生徒会の守護神 

第一章 「学園の真実と二人の守護者」


    ~午前5時46分 杉崎鍵の部屋~

    俺は学園に帰った後、俺はベッドに転がり込み呆然と天井を眺めていた
    考えるのは今日起きた出来事・・・・・・・・・・・・・
    あの後、俺は「いい!鍵ちゃん、今日の事は誰にも内緒だよ。これを持ってそれと明日の夜に体育館裏に着てね。絶対だよ」と言い、金のプレートを渡して去ろうとする凛に慌てて「お、おい!その腕・・・・・・」と呼びかけると、彼女は微笑みながら「?・・・・・・あぁ!これ?大丈夫、明日には元通りになってるから」と言い、どこかへ去っていった。俺はその背を見てどこか納得がいかない部分があったものも、なぜか彼女の言葉を信じることにし、自宅へと帰った

    「・・・・・・はぁ、いくら考えても答えなんか出るわけないし・・・・・・・今5時50分か・・・・・・・今日はもう寝るのやめるか」
    そう言って、俺は眠気覚ましにコーヒーでも飲もうと財布を持って外へ出かけた
    ~そして 午後9時00分 体育館裏~

    言いつけ通り体育館裏に行ってみたらそこには凛が気にもたれ掛かっていた
    「あっ!鍵ちゃ~ん」
    凛は俺に気づくと木から身を起こし、こっちに近づいてきた
    「よく来てくれたね」
    「まぁな、こっちも早く現状を知りたいし」
    「そうだね。じゃあ行きますか」
    「行くって・・・・・・どこに?」
    俺の質問に対し凛はなにやら腕時計を弄くりながら答えた
    「もっちろん!神崎家の秘密基地よ」
    凛がそう言って腕時計をカチッと押すと、腕時計が発行し始め周りが光に包まれた
    思わず目を瞑る
    「ほら!鍵ちゃん、着いたよ。目開けて」
    凛に言われ、俺はゆっくり目を開けた
    ・・・・・・そこに広がっていたのはSF映画に出てくる政府の秘密基地みたいな場所だった
    唯一違うのは・・・・・・全てが金色だということ
    ・・・・・・さっきまで体育館裏にいたのに・・・・・・もしかしてあの光のせい?
    「付いてきて、鍵ちゃん」
    「・・・・・・あ、あぁ」
    俺は呆然としながらも凛に付いて行った
    「着いたわ、ここよ。鍵ちゃん」と促され、通されたのは
    全長4メートルはある黄金の扉だった
    そして凛が手で扉を押し開くと、そこにいたのは・・・・・・
    「小山先生!?・・・・・・真儀瑠先生!?・・・・・・それに・・・・・・校長先生まで!?」
    そこにいたのは、碧陽学園に勤めてる教職員達だった
    「校長、杉崎鍵君を連れてきました」
    凛はさっきとは打って変わって、低い声色で言う
    「うむ、ごくろう。凛」
    「それでは、私はこれで」
    そう言いお辞儀して去ろうとする凛に、俺は慌てて呼びかける
    しかし、それに対して凛はどこか複雑な表情を浮かべ苦笑しながら「大丈夫、すぐ戻るから」と言い、去ってった
    「り」
    「杉崎」
    再び凛に呼びかけようとしたら、生徒会顧問である真儀瑠先生に呼び止められる
    「真儀瑠先生・・・・・・・でも」
    「心配するな。凛は少し用事をかたしにいっただけだ」
    「それって・・・・・・化け物退治ですか?」
    「そうだ」
    「杉崎、お前はこの学園になんとなく理解はしてるか?」
    「え?えぇ。・・・この学園には毎晩化け物が徘徊してて、それを凛が退治して回ってる・・・ですよね?」
    「そうか」
    「ではその化け物達を呼び寄せてるが、何か分かるか?」
    「漫画やアニメ的に言うと、この土地の何らかのパワーが化け物を呼び寄せてるんじゃないんですか?」
    「・・・・・・・まぁ、奴らの目的にはこの土地も含まれているから間違っちゃいないんだがな」
    「?」
    なんだ?違うのか?
    「要するにだな。杉崎」
    「はい」
    「この碧陽学園は・・・・・・・」
    真儀瑠先生はそこで一拍置く。俺も思わずつばを飲み込む。そして、真儀瑠先生は口を開いた
    「・・・・・・・・・・・・世界発祥の地だということだ」
    「・・・・・・・・・・・・・・は?」
    一瞬、真儀瑠先生が何を言ってるのか理解できなかった
    「そのまんまの意味だ。世界発祥の地・・・世界で一番最初に創られた場所ということだ」
    な、何を言ってるんだ?真儀瑠先生は
    「とても信じられないという表情をしてるな。杉崎」
    「そ、そりゃ、そうですよ。いくら何でも、そんな与太話信じるわけ」
    「だが事実なんだよ。杉崎」
    「っ」
    真儀瑠先生にさとされ、納得できないも俺は押し黙ってしまう
    それを見兼ねたのか、今度は担任の小山先生が言ってくる
    「まぁ、信じられないのは無理もないさ。杉崎 私も当初は信じられなかった」
    「小山先生・・・・・・」
    「だが、ここにある技術の数々や、奴らと遭遇したら信じざるをえないだろう」
    「奴ら?」
    「・・・・・・魔術師だよ」

