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CHAPTER 8 消化器系と栄養
32歳のニコルは激しい胸焼けとげっぷ、腹痛と体重の減少を訴え胃腸科に行った。最近になって血を吐き始めた。彼女は市販の医薬品を数年にわたって服用していたが、効果は感じられなくなってきて、食後の胃痛もひどくなってきた。右の上腹部を鋭く刺すような痛みも強くなり、慢性的な疲労も感じていた。一日でタバコをひと箱の半分を吸い週に2~4杯のアルコールを摂取する。適度に健康的な食生活を送っていたが、運動はほんの時々のみであった。168cmでがっしりした体格というわけでもないが、すぐに適正体重から5~10kg増えた。
ウィンチ博士は上部消化管内視鏡というカメラ付きのチューブを用意した。食道から胃と小腸の合流地点である十二指腸の写真を撮るためである。バリウム検査と呼ばれる上部消化管のテストも行った。その検査では患者は液状のバリウムを飲み込む。バリウムがX線照射により反射して、消化管の全容を見ることができる。
このチャプターを読んで、次の問題について考えよ。
1'ニコルの身長や体重、生活習慣が消化にどういう影響を及ぼすか。
2'胸焼けとは何か。そしてそれはどうやって悪化して、生活の中での過ごし方がどう影響するか。
3'胃腸病学において使われる診療器具は何か。どの種類の異常が確認できるか。
9.1 消化の概観
消化器系の器官は胃腸管と呼ばれる管の中にあり、図9-1に描かれているとおりである。食べ物は、それがサラダであろうとチーズバーガーであろうと第2章で学んだ有機高分子からなる。それは、炭水化物、脂質、タンパク質である。
これらの分子は大きすぎて細胞膜を透過できない。消化の目的はこれらの高分子をhydrolyze(加水分解)、つまり水を使って壊して単量体にすることである。主に単糖、アミノ酸、脂肪酸、グリセロールといったこの単量体は促進輸送や能動輸送によって細胞膜を透過することができる。食べ物は水、塩分、ビタミンや、体が正常に機能するのを助ける無機塩類も含んでいる。消化する過程で利用可能な栄養素は血液によって細胞に運ばれる。次のような過程は消化する過程にとって必要なものである。
- ingestion(摂取)は、口に物が運ばれたときに起こる。摂取は私たちの食事と関連がある。「人間はその人が食べるものである」という表現は、私たちの食事は健康に非常に大切なものであるということを意味する。よい栄養習慣を身につけることによって、より長く、活動的で、生産的な人生を送る可能性が高まる。アメリカでは残念なことに、喫煙と並んで、よくない食事や身体的活動の不足が避けられるであろう死の原因となっている。
- digestion(消化)は、大きな食べ物を、消化酵素が働けるぐらいの小さな塊にする行程を含んでいる。消化は、機械的であるか、化学的であるかのどちらかである。機械的な消化は、咀嚼時に主に口の中で起こり、胃の平滑筋の収縮時に起こったりする。化学的消化が行われている間、消化酵素は高分子を吸収できる単量体に加水分解する。すべての消化酵素には、それぞれ最も効果のあるpHの範囲があり、消化管の分画はこれらの理想的なpHの範囲を作るのに役立っている。化学的な消化は、口に始まり、胃に続き、小腸で完成される。
- 消化管に沿った胃腸管の動きは、胃腸管が他の機能を果たすのにとても大切である。例えば、食べ物は、通常peristalsis(ぜん動)と呼ばれる、平滑筋の収縮によってある器官から次の器官へと通らなければならず、消化できなかった残りものは排除しなければならない。
- absorption(吸収)は、化学的な消化によって生成した単量体が胃腸管の壁を通って、その管に並ぶ細胞の中に入るときに起こる。そこから、栄養素が血液に入る。
- elimination(排泄)は、消化することのできない、そして体から排出されなければならない分子を除去する。肛門を通じた消化できない排泄物の除去は排便と呼ばれる。
<図9-1>
~accessory organs(副器官)~
- salivary glands(唾液腺)…炭水化物を分解する酵素を含む唾液を分泌
- lizer(肝臓)…主要な代謝器官、栄養分の加工と貯蔵、脂質を乳化する胆汁の生成
- gallbladder(胆嚢)…胆汁を貯蔵し、それを小腸に送る
- pancreas(膵臓)…膵液を生成し、それを小腸に送る。インスリンを生成し、血液中に分泌する。
~digestive tract organs(消化管器官)~
- 口…歯でかみ、舌で味わう。
- pharynx(咽頭)…食べ物が呑み込まれるときの通路
- esophagus(食道)…ぜん動によって食べ物が腹に押し込まれるときの通路
- stomach(胃)…胃酸と、タンパク質を分解する酵素を分泌。チームスを小腸に送る。
- small intestine(小腸)…チームスと消化酵素を混ぜる。栄養素の分子を吸収する。消化ホルモンを血液中に分泌する
- large intenstine(大腸)…水や塩分を吸収し、便を作る
- rectum(直腸)…排便の規制
- anus(肛門)…消化器官からの排泄物の放出を管理する。
<消化管の壁>
私たちは胃腸管を、始め(口)と終わり(肛門)のある庭のホースに例えることができる。lumen(管腔)とは、中空の器官や管の開けた部分で、胃腸管の場合、消化される食べ物を含む真ん中の空間を指す。消化管の壁は4層からなり、それぞれの層には特定の機能や疾患と関連がある。
最も内側の層は、mucosa(粘膜)と呼ばれる。粘膜層は、管腔内の消化酵素からすべての層を保護するのに使われる粘液を生成し、分泌する。口、胃、小腸の粘膜の中の腺もまた消化酵素を放出する。塩酸という重要な消化酵素は、胃の粘膜の中の腺で生成される。
diverticulosis(憩室症)は、ある胃腸管の粘膜が他の層を押し上げて嚢を形成し、そこに食べものがたまる病気である。その嚢は、弱い場所を通る内部の管につながる可能性がある。この嚢が曲がったり炎症をおこしたりすると、憩室炎となる。これは、憩室症患者の10~25%で起こる。
2番目の層はsubmucosa(粘膜下組織)と呼ばれる。これは、血管、リンパ管、神経を含む疎性結合組織の広い帯である。これらは、粘膜によって吸収された栄養素を運ぶ管である。粘膜下組織にはパイエル斑とよばれるリンパ小節もある。扁桃のように、それらは私たちが病気にかからないようにする手助けをする。血管を含むので、炎症性腸疾患につながる炎症性反応の起点となりうる。炎症性腸疾患の症状としては、慢性的な下痢、腹部の痛み、熱、体重減少などがある。
3番目の層はmuscularis(筋層)と呼ばれ、これは次の二つの平滑筋の層からなる。内側が輪筋層で管を取り囲んでおり、外側が縦筋層で管と同じ方向にある。神経、ホルモンの統制下におけるこれらの筋肉の収縮は、食道から肛門まで消化された食べ物の連続したぜん動運動に重要である。この層は、壁の収縮が腹部の痛みをひきこす、過敏性腸症候群と関連がある。過敏性腸症候群の根本的な原因はわかっていないが、この領域は神経系の統制下にあるので、ストレスが主な原因ではないかと提唱する人もいる。
最も外側の層はserosa(漿膜)と呼ばれ、潤滑性の液体を分泌する。これは腹膜の一部で、腹腔の内側の部分である。
9.2
口、咽頭、食道はGⅠ管の最初の部分である。
口
口(口腔とも呼ばれる)は食べ物を受け入れ、機械的、化学的消化を始める。口は外部から唇と頬によって結合されている。唇は鼻の基部からあごの先まで続く。唇の赤い部分は角質が少ないため血が透けて見える。
口の上部で口腔と鼻腔は分けられる。この上部は二つの部分からなり硬口蓋(前部)、軟口蓋(後部)に分けられる。硬口蓋はいくつかの骨でできているが、軟口蓋は筋肉でできている。軟口蓋は口蓋垂と呼ばれる突起で終わっている。扁桃はまた、舌の両側の口の後ろにある。扁桃は病気から守ってくれるリンパ組織である。軟口蓋の上で鼻腔が開いている鼻咽頭には一つの咽頭扁桃がある。これがいわゆる咽頭扁桃腺である。
三つの組の唾液腺は導管から唾液を分泌する。その一組は耳の前で顔の側面にある。これらの唾液の導管は第二上臼歯の上の頬内表面から分泌する。人がウイルス疾患であるおたふくかぜにかかると、ここが腫れる。子供の時にかかったはしか、おたふく、MMRはおたふくにかかるのを防ぐ。ほかの唾液腺は舌の下、また口腔の下にある。これらの唾液の導管は舌の下から分泌する。舌で頬の内側と舌の下にある盛り上がりを触ることで、その位置を特定できる。唾液は粘液と水の解決策である。重炭酸塩とリゾチームと呼ばれる抗菌剤化合物と同様に、糖質の化学的消化を始める酵素である唾液アミラーゼを唾液は含んでいる。
歯と舌
