著:1スレ目>>950殿
1
武田太郎、幼い頃の信玄である。晴信と名乗るのもまだ先だ。
彼は幼少より剛毅な性格であったが、ひとつだけ苦手なものがあった。
太郎「どひゃああ!景政!助けてくれい!」
彡`Д´ミ 景政「ど、どうなされた!太郎様!」
飛んできたのは教来石景政、後の馬場信房である。
太郎「そ、そこの茂みにあれが・・・あれが・・・」
彡`Д´ミ 景政「どれ・・・何だ芋虫ではござらんか」
太郎「それを早くどっかへやってくれい!」
そう、太郎は芋虫が大の苦手であった。
やれやれ・・・と思いつつ芋虫を弾こうと手を伸ばした瞬間、景政にある思案が浮かんだ。
彡`Д´ミ 景政「太郎様、もう大丈夫ですぞ」
太郎「本当か、ふう」
と太郎が顔を上げたとき、景政の突き出した手が太郎の鼻先まで来ていた。
しかもその手には除けたと言った筈の芋虫が握られているではないか。
2
太郎「ぎゃああああ!!景政、貴様何のつもりだ!」
彡`Д´ミ 景政「・・・太郎様、これをお握りくだされい」
太郎「馬鹿を申すでないわ!死んだ方がましじゃ!」
彡`Д´ミ 景政「良いですかな、太郎様。これは芋虫ではございませぬ」
太郎「・・・え?」
彡`Д´ミ 景政「これは甲斐の国・・・いや、天下と思し召されよ」
太郎「わけがわからんぞ!」
彡`Д´ミ 景政「今は乱世。将軍家の力も衰え、日の本で戦の無い日はございませぬ。」
太郎「それは・・・知っておる」
彡`Д´ミ 景政「わが武田家は足利家にかわり将軍にもなれる家柄ですぞ。この乱世、鎮めるは我等にかかっておるのです」
太郎「え・・・」
彡`Д´ミ 景政「その武田の次期当主が芋虫に怯えてどうします!さあ、天下を握られよ!」
しばらく思案顔で見つめていた太郎であったが、景政の手から芋虫を奪い、力を込めて握り潰した。
太郎「これで・・・いいのじゃな」
彡`Д´ミ景政「ご立派、ご立派」
天正三年、設楽が原
彡`Д´ミ信房「我こそ武田古老の馬場美濃じゃ、首とって功名とせい!」
信房の体を敵の槍が貫いた。ゆっくりと崩れる彼の目に、茂みで休む芋虫の姿が止まった。
それは昔、太郎に握らせたそれと同じ色形であった。
彡`Д´ミ信房「あれが天下か…ふふふ、我ながら無茶な事を申したものよ」
うっすらと笑みを浮かべ、信房は倒れた。
最終更新:2009年12月15日 15:51