名前 ジェームズ・キャンベル
性別
生没年 1989/1990~
出生地 イギリス
犯行国 イギリス,ニューカッスル,レミントン
罪状 殺人
犯行日 2023/4/19~20
逮捕年月日 不明
判決 終身刑(仮出所18年無効)
現在 獄中

事件発生

2023年4月20日の朝、ニューカッスル・レミントンのアパートに住むジェームズ・キャンベルが、隣人を尋ねた。この時彼が隣人に対し何を言ったかはわからないが、妻であるコレット・マイヤーズさん(33)の様子がおかしいとか、そういうことを話したと推測される。かくして午前8時ごろ、部屋のベッドに横たわるマイヤーズさんの遺体が発見された。死因は頸部への打撃が原因の、脳の損傷である。


▲コレット・マイヤーズさん

キャンベルは第一発見者であったが、不審な点があったため容疑者として逮捕された。

キャンベルの主張

マイヤーズさんは19日、生後間もなく死亡した娘の墓参りに行って、夜遅くに帰ってきた。そのとき、キャンベルは、マイヤーズさんが階段で転ぶ音を聞いた。だが彼女は問題なく部屋に帰ってきて、ふらふらしながらベッドへ入った*1。朝起きたときに、「彼女が冷たくなっていることに気づいた」という。
すなわちマイヤーズさんの死は不慮の事故であり、自身は全く関係していないとのことであった。

不審点

 キャンベルの主張は、事実と照らし合わせると滅茶苦茶で粗悪なものだった。

①マイヤーズさんは自力で室内に入れない
 彼女は自宅のカギを持っていなかったため、家に入るためにはキャンベルに開けてもらう必要があった。
②マイヤーズさんはほぼ即死状態だった。
 脳の損傷は、ちょうど投身自殺者や自動車事故死者のそれと同じであり、また意図的な暴行を受けた時の傷と見ることができた。そのうえで、即死としか考えられなかったため、キャンベルの主張と矛盾していた。
③遺留品と頸部以外の傷
 リビングから彼女のものと思われる毛髪の束、血の付いたイヤリングが発見されており、また階段にも彼女を引きずったと思われる跡があった。
 また彼女の腕に強く握った跡、前腕にあざがみとめられた。また脚部にも殴打した跡があり、おそらく野球のバッドのようなものでやられたものとされた。明らかな暴行が加えられていた。
④キャンベル自身、証言がコロコロと変わる。
 当初は「いつのまにか死んでいた」というような趣旨の証言をしていたが、のちに「酔っぱらって帰ってきて、朝に死んでいることに気づいた」と変えた。また、解剖結果や捜査の内容を見聞きしたうえで証言を変えたり、お茶を濁したりしていたという。

背景

 キャンベルとマイヤーズさんは9年間一緒に住んでいたが、その生活は円満とはいいがたかった。キャンベルは飲んだくれであり、また酔っていると突発的にキレる悪癖があった。性格も良いとはいいがたく、日ごろマイヤーズさんと喧嘩しては、彼女をひどい言葉で脅した*2。そのためマイヤーズさんは生活にうんざりしており、また殺されるのではないかという恐怖心も抱いていたとされる。
 順当に見て、キャンベルとマイヤーズさんの間には、殺害に発展するか否かは置いておいても、衝突しうる理由はあったのである。

実際

 実際のところは、キャンベルがマイヤーズさんをバッドで殴打したことが原因だと考えられている
キャンベルは日ごろからマイヤーズさんに暴力をふるっていたとされる。なおこれについて、キャンベル自身は否定している*3
またマコーン勅選弁護士は、「致命傷が凶器によるものか、殴打によるものかということについては、裁判官が判断せねばならない」としつつも、「これらの傷害は、あごや耳のあたりへの殴打により引き起こされる」ということについて強調した。

殺意の否定

 ただし、キャンベルの殺意については否定された。
 前述した通り、キャンベルは酒に酔うと自重できなくなる。事件当日も昼間から飲んだくれており、「すぐキレる」可能性があった*4。以前から爆弾はあったものの、この事件自体は突発的なものだと判断されたのである。

結審

キャンベルは最後まで罪を認めず、事故を主張していた。
ニューカッスル・クラウン・コートで殺人罪の有罪を言い渡され、終身刑となった。



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イギリス 殺人
最終更新:2023年11月06日 00:46

*1 “she got on to the bed and appeared drunk”

*2 前述の娘の墓を掘り返すぞ、などと言い放ったという

*3 これまでに暴行を加えたことがあるか、という質問に対し、「付き合いたての頃はあった」「2回は殴ったことがある」と証言、また自己防衛としての暴力だったと証言している。

*4 In mitigation, Mark McKone KC said there had been "no intention to kill" or pre-meditation, and when "in drink" Campbell could lose his temper "on the spur of the moment".