街が夕暮れに沈む頃、あたしの仕事も終わる。不透能力素材のローブに手袋。もうどこからどう見ても完全に怪しい占い師。でも、こう見えても一応公務員の扱いを受けている。
「あ゛ーやっどお゛わっだー。一日中立ちっぱはマジでつれえよ」
すぐそばに立っている仮面の男がボヤく。彼はあたしの護衛兼カレシだ。ランクは上の中ってところかな。
こんな楽な仕事で、給料も安定してて、さらにカッコいいカレシもゲット。この能力に目覚めて本当に良かった。心の底からそう思う。
「おつかれ、カズ。ウチに帰ったらマッサージしたげるからさ」
「よしゃ、じゃあ早く帰るぞ」
歩き出した一貴は、なんだかロボットみたいにギクシャクしてて笑えた。
「つかさー、どう考えても不公平だろ」
ふくらはぎを揉まれながら一貴がぶうたれる。
「不公平って、なにがー?」
「扱いが。お前は一日中座りっぱで、しかも何も喋んなくていいじゃん。でも俺はさ、一日中立ちっぱなし、しかもなんか雑用とかも押し付けられるし」
喋らなくて良い、じゃなくて喋ったらダメ、なんだけど。朝から夕方まで一言も喋れないのは、実際かなり辛いよ。
「何よりそんだけ働いても給料お前の方が上っつうのが一番納得いかねえわ」
「いいじゃん別に。二人でおんなじ口座なんだし」
「お前は分かってねえ。男の詰まらないプライドっつうもんが全然分かってねえ」
わーわー騒いでるんで、放っておいて、さっさと夕ごはんを作ることにした。
ああ、そうそう。あたしの仕事についてセツメイしてなかった。
あたしは“鑑定士”ってのをしてる。勘の良い人はもう分かったかもしれないけど、つまるところ、他人の能力を言い当てる仕事だ。
これは正式に国から認められた職業で、鑑定士から貰った能力証明書がないと、保険に入れなかったりとか、いろいろ困る。
その他にも危険な能力を持った人に制約を掛けるって意味もあるみたい。ま、そんなひとは大抵鑑定しにこないんだけど。
最初に鑑定士が出来た頃は、やっぱり鑑定士とお客さんとのトラブルが絶えなかったみたい。
だから今は不透能力素材のローブと手袋を付けないといけない。さっきいってた喋っちゃダメってのもこれから。名前も教えちゃいけない。
そしてキチョーな鑑定士を守るために【守護の仮面】っていう護衛関係の能力を持った人がみんなお揃いの仮面を被って鑑定士の事を守ってくれてる。正直なところ、この人達がズラーって並ぶとちょっと怖い。
ちなみにあたしは、2年半くらい前に人の能力が分かる能力があることが分かって、1年間鑑定士のガッコに行って、1年前に晴れて鑑定士に。一貴ともその後すぐ付き合いだした。
「はーい、できたよー」
「今日は何だ?」
「今日はカズの好きなハンバーグ丼でーっす」
「いよっしゃああ、これで疲れ吹っ飛ぶわ」
無邪気に笑う一貴を見ながら、あたしはものすごく幸せだった。
願わくば、この幸福がとこしえに続きますように
なあんて
登場キャラクター
最終更新:2010年06月15日 20:15