4209 : アレキス :2010/04/25(日)
21:09:42 ID: 44jq0YEVAv
―約900年前・とある王国、城近くの森―
(森の入り口の木に磔にされている若者が一人)
(彼の視線の先には炎上している城が)
(彼の掌、手首、足首、腿、腹には太い杭が深々と刺さっている)
(普通ならもう、とっくに死んでいるだろう)
(ところが彼は虫の息ながら何とか生きていた)
(執念を持っていたから。自分と自分の姉の敵に復讐しようという。浅ましき執念)
(彼は死ねなかった。しかし、確実に彼に死は訪れようとしていた)
(彼はとうとう力も尽きようとしているのか、城から視線を外し、生気なく俯いた)
4210 : 月 :2010/04/25(日)
21:20:40 ID: Vs15VkomkB
>>4209
(ふと、若者の近くで木の葉を踏む音がした)
(彼の磔になっている木の前に、いつのまにか一人の女性が立っていた)
(白い長髪、顔を覆うベール、豪奢なドレス)
(汚れ一つない服装は、燃える城を背景にしている事とあいまって…酷くミスマッチだった)
(そんな中、女性はふわりと微笑んで―)
月「ごきげんよう、随分と派手な格好をなさってますのね」
(そんな、場違いな言葉を吐いた)
4211 : アレキス :2010/04/25(日)
21:28:25 ID: 44jq0YEVAv
>>4210
……。
(彼はやっとの思いで声の主を見るために顔を上げると)
(あまりに美しいその女性を見て)
――――幻影か……?死神……か?
(と思考した)
……う……つくしい……おじょう……さま……、もうし……わけ……ござ……い……ません……このよう……な……す……がた……で……。
(もともと姉から女性は大切にしろと言われていたし)
(女性は好きであるし、何より彼自身錯乱というか混乱していたので)
(そういう発言しか出なかった)
(こんな綺麗な女性を見ることが出来て、良かったなどと錯乱する脳内で思考していた)
(彼は生まれたままの姿。つまり真裸であった)
4212 : 月 :2010/04/25(日)
21:36:57 ID: Vs15VkomkB
>>4211
あらあら、お嬢さんと呼んでもらえるなんて。
(女性が笑みを深くすると)
(アレキスの傷から流れ出る血が一斉に止まる)
(まるで、時間を止められたように)
こんな所で出会うというのは風情がありませんけれど
そんな場合ではありませんわね
若者よ、渇望を瞳に宿した若者よ
(そして女性は聞くのだ)
生きたいですか?
4213 : アレキス :2010/04/25(日)
21:42:07 ID: 44jq0YEVAv
>>4212
(それを聞き)
………………生きたい……です。…………あの連中を…………赦して…………やることは、出来ない…………。でも…………もう……どうにも……………………ならねえ………………。
(もう何も分からなかったし)
(流血が止まっている事に気づいてはいなかったけれども)
(その瞳には執念、憎悪、そしてなにより希望が宿っていた)
4214 : 月 :2010/04/25(日)
21:45:36 ID: Vs15VkomkB
>>4213
そうですか
(女性は笑みを崩さず)
呪われた命を得るとしても、貴方はそれを望むのですか?
(それは、確認)
4215 : アレキス :2010/04/25(日)
21:49:12 ID: 44jq0YEVAv
>>4214
貴女から……、それを…………与えられ……た……のならば…………それは……呪い……なんかじゃ…………ない…………。
……なにより………………生きたい。
(まるで呟く様に)
(彼は言葉を吐く)
(それは恨み言か希望の言の葉か)
4216 : 月 :2010/04/25(日)
21:51:31 ID: Vs15VkomkB
>>4215
そうですか、ならば…与えましょう。
貴方に「未来」を
「選択」を
それを得て、どうするかは貴方次第
(そう言って、女性は彼にキスをした)
(その、触れた唇から、『ナニカ』が彼の体に流れ込む)
4217 : アレキス :2010/04/25(日)
21:56:44 ID: 44jq0YEVAv
>>4216
(彼の中にナニカが流れ込んでいく)
……。……!
(それがなんなのか彼には知る由も無い)
(無いのだけれども……)
(それが、彼にとって全く未知の「力」のような気はした)
貴女は……、一体……?
