愛なんてサ
ぷろろーぐ
アタシと貴方との関係は「÷0」ができる世界線。
アタシと貴方の関係値は「1=2」
これは貴方に恋できないアタシの、言うなれば貴方宛の恋文。
恋にしちゃうとか無理。
ほんとにむり。
そんな世界線に私たちは居ないから。
ふつーじゃないからね!
それにさ、だってさ、こんなにも大好きだから。
…あっ! これが愛か!!
ハートがぱっかーん
失恋をした。他でもない、このアタシが。
「ほんっっとーに信じらんない!!!」
これは本音。
「ほんとに…、なんで……」
これも本音。
「ねぇ! 聞いてる?!?!」
……。
「…あ、ハイ」
傍からみたらきっと1人で叫んでるヤバイ奴だっただろう。まぁ今は家だが。
「まぁつまり、ブラコン子さんがー、失恋をしたと。」
「それ一番最初に言ったよね?」
「そうでしたっけ。」
イボイは本当に何も聞いてなかったかのように答える。
「ほんとムカつくっっ」
自己紹介をしよう。アタシの名前はブラコン子。軽音部部長。んー特徴とかあるかなー? わりと元気ポジティブで寝りゃ忘れる。んーつまり! アタシは言わばモテ女なのである。好きな人が出来て、その人とめちゃくちゃ仲良くなり、まぁ自然と? なぜか一緒に帰る仲になっており、夕焼け空を背に「すきだ…」とか言われちゃうような。
そんな小学校時代を送ってきた。
振られたことなんて、過去に1回しか無かった。それだって、塾のメンツで「みんなで同時に好きな人に告ろう!」ってなって謎にアタシが一番最初にすることになってさ?当時の好きな人は、塾でおもろくて頭良くて、
帰り道に友達伝いでちょこーっと話すくらいの関係で。
塾の帰りに告った。
すきだ!!!って勇敢に伝えた。電車のドアが完全に閉まる直前。今しかないよ、という友達の後押しでアタシはつんのめって。冬の夜だった。違う柄の制服を身に纏ったアタシたちは周りからどのように見られていただろう。その時は必死で、ただ伝えなきゃという使命感に駆られて全く気にも留めなかった。
そして私は、泣いた。
自分の気持ちを、受け止めて抱きしめて貰えないだろう大切な想いを、打ち明けるのは、刻だった。
ドアにくるんと背を向けて、そんな顔見られないように、しゃがみ込んで泣いた。ひたすら恥ずかしいやら悲しいやら、ほんとに返事なんてもらいたくも無かった。ガタン、ゴトン。友達の声がアタシの頭のなかをぐわんぐわん響いて、ストンって消えてった。アハッ、ろうとの上の部分みたいなのに乗せてさ、ゆっくりグルグル回って最後は落ちる玉みたいだ、とかっ。もう会いたくはなかった。好きな気持ちは、まだそこにあるのに。
好きな人には私の弱いとこを、見せたくなかった。見栄張って意地張って、でも小悪魔でいたかった。心を揺さぶる、少女でありたかった。
アタシにとって、こんな屈辱は初めてだった。
(…、懐かしいな)
こんなこと、ふいに思い出すなんてけっこーキテるわ。
「ねー、きいてる?」
「いや、あなたいま黙ってたでしょ(カチカチカチカチ)」
ん、カチカチ……?
「今何してる」
「え、……っあぁぁぁぁあっ」
「いやゲームしてるやろwww」
こいつ〜〜w
でもこうゆう気楽さが好きなんだよなぁ。
「でさ、話戻るけど、その人ばかくそイケメンで! ほんとにタイプどストライクだったのよ」
「おオッ、はいはい」
「ふっ、んでねっ、ラインとかでさ、アタシが絡みにいくやん? その返信も、くそイケメンなの! でなんか色々話してさバレンタインの話なって、チョコ貰えそうなの〜? 笑みたいな。でそしたらよ?『私彼女居る』ってきて!!! んもぉさぁ……」
ちょっと早口に、めんどくせぇ口調になりながら言う。
「んなぁるほどぉ?←」
語尾であげるのキモい
「まじで! ありえないってゆうかほんと、悲しいぃぃ…」
「…はぁ〜、もう、もうさぁ〜…」
もう、半泣きだ。ううん、涙があふれる。
「てかこの部屋ティッシュないんだけど!!」
歩き回りながら言う。座って話すには少し、落ち着かなかった。そこら辺にティッシュが落ちてるかもしれないし。
「おい。慰めの言葉言えよ」
「え。まぁ仕方がないんじゃないですか。」
………。
たしかに?