呑み込みやすくなるまで噛んだとき、機械的消化は始まる。人生の最初の二年間で20本の乳歯が現れる。これらは最終的に32本の永久歯に生え変わる。3対目の大臼歯の親しらずは、生えてこないことがある。これがほかの歯を押したり、痛んだりすると、歯医者が取り除く。ひとつの歯は歯肉線より上の冠部と下の根部に分けられる。冠部はカルシウム化合物のきわめて硬いエナメルの層、骨に似た組成の象牙質、神経や血管を含むやわらかいものからなる。象牙質と柔らかい部分は根の部分も構成していて、それは歯周の膜からあごの骨の支えも含んでいる。
虫歯は口の中の細菌が糖を分解するときにおこる。この代謝の時に排出される酸が歯を腐食する。やわらかい所の神経に腐食が達したとき虫歯は痛む。虫歯には二つの予防策がある。甘いものを控え、歯磨きと歯間の掃除を毎日やることである。特に子供はフッ素でエナメルが強くなり、虫歯に耐性ができる。心臓血管の病気と関連していることが知られる歯肉の病気は加齢とともにより起こる。歯肉炎とよばれる歯肉の炎症は歯槽の歯周の膜に広がる。そしてその後、骨の喪失と歯が緩くなることに特徴付けられる歯周炎をそのうち持つことになる。歯の治療が必要であり、さもなければ歯が完全になくなる。歯科医に教えられた歯肉の刺激はこの症状の改善に役立つ。薬物療法もまた、有効である。
味蕾とよばれる受容体を含んだ粘膜で舌は覆われている。食べ物により味蕾が活性化すると神経伝達が脳に起こる。舌は骨格筋からなり、それは口の食べ物を動かし機械的消化をする歯の助けをする。飲み込む準備の時、舌は食べ物を食塊とよばれる固まりにして咽頭に押し込む。
咽頭と食道
口と鼻腔は、喉の後ろの場所である咽頭につながる。咽頭は食事の通り道の食道と、空気の通り道気管に通じている。これらの二つの菅はお互いに平行で、食道の前に気管がある。
嚥下
嚥下には自発的な段階があるが、一度咽頭の奥まで飲み込むと非自発的な行為になる。飲み込む間食べ物は胃に繋がる筋肉質の食道に入る。なぜなら気管は閉ざされているからだ。柔らかい口蓋が気管を閉じるために後ろに動き、気管が喉頭蓋の下に、声門を覆うために動く。その声門は喉頭声帯の最初つまり気管の最初である。これにより飲み込むときには息は出る。時々喉頭蓋が声門を覆うのが間に合わなくて、食べ物や飲み物が食道ではなく気管に入る。この時肺の筋肉が収縮し咳を引き起こし食べ物を咽頭に戻す。
蠕動
蠕動は食道まで食べ物を押す。蠕動収縮は胃と腸でも続く。食道は食べ物の化学的消化にはなんの役割も果たさない。その唯一の目的は食べ物を口から胃まで運ぶことである。下部食道括約筋と呼ばれる狭窄は胃の入り口から腸まで特徴づける。括約筋は菅をとりまく筋肉で、栓の役割を果たす。括約筋が収縮するとき菅は閉じて、弛緩するとき開く。食べ物や唾液が飲み込まれたとき、括約筋は胃に食べ物を入れるために弛緩する。また食道に胃の酸性の消化物が戻ってこないために括約筋は緊張する。下部の括約筋が開かなくて食べ物が胃に入らないとき、また括約筋が開いていて食べ物が食道に戻ってくるとき胸焼けが起こる。胸焼けがセクション9.3で述べられているように、この状態は食道と下部食道括約筋に損傷を与える。腹筋と横隔膜の強い収縮で胃の中身が食道や口腔に押し出されるとき、嘔吐が起こる
9.3 The Stomach and Small Intestine【胃と小腸】
LEARNING OUTCOMES
1. 胃の構造と消化におけるその役割を説明できる。
2. 小腸の構造と消化におけるその役割を説明できる。
3. 炭水化物、脂質、タンパク質が小腸によってどのように処理されるか説明できる。
The Stomach【胃】
胃(図9.5) は厚い壁を持つJ型をした臓器であり、体の左側、横隔膜の下側に位置する。胃は上方で食道と下方で小腸の十二指腸と連続している。胃は食べ物を蓄え、タンパク質の消化を開始させ、小腸への食べ物の動きを管理する。胃は栄養を吸収することはないが、アルコールが脂溶性であり、細胞膜を容易に通過するので、胃はアルコールを吸収する。
胃壁には一般的に4つの層(図9.2) があるがそのうちの2つは特定の機能のために調整されている。筋層は3層の平滑筋を含む。(図9.5a) 円形で縦の層に加えて、胃は他の二つの層に斜めに伸びている平滑筋の層を含む。斜めの筋層【oblique layer】は胃を伸ばし、食べ物を胃液と混ざった小片へと機械的に分解することを促している。
胃の粘膜には襞【rugae】と呼ばれる深いくぼみがある。これらは胃が1Lのおおよその容量に満ちるにつれてなくなる。胃の粘膜には何百万個もの胃小窩があり胃腺【gastric glands】(図9.5b、c) につながっている。胃腺は胃液を作る。胃液はペプシンと呼ばれる酵素であり、タンパク質を消化し、塩化水素(HCl)と粘液を含む。塩化水素はおよそ2のpHで胃を強い酸性にする。この酸性は食べ物中に存在するほとんどのバクテリアを殺すので有益である。塩化水素は食べ物を消化しないが、つながっている組織を分断し、ペプシンを活性化させる。
普通、胃はおよそ2~6時間で空になる。食べ物が胃を離れるとき、それは糜粥【chyme】と呼ばれる厚く、どろどろした液体になっている。糜粥の小腸への進入は、一定間隔で少量が入るように制限される。ぜん動波は糜粥を幽門括約筋に向かって動かす。また、幽門括約筋は閉じて糜粥のほとんどを搾り戻すことで、1度にほんの少しだけが小腸に入るようにしている。
Figure9.5 The layers of the stomach
胃の層
a三層の筋層と襞とよばれる層である胃の構造
b,c粘膜にある胃腺は粘液、塩化水素、ペプシンというタンパク質を消化する酵素を分泌する
d胃のぜん動は幽門括約筋で小腸への糜粥の分泌を制御する
SCIENCE IN YOUR LIFE
Why does my stomach “growl”? 【どうしてお腹は鳴るのか?】
食べ物や飲み物を消化するとき、消化管を通してガスや空気も動かしている。ガスや空気のポケットが胃や小腸の中でぜん動運動によって押しつぶされているとき、音が鳴るのである。どれならば、どうしてお腹がすいているときにお腹が鳴るのだろうか?消化の工程は食べるよりずっと前から始まっている。胃が空っぽのとき、脳が胃の筋肉に空腹を刺激することを助長するために、ぜん動運動を始めるよう指令を出すのである。それらの筋肉が空っぽの胃の周りで収縮することで、振動し反響してごろごろと鳴る音の原因となるのだ。
BIOLOGY MATTERS HEALTH
Heart Burn(GERD) 【胸やけ】
他の症状がない場合、胸やけの感覚は胸と関係ない。そのかわりおそらく酸逆流が原因だろう。ほどんどのひとがあるとき酸逆流と胸やけを経験したことがあるだろう。胸やけの感覚は胸のうしろの食道で起こり、これが胸やけといわれる理由だ。胸やけは胃の内容物が食道のものより酸性であるために起こる。胃の内容物が、食道へと上方に通過するとき(図9A)、酸度が食道の裏地を侵食しはじめ胸やけと関連のある、焼けているような感覚を生じる。
胃がいっぱいになるほどに多くの食べ物を食べた後に胸やけを経験する人もいる。女性はときどき妊娠中に胸やけになるが、これは発達中の胎児が内部の臓器を上方に押すためである。肥満による腹壁への圧力もまた胸やけを引き起こす。
胸やけや酸逆流が慢性な状態になると、患者は胃食道逆流性疾患(GERD)と診断される。この用語は胃と食道が病気になっていることを示している。GERDでは患者は頻繁に逆流を起こし、食道を広げたままにしてしまい、典型的な胸やけと酸逆流よりより高い酸度となる。GERDと診断された人々は胸に痛みを経験し、つまっている感じがし、飲みこむのに苦労する。
体が弱い、または食道の収縮に異常のある患者は、食べ物を胃に押し込むことが困難である。このような弱い収縮は逆流が1度食道へ入った後、胃へ押し戻すのを妨げることもあり、このようにしてGERDが生じる。患者が横たわっているとき、異常な食道の収縮はさらに厳しくなる。これは重力が逆流を胃へ戻す手助けをしてくれないからだ。一部のGERDの患者は通常より胃と食道の括約筋が弱い。彼らの括約筋は食べ物が胃の中に押し込まれた後、完全にしまらない。括約筋をきつくする手術によってGERDの症状は緩和される。
店頭販売の薬は塩基性のpHをもち、胃酸を中和するため酸逆流の治療として役立つ。ネキシウムやプリロセックなどの他の薬は酸生成物を減らす。結局のところ、酸逆流の患者は食習慣を見直すことをはじめにすすめられる。
Diet and Exercise
食事と体重管理が酸逆流を制御する手助けになるとわかってきた。いくつかの心がけで酸逆流を減らすものは以下の通りである。
- 3食の代わりに1日に数回の小食を摂り、トマトソース、柑橘類、アルコール、カフェイン入りの飲み物などの胃が酸性になる食べ物を避ける。
- 高脂質な食べ物(ファストフード)や製糖を多く含む食べ物(ケーキ、キャンディ)の消費を減らす。
- 食事で複雑な炭水化物(2種類以上の穀物でできたパン、玄米,パスタ)を増やす。
- 軽い運動(自転車、歩き、ヨガ)や軽い重量挙げに参加して体重を制御する。
Questions to Consider
1.pHの視点から、制酸剤はどのように胸やけとGERDを制御するのか?
