「アルファウス」の機密文書が発見されたので、書庫に保存しておく。
記載者は同一だが、データが記載された年代には大きく差がある。
機密文書に付加されていた記載者の音声も共に保存しておく。
DATA1「赫い真月」
「赫い真月の主」たる「殺神狂」が生み出す、化物の繭である。
段階的に進化し、内包する化物を孵す、一種の転生術。
進化の過程を簡潔に纏めると
一 核となるべき強い力を持った存在を、無差別に一人取り込む。
二 顕現し、起動に要するマナを周囲から吸い上る。
三 強い力を持った存在を手当たり次第殺し、力を奪い取る。
四 覚醒段階が一上がる。
五 三と四を第十覚醒になるまで繰り返す。
六 化け物が形を成し始め、破壊行動を開始する。
七 第十覚醒終了と同時に神格をもつ存在以外への干渉が不可能になり、化け物が生を受ける。
「赫い真月」から生み出される化け物は「神殺しの徒」と呼ばれ、神格を持つ存在に対しての圧倒的な戦闘能力を持つ。しかし、それ故に、神格を持たない存在への干渉は不可能である。(「外れし破壊者」は含まれない)
「記載情報以外の詳細は不明・・・
これを造らねばならないというのに、面倒なことだ」
DATA2「殺神狂」
段階は不明だが、いずれにせよ強力な「反逆」と「絶望」の邪気眼を持っていると思われ、結界術に長けている。
彼女は、「この世全ての神を祭る」巫女の家系に生まれ、神に愛された少女と称される程に、膨大な霊力を持っていた。
彼女は、その膨大な霊力を以て、自身の邪気眼を抑えていた。
しかし、地龍族のある一派が彼女の家を襲撃、彼女は瀕死の重傷を負い、邪気眼を覚醒させてしまった。(緋翼の翼を持つ神童が生まれたことによって、自身の地位が危うくなった諸侯が手柄を急ぎ襲撃した・・・との話もある)
彼女は圧倒的な力を振るい、襲撃してきた地龍族を全滅させた。が。堤防が決壊した邪気眼を止めることは最早不可能だった。
彼女の邪気眼は・・・彼女より上位の存在に「反逆」し、「絶望」を与える。
・・・彼女は巫女で、彼女の上位に立つ存在は・・・神以外存在し得なかった。
邪気眼の暴走により発生した化け物・・・それが、「神殺しの徒」である。
邪気眼の制御に成功してもなお「神殺しの徒」は生まれ続ける。彼女より上位の存在全てが絶望し、消え果る日まで。
「外見は可憐な少女だというのに、末恐ろしい化け物だ。
そう言えば、実の妹が存在するらしいが・・・何故か、記憶から欠落している」
DATA3「外れし破壊者」
地龍族最高峰の戦闘能力を誇り、対滅兵装と呼ばれる魔兵装を扱う他、召喚魔術にも長けている。
彼は、本来翼を持たない筈の地龍族に有って、翼を持っている神童だった。「緋翼の地龍」・・・それは、全てを統べる者の翼だと言い伝えられていた。
言い伝えに違わず、その才覚は異常とさえ呼べるものであった。・・・が、その才覚が仇となり、「赫い真月」の核に選ばれた。これにより、彼の故郷は消滅した。
・・・本来ならば「赫い真月」が第十覚醒を終え、「神殺しの徒」となって繭から出でた時点で、核となった存在の自我は発狂し、消滅する。
しかし、彼の自我は「赫い真月」第十覚醒が終了してもなお消滅してはおらず、また、神格を持たない存在への干渉も可能だった。
結果、彼は元来の強大な力にくわえ、「神殺しの徒」としての力を手に入れ、手に負えない怪物として新たに生を受けてしまった。(余談であるが、対滅兵装は「神殺しの徒」の力を具現化したものである)
「・・・「赫い真月」に対する研究を究めれば、彼のような化け物を大量に造り出せるかもしれない。
もしそれができれば、私たちが世界を掌握することも可能だろう」
(未確認情報だが、彼は「破壊」の邪気眼を持っていた可能性がある。
「赫い真月」に対し全力で抗った際に効力を失ったのではないかと言われているが、詳細は不明)
DATA4「B・I・S」
・・・・・・彼女は「殺神狂」の妹にあたり、邪気眼の覚醒段階は四、分類は「写生」で有ると思われ、結界術、召喚魔術を得意とする。
「・・・・・・・・・こんな情報はどうでもいい!アレは「 」だ!間違いないと私の記憶が告げている!
何故思い出せなかった!今すぐにあの化け物を殺さなければいけない!今すぐに、今すぐに!
だが、私たちに一体何ができるというのだろうか・・・一度目は「外れし破壊者」と「殺神狂」に全てを委ね、二度目、予言されていた同位体の襲来でさえ、「未来を祈る少女」が居なければ死んでいたというのに!
・・・・・・・・・・・・ああ、私たちにはこれが、「赫い真月」が、化物の繭が有るじゃないか・・・
まだ第五覚醒?構わんさ。「赫い真月」の中から「神殺しの徒」を引きずり出せ!主任は私だ、指図は受けん!
これで・・・これで全て・・・ハハ、ハハハハハhへぎょぁ」