4218 : 月 :2010/04/25(日)
22:05:07 ID: Vs15VkomkB
>>4217
(女性は口を離すと)
わたくしは『月』
御伽話に出てくる「吸血鬼」…その主を務めておりますの
(相変わらずの笑みで答えた)
4219 : アレキス :2010/04/25(日)
22:14:02 ID: 44jq0YEVAv
>>4218
きゅ、吸血鬼……?
(呆けた顔で)
(気が付けば、体のあちこちに深々と刺さった杭が勝手にボロボロと抜けていく)
(彼の体が徐々に治癒していく)
そ、そんな……。きゅ、吸血鬼なんて……、本当に……?
(血を啜る自らを想像して)
(頭が真っ白になった)
4220 : 月 :2010/04/25(日)
22:17:45 ID: Vs15VkomkB
>>4219
ええ、わたくしが与えるのは
『呪われた命』
そう、確かに申し上げましたわ
陽光に嫌われた夜の一族
初めまして、新たな同胞
(先ほどと変わらぬ笑み、そのはずなのに、酷く不気味な笑みに見える)
4221 : アレキス :2010/04/25(日)
22:25:12 ID: 44jq0YEVAv
>>4220
よ、夜の……?
(その笑みを見て)
(彼女に畏怖する)
(そして何よりも自分に畏怖しだした)
(彼の頭に色が戻ってくる)
ば、バケモノ……、お、俺が……。ふ、ふふふ……、ふ……。はははは……。
(笑うしかなかった)
俺は……、どうすれば……。
(もう、どうすればいいのか等見えてこなかった)
(しかし、、復讐心はあった。姉を穢した奸臣への)
(彼の生きる意味はこの時点でそれしかなかった)
(それでも気付かないふりをした)
(こうなることが望みではなかったから)
4222 : 月 :2010/04/25(日)
22:31:36 ID: Vs15VkomkB
>>4221
わたくしは「未来」を与えましたわ
そして「選択」もまた、貴方の内にあるもの
貴方の思うままに、呪われた命に絶望するのか
呪いに抗うのか
呪いを受け入れるのか
それも全て貴方の内に…ふふ、またお会いしましょう?
そう、人間としての貴方が終わった時にまた―
(一瞬、まるでコマ落ちした映画のように風景が『ズレ』)
(女性は姿を消していた)
(印象に残る笑みを残して)
4223 : アレキス :2010/04/25(日)
22:41:37 ID: 44jq0YEVAv
>>4222
……!?
――――ゆ、夢……?か……?
(呆然となる)
(城は確かに燃えていたし)
(木の根元には自分のものと思われる血痕と杭があった)
(しかし今は夜中)
(見えているのが異常ということに気づかない)
(彼は吸血鬼は犬歯が伸びているという話を思い出して)
(犬歯を触った)
(普通だった)
……。
(安心した束の間。何か衝動が襲い掛かってくる)
……え……!?