2.胃腸管が筋層を含むことを考慮し、なぜ運動がGERDを制御するかもしれないの
か?
Figure 9A Heartburn
普通の胃(左)では食道括約筋は閉じている。GERD(右)では下部の食道括約筋が正しく閉じておらず、胃の中のものを食道へ逆流させてしまう。
The Small Intestine【小腸】
小腸【small intestine】は大腸と比べたときのその直径の小ささで名付けられた。小腸は非常に長く、大腸が長さ約1.5mであるのに比べて、小腸は約6mである。
Digestion Is Completed In the Small Intestine【消化は小腸で完結する】
小腸は食べ物中の炭水化物、タンパク質、脂肪を消化する幅広い酵素を含んでいる。(表9.1) これらの酵素のほとんどは膵臓から分泌され、小腸の最初の25cmである十二指腸【duodenum】の輸送管を経由して入る。別の輸送管が肝臓と胆嚢から胆汁を十二指腸に送る。(図9.8) 胆汁は脂肪を乳化する。乳化とは脂肪の液滴を水中に分散させるようにする機械的な消化の形態である。乳化の後、膵臓で作られるリパーゼ酵素が脂肪をモノグリセリドと脂肪酸に加水分解する。膵臓のアミラーゼは炭水化物の消化を開始し、腸の酵素が炭水化物のグルコースへの消化を完了する。同様に、タンパク質分解酵素である膵臓のトリプシンで始まり、腸の酵素がタンパク質のアミノ酸への消化を完了する。膵液が糜粥を中和するための炭酸水素ナトリウムを含んでいるため、腸はわずかに塩基性pHである。
Nutrients Are Absorbed in the Small Intestine【栄養は小腸で吸収される】
小腸壁は消化行程の産物である、糖、アミノ酸、グリセリン、脂肪酸分子を吸収する。小腸の粘膜は吸収のために調整されている。小腸の表面積はテニスコートの表面積と同じくらいであるといわれている。この広い表面は狭いものよりも多くの栄養を吸収する。小腸の粘膜には絨毛【villi】と呼ばれる指のような形をした突起があり、腸の壁を柔らかく、なめらかな外見にしている。(図9.6) 絨毛には柱状の上皮細胞の外層があり、細胞のそれぞれが微絨毛【microvilli】と呼ばれるごく小さな伸長を何千個も持っている。まとめると、電子顕微鏡写真では、微絨毛が絨毛に刷子縁として知られる微毛の縁を与えている。微絨毛は消化課程を完結させる、刷子縁酵素と呼ばれる酵素を含んでいる。微絨毛は栄養を吸収するために絨毛の表面積を大きく増加させる。
栄養は絨毛の管へ吸収される。(図9.7) 絨毛は毛細血管と乳糜管【lacteal】と呼ばれる小さなリンパの毛細管を含んでいる。知っての通り、リンパシステムは循環器システムに付属している。リンパ管はリンパと呼ばれる液を循環器静脈へ運ぶ。糖(単糖)とアミノ酸は絨毛の毛細血管に入り、モノグリセリドと呼ばれるグリセリンの単分子と脂肪酸は絨毛の上皮細胞に入る。カイロミクロンというリポタンパク小滴はモノグリセリドと脂肪酸が絨毛の上皮細胞で再び一緒になったときに形成される。カイロミクロンはそれから乳糜管に入る。栄養が吸収されたあと、それらは血流を通して体の細胞に徐々に運ばれる。
Figure9.6 Absorption in the small intestine
小腸での吸収
小腸の壁には絨毛という指のような突起がある層がある。消化の生成物は微絨毛により毛細血管と絨毛の乳糜管に吸収される。
Figure9.7 Digestion and absorption of organic nutrients
消化と有機栄養の吸収
a. 炭水化物はグルコースに消化され、積極的に腸絨毛の細胞に輸送される。そこからグルコースは血液の流れに乗っていく。
b. タンパク質はアミノ酸へと消化され、積極的に腸絨毛の細胞に輸送される。そこからアミノ酸は血液の流れに乗っていく。
c. 脂肪は胆汁によって乳化され、モノグリセリドと脂肪酸に消化される。これらが細胞内に拡散されると、そこで再び結合し、タンパク質と一緒になる。カイロミクロンと呼ばれるこれらのリポタンパク質は、乳糜管へと入る。
Lactose Intolerance【乳糖不耐症】
ラクトースは牛乳中の主な糖である。刷子縁酵素を持たない人はラクトースを消化できない。その結果、牛乳や他の乳製品を窃取した後の、下痢やおなら、腹部膨満、急激な腹痛に特徴付けられる乳糖不耐症【Lactose Intolerance】という状態になる。未消化のラクトースが小腸内で水分貯留を引き起こしてしまうため下痢になる。おなら、腹部膨満、急激な腹痛はバクテリアがラクトースを嫌気的に分解するときに起こる。
乳糖不耐症を抱える人もラクトース無しのものやラクトースがすでに消化されている乳製品を摂取することができる。それらはラクトース無しの牛乳やチーズ、ヨーグルトなどが含まれる。ラクトースの消化を補助する栄養補助食品も有効である。
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Chapter9.4 付属器と分泌の調節
LEARNING OUTCOMES
この節を完了する前に
1. 消化の間の膵臓、肝臓、胆嚢の機能の説明
2. 膵臓、肝臓、胆嚢の分泌物の一覧
3. どのように付属器の分泌物が調節されているのかの意識
ができているべきである
Pancreas(膵臓)、liver(肝臓)、gallbladder(胆嚢)といった臓器のsecretions(分泌)の仕方や、 GI(胃腸)tract(器官系)の調節のされ方について考慮する前に、最初にそれらの臓器の消化における役割を見てみよう。
The Accessory Organs(付属器)
膵臓は、魚の形をし、海綿状で、灰色がかったピンク色の臓器で、腹の胃の裏側を横切っている。多くの膵臓の細胞は膵臓の管を経由してduodenum(十二指腸)に入るpancreatic juice(膵液)を生産する。膵液は炭酸水素ナトリウム、すべての食物に対応する消化酵素を含む。炭酸水素ナトリウムは胃から出る酸性のchyme(糜汁、びじゅう)を中和する。膵アミラーゼはデンプンを、トリプシンはタンパク質を、膵リパーゼは脂質を消化する。
膵臓は、インスリンというホルモンを血中に分泌する内分泌腺でもある。Hormone(ホルモン)は、様々な(目的の)細胞の機能に影響を与える、細胞によって生産されるタンパク質あるいはステロイドである。血糖値が急速に上がると、膵臓はその値をコントロール下に戻し、恒常性を取り戻すために過剰なインスリンを生産する。一型糖尿病は膵臓が十分な量のインスリンを作れないときに起こる。この状態は通常子供時代に診断される。二型糖尿病は膵臓が必要な量のインスリンを作らないときや体細胞がインスリン抵抗性を持つときに起こる。二型糖尿病は通常成人期に、肥満や不活発や一族のこの病気の病歴のような危険な要素とともに起こる。(16章参照)
体内で最も大きな腺であるliver(肝臓)は主にabdominal cavity(腹腔)の右上部分、diaphragm(横隔膜)の下部にある(図9.1参照)。肝臓はその構造的かつ機能的単位である約100,000のlobules(小葉)を持つ主要な代謝性の腺である(図9.8b)。hepatic portal vein(門脈)が胃腸組織系のcapillary bed(毛細血管床)からの血液を肝臓に運ぶ。小葉の毛細血管がこの血液をろ過する。ある意味、肝臓が血液からの有毒な物質を取り除いたり、それらを解毒したりするとき、肝臓は下水処理場のように働いているのだ(表9.2)。
肝臓は貯蔵器官でもある。鉄分とビタミンA,D,E,K, B12を血液中から取り去り貯蔵している。肝臓は血糖の恒常性にも関与している。インスリンの存在によって、肝臓はグルコースをグリコーゲンとして貯蔵する。肝臓は、糖が低くなったとき、グリコーゲンを分解することによってグルコースを放出する。必要ならば、肝臓は(脂肪からの)グリセロールやアミノ酸をグルコース分子に変える。アミノ酸がグルコースに変えられるとき、肝臓は、通常人間にとって窒素性の廃棄物であるurea(尿素)を生じさせるためにアミノ基と二酸化炭素を合成させる。血液に必要な血漿タンパク質も肝臓によって作られる(6.1節参照)。
