著:4スレ目>>194殿



(゚∀゚)彡謙信 「・・・・・(ぽっくり」

天正6年3月、越後の龍上杉謙信が急死。
これにより越後は喜平次景勝を擁立する一派と、三郎景虎を
擁立した一派との内乱に突入した。御館の乱である。
そして5月・・・

(・_ゝ・)昌幸「越後各地に双方の軍勢が展開し、戦となっております。
         さらに三郎は北条にも援軍を求め、北条は我らにも
         同盟のよしみで軍勢を動かして欲しいと申しております」

くミイX`дK!勝頼「北信方面は典厩、そちに任せていたはずじゃ。いかに?」


ヽ(゚∀゚)ノ 信豊「直ぐに出兵、喜平次をヌッコロセ~」

(千・_・千)昌恒「しかし・・・北条の動きが気がかりですな」

<丶´`A´`>長坂「うむ。実の兄だというに、氏政は越後へ出兵どころか
         まだ小田原から動かないとのことじゃ」

くミイX`дK!勝頼「しかしこのまま動かぬわけにもいくまい。典厩!
        そなたに軍勢を預けるゆえ、海津の香坂弾正と協議の
        上、直ちに越後へ迎え」

ヽ(゚∀゚)ノ 信豊「アヒャッ!しからば!」

信豊は直ちに軍勢を率いて出陣、信濃を経由して越後へ向かった。

くミイX`дK!勝頼「・・・・弾正か」

(・_ゝ・)昌幸「海津で上杉の動きに備えておられるが、病はいよいよ
        篤く、もう長くないやも知れぬ、とのこと・・・」

くミイX`дK!勝頼「今かのものに死なれては、武田はどうなるという
        のだ・・・・」



5月末に信豊らの軍勢は信越国境付近に達する。さらに6月に入り
勝頼も出陣したが、そこへ驚愕の知らせが届く。
なんと、景勝が勝頼と和議を望んだのだ。

(’ー’*) 弾正「ゲホっ、ゲホっ、なんと。景勝から使者が参ったか。
       これは何かあるな。会ってみよう」
 =愛=
(`・ゝ・´)兼続「上杉景勝が家臣、樋口与六兼続にござります」

(’ー’*) 弾正「海津城将、香坂弾正忠虎綱でござる」

ヽ(゚∀゚)ノ 信豊「ヒャハッ!新典厩とはわ、し、の、こ、と!」
 =愛=
(`・ゝ・´)兼続(こやつでは話になるまい。となると香坂だが、
         ははぁん、こいつは重病と聞いてたけど、長く
         はないな。だが、彼ならば長年越後と対峙してきた
         歴戦の名将。和議をまとめられるはずじゃ)

ヽ(゚∀゚)ノ 信豊「なんのようじゃ?ぬしらは我らとは敵同士、ぞ!」
 =愛=
(`・ゝ・´)樋口「敵などと滅相もない。今回は和議の話でござる」

ヽ(゚∀゚)ノ 信豊「わぎぃ?」
 =愛=
(`・ゝ・´)樋口「はっ。和議の証しとして、我が主は黄金1万両を
         進呈すると申しております。まずは、これはほんの
         手みやげ。ぜひお納めいただきたい」

ヽ(゚∀゚)ノ 信豊「おかねだ~」



(’ー’*) 弾正(景勝め、実弾をバラまくか。ここは直ぐに返事は
       せぬほうがよかろう。)
       「これは我らの一存では計れぬ、また追って回答しよう」
 =愛=
(`・ゝ・´)樋口「今回は引き上げますが、吉報をお待ちいたしまする」

この議題は直ちに勝頼らのもとへ届けられた。
勝頼も6月12日に海津城へ入り、協議にあたった。

くミイX`дK!勝頼「景勝め、なりふり構わずじゃな」

(・_ゝ・)昌幸「しかしかの者、我らの弱みを知っているようですぞ。
        連年による戦で、我らの台所は火の車」

 ( `ハ´) 跡部「さりとて、金に釣られたとあっては、のう?」

(・_ゝ・)昌幸「だが北条は動きませんぞ。奴らはおそらく、火中の栗を
        われらに拾わせ、実利のみを掠めるつもりじゃ」

      近習「香坂弾正様、お目通りを願っておりまする」


くミイX`дK!勝頼「通せ」



(’ー’*) 弾正「ゲホっ、との・・・このたびの儀、それがしは景勝と
       和するが上策と存じまする・・・カハっ、ゴフっ・・!」

くミイX`дK!勝頼「弾正、下がって養生しておったのではないか?」

(’ー’*) 弾正「いまや風雲急を告げておりまする・・・それがしの事
       など・・・ゲホッ、小事・・・。北条は今、喜兵衛の
       申した通り、本気で景虎を助けようなどとは思ってはおり
       ませぬ。我らに危うい橋を渡らせる気なのです。もし三郎が
       勝ったならば、我らは北条一族に領内を三日月状に囲まれ
       る形になりまする・・・ゴホッ、それだけではござらぬ」

