新・HNリレー小説 【5スレ目】
1 名前:ハバネロ 2009/02/23 20:49 ID:vVaJ3.sS
「THEBBS」、2ch式「新・HNリレー小説(仮)」を経て―
HNリレー小説スレはしぶとく残存していた!
人と人が、人と人ならざる者が闘う時、渦中の者達は何を見て、何を思うのか。
彼らは何故闘うのか?
それは金のため、誇りのため、主のため、組織のため、仲間のため、平和のため、暇つぶしのため、誰かのため、自分のため、「何か」のため―。
それは移ろいやすく、不確かなものである。しかし、闘いの意義を自分に問い、答えることができたならば。
「……人間諸君に問う。君らは何の為に闘っているのかな?」
2 名前:アス 2009/02/24 16:05 ID:bMUwQ8J.
「いや~ついにここも五章か…」
エマは、何かを悟ったかのように断言する。
「そのうち3と4は強制終…」
ぼこっ。アスカが何かを言おうとしてモップで殴られる。
「…何をする。」
アスカがエマをにらむ。
「ふっふっふ・・・君は今言ってはいけない事を言おうとした。だから私が粛清してやったのだ。」
エマがニヤニヤ笑い、アスカはため息をついた。
3 名前:ハバネロ 2009/02/24 18:21 ID:q.Eu5Bjy
そのころ、アリスはヒルダに頭を洗われていた。
「痒い所ないですかー?」
「ない」
やや昔に風呂もシャワー室に追加されたので、正確に言えば浴室だが名前はシャワー室のままである。
その湯船は何本もカベに据え付けてあるシャワーの群れの隣に控えめに鎮座して湯をたたえている。
「……誰でしょうか?」
ヒルダは勘が比較的良い方であるので、アリアと茶々の気配に気づく。アリスの頭を洗ったまま首だけ振り向く。
「どちら様でしょうかー?女性の方だったら遠慮しないで入ってきていいです。こっちはかまいませんのでー」
4 名前:八神 2009/02/24 22:13 ID:j6gIk6F/
>>3
「それじゃ、入らせてもらいますね……」
「……失礼する」
一糸纏わぬ姿のアリアと茶々がシャワー室へと入って来る。結局、今七星が一緒じゃないんじゃ意味無いじゃんという現状に行き着いて、二人とも先程までのやり取りの不毛さに嫌気がさしていた。
そんな表情も先程の論争を知らぬ者には悩ましい表情に思えたかもしれない。
5 名前:ハバネロ 2009/02/24 22:46 ID:q.Eu5Bjy
>>4
「こんにちはです。お客さまですか?
一応名前教えておきます、私はヒルダ。この子はアーデルハイドって言います。アリスちゃんって呼んでほしいのです」
ヒルダは穏やかに挨拶する。アリスは依然、無表情のまま頭を洗われている。
(……血のにおい。)
アーデルハイドは二人を少し見るが、視線を前方へ戻す。
否が応にも、バーナードが、アレイスターが殺された事を思い出す。
「二人とも、戦場のにおいがします。
……懐かしいにおいですけど、二人とも早く体を洗えばいいと思いますよ?」
ヒルダは笑顔で奨めた。
6 名前:八神 2009/02/24 23:24 ID:5CQKoDs7
>>5
「ヒルダさんとアリスちゃん、ですね。私はアリア。こっちの大女は茶々です」
「世話をかけるの」
二人は蛇口を捻り、ちょうど良い温度になるのを待つ。
「こういう臭いって……やっぱり、判る人には判るものなんですね」
アリアはぽつりと呟いた。
7 名前:ハバネロ 2009/02/24 23:37 ID:q.Eu5Bjy
>>6
「ええその、私は戦場暮らしでしたから」
ヒルダは苦笑する。アリスの頭の泡が飛散して、床に墜ちたものは排水溝に吸われていく。
「といっても、銃を持って鉄火場に出張っていたわけじゃなくてですね、
どっちかっていうと、補給とか通信とかバックアップ側でしたけどね。
覚えてますです、血と弾丸の火薬の―」
「血はきらい」
アーデルハイドは言葉をさえぎるように呟いた。
「……ごめんなさいです、アリスちゃん。ごめんなさい」
「うん」
ヒルダはアリスの頭の泡を洗い流す。湯がアリスの頭を叩く。
「あう、あの、あんまりその……詮索するつもりはないんですけど、
お二人はどういった関係で?」
洗い流しながらヒルダはおずおずと尋ねた。
8 名前:八神 2009/02/24 23:56 ID:j6gIk6F/
>>7
「……私達の関係、ですか?」
「関係、と言われてものぅ……」
二人は考えた。どう言い表せば1番いいのか……。
「一人の男の寵愛を競いあう間柄、とかかしら……」
「……ハーレム構成員、というやつなのかの……?」
どう聞いても不穏当だった。
9 名前:ハバネロ 2009/02/25 10:41 ID:WUvDLSXq
>>8
「そうなんですかー、素敵ですー」
ヒルダはアリスの背中を流す。
「はーれむ?」
「あああ、アリスちゃんには早い事柄です」
「アラブの方々?」
「いいいい、一夫多妻制って意味じゃないと思います、あうー」
沈黙。
「ねえヒルダ。この人たちは悪い人たち?」
「悪い人ならこんな所には来ないです」
†
八神サイド。
「また八神か?」
「らしいですぜ」
局長は、困ったモノだとばかりに腕を組む。
そしてハバネロは恐怖していた。
あんなヤバい女と知り合いなのかよ八神は……ヤバいんじゃないんか?