肝臓は血中cholesterol(コレステロール)値を調節する手助けもする。肝臓によって、あるコレステロールはbile salt(胆汁酸塩)に変えられる。bile(胆汁)は胆汁酸塩、水、コレステロール、重炭酸塩の溶液である。胆汁はヘモグロビンの分解の間に構成される色素であるbilirubin(ビリルビン)を含むので、黄味がかった緑色である。胆汁はbile duct(総胆管)を経由して十二指腸に送られるまで、セイヨウナシ型で肝臓の真下にあるgallbladder(胆嚢)に蓄えられる。Gallstone(胆石)は胆嚢に蓄えられた液体が石状の物体の小片に固まるときに形成される。小腸の中で、胆汁酸塩は脂肪を乳化する。脂肪が乳化されると、小滴となってばらばらになる。その小滴は消化酵素によって消化ができるような広い表面を提供する。
Liver Disorders
Hepatitis(肝炎)と、cirrhosis(肝硬変)は肝臓全体に影響を与え自己修復能力を妨げる。したがって、それらは生命を脅かす病である。人が肝臓に病を抱えるとき、胆汁の色素が血液中に漏れ出し、jaundice(黄疸)を引き起こす。黄疸とは白目と色素の薄い人の肌の黄味がかった色合いである。黄疸は肝臓の炎症である肝炎から生じる。ウイルス性の肝炎はさまざまな形で起こる。A型肝炎は汚水で汚染された飲み水や食べ物から感染する。B型肝炎は通常性的接触により蔓延するが、輸血や汚染された針でも感染する。B型肝炎ウイルスは同様に蔓延するAIDSウイルスよりも感染しやすい。A型肝炎とB型肝炎にはワクチンが利用可能である。C型肝炎は感染した血液との接触によって感染し、慢性的な肝炎、肝臓がん、そして死を導きうる。C型肝炎のワクチンは存在しない。
肝硬変はもう一つの肝臓の慢性的な病である。まず、肝臓が脂肪質になり、肝臓の組織が不活発で、線維性の瘢痕組織に取って代わられる。栄養不良や過剰な量のアルコール(毒物)で肝臓が破壊されるため、肝硬変はしばしばアルコール中毒者にみられる。内科医は脂肪質の多い食生活によって過体重になっている肥満の人々の肝硬変も観察した。
肝臓は驚くべき再生力を持ち、もし再生の割合が損害の割合を超えても回復できる。しかしながら、肝臓が不全な間、肝臓が自己回復するのを待つ十分な時間がないとき、肝臓移植が好ましい治療法である。肝臓は極めて重要な臓器なので、その不全は死を導く。
Regulation of Digestive Secretions
消化液の分泌は神経系と消化管ホルモンによって操作されている。食べ物を見たりにおいを嗅いだりすると、parasympathetic nervous system(副交感神経系)が自動的にgastric secretion(胃液分泌)を刺激する。また、ヒトが特にタンパク質の多い食べ物を食べたとき、胃はガストリンというホルモンをつくる。ガストリンは血流に入り、すぐに胃腺の分泌の活発性を高める。
十二指腸の壁の細胞は特定の重要性を持っている、secretin(セクレチン)とcholecystokinin(CCK)(コレシストキニン)という二つの異なるホルモンをつくる。セクレチンの放出は酸、特に糜汁のHClの存在によって刺激される。部分的に消化されたタンパク質や脂肪質はCCKの放出を刺激する。これらのホルモンが血流に入った直後に、膵臓は膵液の排出も増加させる。膵液は胃から小腸に酸性の糜汁が入る衝撃を和らげ、食物の消化を助ける。また、CCKは肝臓に胆汁の作成を増やさせたり胆嚢を縮ませ蓄えていた胆汁を出させたりしている。CCKの放出に刺激され、胆汁は脂質の消化を助ける。図9.9がガストリンやセクレチンやCCKの動きを要約している。
Figure 9.8 Accessory organs of the digestive system
a. 小腸に関係しての肝臓、胆嚢、膵臓の位置
b. 肝臓は100,000の小葉を含む。それぞれの小葉は肝臓で様々な働きをするたくさんの細胞を含む。(表9.2参照)
Table9.2 Functions of the liver
1.古い赤血球を破壊する。肝臓の生成物である胆汁の中にある、ヘモグロビンを分解した生成物であるビリルビンを排出する。
2.有毒な物質を取り去ったり代謝したりして血液の解毒をする。
3.鉄イオン(Fe2+)水溶性のビタミB12、脂溶性のビタミンA,D,E,Kを蓄える。
4.アミノ酸からアルブミンやフィブリノーゲンといった血漿タンパク質を作る。
5.食後にグルコースをグリコーゲンとして蓄える。食事しているあいだの血中グルコース濃度を維持するためにグリコーゲンをグルコースに分解する。
6.アミノ酸を分解した後に尿素をつくる。
7.何か(コレステロール)を胆汁酸塩に変え、血糖値の調節を助ける。
Figure9.9 Hormonal and regulation of digestion
胃の下部からのガストリン(青)が消化液をつくるために胃の上部に戻り刺激する。十二指腸の壁からのセクレチン(緑)とCCK(紫)は消化液を分泌させるために膵臓を、胆汁を放出させるために胆嚢を刺激する。
p180、181
9.5大腸と排便
大腸は盲腸、結腸、直腸、そして肛門管をふくみます(図9,10)。大腸は省庁よりも直径がおおきいが、(6.5cmと2.5cm)短いです。(図9.1参照)
盲腸は大腸の最初の部分で、小腸とつながっています。結腸はふつう、虫垂と呼ばれる突起物をもちます(図9.1)。人間では垂は幹線と戦うと考えられています。科学者は最近、垂は大腸で必要とされるバクテリアの数に貢献していることも提案しました。炎症を起こした垂は抗生物質として扱われたり、外科的に取り除かれたりします。
垂が炎症を起こすと、命を脅かし、膨張し、腹膜が感染する、腹膜炎となります。
結腸は体の右側を肝臓のところまで行く上行結腸、フック鵜を横切り、肝臓と胃の下を通る横行結腸、体の左側を降りる下行結腸、大腸の最後の20cmである直腸に入るS状結腸があります。直腸は肛門を開き、そこで排泄物の排泄が起こります。
大腸の機能
大腸は消化酵素を作りません。また、栄養も吸収しません。大腸の機能は水を吸収します。これは脱水を防止し、ホメオスタシス(恒常性)を保つのに大切なプロセスです。
大腸は腸内細菌叢(腸にすみ、我々を健康にする細菌)によってつくられるビタミンの吸収ができます。長年、大腸菌は結腸の主なすみかです。しかし、文化的方法は、99%以上の結腸バクテリアはほかのタイプのバクテリアと違います。大腸のバクテリアは消化できない物質を分解し、ビタミンB複合体と体で必要とされるビタミンKのほとんどをつくりだします。
大腸は排泄物をつくります。普通の排泄物の内容は水が75%と固体のごみが25%です。バクテリア、食物繊維、ほかの消化できない物質は固体のごみをつくります。消化できない物質におけるバクテリアの行動は排泄物のにおいとガスの発生をひきおこします。ステルコビリン(ビリルビンが分解されたもの)と酸化鉄は排泄物が茶色になるのをひきおこします。
※ビリルビンとは胆汁に含まれる赤黄色の色素
排便は大腸の機能でもあります。蠕動は大腸で頻度が高いわけではありませんが、おこります。しかし、それがおこるとき、排泄物は直腸へ押し流されます。排泄物は再説されるのに適当なときまで、直腸にたまります。そのとき、直腸の壁がのびることは神経衝動を促し、よくわからない
※蠕動(ぜんどう)…筋肉の収縮派が徐々に移行する型の運動、高等動物が腸の内容物をおくる運動
それ以降は、直腸の筋肉は収縮し、肛門括約筋はリラックスします。こうして排泄物は体からでます(図9.10)。人は骨格筋肉でできた外交門括約筋排便収縮することで排便を我慢することができます。わからない
結腸と直腸の障害
大腸は数々の障害を受けやすいです。それらの多くは健康的な食事や適切な衛生によって妨げられたり、悪影響を小さくされたりします。