(それが吸血衝動だった)
(犬歯が伸びる)
(そして)
(彼は自分の状況を理解する)
(まだ「新参」の彼に容赦なく衝動が襲い掛かり)
チクショオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ………………。
(彼は頭を抱え蹲る)
4224 : 月 :2010/04/25(日)
22:59:07 ID: Vs15VkomkB
―ブラン城―
(城に帰ってきた彼女の顔に、笑みは無かった)
(あるのは、悔恨、懺悔)
(そして、虚空)
…もう止まらない、星は巡り始めてしまいましたもの
(そう、一人呟く)
4225 : アレキス :2010/04/25(日)
23:09:20 ID: 44jq0YEVAv
彼はその後溢れるばかりの吸血衝動が鎮まるまで山に籠もろうと思いました。途中で一人二人の女性を襲い吸血しました。それが彼にとっての初めての吸血でした。
人を襲うことしか考えられなくてその二人を殺してしまいました。気付くと泣いている自分がいました。打ち勝ちたいのに、出来ませんでした。
山に籠もっても、遭難者を見ると吸血衝動が起こります。遭難者は彼の犠牲となりました。
山に籠もって二年経ちました。吸血衝動は鎮まりました。彼は生まれ故郷のあの城下へ戻りました。あの奸臣に彼なりの裁きを下すために。
でもそれは叶いませんでした。彼はすでに処刑されていて、そこには新しい国家が誕生していました。彼は戻る場所を失いました。
それから600年ほど経ちました。彼はそのときある事情でまた山奥に籠もっていました。孤独でした。しかし、ひょんなことから眷属を得ました。その赤毛の姉妹の眷属はまるで自身の姉とそっくりでした。似すぎて少し怖いくらいに。
でも、彼はとても楽しくて、幸せでした。彼女達と過ごした日々は本当に彼の宝物のようでした。
しかし、それからまた150年ほど経つと姉のほうの眷属「テレーズ」の様子がおかしくなってきました。彼はあろうことか全く気付きませんでした。
ある日、彼が長旅を終え山小屋に戻ると、テレーズは亡き者になっていました。そう。断罪の無限刃に殺されていました。
失意の彼は眷属の一人「イザベル」を連れ、ブラン城へやってきました。
4226 : アレキス :2010/04/25(日)
23:15:40 ID: 44jq0YEVAv
―ブラン城・アレキスに宛がわれた部屋―
(イザベルは姉が死んだことで、泣き疲れていた)
(そして宛がわれたベッドで泣いていた)
(アレキスが城に来た理由)
(それは……)
(彼は目の下を泣き腫らした赤毛の眷属を見やると)
(主の部屋へと向った)
4227 : 月 :2010/04/25(日)
23:19:35 ID: Vs15VkomkB
―『月』の間―
(彼女は一人、玉座に腰掛けている)
(彼がここにもうすぐやってくるだろうと)
―『月』の間、扉前―
(メイド服を着た女性が立っている)
4228 : アレキス :2010/04/25(日)
23:24:48 ID: 44jq0YEVAv
>>4227
(扉の前へやってくると)
……「月」様に、お会いしたいのですが。
4229 : エミリア :2010/04/25(日)
23:32:07 ID: Vs15VkomkB
>>4228
(胡乱な眼でアレキスを見ながら)
…どうぞ、『月』様は中でお待ちです
4230 : アレキス :2010/04/25(日)
23:36:59 ID: 44jq0YEVAv
>>4229
(エミリアに一つ礼をすると)
(中へ入っていく)
我が愛しき主。お会いできたことを感謝いたします。
(といってこれまた礼をし、跪く)
4231 : 月 :2010/04/25(日)
23:41:42 ID: Vs15VkomkB
>>4230
ええ、久しぶりですねアレキス。
見ないうちに眷属も出来たのですね
4232 : アレキス :2010/04/25(日)
23:49:07 ID: 44jq0YEVAv
>>4231
ええ。まあ、永い事この城には顔を出していませんでしたからね。
(少し笑いながら)
……実は、本日ここを訪れたのは理由がありましてね。教えていただきたいことがあるのですよ。
あの「人外の怨敵」を葬り去るにはどうすればいいのでしょうか。
4233 : 月 :2010/04/25(日)
23:54:57 ID: Vs15VkomkB
>>4232
彼は『刃』を支配する究極の一。
並みの事では倒すことなど不可能ですわ
わたくしと戦って五分…その位ですもの。
(そこで言葉を切ると、しばらく迷ったように視線を泳がせ)
…ですが、並みの方法でなければ、ある事にはありますわよ
4234 : アレキス :2010/04/25(日)
23:57:18 ID: 44jq0YEVAv
>>4233
(彼の昼行灯な目つきが鋭くなる)
……なんでしょうか。聞かせていただきたい。
4235 : 月 :2010/04/25(日)
23:59:57 ID: Vs15VkomkB
>>4234
吸血鬼には禁術とされる秘儀がいくつか存在しますわ。
…わたくしが作ったものですけれど、その中に『刃欠の秘法』と呼ばれる秘法がありますの。
そこに刃が存在するという現実を否定し、覆す。
それならば貴方の力でも彼に対抗することは、可能でしょう
4236 : アレキス :2010/04/26(月)
00:02:52 ID: 44jq0YEVAv
>>4235
……「刃欠の秘法」……。
……貴女にお願いばかりして申し訳ございません。その秘法。教えていただきたい。
……アイツを喪って……、俺は……!!……もう、復讐しかない……。
4237 : 月 :2010/04/26(月)
00:06:31 ID: Vs15VkomkB
>>4236
(しかし、彼女の表情は暗い)
…わたくしの生んだ秘法が禁術と呼ばれる由縁は、その秘法の代償が吸血鬼では払えないと言う所にありますわ。
使おうとすればその吸血鬼の精神は耐えられず崩壊してしまうでしょう。
4238 : アレキス :2010/04/26(月)
00:08:55 ID: 44jq0YEVAv
>>4237
……。そ、そんな……。俺は……、あの時もけりをつけることなんてできなかった。
俺が蹴りを付けてやろうとは思わないし、けりは俺がつけるものでもない。でもそれでも……、赦せない奴がいる。
……俺には、無理……、ということですね。
(自嘲した笑いを隠さない)
4239 : 月 :2010/04/26(月)
00:10:20 ID: Vs15VkomkB
>>4238
…吸血鬼が何故『吸血』鬼と呼ばれるか、わかりますか?