「アタシのなにが悪いのか、てか何が足りなかったのかまじわからん」
「んはっ、ブラコン子さんは軽音の部長さまでぇ、アタシのこの人脈でライブいっぱいします!とか言っててぇ、ほんとカッコいいっすよ」
「そ、そうかなぁ……」
ちょっと嬉しいな…テレッ。でもちょっと実際の内容と違うよな?なんか鬼バカっぽく聞こえる?もしや……、バカにしてらっしゃる?
「まぁ、ブラコン子さんを選ばない男なんて所詮そんな男だったんじゃないですか。もっといい人探しましょうよ!」
「でも、ほんと好きだったんだよぉ……」
「男なんていっぱい居ますよ!」
それはそう。
「じゃぁ、イボイが私のこと好きんなってくれんの?」
少し甘えた口調でつぶやく。小悪魔はもう復帰しなさったようだ。
「いや、それは……いや」
「そんな嫌って連呼すんなwww」
もう、ほんと。
「やっぱ、人間いっぱい居るんで絶対恋愛に発展しない人もいるってゆうか」
「じゃあもう私のこと好きになる男なんてぇぇ」
「いや、居なくはない! きっとただ俺とは無いだけで、数少ないですよ」
「そうかなぁ〜…」
うーん。そうだったらいいな。
やっぱ、
「カチカチカチカチ」
「おい今、良いこと言う予定だったのに!!!」
「んえっ」
「…ッ! ふはははっ」
はぁ、全くよぉ。気が抜ける相手だ。ふざけたヤツだな。
「てか何のゲームしてんの?」
ちょっと恋バナ飽きたから話を振ってみた。まぁ別に興味はないが。アタシの話を一応聞いてくれていた(?)お礼のつもり。
「ストリートファイターってやつです」
「すと…?」
やばい分からん
「えーと、あれです、昇竜拳とかの技のやつ」
あ〜、しょーりゅーけん。剣だと思ってたわ。
「拳なんだねぇ〜。」
「はぁ、まぁそれでザンギエフが強すぎる…!」
「ザンギ…?」
やばいなんか難しい単語多めだな。
「なんか美味しそうだね」
「いやもう本当憎たらしい!」
そうなんだww
「なにどの辺が?」
「アイツ、なんか筋肉至高主義なんすけど、正面からぶつかってくるんすよ。で、勝てない!!」
なんか強そう。
ゲームとかあんま詳しくなくてこんな感想しか浮かばなくて、ゴメンね!!
