「5人そろってこその生徒会なのよ!」
「はぁ・・・。」
俺は会長の名言を軽く聞き流していた。
今日も深夏は練習試合の助っ人で生徒会室に来れないらしい。
とゆうか、最近、生徒会室で深夏にあわない・・・。
「あー俺のハーレム・・・」
「杉崎のハーレムじゃないってば!」
会長が即座に突っ込む。ひどい・・・。
真冬ちゃんが小さなため息をついた。
「お姉ちゃんがいないと、つまんないです。」
「だよねー。」
会長がつまんなそうに肩を落とす。
それに知弦さんが、いいことを思いついたとばかりに手を打った。
「それじゃあ、深夏の代役を決めましょ。」
『代役?』
皆そろって首を傾げる。
「そう、代役。深夏の変わりになるようのものない?」
「深夏の代わり・・・。」
会長がしばし考える。そしてー・・・
「ウサマロ?」
「何故に!?」
なんで!?どう考えたら深夏=ウサマロになるの!?深夏ってそんなおいしそうでしたっけ!?
ウサマロ=会長ならわかるけどさ!
「いいんじゃないかしら。」
「お姉ちゃん、かわいいです!」
しかも皆は納得!
何コレ!?俺が可笑しいのか!
俺が困っているのも気にせず、会長は続ける。
「深夏の声は杉崎ね!」
「俺、男ですよ!深夏の声出すの!?」
「当たり前じゃない。」
「えぇぇぇぇぇっ!?」
そんなこんなで、今日の会議は始まった。
「お腹が減るのは、しょうがないことなのよ!」
会長がいつものように小さな胸を張ってなにかの本の受け売りをえらそうに語っていた。
てゆーか・・・
「始まってたった5分で深夏(ウサマロ)狙うのやめてくれますぅっ!?」
「だって・・・深夏おいしそうなんだもん・・・。」
「なんかエロい!」
今、深夏の席(机の上)にはウサマロが置いてある。深夏の代役らしい。
「だって、深夏があの、くりくりとした可愛い瞳で『あたしを食べてー』って訴えてくるのぉっ!」
「そんなこと、深夏はいいませんよ!」
「いってるもん!」
「いいません!」
そんなどうしようもないケンカをして入ると、真冬ちゃんが俺を見つめてぼそりと言った。
「真冬もお姉ちゃん食べたいです。」
「えぇぇぇっ!」
な、何だって!
「会長さんにお姉ちゃん食べられるぐらいなら、真冬がお姉ちゃんをたべます!」
真冬ちゃんは本気らしい。なんだかよく分からない構えをして深夏を狙っている。」
俺が困っていると、知弦さんまでもが不適な笑みを浮かべて言った。
「深夏を食べる・・・いいわね。たっぷりいじめてあげる。」
「や、やめろぉっ!」
俺は必死に深夏をにぎりしめた。
「深夏は俺のものだ!誰にも渡さねぇっ!」
「・・・でもキー君。」
「何ですか!」
「さっきから、深夏がつぶれているわよ。」
「えっ・・・」
うわぁぁぁっ!!!
なんと、俺が深夏を守ろうとして強く握りしめていたせいで、深夏が潰れていた!
「お姉ちゃん・・・おねえちゃん!?い、いやぁぁぁっ!!!!」
真冬ちゃんが叫ぶ。
「深夏・・・・そんな姿になって・・・杉崎、あなたって人は・・・。」
会長が睨む。
「キー君?」
知弦さんが怪しく笑う。
「な、なんだよ!みんなだって深夏食べようとしてたじゃないかっ!」
俺は必死に叫んだ。だが、誰も聞いてはいない。
「キー君には、深夏と同じめにあってもらいましょううね。」
知弦さんが、なぜかモザイクのついている怪しげな物を、バックから取り出す。
「同じめ!?潰すなんて、人間にやったらダメだろ!」
俺は震えながらもさけび続けた。
それに会長が反応する。
「杉崎・・・!」
「会長!俺が無実だって、分かってくれたんですね!」
俺は助かったとばかりに会長を見た。会長は続ける
「あなた、深夏のこと、人間だと思っていなかったの!?」
「はいぃぃっ!?」
「ひどいです!お姉ちゃんは、生きていたんです!人間だったんです!」
「キー君、許さないわ・・・」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
生徒会室に、俺の悲鳴が響いた。
「ひどい目にあった・・・。」
「まったく、杉崎ってば!」
会長が俺を睨む。
「まぁ、しょうがないし、この深夏は私が食べるわ。」