4240 : アレキス :2010/04/26(月)
00:12:41 ID: 44jq0YEVAv
>>4239
(それを聞いた途端、珍しく「月」を憎しみの目で見る)
……。……血を啜るからでしょう。
4241 : 月 :2010/04/26(月)
00:15:06 ID: Vs15VkomkB
>>4240
(その眼を見据えて)
そう、血を啜らなければ生きていけない。
それはデイウォーカーであっても避けられない宿命、呪われた命の証。
ですから吸血鬼ではわたくしの秘法を扱うことはできないのです
…秘法を会得する代償とは、『吸血行為を断つ』なのですよ。
4242 : アレキス :2010/04/26(月)
00:18:35 ID: 44jq0YEVAv
>>4241
……。……フッ。やはり、俺には無理、ですね。
(彼にはそんな意識はなかったが)
(自然と「月」を恨みの視線で見ていた)
やっぱり、そんな都合よくはいかないモンです。
4243 : 月 :2010/04/26(月)
00:22:11 ID: Vs15VkomkB
>>4242
そうですわね
世界はわたくし達に厳しい…それが定めなのですから
4244 : アレキス :2010/04/26(月)
00:25:54 ID: 44jq0YEVAv
>>4242
やはり、如何ともし難い物だ。
……それしか方法が無いなんて。
4245 : 月 :2010/04/26(月)
00:27:55 ID: Vs15VkomkB
>>4244
(彼の考えていることに彼女は気付いていた)
(本来ならば止めるべきなのだ)
(だが彼女は何も言わない)
(それは、彼の覚悟を知ってのことではない)
(何処までも欺瞞に満ちた、自身のエゴの為)
(そう、かつて彼を吸血鬼に堕とした時と同じ)
4246 : アレキス :2010/04/26(月)
00:33:26 ID: 44jq0YEVAv
>>4245
……こんな話で失礼しました。不快に思われたのならば謝ります。
本日は……、下がります。
(彼は確かに決意をしていた)
(それが今後どんな結果を齎すかも知らずに)
……ご自愛ください。
4247 : 月 :2010/04/26(月)
00:36:34 ID: Vs15VkomkB
>>4246
(彼が出て言った部屋で)
(一人沈黙し、想いを馳せる)
これで、よいのですよね。
アレキス…わたくしを赦せとは言いませんわ
貴方を狂わせはしない、それを成すまでは何度でも助けましょう
貴方には運命が既に未来を用意しているのですから
…何処が「選択は貴方の内に」…なのかしらね…
(彼女の見据える未来は、二つ)
4248 : アレキス :2010/04/26(月)
00:41:40 ID: 44jq0YEVAv
(彼は自分の周りにたくさんの運命の糸が絡まっているとも知らず)
(雁字搦めにされているとも知らず)
(今はただ吸血を断つ事しか考えていなかった)
(自分は吸血鬼の中では何よりも自由だと信じきっていた)
(でもそれは幻影でしかなかった。邂逅の場面の主とまるで一緒)
(彼は、自分の部屋に戻ると、眠っていたイザベルを)
(ただ撫でてあげた)