「え、じゃあイボイがザンギエフでやればいいのでは?」
「いやそれはダメなんですよ。やっぱ他のキャラで打ち負かすのが鉄則というか」
食い気味で否定された。でもなんか楽しそうだからいいか。
「ふーん?」
とでも答えておく。
よくわからないなりに考えていると、らーいんっ!とアタシのスマホが言った。イボイからゆうに20行はあるリンクが送られてきていた。
「なにこれ」
といいつつタップすると、胸元と靴の上側の黒い塊とデカい図体に目を引く、強そうな男だった。
「これがザンギエフ」
「こいつのさ、靴の上の黒いやつなに?」
「すね毛」
「wwww」
いやまぁちょっとそうかな、とは思っていたけどやばいおもろい。
毛深ぁぁい。でも他の部分は血管が浮き出て、肌もツルっツルだ。こいつの身体どうなってるんだろ、とか変な意味じゃなくて考えてしまう。
「でもコイツめちゃくちゃカッコよくて、正面から突っ込んでくるから腹側に沢山傷があるじゃないですか?でも背中の傷は1つだけなんです。なんでだと思います?」
「えー、風呂に背中から入りたい気分になって入ったら、火傷したとかー?」
「違います」
折角ボケたんだからちょっとくらい笑ってくれてもいいじゃん。きっと電話の向こう側ではむふふ顔だ、きっと。腹ペコの時ほかほかのシャーシュー麺を目前にしたときくらいだぞ……多分。
「背中の傷はですね、唯一、敵に背を向けた、大切な人を守るために出来た傷なんです。」
「え、かっっこよ!!」
さっきのうじうじはいつの間にかどこかに吹っ飛んで、本当に心からそう思った。わたしもそうなれたら、どれだけ…。なーんてね。
アタシはNARUTOを最近2周目しているのだが、テーマの1つに「大切な人」がある。守りたいと思う、守るべきもの。それを守るために自分が盾にでもなりたいと思う心、そして結果背中に傷をつけられた、というのはとても名誉なことに思われる。
きっと私には出来るだろうか。おのずとそう考えてしまう。ま、結論その時が来ないと分からないケドね。
「」
「」
その後もちょっと面白い、ストリートファイターの話と、ちょくちょく挟まれるアタシのボケで時間は過ぎていった。
バレンタインはどうしよう、とか。イボイの使ってるキャラの話とか。
もう、ティッシュは必要なかった。
少し前向きな気持ちで、勇気をだして、口を開く。
「ねぇ、また、さ。」
「ん?」
「1回寝ても元気にならなかったら、電話する〜」
「え、やです」
わ〜ん
アタシはそんな事を口にしない。
「おいっっ。いま! 折角! 元気になってきてたのに!」
なんかこう言葉にしてても凹んでくるな…。アタシの好きな人は、わたしが「凹む」っていったら「私が尖っとくからだいじょぶ」とか返事するひとだったなぁとか。
「はぁ〜。まあブラコン子さんは、ザンギエフくらいカッコいいんで、自信持ってください!」
ザンギエフ…。胸毛すね毛野郎…。。。
「それ喜んでいいの?」
「はい。褒め言葉です。」
もーちょい良い言葉あっただろうに。ましだぞ、まし! 反実仮想!!
「ん。まぁじゃあ切るよ。」
これがまるで電話での会話じゃなかったように、仲が深まった気がする。きっと対面だったらずっと身体バシバシ叩いてただろう。(小悪魔ボディタッチ?)よかったな、対面じゃなくって。
「はい。まぁ楽しかったんでまたストリートファイターの話してあげますよ」
「ん〜。バイビー」
プツッ。
……
んっ???
んんーーっこれはまた電話していいですよってコトだよね?!
「ふふっ」
ニヤニヤがとまらん。
こういう所が好き。傷ついたときに頼りたくなっちゃう。さりげなーいそこを通っただけじゃ知り得ない、優しさ。
この日は電話の後、さーって風呂入って、歯磨きしてすーって寝た。次の日への期待を込めて、眠りにつけた。
ふへっ。今でも思い出すたび笑みがこぼれる。好きな人に貰った笑いとか興奮とかより、それよりも内側からじんわりくる温かさ。ほんとにありがとね。
やっぱ、あんたが電話に出てくれて良かった。
まさに湯たんぽ! あいついつも体温高いんよな。
感傷ブチ壊しかな。
※お湯を入れれば繰り返し使用可
きっと、私はまた電話をする。
アイラブマイブラザー!