会長が潰れた深夏を手に取り食べようとした。
が、そこで真冬ちゃんと知弦さんが止めに入る。
「お姉ちゃんをたべていいのは真冬だけですよ!」
「ひどいわアカちゃん。深夏を独り占めなんて。」
「はぅっ・・・。」
これじゃまたさっきと同じ展開になりそうなので、俺はこう提案した。
「三等分にしたらいいじゃないですか。」
「うぅっ・・・。それしかなさそうね。」
そういうと会長は深夏を三等分にちぎった。
なんかグロいな、おい。
だがみんなは気にする素振りも見せずにいた。
会長がさっそく深夏を一口食べる。
「あむあむ・・・幸せ」
『あっん・・・。』
「!?」
会長が肩をびくっ、と縮めた。
「どうしたんですか、会長?」
「えと・・・気のせいよね!」
会長がもう一度深夏を食べる。
『らめぇぇっ!らめなのぉっ!あん。』
・・・。
・・・。
「杉崎・・・」
「すみませんでした。」
俺は即座に謝った。会長がマジでこわかったからだ。
「深夏のつもりなのかもしれないけどきもちわるいよ!裏声ださないで!」
「えー!会長が俺に深夏の声優させたんじゃないですかー。」
「でも、杉崎のあえぎ声なんて聞きたくないわ!」
「深夏ですよ。」
「杉崎じゃない!」
まったく、わがままだな会長も。
俺は目標を、変えようと真冬ちゃんを見た。
「杉崎先輩のりあるあえぎ声・・・おしいです!これで裏声じゃなかったら最高でした。」
真冬ちゃんは深夏を食べるのも忘れ、俺のあえぎ声を聞いていたようだ。
さすが腐女子!
俺の視線にきづいた真冬ちゃんはにこっ、とかわいく笑った。
「先輩、気持ち悪いので、真冬がお姉ちゃんを食べる時はあえぎ声出さないでほしいです。」
「はぁっ・・・。」
なにげにひどいな!
真冬ちゃんは「安心です」というと深夏を食べ始めた。
「はむはむっ・・・。」
『ぎゃああああああああああああああああああああっ!』
「ふぇええええ!?」
真冬ちゃんが驚く。だが俺は続ける。
『耳がっ、耳がぁっ!くわれるううううぅ!』
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
『ハァッ、ハァッ・・・、マフユ、ゴメ・・・ンナ。』
「お姉ちゃーん!!!」
『しーん。』
「そんな・・・、お姉ちゃん!真冬のせいです!ごめんなさいです!」
真冬ちゃんが、残った深夏を抱きしめる。
強く、強く抱きしめー・・・
「いゃああああああああああああああああああああああっ!!」
真冬ちゃんの制服にべったりとウサマロがついていた。
またおなじこと繰り返して・・・。
わたわたとあわてる真冬ちゃんは無視して、俺は知弦さんを見てみた。
俺はそこで、信じられない光景を見た。
なんと、深夏が解剖されていた!
「なにやってるんですか!知弦さん!」
「あらキー君。見ての通り、解剖よ。」
「ウサマロ解剖してどうするんですか!」
「ウサマロじゃないわ。深夏よ。」
「ウサマロですよ!」
「でも、成果はあったわよ。」
知弦さんが不適に微笑む。俺は勇気をふりしぼって聞いた。
「どんな、ですか?」
「人類の生きる心理」
「ウサマロすご!てゆうか嘘でしょっ!?」
「フフ・・・フフフフ・・・。」
「嘘だといってー!!!!!!!!!!」
「ったく、遅れちまった。」
あたしー椎名深夏は小走りで生徒会室に向かった。
生徒会室の前まで来ると、みんあの声が聞こえてきた。
「あいかわらず、さわがしーな。」
あたしは誰に言うでもなく呟くと、生徒会室の扉を開けた。
「わりっー、遅れた。」
ガラッ。
「深夏おいしー!幸せ味だぁ!」
と、会長さん
「お姉ちゃん、死なないで下さいです!ごめんなさいですっ!」
と、真冬
「深夏を解剖して、いろんなことが分かったわ。」
と、知弦さん
そして最後にー・・・
「深夏ぅぅぅぅっ!」
鍵の悲鳴。
「・・・。」
あたしはピンときた。
きっと、今生徒会室は悪の組織に襲われてるんだ。
それでいろんな幻とか見たりして、とにかくヤバい状況なんだ。
「そういう分けか。」
あたしは一人で納得すると、叫んだ。
「いくぜぇっ!覚悟しやがれ!」
次の日、生徒会室はなくなっていた。