 ( `ハ´) 跡部「・・・・何の事じゃ、香坂殿!?」

(’ー’*) 弾正「信長でござる・・・謙信が死ねば信長も
       勢いついて上杉領内へも柴田あたりが討ち入りましょう。
       ゲホっ、ゴホっ、そのときに、上杉の新当主へ北条が
       積極的に肩入れしたとあっては、ゲフっ、ゴホっ・・・
       信長との関係上、北条には足枷となりましょう。それは・・
       北条にも不都合」

 ( `ハ´) 跡部「しかし、北条と上杉が力を合わせれば・・・・」

(’ー’*) 弾正「北条は、織田と結ぼうと・・・しているのじゃ。
       今年の三月、氏政は使者をおくり、信長に馬を送ったらしい」

くミイX`дK!勝頼「では、北条が我らと手をきると?」

(・_ゝ・)昌幸「ありえない話ではありますまい。北条が手を貸さずに
        三郎が勝ったならば、我らを牽制することもできますし、
        信長が上杉と事を構えたときにも身動きがとりやすい。
        ただハッキリしているのは」

(’ー’*) 弾正「北条には・・・・信は、おけぬということでしょう」



 ( `ハ´) 跡部「だが・・・これではまるで我らが買収されたようじゃ・・」

(’ー’*) 弾正「それならば・・・げホッ、我らで双方の和議を斡旋
       しましょう。これで和議がなればそれはそれでよし、
       成らぬでも景勝有利に傾き、かつ我らの誠意は示した
       ことになりましょう・・・ゴフっ」

くミイX`дK!勝頼「弾正の意見に異論はあるか?」

(・_ゝ・)昌幸「織田、徳川に加え北条とも敵対するとはいえ・・・
        現時点ではこれが最善の策でしょうな」

かくして、武田は景勝との和議を望む事に決定した。
これによって、武田方に大金と上州一体が転がり込む事に成った



そしてその夜・・・海津城の一郭にある香坂屋敷に土屋昌恒と
真田昌幸が呼ばれていた。
(千・_・千)昌恒「・・・お加減はよろしいのですか?」

(’ー’*) 弾正「参ったか。ごほっ、見ての通り、わしはもう長く
       ない。・・・どうやら、甲越の和議が最後の役目の
       ようじゃ・・・・げふっ、がふっ・・・」

(・_ゝ・)昌幸「何を仰せられます、これからの武田にこそ、弾正殿は
        なくてはならぬお方。お館様も案じておられましたぞ」

(’ー’*) 弾正「・・・わしとて、無念よ・・・。まだ、死ねぬ。じゃが、
       わが天命は・・・。のう惣蔵、先のお館様が亡くなられた
       ときの事を覚えておるか?」

(千・_・千)昌恒「忘れませぬ・・・あのときは、我が兄の館で荼毘に
        伏して・・・兄が殉死するといって、弾正殿に諌め
        られていましたな・・・」

(’ー’*) 弾正「うむ・・・彼らこそが、次の武田を担うと思ったればこそ
       止めたのじゃ。ごほっ、もっとも、わしもあのあと追い腹を
       切ろうとして、一条信龍殿に止められたのだがな・・・
       じゃが、もはや彼らも亡い。お館様をお支えするは、
       そなたらの役目ぞ、惣蔵、喜兵衛・・・げふっ、ごふっ・・」



(・_ゝ・)昌幸「・・・・ははっ!」

(’ー’*) 弾正「頼む。そして・・・上州のことじゃ・・・。上州は
       景勝より譲られるとはいえ、沼田は今だ北条方。ごほっ、
       まずは上州を安定させるのじゃ・・そして堅固な地を
       見いだすのだ・・・」

(・_ゝ・)昌幸「万が一の時の備え・・・、ですな」

(’ー’*) 弾正「・・うむ。甲斐の中では郡内あたりじゃが・・・げほ、
       これは小山田殿次第ということにしておいた方が良かろう
       ・・・ごほん、穴山と木曾にも、気をつけてくれ・・・
      木曾は外様の上、場所が場所・・穴山には長篠の件もある・・」

(・_ゝ・)昌幸「はっ、ゆめゆめ・・・」

(千・_・千)昌恒「何としても、御家を立て直してみせまする」

(’ー’*) 弾正「それでよい・・・・ごふっ、げほ、げほ、かはっ・・」

(・_ゝ・)昌幸「弾正殿!!・・・だれか、出会え!直ぐに典医を!」



(’ー’*) 弾正(頼むぞ・・・みな・・・・・・お館様、それがしは
       これまでのようです・・・三郎兵衛、修理、美濃殿・・・
       少し遅れましたが、それがしも、参りますぞ・・・)