1人の帰り道。強い北風がアタシのスカートを煽り、殴られた頬がじんわりと赤く染まる。ひりひりして、頬が浮かんでるような感覚。じゅわーっとバターが溶けるように全身へと広がる。
あー。あなたに会いたい。そう、弟に。
ブラコン? いやいやそんなまさか! まぁ弟のことは大好きだが。
皆さまお気づきだろうか。そう、アタシの名前は、「ブラコン子」
?!?、反応できなくてパッカーンと目も口も開く。もしかしたら鼻の穴も開いてたかッ…mo
「あのーきこえてますー?」
「はいはいっ!」
聞こえてますという意思表示をする。
アタシが気孔とか色々開いてしまったのは思考とシンクロしたからだけではない。女子にフルネームで呼ばれたからである。びっくり。
「びっくりしたぁ。死んだかと笑笑」
天使の笑顔にアタシの手は自然と顔の前で組まれた。
「はわぁ。」
アタシの今日のテンションはおかしい。何故だ。そう、ホルモンバランスが崩れているのだ、きっと。知らんけど。それでなんの用なのだろう。
「いまなんの用なんだろ、って思ったでしょ」
え!
「え!って思ったよね?」
うん。
「これは、うん。かな?」
ええぇ!! なんでわかるの!
「顔に出てるのよ。」
いやアタシの思考と会話成立してますやん!言葉いらないやん!
あ、そっか顔に出てるのか。ツッコミで忙しくて脳内処理に少々時間がかかった。なうろーでぃんぐ。
「そんな顔に出てる…?」
衝撃的だな。
「そーよ。分かり易すぎてかわいい」
「きゅーんっ」
「お前らなにしてんの。」
「わ!!!」
心の声が漏れてしまう。でも驚いたんだから、しょうがないでしょ!
誰も怒ってねぇよ、と自分でツッコむ。今日テンションおかしいな。アタシ。
彼はビーオ。職業イケメン。小学校の時からの知り合いで腐れ縁。今も同じクラスだ。
「で?」
「別になにもしてない。とゆーか見たら分かるでしょ。お喋りしながら帰ってんの。てか何か始まる前にアンタに話しかけられた」
「あっそ。」
アタシらのノリは早い。だが二人は笑顔、というか微笑? ほほえみ…は、なんかキモい。びしょうだ!!! 多分意味は一緒。でも違うことに私は賭けてる。何を? 魂をだ。
「あの、話戻るんだけど……! コン子ちゃんって、ビーオのこと、すき?」
「いやない!」
間髪入れず答える。んで答える。
「アタシには、おとーとが居るから。」
彼女も間髪入れず、
「そう言って、前彼氏いたじゃん」
「え。」
ビーオもかよ。
てかあぁぁ……。ビーオお前は入ってくんな…。
コイツに知られたらいつの間にか小学校の奴らみんな知ってるんだよ。でもイケメンだから、許す。
「いやまぁ、たしかに、顔は好きだよ? 結構どストライク。だけど、恋愛じゃないから!」
というか。恋愛なんかにしちゃったらアタシがきっと辛いだけ。アタシは私の欲望を封じ込める。『イケメンは鑑賞物…』ぶつぶつ…。
「ふはっ」
くだらなっ。自分で自分を笑ってしまう。
「……。」
ビーオ……私を下から覗き込むな。距離ちけぇよ。いやイケメンなんだよ。
いつの日か、ビーオに「好きだー」とか言っちゃいそうで怖い。
イケメンはずりぃ。私にはイケメン論がある。今日は特別に披露しよう。
まず前提として、誰もがイケメンが大好き!これは絶対。
アプローチとしては、イケメンとカッコいいがほぼ同義だと多くの人は思ってると仮定して、その中での差異を見つけて、イケメンとは何かを確立させようとしました。
それで、イケメンな顔にしても、性格にしても、綺麗である必要がある。
泥臭い努力とかも含めてカッコいいって言うけど、イケメン、とは言わない。
つまり、イケメンってゆうのは、理想を周りから抱かれるものなのではないか。
顔がイケメンな人は、中身が顔に見合わないとザンネンイケメンって言われる。
中身がイケメンって言われるような人は、相手が理想とする返答もしくはその斜め上を常に要求される。
アタシは、要求する。
綺麗であること。理想であること。だから距離を取る。だって、好きでいたいから。失望なんてしたくないしさせられたくないから。
でもさー、
「イケメンて大変よな〜。」
「どした急に。別にお前イケメンじゃねぇぞ?」
あームカつくわぁ。こんなドヤ顔で持論発表したあと
「アンタはバカね!」
アンタ=イケメン=大変←共感
つまりいたわってあげたのにさ。
冬の風が冷たい。彼氏がいればあったかいのかな。少なくとも、好きな人がいればきっと。はー。白い息がこぼれる。きれーだなぁ。空も澄んでて、最近月も綺麗に見えるし。
ねーさ。って心ん中でビーオに話しかける。
アンタがイケメンじゃ無かったら別にキョーミも無いし気にもとめなかったと思う。けど、アンタはイケメンだ。LINEのそっけない返事がたまに来るだけでちょっと嬉しいし笑顔になっちゃう。謎にカッコいいんだもん。それは認めてあげる。でも、アンタを好きにはならない。なりたくない。恋愛的な意味では。傷つくだけだもーん。アンタはイケメンなことによって傷ついてんの?何考えて生きてんの? ふつーの人なの?
