著:2スレ目372殿
1
永禄十年十一月、躑躅ヶ崎館では重臣による評定が開かれていた。
(`・ω・´) 昌景「えー、かねてより織田家から盟約の申し込みが来てる件について……」
彡`Д´ミ信房「信長が嫡男・奇妙丸殿とお館の四女・阿松様の婚約じゃな」
( ^ω^)昌豊「みえみえの懐柔策、乗る必要は無いお」
<丶´`A´`>釣閑斎「お、珍しく意見が合うの。 わしも百姓上がりに賛成じゃ」
皆がこぞって信長と結ぶべきではない、と意見した。京に近い信長を放っておいては取り返しのつかぬ事になる。
その中で一人、黙って座っている者がいた。飯田城代・秋山伯耆守信友である。
(´∀`)信玄「……伯耆の意見を聞こうか」
2
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「みんな頭固いね! そんなんじゃこの乱世、乗り切れないよ!」
<丶´`A´`>釣閑斎「伯耆殿は織田と結ぶべき、とお考えか」
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「その通り! やっぱり無駄に敵を作るべきでは無いよ!」
( ^ω^)昌豊「しかしそれでは信長の上洛、黙って見過ごせと・・・・・・」
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「そうだよ!」
彡`Д´ミ信房「!?」
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「仮に上洛させても畿内平定には数年かかるよね! その一番忙しい時期を狙って当家も動く!」
(´∀`)信玄「なるほど・・・・・・最初から反故を狙ってか」
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「阿松様には不憫でございますがこれも乱世の習いなれば!」
信玄はしばらく黙り込むと一息つき、やがて告げた。
(´∀`)信玄「よし、織田との同盟を結ぼう」
3
数ヵ月後、信長より結納の品々が届いた。
(`・ω・´) 昌景「ほう・・・・・・これまた大層な」
(´∀`)信玄「これは・・・・・・信長の誠意は本物かの」
彡`Д´ミ信房「ふうむ」
(´∀`)信玄「答礼の使者を出さねばならんな」
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「言いだしっぺの某にお命じください!」
(´∀`)信玄「そうじゃな。 伯耆ならば安心じゃ」
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「ありがたき幸せ! 早速準備にかかるよ!」
4
永禄十一年六月上旬、信友は甲斐府中を発った。
(`・ω・´) 昌景「道中気をつけるのだぞ」
(´∀`)信玄「伯耆・・・・・・答礼の使者だけならばわざわざお前を使わぬ。 分かるな」
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「・・・・・・信長の目利きでございますな」
(´∀`)信玄「そうじゃ。 お主の目で信長の価値を見てくるが良い」
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「承知しました! では行って参ります!」
5
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「さぁーて、ここが井ノ口・・・・・・じゃなくて岐阜か」
答礼品を携え、信友は岐阜に到着した。
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「ふぅーん、府中にも劣らぬ賑わい様・・・・・・信長の民治は悪くないらしい」
美男の信友に城下の女たちは目を奪われる。
女1「オゥ! ホットガイ!」
女2「どこのお侍さんかしら・・・・・・」
しかし彼は気にも留めない。妻がいるし、何よりそういった感情にドライであった。
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友(下らないな・・・・・・恋なんぞ子を作る為の方便に過ぎないよ)
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岐阜城・・・・・・
( <●><●>)信盛「殿、武田より結納の品の答礼の使者が参ってます」
(*‘ω‘ *) 信長「丁重にもてなしておくよう。 すぐ参るぽっぽ」
(* <●><●>)信盛「拙者が頼られてるのは分かってます」
( <●><●>)信盛「殿はすぐに参られます。 拙者は佐久間右衛門尉信盛と申します」
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「これはこれは・・・・・・それがしは」
( <●><●>)信盛「お名乗り頂かなくても分かってます。 秋山伯耆守信友どのでしょ?」
ハ_ハ
(゚∀゚;)信友「・・・・・・え、ええ左様で」
(* <●><●>)信盛「拙者が博識なのは分かってます」
7
(*‘ω‘ *) 信長「これはこれは遠路はるばるよく参られた」
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「主・信玄が名代として秋山伯耆、罷りこしました」
(*‘ω‘ *) 信長「堅苦しい挨拶は抜きにしよう。 しばらくはこの岐阜で楽しんで行くといいぽっぽ」
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友(ふぅん、この気配り・・・・・・お館をそれ程恐れているか。 あるいは豪胆に見えて繊細な人物なのか)
信友が下がった後、信長の元に叔母がやって来た。
州*‘ ω‘リ「信長殿……」
(*‘ω‘ *) 信長「これは叔母御、何か?」
州*‘ ω‘リ「甲州武田より使者がいらっしゃっておるとか」
(*‘ω‘ *) 信長「ええ、秋山伯耆なる者が」
州*‘ ω‘リ「見てみたいのぅ……」
(*‘ω‘ *) 信長「(ふぅむ)……いいでしょう。 宴の場に叔母御の席も設けましょう」
州*‘ ω‘リ「ありがたい」
8
翌日、梅若太夫による能が催された。
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友(能というのも退屈なものよ)
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「ん……!!」
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友(……あ、あれは天女か……!)
信友の見つめる先には、信長の叔母の姿があった。
州*‘ ω‘リ「・・・・・・」
じっと舞台を見つめる彼女の横顔に、信友の視線は釘付けとなる。やがてこちらに気付いたのか、微笑んで会釈をした。
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「・・・・・・」
慌てて会釈を返す。この瞬間、信友のに心彼女が焼き付いた。
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ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「上総ノ介殿、失礼ですがあちらのお方は・・・・・・」
(*‘ω‘ *) 信長「それがしの叔母にござる。 叔母と言っても年下でございますがな」
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「しかし美しいお方で・・・・・・」
(*‘ω‘ *) 信長「東美濃の遠山景任殿と婚約をしましてな。 近々嫁がせる予定で」
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「・・・・・・左様で」
その晩、信友は寝付けなかった。ブツブツと独り言を呟き続ける。
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「オイラは今まで本当の懸想と言うものを知らなかったらしいな・・・・・・」
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「お館の臣という立場が無ければ、今にでもあの方をさらって遠国で暮らすものを」
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「はぁ・・・・・・辛いものだ。 道鬼殿もこういう時の術を教えてくれれば良かったものを」
信友は馬場信房と並んで山本勘助に師事した男であった。この二人が一番、道鬼の薫陶を受けたと言っていい。
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「・・・・・・明日も会えるかな・・・・・・」
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しかし信友の思いも空しく、翌日以降思いびとと会う事は無かった。
使者のつとめを果たし、岐阜を後にする信友。振り返って岐阜の城を見上げ、つぶやく。
ハ_ハ
(゚∀゚ )信友「天道のはからいがあれば、またいずれ会うこともあるでしょう。 その時までお元気でいらっしゃる事を・・・・・・」
信友は土産を携え、甲斐府中へと向かう。二人の再会は五年の歳月を待たなければならなかった。
最終更新:2009年12月15日 19:43