下痢
下痢はゆるくて水を多く含んだ腸の動きによって特徴づけられます。下痢の主な原因は弱まった腸管感染と神経の刺激です。腸が感染すると腸の壁が炎症を起こしたり、蠕動が増えたりします。水は吸収されず、下痢は体内で感染したものを取り除きます。不安定な下痢では、神経システムが腸の壁を刺激し、下痢が起こります。ほとんどの人は、毎年苦しむことなく下痢を数回起こします。しかし、長く続く下痢は脱水につながります。脱水は血液中の塩分のバランスを悪くし、それは心臓の筋肉の収縮に影響し、潜在的に死につながります。
便秘
人が便秘になると排泄物は乾燥し硬くなり、排泄することが難しくなります。穀物の摂取が少なかったり、排便を我慢したりすると便秘がよくおこります。規則的に排泄物が体の外に出されないと多くの水がそれらから吸収されます。そして、排泄物は乾燥し硬くなり、体外に放出することが難しくなるのです。十分な水と食物繊維の摂取が排便を規則的にするのと助けます。お通じ薬を多くを使うことは奨励できません。なぜなら、それは普通の排泄に薬を使うことに依存してしまうからです。しかしながら、もし、お通じ薬を飲むことが必要ならば、最も自然なのはばらの薬です。(訳に自信なし)繊維のように、それは結腸の中でセルロースのかさを増やします。自然油のような潤滑油は結腸をスムーズにします。酸化マグネシウムの牛乳のような塩辛いお通じ薬は水が吸収されるのを妨げることで浸透するように働きます。いくつかの潤滑油は刺激性であり、蠕動を増やします。
慢性の便秘は痔と結び付けられます。肛門で欠陥が肥大し、炎症を起こすのです。痔が起こるほかの理由は妊娠、老化、性交です。
憩室症
9.1で述べたように、憩室症は食物が集められる粘膜の小さな嚢の発生です。粘膜が筋層で弱い部分を押されることによって、嚢は形成します。即ある場所は下行結腸の最後の部分です。
過敏性腸症候群
9.1で述べたように過敏性腸症候群(IBS)は異常に筋性が強く収縮してしまう状態です。これにより腹部痙攣、おなら、便秘、勢いの良い便といった症状がでます。
炎症性腸疾患
炎症性腸疾患は数ある炎症性病気の集合的な名前です。潰瘍性大腸炎は大腸と直腸に影響し、下痢、下血、腹部痙攣、異常に排便したい気持ちを引き起こします。クローン病は普通、小腸とはかけ離れていますが、結腸と直腸を含む消化管のどの場所にも影響を及ぼしうるのです。クローン病は…訳せない。潰瘍は痛みを伴い、出血を引き起こします。なぜなら、それらは神経と血管がある粘膜下の層をむしばむからです。これはクローン病の影響を受けた部分で栄養を吸収するのを不可能にします。クローン病の症状は下痢、体重低下、腹部痙攣、貧血、出血、栄養不良をひきおこします。
ポリープと癌
結腸はポリープを作りやすいです。ポリープは害があるかないかに関わらず、外科的に取り除くことができます。もし、結腸癌が見つかり、ポリープにくっついていたら、完治することが望まれます。National Cancer Instituteは1年間に96000件以上の新しいケースの結腸と直腸の癌がアメリカで診断されていると推定しています。食事脂肪が結腸癌の可能性と高めると考えている研究者もいます。なぜなら、食事脂肪は胆汁の分泌を促すからです。腸内バクテリアは胆汁酸塩を癌の発達を促す物質に変える可能性があるからです。食物繊維は結腸癌の発達を抑制するようです。規則的なeliminationは結腸の壁が排泄物内の癌を促す物質にさらされる機会を少なくします。
これらのすべて病気に使える診断は結腸内視術と呼ばれる内視鏡検査です。結腸内視術ではカメラをもつ柔軟な管が胃腸管に差し込まれます(一般的には肛門から)。そのあと、医師が結腸の長さを診断し、同時に組織のサンプルをさらなる検査のために採取します。しかし、これは徐々に飲み込み型のカメラに置き換えられてきています。
9.6 Nutrition and Weight Control
LEARNING OUTCOMES
この節を終えれば以下のことができるようになる。
1 BMI指数を計算し、健康との関係を説明する。
2 人体におけるそれぞれの栄養段階の役割がわかる。
著しく太っている状態であるObesity[肥満]はアメリカにおいて最も大きな健康問題の一つとなっている。Centers for Disease Control and Prevention(CDC)によると、だいたい大人の36%、子どもの17%が肥満であるとされている。こうした統計は大きな関心事である。なぜなら余分な脂肪は早死、2型糖尿病、高血圧、循環器系の病気、脳卒中、胆のうの病気、呼吸器の機能不全、骨関節炎、ある種の癌といったことへの危険性を高めるからだ。
Healthの記事、「Searching for the Magic Weight-Loss Bullet」では体重を制限するために人々が試してきた様々な方法が説明されている。結局、健康的な体重を手に入れ、維持するためには様々な健康にいい食べ物を食べるだけでなく、運動をする必要がある。つまり肥満化の流れを変えるためには、賢く食べ物を選ぶことで摂取するカロリーを減らし、活動的になる必要がある。
Defining Obesity[肥満の定義]
現在、肥満はbody mass index(BMI)が30以上であるとしてよく定義される。BMIでは体脂肪率の一般的な概算をするために身長と体重を用いる(Fig.9.11)。BMIはポンド単位での体重を、インチ単位での身長の二乗で割り、変換要素の703を掛けることによっても計算されうる。
(図は省略)
ほとんどの人は表(Fig.9.11)またはいろいろあるオンラインの計算機のうちの一つを用いた方が簡単だと思うだろう。一般的な基準として、
(図は省略)
BMIによって体重のどれほどが脂肪組織、俗にいう脂肪によるものかを知ることができる。一般的に身長が高ければ、脂肪によるものでなくても体重が重くなりうる。このようにしてBMIを使用することはほとんどの人にとって有効である。とくに座りがちな人であればなおさらである。だがしかしBMI指数は一般的な規準としてのみ使用されるべきである。これは健康や骨格、性別を考慮していない。例えば重量挙げ選手はBMI指数が肥満であるとなるかもしれない。しかしそれは体脂肪の量のためでなく、骨や筋肉の重さが増したためである。
Classes of Nutrients[栄養素の種類]
栄養素は体内で生理学的機能を果たす食物の不可欠な構成要素と定義できる。栄養素は私達にエネルギーを与え、成長や発達を促進し、細胞における代謝を調整する。
BIOLOGY MATTERS Health Searching for the Magic Weight-Loss Bullet (P183)
「多様な食物を食し、自身の体重を鑑み、運動せよ」というのは体重を減らす魅力的な方法であるとはあまり思われない。しかも大衆にこのメッセージを売りにして多くの金を儲けることはできない。体重を減らす魔法の弾丸をいつでも探し求める大衆がとても多くの解決法を提供され、結局肥満になったということは疑いようもない。しかもそうした解決法のほとんどは健康的でない。それらは流行のダイエットプログラム、新しい処方薬、さらには手術さえも含んでいる。後者2つの選択肢は低カロリーの食事や定期的な運動を試したものの、体重を減らすことに失敗した人々のためのものである。処方薬は医師のアドバイスのもとでのみ使用されるべきである。もちろん手術は医師によってのみ行われる。
Trendy Diet Programs[流行のダイエット法]
肥満に対する様々なダイエット法は長年いたるところにあった。これらは近年騒がれているものである。
The Pritikin Diet
このダイエットではすべての穀物や野菜から多量の炭水化物や繊維を摂取することが推奨される。こうした食事は脂肪がとても少なく、ダイエットをしている人が「健康にいい」脂肪を十分に摂取できなくなるかもしれない。
The Atkins Diet