    「ま、魔術師!?」
    またしても衝撃事実に驚く俺
    だが小山先生はそんな俺の様子など、お構い無しに続ける
    「そう、魔術師。それが、碧陽を狙い世界を作り変えようとしてる連中だ」
    「世界を作り変える?」
    「あぁ、さっきも言ったが、碧陽学園は世界発祥の地だ。太古から人間達に気づかれないようにその姿を変え続けていたんだ」
    「しかしある時、一人の魔術師を名乗る男がこの土地の存在に気づき、世界を自分の都合の良い様に変えようとしたんだ」
    「その事に機危機を感じた神は、当時近くに住んでいた村人、後に神崎家の始祖となりうる男に土地の守護とゴッド・テクノロジー(神々の科学技術)を授けられた」
    「なんとか魔術師を撃退させたその男は村長兼土地の守護者として子孫を繁栄させた。・・・・・・それが今の我々ということだ」
    「へぇ、・・・でもどうして魔術師はこの土地の事を知ってたんですか?付近に住んでた神崎ですら気づかなかったのに」
    「姿を変える時は精神操作を行い、人間達に適当な記憶を植え付けていたんだ。ちなみにこの碧陽だって例外じゃない。だから人間が気づく事は絶対にあり得ない」
    「じゃあ、どうして」
    俺の問いに、今度は校長が答えてきた
    「神の助言によると、この世界の外側の存在(創造主の敵対者)によって、魔術師に魔術を伝授したと云われています」
    「とはいえ、魔術はこの碧陽内でしか使えませんが」
    「え?どうして?」
    「先ほども話した通り、この土地は古来より様々な形に姿を変えてきました。その力は内側に集束されていて魔術師達はこの土地のエネルギーを利用して異世界の法則を現実世界に書き換える事が出来るんです」
    「しかし、それはあくまで土地内での話。土地外、つまり世界そのものへ魔術を使い書き換えるには、鍵が必要なんです」
    「鍵?」
    「そう。その鍵は神崎家の中でも代々認められた者にしか扱えません。心を武器に変えるゴッド・テクノロジーなんです」
    「心を武器に・・・・・・・!ま、まさか!」
    「そう。昨日杉崎君が凛から授けられた力。あれは鍵の力の一部を凛があなたに授けたんです」
    「・・・・・・」
    「本来なら、凛には厳重な処分が下される筈ですが、最近になって魔術師達の活動が活発になってきましてね。そこで杉崎君にも魔術師撃退を手伝って欲しいのですが」
    校長はニヤと不気味な笑顔を浮かべた
    「・・・・・・俺に選択権は?」
    「ありません。君は鍵の一部をその身に宿してるので魔術師達に狙われる対象となってしまっています」
    予想していた事だが、校長はスッパリと言い放った
    「とはいえ、いっぺんにいろんな事を言われて少々混乱してるでしょう。今日はそれ程危険な相手ではありませんので、帰りなさい。そして明日の夜に凛と共に働いてもらいます」
    校長はまたしても不気味な笑顔で、無機質に言った。とりあえずムカついたが、ここは大人しく帰ることにした

    ~杉崎が帰宅した後の真儀瑠と校長の会話~
    「もうちょっと優しく言ってやったらどうだ?校長」
    「ハハハ、すみません。昔からの癖でして・・・それより杉崎君は来てくれるでしょうか?」
    「心配するな。杉崎は必ず来る」
    「何を根拠に?」
    「何てったって、あいつは私達以上に、この学園を好いているからな」
    真儀瑠は微笑みながらそう言った

    ~翌日~
    「ハァッ!」
    目前のモンスターを心剣で切り裂き、ふとため息をつく。真儀瑠先生の話だと、昨日おじいちゃんが鍵ちゃんにがこの土地の事・神崎家の事を話し、鍵ちゃんに私の補佐を頼んだという
    ・・・・・・・正直、私は後悔してる。
    私達、神崎家は生まれた時から魔術師と戦う事を義務付けられ、夢を見る事を禁じられた。私はそれでも良かった、というより会長や知弦さん、みっちゃんに真冬ちゃん、2―Bの皆、そして・・・鍵ちゃん。彼らを守るのが私の夢だったから。だから、私は自分の家系を恨んだ事は・・・ない・・・
    と、私が物思いに耽っていると
    「凛!危ない!」
    突然叫び声が聞こえ、慌てて振り返ると、私の目前まで迫っていたモンスターは爆発音と共に光の粒子となって消えていった
    モンスターが完全に消え去った後、私はその先にいた人物を見て驚愕した
    「け、鍵ちゃん!」
    「よっ、凛。精が出てるな」
    そんな事を言いながら、笑顔でこっちに近づいてくる鍵ちゃん。私はそんな彼に対し、なぜだか自分でもよく分からないけど怒鳴った
    「馬鹿!なんできちゃったのよ!鍵ちゃん!」
    「え?いや、俺は凛の手伝いに」
    鍵ちゃんは自分が怒鳴られてる理由が分からず、少し戸惑いながら答える
    「馬鹿、鍵ちゃんの、馬鹿」
    「凛・・・」
    私は泣きながら、鍵ちゃんを罵倒し続ける。そんな私を鍵ちゃんは優しく抱きしめてくれる
    「凛、俺の事を心配してくれているなら、ありがとう。でも、俺は大丈夫」
    「大丈夫じゃないよ。だって鍵ちゃん、自分の夢を捨てなきゃいけないんだよ。ハーレムも捨てなきゃいけないんだよ!」
    私の罵倒に対し、鍵ちゃんは満面の笑顔で答えた
    「心配するな、俺は碧陽を守ることも、ハーレムをあきらめる事もしない」
    「え?」
    「なぜなら、ここは俺のハーレムだからな」

最終更新:2010年04月07日 20:58