著:2スレ目>>328殿
其の一 八重との別れ
義信から謀叛の誘いを受けた虎昌は苦悩していた。
幼い頃から養育してきた義信を凶行に走らせ、信頼してくれている信玄を裏切ってしまったからである。
愚直な彼は言い訳もせず、自らの死を以って謝罪する決意を固めた。
(`メω・´)虎昌(許せ、源四郎)
川・∀・リ八重「あら、虎昌様!」
(`メω・´)虎昌(源四郎、そちの赤子の顔を見たかったぞ・・・)
川;・∀・リ八重「虎昌様?」
(`メω・´)虎昌「あぁ、八重殿か」
川;・∀・リ八重「どうかなさいましたか」
(`メω・´)虎昌「どうもせぬ」
川・∀・リ八重「あの・・・明日はお暇ですか?」
お暇なら傀儡芸でも観に行きません?」
(`メω・´)虎昌「すまぬが義信様からの御誘いを受けておる」
川・∀・リ八重「そうですか・・・」
(`メω・´)虎昌「すまぬな」
八重は気になっていた。
いつもなら慌てふためきながら逃げ出す虎昌であったが、いまの虎昌は泰然自若としている。
女の勘で知ることができるのはそこまでである。彼女は義信謀叛を知らないのだ。
(`メω・´)虎昌「では失礼する」
川・∀・リ八重「御機嫌よう・・・」
(`メω・´)虎昌(八重殿、さらばじゃ。
来世で巡り会う事ができたなら、共に夫婦になろうぞ)
其の二 さらば源四郎
1
深夜、源四郎は虎昌に呼び出された。
時刻は丑の刻に差しかかろうとしていた・・・
(`メω・´)虎昌「このような時刻に呼び出してすまぬな」
(`・ω・´)源四郎「兄者の御呼びとあれば地の果てまで参りますぞ!」
(`メω・´)虎昌「ふふ、すまぬな」
(`・ω・´)源四郎「して御用件とは?」
(`メω・´)虎昌「・・・昔話をしようと思ってな」
(`・ω・´)源四郎「ん、そういえば川で溺れたそれがしを助けてくださった事がありましたな」
(;`メω・´)虎昌『源四郎、大丈夫か!!』
(`つω⊂´)源四郎『ふぇ~ん、兄者~!!』
(`メω・´)虎昌『泣くな! それでも飯富家の男児か!!』
(`つω⊂´)源四郎『ひっく、ひっく・・・』
(`メω・´)虎昌『もう大丈夫じゃ。
これからはわしが付いていてやるゆえ、安心せい』
(`メω・´)虎昌「そういえばそのような事があったな・・・」
(`・ω・´)源四郎「虎昌殿のような兄者を持てたそれがしは果報者ですぞ!」
(`メω・´)虎昌「ふふ、そうか・・・」
2
昔話に花を咲かせていた二人。
源四郎は知らないのだ。これが虎昌と交わす、最後の歓談であるということを・・・
翌朝、目を覚ました源四郎は枕元に手紙が置いてあるのを見つけた。
(`・ω・´)源四郎「ん、手紙が置いてあるぞ。
兄者からだ・・・」
(`メω・´)虎昌『源四郎、今まで世話になったな。
今日をもって飯富家の家督をそちに譲ることにする。
わしは義信様と共に謀叛することになった。理由は聞くな。
そちはこの事を御館様に伝えてほしい。
いま甲斐が乱れては、多くの者達が苦しみ、嘆き、悲しむこととなる。
義信様を凶行に走らせたのはわしじゃ。そのわしが義信様を見捨てることなどできぬ。
わしの代わりに御館様に御奉公してほしい。我侭ばかり言ってすまぬ。
あの時の約束は守れそうもない。
これからは己自身の力で生きていくのだ。命を粗末にするでないぞ。
さらばじゃ、源四郎・・・
虎昌』
(`・ω・´)源四郎「・・・」
(;`つω⊂´)源四郎「・・・」
(;`つω⊂´)源四郎「兄者・・・!」
最終更新:2009年12月15日 16:44