このダイエットは炭水化物をあまり摂取しないため、The Pritikin Dietとは正反対のものである。これはより多くのタンパク質や脂肪を摂取すれば、蓄えられていた体脂肪が燃焼し、体重が減少するという想定に基づいたものである。多くの人がThe Atkins Dietは恒常性へは深刻な脅威であると考えている。The Atkins Dietにより人体は血糖値を維持するために緊張し、脂肪の分解が血液のpHを下げ、タンパク質の分解による窒素の排出は腎臓を緊張させる。
The Zone Diet and the South Beach Diet
The Atkins Dietへの反応として、これらのダイエットは「健康にいい」脂肪を推奨し、糖が少ない炭水化物の摂取を認めている。つまりこうしたダイエットは再び「多様な食物を食し、自身の体重を鑑み、運動せよ」を繰り返している。
The caveman dietのことを聞いたことがあるかもしれない。The caveman dietは農耕を始める前の人間の食事をまねする。肉や魚、果実、野菜の消費を推奨する。栄養士によれば、もし生活様式を急激に変えたくないのであれば、食事から脂肪を「流し去る」ことができる。彼らはトウガラシやマスタード、シナモン、緑野菜、オメガ3脂肪酸を豊富に含む魚といった特定の食物を摂取することで代謝を高め、体脂肪を減らすことができると主張する。Brigham Young Universityの教授によると、絶え間ないダイエットへの治療法と、適正な体重へのカギは自分自身の体に尋ねることである。1から10までの、1が空腹で10が満腹の空腹度を用いれば、3から5までに維持すれば、食べる量が減る。不幸なことにそのような分別のある意見はまだ人気がないようだ。
Prescription Drugs[薬の処方]
肥満は病気であると分類されるため、薬産業は体重を減らす手助けをする製品を活発に開発している。心臓の問題の原因となりうるヘンフォンの製薬会社を相手取った訴訟にも関わらず、新たな薬の臨床実験が行われている。すべてが成功しているわけではない。たとえばリモナバンは脳の快感リセプターを阻害すると考えられていたが、神経の複雑さのためアメリカの市場に出回ることはなかった。シブトラミンと呼ばれる他の薬が脳卒中や循環器の問題の割合を高めることにつながり、市場から撤退した。
Burning Calories[カロリーの燃焼]
運動は体重を減らす努力の一部であるべきである。身体の教育課程にかける予算の削減に関わらず、多くの学校では、子供の肥満と戦う努力の中で、生徒の活動を増やす教育課程が開発されている。しかしながらアメリカの10代の4分の3の生徒は健康のために必要な運動に参加していない。研究者によると、少なくとも毎日10000歩が体重の維持と健康のために必要である。1日の歩数は毎日30分の運動とだいたい等しい。ほとんどの人が1日10000歩という目的に達するために歩く量を増やす必要があると思っている。日常に歩数を加える簡単な方法がいくつもある。会社や店から少し離れたところに車をとめなさい。エレベーターの代わりに階段を使い、食後は歩きなさい。もし目的が体重を減らすことなら、毎日12000から15000歩は歩きなさい。
p184
炭水化物
炭水化物は2の4章のように単純でもあり、複雑でもあります。グルコースは単糖でエネルギー源として、体に好まれます。多糖を含む複雑な炭水化物はグルコースに分解されます。体は脂肪酸をエネルギー源として使えるにもかかわらず、脳細胞はグルコースを必要とします。この理由だけで、食事に炭水化物を含むことは必要です。なぜなら、体は脂肪酸をグルコースに変えることができないからです。パン、ケーキ、クッキーのような精製された穀物からできたものはなんでも食事の中で最小化されるべきです。なぜなら、食物繊維、ビタミン、ミネラルが穀物から取り除かれ、最終的には構成成分が主にでんぷんとなってしまうからです。これとは対照的に豆、エンドウ、ナッツ、果物、全粒のもののような複雑な炭水化物を含む食べ物はビタミン、ミネラル、食物繊維の良い摂取源として、推奨されます。不溶性の食物繊維は大便にかさを増やし、大腸の運動を活発にし、便秘を予防します。可溶性の食物繊維は小腸の胆汁酸塩やコレステロールと結びつき、それらが吸収されるのを妨げます。
炭水化物が有害となることがあるのでしょうか?
精製された炭水化物とトウモロコシでんぷんから加工されたフルクトース甘味料の多量摂取がアメリカでの肥満につながっていると栄養学者たちは認識しています。それに加えて、これらの食べ物は高い血糖指数を持つと言われています。ねぜなら、それらはすぐに血糖を上げるからです。血糖値が素早く上がると、膵臓が過量のインスリンを分泌し血糖値を調節できるまでに下げようとします。慢性的にインスリン量が多いことはインスリン抵抗性と脂肪沈着につながります。脂肪沈着は冠動脈の心臓病、肝臓病、様々な種類のがんとかんれんがあります。表9.3にはどのように食事の等の摂取を減らすかについて言及しています。
たんぱく質
食物性たんぱく質はアミノ酸に分解され、それを細胞は何百ものたんぱく質に再合成する。20のアミノ酸のなかで、8つは必須アミノ酸であり体内で合成できないので食事から接種する必要がある。そして他2つは体内で十分には合成できない。卵、乳製品、肉、家畜の肉、そして動物由来の他の食べ物は8つの必須アミノ酸を含んでおり、完璧もしくは高水準のたんぱく質源である。またマメ科植物、野菜の他の種類、種、ナッツ、そして穀物もたんぱく質源である。しかし、これら単体では不完全なたんぱく質源であり、それは少なくともひとつのアミノ酸が欠如しているからである。一つの必須アミノ酸の欠如は他の19種類のアミノ酸の利用を妨げる。したがって、ベジタリアンはすべての必須アミノ酸をとるために、複数の不完全な植物製品を組み合わせる。豆腐、豆乳、他の大豆から作られた製品は完璧なたんぱく質源である。バランスのよいベジタリアンの食事は少ない知識と計画で可能である。
日常的な必須アミノ酸の接種は必要であり、それは体内に蓄えることが出来ないからだ。一方その他のアミノ酸はたんぱく質の形で蓄えられ、必要なときに代謝することができる。しかし毎日の必要量を満たすためにたくさんのたんぱく質をとらなくてもよい。一日に2切れの肉(一切れはカードの大きさくらいで)で普通は足りる。
たんぱく質は有害か
肝臓はアミノ酸に含まれている窒素を取り除く。これを尿素に変えることで肝臓は有害な窒素を私たちの体から取り除く。しかしこの行程には大量の水が必要となる。よってたんぱく質が多量に接種されれば水不足が起こる。高たんぱく質の食事は(特に動物性)体内のカルシウムの量を尿で減らす。カルシウムの排泄は腎臓結石を引き起こし、骨をもろくさせる。ある種の肉、特に赤い肉は飽和脂肪酸が多いことで知られる。他のたんぱく質源例えば鳥、魚、卵は飽和脂肪酸が少ない。セクション5.7で述べたように、過度な飽和脂肪酸の接種は心臓血管の病気の要因となる。
Lipids(脂質)(P186)
脂肪質や脂肪油やコレステロールは脂質である(2.5節参照)。室温で固体の飽和脂肪はたいてい動物由来である。二つのよく知られた例外がパーム油とココナッツ油であり、主に飽和脂肪酸を含み、植物由来である(図9.14)。バターや肉に関する脂肪(ステーキやベーコンの上の脂肪)は飽和脂肪を含む。
脂肪油は心血管の病気を引き起こさない不飽和脂肪酸を含む。トウモロコシ油とベニバナ油は高度不飽和脂肪酸を多く含む。高度不飽和脂肪油は体が作ることのできないリノール酸とリノレン酸含む唯一の脂質である。これらの脂肪酸は食事によって供給される必要があるので、essential fatty acids(必須脂肪酸)と呼ばれる。
オリーブ油とカノーラ油は他の調理用油よりも大きな割合の一価不飽和脂肪酸を含んでいる。三番目の炭素-炭素結合に二重結合を含むω-3脂肪酸は脳の機能を保存し心臓病から守ると信じられている。アマニンは大量のω-3脂肪酸を含む。サケ、サーディン、マスのような寒海の魚もまた非常に優れた供給源である。
Can Lipids Be Harmful?
