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やすみじかん

作者:◆GudqKUm.ok

…今日もヨーイチくんは、クラスのみんなにビー玉を出してくれる。丸くキラキラ光る、とてもきれいなビー玉だ。

「…えへへ、あわてなくてもみんなに出してやるよ!! ちゃんとならんで…」

みんながため息をつく、うらやましい力だ。ならんでヨーイチくんのビー玉を待ちながら、私はお父さんの言葉をぼんやりと思い出す。そろそろ休み時間も終わりだ…

『…葵、お前の力はね、沢山の人を救える、すばらしい力なんだよ…』

どんなに小さくても、私には見える小さなカタマリ。『癌』と呼ばれる気味の悪いそれは、いろんな人の体の、いろんな場所にある。教頭先生のお腹、靴屋のおばさんのおっぱい…
教えてあげると大騒ぎになってその人は入院し、しばらくすると泣きながらお礼をいいにくる。

みんな『何でも買ってあげるよ』とまで言ってくれるのに、お父さんは絶対に『駄目だよ、葵』と断ってしまう。

なんてつまらない能力だろうか。私も人気者のヨーイチくんみたいな力があれば良かった。ビー玉を出せたら、大人になってビー玉屋さんにもなれるだろう。

「…あ、葵ちゃん、明日またいつものドライブだから、算盤の先生に休むって言っといてくれない?」

後ろにならんでいたチカちゃんがうんざりした声で私に言った。またお父さんたちと遠くの発電所へ、機械から『放射能』が飛び出していないか『観に』行かなければならないのだ…

「…また帰りの夕ご飯、ファミレスのハンバーグなんだろうなあ…」

顔を見合わせ、ため息をつく私たちとは反対に、ヨーイチくんは楽しげな笑顔で声を張り上げている。この分では、休み時間が終わるまでに私たちの順番は来そうになかった。

「…こらこら押すなよ!! また次の休み時間に出してやるから…」


END

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最終更新:2010年06月18日 20:27
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