はぁ。こんな興味湧くのアンタだけだよ?
結局、好きだ。きっと私はアンタのこと好きだ。恋愛にはしないけどね!!! 絶対に!! アンタに告られたら、ちょぴーーっと揺れるだろうけど。
「私には弟が、いるから。」
って言ってやるのさ!
私の隣で、私の心(顔)読んじゃう女の子が呟く。「結局好きなんじゃん笑」
ま、イケメンですから。
アタシには大好きな弟がいる。でも私はあんま好かれてないみたいだ。母親曰く「愛が重すぎる」らしい。
上手くいかないもんですね。
マイフレンド・ニッコリー
アタシの友達が、恋をした。
ほんとーに大好きらしい。
「まじで好きすぎる…!!」
あーー。そう。
「え〜。今日なんか良いことあったんすか」
「えっとねぇぇ…、あっそうそう!会ったらこれ絶対コン子に言おうと思ってたんだけどぉ」
はぁ。それはどうも毎度ありがとうございます。
一応うまくやり過ごす術を持っているアタシは耳を傾ける。
「今日ねぇ、移動教室のまえにねラブピと二人っきりになってー」
そうそう、マイフレンド・ニッコリーは好きピをラブピと呼ぶ。個性派だ。まぁ顔は美人顔。
こいつ顔赤ぇな。
「そこでさ、電気消そうか(イケボ吐息多め)で言われチュわってぇぇえ」
「そこでねっ、勿論!って答えるジュワン、パチッて消してくれたんだけど消し方もカッ濃ゆぉぉって!!」
興奮してらっしゃる。
呂律回んなくなってる、三軒くらいハシゴした感じだろうか。まぁアタシには未知の世界だが想像して、勝手にそうゆう事にしておいた。
彼女はニッコリー。最近、にっこにこだ。クラスメートのラブピ(笑)に恋をしたみたいだ。アタシからみたら、まぁ病的で重症で、ニッコリーである。
「えぇぇーーーっ! アツっ!!」
好きな人と二人きりは、意図せぬものらしいからアツいな。自分に好きな人が居て同じクラスで。そうアタシで妄想して相づちをうつ。
「でしょぉ。」
「うん!」
素早く肯定する。彼女は依然とニッコリ。
「そういえば、まえコン子ちゃんが電話で言ってた、コーラのペットボトルで告白するやつ! 面白かった〜。」
あ、そうそう。アタシたちはお互いが気が向いたときに電話する仲だった。過去形…、とはまだ言いきれないか。今は週一弱くらいで電話をする。
アタシも笑顔をつくる。
「あれおもろいよね、黒マッキーで書いといてさ、『絶対に振らないでね』って渡すの!飲み干したら……んきゃーーって!」
アタシはやっと素の笑顔で答えた。なのに。
「アイツのことほんと好きだわ〜」
好き。
好きか。ほんとに好き、か。
あー何処か遠くらへんでホン好きホンそれみたいな聞こえるような。
いま隣に居るか弱い少女は、アタシじゃない他の誰かを本気で想って、心をさらけ出してくれている。
でも私は?
ふっと疑問が浮かぶ。
ねぇ、私は?