心血管の病気の危険性は飽和脂肪やコレステロールの多い食事によって増加する。飽和脂肪は血管の内側のアテローム性動脈硬化症を原因とする病変の形成の一因となっているこれらの病変はアテローム斑と呼ばれ、これらの血管を通る血液の流れを制限する(5,7節参照)コレステロールは血液中を二つの輸送タンパク質によって運ばれる。高比重リポタンパク(HDL)と低比重リポタンパク(LDL)である。HDL(良性のリポタンパク)によって輸送されたコレステロールが代謝される肝臓に行き着く。LDL(悪性のリポタンパク)によって輸送されたコレステロールは組織に沈着する。アテローム斑はHDLの値が低いときやLDLの値が高いときに形成される。推奨されているHDLとLDLの値は飽和脂肪やコレステロールの少ない食事によって回復できる。
トランス脂肪酸(トランス脂肪)は固体の脂質を作るために不飽和脂肪酸が水素添加されたときに生じる。細胞膜の受容体の血流からのコレステロールを取り除く機能がトランス脂肪によって弱まり、結果として高い血中コレステロール値になるかもしれない。トランス脂肪はクッキーやクラッカーのような商業的に包装された商品に見られる。残念なことに、電子レンジ用のポップコーンなどのほかのスナック菓子もまたその源である。部分的に水素添加された油やショートニングを含む包装された商品に気を付けましょう。特集記事のHealthの”Trans Fats and Food Labels” でこの問題を詳しく見ている。家庭料理や家庭での製パンに使われるいくつかのマーガリンは水素添加された野菜油を組み込んでいる。いくつかのファーストフードチェーンからのフライドポテトのような商業的な揚げ物は健康的な食事という点では厳しく制限されるべきである。美味しいけれども、それらはしばしば多くのトランス脂肪を含んでいる。表9.4がどのよう食事の飽和脂肪やコレステロールを減らすかを示している。商業的に生産された低脂肪の食べ物に頼るのは良い考えではない。ある商品では、砂糖の代わりに脂肪や、タンパク質や、その他の物が使われているからだ。
Figure9.14 Saturated and unsaturated fatty acids
この説明図は脂質や油の選択に応じてのコレステロールと飽和脂肪と不飽和脂肪の割合を示す。
MP3 Lipids
油の中にあるような不飽和脂肪は心血管の病気を導かず好まれる。脂質や油は炭水化物やタンパク質より多くの質量に対する熱量を持つ。
Minerals【無機物】
ミネラルは主要なミネラルと微量なミネラルに分けられる。主要なミネラルは1日に100mg以上の量が必要で、微量なミネラルは1日あたり100mg以下でも十分である。表9.5は重要なミネラルとその機能、食料源がまとめられている。
主要なミネラルは細胞と体液の構成成分であり、組織の構造的構成要素である。 微量なミネラルはしばしば大きな分子の一部である。たとえば、鉄はヘモグロビン中に存在し、ヨウ素は甲状腺で作られるホルモンの一部である。亜鉛、銅、マンガンは様々な反応において触媒作用を及ぼす酵素中に存在する。調査が進むにつれて、多くの元素が必要とされる微量なミネラルのリストに加えられているたとえば、過去30年間でごく微量のセレン、モリブデン、クロム、ニッケル、バナジウム、ケイ素、ヒ素までもが健康のために必要だとわかってきている。表9.5は重要なミネラルの欠乏による影響と毒性を示している。
場合によれば、人は十分な鉄分(特に女性)、カルシウム、マグネシウム、亜鉛を食事において摂取しない。毎月の月経中にヘモグロビンを失うため、成人女性は食事で男性より多くの鉄分を摂る必要がある。(男性8~11gに比べて、女性8~18g)ストレスはマグネシウムの欠乏を引き起こしうるし、菜食はその繊維質のために亜鉛不足を引き起こす可能性がある。しかし、多様であり完全な食事はいつもそれぞれのミネラルを十分に供給する。
Calcium
カルシウムは骨や歯の構成に必要な主要ミネラルであり、神経伝導、筋肉収縮、血液凝固にも必要である。多くの人は骨粗鬆症【osteoporosis】(アメリカの高齢男性の4分の1、高齢女性の半分を苦しめていると見積もられている変形性骨疾患)を防ぎ、阻害するためにカルシウムのサプリメントを飲む。骨粗鬆症は、破骨細胞と呼ばれる骨を食べる細胞が、骨芽細胞と呼ばれる骨を形成する細胞よりも活発になるために進行する。それ故、骨が多孔になり、カルシウムが不足するため、骨が折れやすくなる。カルシウム必要摂取量は年齢によって異なるが、一般的に男女ともに1日1000mgが推奨されている。女性は50歳以上、男性は70歳上で1日1200mgに増加する。多くの人にとって、カルシウムのサプリメントは彼らの基準量を獲得するために必要となる。
痩せ型で骨粗鬆症の家族歴を持つ白人女性は発病する危険性がとても高い。喫煙者や毎日9杯以上のカフェイン入りの飲み物を飲む人も危険性が高い。ビタミンDは骨粗鬆症を防ぐのに不可欠な、カルシウムの相棒である。その他のビタミンもまた有用である。たとえば、マグネシウムは骨量の減少につながるサイクルを抑制することがわかってきた。十分な量のカルシウムとビタミンの摂取に加えて、運動もまた骨粗鬆症の予防を助ける。薬物療法は、骨格量の増加に伴う骨量の減少の速度を緩めることで骨粗鬆症を予防する。
p188-192 やたかゆりな
ナトリウム
ナトリウムは体内の水分バランスを保つめに重要な役割を果たしている。塩化物イオンがそうであるのと同じように。ナトリウムは細胞膜にある物質の運動や神経の刺激の伝達において重要な役割を果たしている。推奨されているナトリウム摂取量は一日当たり1500㎎だが、アメリカ人は平均3400mg以上の食塩を毎日摂取している。この不均衡は問題を引き起こしてきた。なぜなら食塩に含まれているナトリウムは血圧を高めるからである。我々が消費している食塩の約3分の1はもともと食物に含まれている。さらに3分の1は商品に加工される過程で追加される。さらに3分の1は料理する過程で、または食卓塩によって食卓で追加される。
明らかに、食事においてナトリウムの量を減らすことは可能である。表の9.6がそのようにすることを推奨している。
ビタミン
ビタミンは有機化合物である。(その他の有機化合物は、炭水化物、脂質、タンパク質である。)これらは体が代謝のために用いるものであり、体内で十分な量を生産することが出来ない。多くのビタミンは酵素を手助けする補酵素タンパク質である。たとえば、ナイアシン補酵素NADの一部であり、リボフラビンは脱水酵素FADの一部である。(チャプター3で論じられている。)補酵素はごく少量しか必要でない。なぜなら各々は何度も何度も繰り返し用いられるからだ。すべてのビタミンが補酵素という訳ではない。たとえば、ビタミンAは、夜盲症を防ぐ視色素の代表である。もしビタミンが食事において欠乏すると、様々な症状が発露する。13のビタミンがあり、脂溶性と水溶性に二分される。脂溶性と水溶性の違いは化合物が体内に吸収される方法や、細胞との関わり方や、細胞内にどのように蓄積されるかと関係がある。
抗酸化物質
