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作者:◆EROIxc6GrA

俺の名は天野 翔太。鑑定士には定期的に見てもらいに行っていたが、行く度に能力の発現はまだだと言われた。(言われたというのは正しくない。正確には筆談だ)

だが俺にもとうとう目覚めの時が来たようだ。最近昼の能力が分かった。

そう、漢の夢、透視だ。

最初の内はもうウハウハだった。昼の間はずっと外にいて、ベンチに座りながら道行く女性を視まくった。
もうずっとギンギン。ただ力の加減を誤るとさらに中まで視えて一気に萎えるので、そこのところは注意が必要だった。
ちなみにこの力が及ぶのは現実の物だけだ。写真とか、絵は透視出来ない。

そんなこんなで能力を満喫していたのだが、やっぱりこういうのはすぐに飽きてくる。もう普通に視るだけでは何の反応も示さなくなっていた。
大体視たからといって、それ以上のことはできないのだ。それに気づいてからは虚しさも覚えるようになっていた。

そうなると次に思い立つのは金だ。この能力を使って金儲けはできないだろうか。
先にいっておくと、博打関係は出来ない。能力ができてから、馬の声を聞いてから馬券を買ったり、パチンコ玉を念で操作するような輩が続出したため、今ではそういった産業はすっかり廃れてしまった。

「うーむ」

今日は一日中能力の使い道を考えていた気がする。気づけば辺りは暗くなっていた。そろそろ帰ろうかと思いベンチから腰を浮かせたところで、

俺の体が落ちた。衝撃。

「な、に……」

これはヤバい。なんか口から血吹いてる。
隣には自分の足が立っていた。?おかしいだろ。なんで足のほうが頭より高いんだよ。

「……あ」

気づいた。俺死ぬ。つうか既に死んでる。だって上半身と下半身分かれてるのに全然痛くないから。

「はいハイどーもゥ、フェイブ・オブ・グールでェーっす。聞いたことあるかなァー?」

なんか変なおっさんが俺のことを見下ろしていた。おっさん見てないで助けろよ。まあもう助からないけどさ。

「ンンー?知らない?アアアッーそれはざンネんだ。俺ショック!」

ふぇいぶ、なに?だめだ、あたままわらくなてきた。

「じャあ、何か言い残すことはアるかなァー?
……ってオウプス!こーゆうのは殺す前に聞くもンだな、ミスったミスった」

……しぬのはべつにいいけど、そうだなあ、おれのよるのちからとか、しりたかったかも。
ああ、くだら、な――



「くそっ、またか」

男は苛立たしげにデスクを叩いた。

「これで10人は超えましたね……」

その後輩と思しき男が呟く。

「ああ、見つかっているだけで、な」

タバコに火をつける。

「しかし、犠牲者がここまで増えると、奴らが出てくるやもしれんな」
「噂に聞く、バフ課の連中ですか?」
「ああ。もっとも、バフ課っていうのは通称で、その他は詳細不明。少なくとも俺等平には名前すら分からん」
「噂だけならいくらでもありますね。ミュータントの集まりだとか、チェンジリング・デイの前からあったとか」
「噂は噂だ。どうせ俺らにゃ関係ない世界の話だ。本当にそんな課があったとして、俺らにゃ何も知らされねえよ」

どうせ自分たちには何も出来ない、と男は厭世的に。煙を吐き出した。
後輩もタバコを銜える。狭い部屋の中に一気に煙が充満した。

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  • 天野翔太
  • フェイブ・オブ・グール
最終更新:2010年07月11日 08:40
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