ホントは、分かってる。彼女が心をアタシに露わにしてくれているということの意味を。
アタシに心を許してくれてるって事。ちゃんと知ってる。この『アタシ』だから言ってくれてるって。
それを喜ぶべきだと。
彼女の隣で「そっか〜」と空返事をしながら少し考える。
好き。
好きとは愛情表現の一つである。相手を最大限認める言葉の一つである。好きの上をいく、相手を認める言葉はなんだろうか。
……、?
ない??
ないわ。
ないのか。「コン子ちゃんにしか言えない〜」よりも「コン子ちゃん、好きだよ! ありがと!」の方が、嬉しい。
自己の存在を肯定されたように感じるからだろうか。貴方の隣にいる、このアタシを。
好きな人に好きだと言われることはめちゃくちゃ嬉しい。
元カレとの楽しい記憶が蘇る。慣れ親しんだ道で、隣で歩幅をあわせて歩く。ふと近づいて、触れて、笑い合って。そして。
「」「」
耳を塞ぐ。脳裏でこもったような、ほわーんと響く声。
「あーあ。」
好きってさ、相手を最大限認める言葉。という表現が一番しっくりくる。関係性とか気持ちを表すのは難しい。そんな中で伝えようと頭パワフル回転させるアタシ。
こぼれる言葉はきっと、『好き。』
「ねー?? どしたのー?」
「…んっ?」
「急にため息つくからびっくりしたーー。お疲れなの?」
「あぁ…そーかも」
「えー! 無理しちゃだめだよ?お疲れ様ーっ」
そういって抱きついてくる彼女。上目遣いも、神です。
はぁ……もう。…かわいっ。結局彼女と帰れる事が嬉しい。そして、
「ねね、」
ちょっと力を込めて呼びかける。
「ん?」
彼女は何もわかんなそうな顔でアタシの胸元から顔をあげる。ゆっくり目線が動いて、目が合う。アタシはニ、三歩離れる。
そして投げキッス両手ver.でちゃんと片足くの字に曲げて、言う。彼女めがけて、届け。いう。
「愛してるっ♡」
可愛くて大っきい目が、もっともーっと、まん丸くなって。ニッコリーっ。可愛すぎんでしょ。
「えー! 急な愛してるゲーム?!? 照れちゃったじゃーーーん!」
はぁ〜ッ。やっぱ彼女には敵わない。あえて、大好きなんて言葉使わずに、伝えよう。
愛してる。
これが相手を最大限認める言葉の二つ目だ!
私は貴女を、愛す!
そこから私たちの帰り道は、笑い声がふわっと空に溶け込んでは消え、また溶け込むような。雲を彷彿とさせるような。
「好き」って感情がどこかに存在するのではない。好き!って言葉にする、伝える、表現することが、相手への敬意と、愛おしさとずっとあった想いとを届け確定させる、最大限認めるって宣誓するってこと。揺るぎないもんなんだ!って表明すること。
「愛」も一緒。愛ってもんがあるんじゃない。相手の目を見て「愛してる」と笑顔で言えることに意味がある。
ま、だからそう簡単には言えない。駆け引きもしちゃう。好きに対して、好き、って言われたい。
あ〜、難しいね。
もうすぐ、バレンタイン。アタシはどーしよっか。きっと告白なんて出来ないんだろーな。
あっ! ごめんごめん今はこれは置いといてっ
この文章にでてくるみなさん。出てこれなかったみなさんw
私の憧れのセンパイ。
たまに私のこと駅で待ってるアナタ!(実は知ってるぜ)
私を失恋させたあなた。(イケメンだぜあなたは)
失恋話を笑顔でニヤニヤ相槌打つあんた!(くそ)
二人きりのときはなんか優しいオマエ。(いつもであれよ)
私の部活の行き甲斐である安彦くん。(草)
あと私の旦那。(らぶ)
そんでベストフレンド!(私にも好きと言え、)
そして最後に私の想い人っ。
やっぱホントの最後これから出会う皆さんも!
私は、みんなを愛してる!
最終更新:2025年04月11日 21:39