過去数十年間に渡って、多くの統計によって果物や野菜に富む食事は癌を予防すると決定付けられた。細胞内代謝によってフリーラジカルが発生する。これは余分な電子をもつ不安定な分子である。細胞内で最も一般的なフリーラジカルは活性酸素や水酸化物である。安定化するために、フリーラジカルはDNAやタンパク質(酵素を含む)や脂質に電子を渡し、それが細胞膜上に確認される。この電子の受け渡しはしばしば細胞分子にダメージを与え、その結果、細胞の機能が崩壊してしまう。もちろん癌も含めて。
ビタミンCやEやAは体をフリーラジカルから守ると信じられており、その結果抗酸化物質と言われている。これらのビタミンは特に果物や野菜に豊富に含まれている。食事ガイドラインでは毎日果物と野菜の消費量を増やすことを推奨している。この目標を達成するため野菜サラダや、調理された野菜、ドライフルーツ、フルーツジュース、りんごやみかんなどの果物といった観点から考えてみよう。
サプリメントは癌や心血管系の病気の潜在的な保護要因にはなる。果物や野菜から栄養をとるよう心掛ける代わりにサプリメントで摂取するべきではない。ビタミン剤には含まれていないたくさんの有用な成分が食べ物には含まれている。これらの食べ物は生体機能の吸収作用やパフォーマンスを高めてくれる。
ビタミンD
皮膚細部は、紫外線に暴露した時ビタミンDに変わるコレステロール(カルシトリオールの間違え?)前駆体分子を含んでいる。ビタミンDは皮膚に残り、最初に腎臓に送られ、その後に肝臓に行き、最終的にカルシトリオールになる。カルシトリオールは強烈にカルシウムの吸収を促進する。カルシウムのサプリメントを摂取した時に、ビタミンDのサプリメントも摂取するのが良い。ビタミンDが欠乏すると子供のくる病を引き起こす。この病気は足が折れ曲がっていることに特徴付けられ、骨のミネラル不足によって引き起こされる。多くのミルクにはビタミンDが加えられており、これがくる病の発生を防いでいる。
栄養ある食事を計画立てる方法
多くのアメリカ人の深刻な不調は体脂肪の過多による食事と関係している。遺伝子は肥満の要因ではあるが、必要以上にカロリー摂取しなければ肥満にはならない。人間は基本代謝のためにカロリーが必要である。基礎代謝とは通常体の機能を維持するために、体内で燃焼されるカロリー量である。人間はさらに運動のためのエネルギーが必要である。少ない運動であればあるほど必要なカロリー量は少なくてよい。だから、ダイエットの計画の第一ステップは、食事のカロリー量を一日に使うであろう量に限定することである。すべての必要なカロリーを計算してみよう。女性ならば一日に摂取してよいカロリーの最高値は、2000である。男性であれば約2500カロリーの摂取であれば太らないで済む。
アメリカの農林水産省でつくられた新たなガイドラインはマイプレートと呼ばれている。(表9.15参照)このグラフは古いピラミッドに代わるものである。なぜなら新しい方が多くの人が理解しやすいからである。食事にどれだけのカロリーを配分すべきか決定するのに役立つものである。マイプレートは毎日摂取すべき各々のグループの割合を強調している。それに加え、農林水産省は各々のグループの推奨される最小量も提示している。一般的に、
・多くの種類の食べ物を食べるべきである。すべてのグループの食べ物を含む食事を摂取すべきである。
・少なくとも下記の食べ物は食べるべきである。
果物、野菜、穀物類、無脂肪もしくは低脂肪乳製品。緑黄野菜や葉物野菜を選ぶべきである。乾燥豆やえんどう豆は良質な食物繊維源であり、蛋白源である。じゃがいもやとうもろこしは制限すべきである。穀物を食べるときは玄米やオートミールや全粉パンなどの全粒性のものを選ぶべきである。そしておやつやトッピングには、砂糖の代わりに果物を用いるべきである。
・鶏肉の代わりに赤肉を選び、サーモンやトロやニシンのようなオメガ3脂肪酸を多く含む魚を適量摂取すべきである。不飽和脂肪酸や一不飽和脂肪酸を多く含む油も摂取すべきである。
・飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を含む食品に加え、砂糖やコレステロールや塩やアルコールは避けるべきである。
・毎日運動すべきである。もし減量が必要ならば十分な栄養を保ったまま徐々にカロリーを減らし、運動量を増やすべきである。
摂食障害
摂食障害の人は自分の体の見た目に満足していない。社会的、文化的、感情的、生物学的なすべての要因が摂食障害の発症に関わっている。肥満、拒食症、神経性過食症といった深刻な状態は栄養失調や障害、死をももたらす。摂食障害か如何に関わらず、早めの診断と治療が重要である。
神経性拒食症は、太ることはの非合理的な恐怖によって特徴付けられる深刻な精神的な不調である。患者は健康的な体重を維持するのに必要な量の食事を摂取することを拒む。自ら課す過度の食事制限によるダイエットは、しばしば一時的な過食を行い、それを帳消しする行動をしたり、体重を増やさないために過度な運動をしたりする。過食はしばしば高カロリーな食品を含み、それを帳消しにするために自分で吐いたり、下剤の乱用をすることが多い。神経性拒食症に悩むのは90パーセントが若い女性である。若い女性の200人に1人が患者である。
神経性拒食症の患者の患者は過食をし、体重増加を避けるためそれを帳消しにする行動をする。
過食と帳消しのサイクルは一日に何回も行われる。過食症の患者を特定するのは難しい。なぜなら彼らの体重は平常であり、過食と帳消しを隠そうとするからであう。女性は男性よりも過食症になりやすい。若い女性の4パーセントが過食症に悩んでいる。
その他の異常な過食には、やけ食い症候群や自分の体が貧弱と思い込む症候群がある。これらは、帳消し行動なしの過食によって特徴付けられる。ストレスや不安や怒りや抑うつによって過食は引き起こされる。自分の体が貧弱と思い込む症候群の患者は自分の体が発達していないと思い込む。体を作るための活動をし、食事に夢中になる。毎日、何時間もジムで過ごし筋力を強化する機器で訓練する。神経性拒食症や過食症と異なって、この症候群は女性より男性の方が多い。
9.3 summarize
- 胃【stomach】は拡大し、食べ物を蓄え、胃酸と食べ物をかき混ぜる。胃には食べ物を混ぜるときの補助となる、平滑筋の斜めの筋層【oblique layer】や襞【rugae】と呼ばれるくぼみがある。胃腺【gastric glands】はタンパク質を消化する酵素である、ペプシンを含む胃液を製造する。胃を離れるときの内容物は糜粥【chyme】と呼ばれる。
- 小腸【small intestine】の十二指腸【duodenum】は肝臓から胆汁、膵臓から膵液をそれぞれ受け取る。胆汁は脂肪を乳化し、リパーゼにより脂肪が消化されるための準備を整える。
- 膵臓はデンプン(アミラーゼ)やタンパク質(トリプシンのようなタンパク質分解酵素)、脂肪(リパーゼ)を消化するための酵素を生成する。腸の酵素が化学的な消化を完了させる。
- 小腸の刷子縁酵素が消化行程を完結させる。小さな栄養分子は小腸壁にある、絨毛【villi】や微絨毛【microvilli】で吸収される。栄養は循環システムの毛細血管と、リンパシステムの乳糜管【lacteal】に入る。乳糖不耐症【Lactose Intolerance】は小腸のラクトース酵素が欠失しているときに発病する。
最終更新:2016年05月12日 21:31