、真冬ちゃんに聞いてみた。
    「そういえば真冬ちゃん、真冬ちゃんがくれたあの眼鏡結局なんだったんだ?」
    「あ、あれは魔眼殺しの眼鏡で結構レアなアイテムなんですよ。」
    「なんで真冬ちゃんが持ってるの?」
    「それは・・・」
    真冬ちゃんは少し間を空けてから口を開き、笑顔で、
    「真冬は実は魔法使いなんですよ!」
    彼女は笑顔でそう告げた。

最終更新:2010年04月06日 21:42