天正6年6月14日、香坂弾正没、行年52歳。この後、真田昌幸は
上州の諸城を攻略、信長の甲斐攻めに際しては岩櫃城へ勝頼を迎える
べく尽力した。そして、土屋昌恒は勝頼に最期まで従い、壮絶な最期を
遂げる事になる。

そして、上杉景勝との和議を結ぶべく、使者が景勝の陣中へと向かった。

ヽ(゚∀゚)ノ 信豊「・・・景勝はまだかのう・・・いつまで待たす気じゃぁ?」

( `ハ´;) 跡部「・・・落ち着かれよ、典厩殿」

   景勝近習「ご実城様、お成りにございます」

(`゚ぺ)景勝「・・・・・・・・・遠路大儀」

ヽ(゚∀゚)ノ 信豊「ヒャハッ!」

( `ハ´;) 跡部「・・・早速じゃが、本題に入りましょう。和議について
       ですが、上州と黄金の一件、まことでございましょうや?」

(`゚ぺ)景勝「・・・・・」

ヽ(゚∀゚)ノ 信豊「ぴゃっ!?何も言わぬのう!」

( `ハ´;) 跡部「て、典厩殿!(こんなこったら五郎様(。・-・)あたりが
       使者に立った方が良かったかもしれんのォ・・・・)」



(`゚ぺ)景勝「・・・・・・・・・与六」
 =愛=
(`・ゝ・´)樋口「はっ。お約束致しましょう。一万両をご進呈し、
         さらには沼田一帯の領有からも手をひきましょう。
         ・・・ただし、一つお願いがござりまする」

ヽ(゚∀゚)ノ 信豊「なにかね?」
 =愛=
(`・ゝ・´)樋口「勝頼様の妹君、於菊御寮人を正室として、
         上杉家にお迎えいたしとうござる。これにて我らは
         縁者同士。盟約も盤石と心得えまするが、いかに?」

( `ハ´) 跡部(何と!?金と土地はやるから人質をよこせ、か・・・)

ヽ(゚∀゚)ノ 信豊「いいよぉ。そーゆーことで」

( `ハ´;;) 跡部「ちょ・・・ま、前向きに、善処、い、致しましょう・・」

(`゚ぺ)景勝「・・・・・」
 =愛=
(`・ゝ・´)樋口「それでは、そういうことで」


10
こうして和議はまとまった。その帰り道・・・
( `ハ´) 跡部「典厩殿、軽々しく承諾なされるな!」

ヽ(゚∀゚)ノ 信豊「なんでぇ?我らと景勝は北条とも敵、織田とも敵。
       悪い話じゃないよ。織田と徳川だって縁組みしてるし、
       うまくすれば、我らの盟約は強固なものになるはずだよ。
       それに、かつて願証寺の坊主とも
       婚約してた菊様が越後にいれば、そっち方面の一揆衆と
       景勝、ひいては我らの関係もやりやすいんじゃないかなあ?」

( `ハ´) 跡部「むむむ・・・(典厩殿もそこまで考えておられたとは・・・
       昔の古典厩様をみているような気がしてきたぞ」

ヽ(゚∀゚)ノ 信豊「あひゃひゃひゃひゃww」

( `ハ´) 跡部「本当に貴公はようわからんのう・・・・」


11
結局、和議は(1)上州の割譲(2)黄金一万両の譲渡(3)景勝と
菊姫の婚姻を三本柱に決着した。そしてその頃、再び三河の狸こと
徳川家康が盛んに動き始めた。これを受けて勝頼は兵を返した。その
途上のこと。

(。・-・)盛信「兄上、縁談が宙に浮いていたお菊も、決まりましたか」

くミイX`дK!勝頼「うむ・・・だが、亡き姉上(黄梅院)やお松のこともある。
        無事に済むといいがな。・・・それにしても、あれほど
        争い合った我らと上杉が縁者になろうとは、泉下の父上も
        驚いているであろうのう」

(。・-・)盛信「さりとて今や織田と北条を向こうに回しています。
        上杉とは力添えを互いにしていかなければなりますまい」

くミイX`дK!勝頼「・・・そうだな。香坂弾正が命をとして上杉との
        よしみを結んだのじゃ。無駄にはできまいて」

上杉と武田の盟約は武田家最期の日まで維持された。そして、武田家滅亡後も
勝頼たちの弟・武田信清や家臣の平林正恒、春日元忠などが上杉家に身を寄せ
ることとなった。なお、菊姫もまた、景勝や直江兼続夫妻などとともに乱世を
生きることになるが、それはまた別の話である。(おしまい)


12
(`・ω・′)「今回香坂弾正の没した日には諸説ありますが、
       今回は6月14日説を採用致しました。そうしないと、
       今回弾正には出番がなくなってしまうので・・・。
       後半は弾正が死んじゃって、尾ひれが長くなった感が
       ありますが、信豊に免じて許してあげてください」

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最終更新:2009年12月15日 21:50