イヤ待てよ。要するに敵対しなけりゃいいだけの話……
八神に良くしていりゃあちらも襲ってはきまい……
10 名前:アス 2009/02/26 16:46 ID:khNC.j.K
「さて、どうするか…」
アスカは、歩きながら考え事をする。
えいなの事を、考えながら。
アフリカ ジャセス施設
「『管理者遺伝子保持者』確保いたしました。」
月を模した模様の仮面をかぶった人間が、アルスに報告する。
「それでは、次のフェイズヘ移行しましょう。」
11 名前:西涼の錦 2009/02/26 18:00 ID:a69E5lty
クリスはとりあえず、隼人の所に泊めてもらっていた(カイルは別の場所)
「最近、他の組織の動きがよく、あるわね…」
クリスはパソコンをいじくりながら、呟いた。
「多分、ナイアが裏でこそこそやってんだろ…。
前に戦った奴なんか、ナイアの依頼であんなことをしてた、らしいし…」
と隼人はクリスに言った
「なら、そいつらをマークね…また、ラッパ依頼を頼むかもしれないし…」
12 名前:ハバネロ 2009/02/26 21:54 ID:q0vDnsD0
さて、ナイアはなんと大胆不敵なことに、駅前の広場に佇んでいた。
そこでは、終末主義者による集会が開かれていた。
「…………」
ナイアは特にニヤニヤするわけでなく、集会ではなくむしろ、行き交う一般市民に目を向ける。
(……そろそろ行動の開始の時間だ。
ヴィジョン氏か、そのお仲間でも通りかかってくれれば良いのであるが……
そうでないと、計画にちょうどいい人材を確保しなければならなくなる)
13 名前:Ⅳ 2009/02/27 00:51 ID:fPi/QlLJ
日が沈み空が暗くなる頃、街灯に照らされる公道を一台の車が走り抜ける。
黒塗りスモーク仕様のロールスロイスファントム、黒田の依頼を終えあとは帰るだけのはずのヘンリーご一行+Ⅳである。
そう、後はアメリカにⅣを帰すはずの彼等なのだが・・・
「・・・相変わらず甘い人でありやがりますね貴方は・・・」
「・・・そろそろ言われると思ったよ。」
車は空港のほうではなく何故か蓮田高校に向かっていた。
「はァ・・・お人よしと言いやがりますかなんと言いやがりますか・・・たまに思いやがりますよ・・・
『義士』という異名は私よりも貴方のほうがふさわしいのではありやがらないかと・・・」
「そうでもない。こんなお人よしの頼みに付き合ってくれるお前も立派な『義士』だよ。
俺のはお人よしって言うかなんというか・・・後ろめたさから来てるんだろうな・・・これは。」
自嘲するようにⅣは笑うと、ゆっくりと懐から出した写真に目を移す。
写真に写る4人の笑顔、米国で撮ったこの写真の出来事がついこの間のことに感じながら・・・Ⅳは写真に写る自分の隣の少女を眺めて言う。
「やっぱりさ・・・歳が近いせいかな・・・この娘と居ると春香のことを思い出してさ・・・
この笑顔も結構無理してるんだぜ?」
「・・・」
「それにさ。『仲間』って言った以上はやはりそれらしいことをしてやりたいんだよ。
春香にもこの娘にも・・・もう俺は傍に居てやれないんだから・・・」
「・・・」
『義士』は何も返さない。ただただ彼は隣に座る友の懺悔を聞く。
そうしているうちに目的の場所に着いて彼はやっと口を開いた。
「着きやがりましたよ。」
「・・・ああ。ありがとう。」
校門の前に車を止め、後部座席からⅣは一人降りる。
目的の人物は恐らくまだ此処に居るだろう。
「アブドゥル・アルハザード・・・」
14 名前:ハバネロ 2009/02/27 17:24 ID:jV50qe1D
「もしもし? ……ああ、そうだ。外交課の森岸だよ。
アブドゥルを確保した。ナチ野郎もおまけにくっついてはいるけどね」
「……誰に連絡を取っているんだ?」
訝しげに尋ねるアブドゥルに、森岸は電話を置いて暗めの笑顔で答えた。
「あなたはナイアルラトホテップについて知っているな?
我々の計画、いや……捕獲作戦と言ったほうがいいかな。
協力してもらう」
「捕獲だと?」
「ナイアルラトホテップの捕獲計画さ。 ―あれには研究するだけの価値がある! 今までにない躍進を遂げるだろうね、フリーメーソンは」
「……なッ」
アブドゥルは声も出ない。根本的な誤解をしている、あれは人の手に負えるものではないのに。
15 名前:Ⅳ 2009/02/27 18:44 ID:fPi/QlLJ
>>14
「お取り込みのところ失礼していいですかね?」
保健室の窓からこんにちは。窓の鍵が開いていたのでガラガラと開けてⅣは森岸とアブドゥルに声をかける。
「こんばんは。勝手ながらお話は聞かせてもらいました。まあ不可抗力ですけどね。
それにしてもフリーメンとは・・・懐かしい響きです。」
16 名前:ハバネロ 2009/02/27 19:28 ID:jV50qe1D
>>15
「……おまえ、確かⅣという名だな?
ああそういえば、我々の”現リーダー”がアレイスターの動向を探る意味で、新生フリーメーソンに潜り込ませたのだったか。
何か用でも?生徒に見付かれば厄介だ。早めにすませて欲しい」
白衣のポケットに手をつっこみ、森岸はキビキビと告げる。
17 名前:あまちゅか 2009/02/28 00:02 ID:25YQjiC.
人間とは違う。
自分とおなじ人と異なる色の血を持つ異形の者達…
彼等は自分が努力すれば応えてくれる。助けてくれる仲間だ。
「日程の都合もあるのね?ルルイエ近辺で実験用に数名捕獲しようとしているらしいから、彼らの帰還を待って、儀式の開始か。」
父はがもし生きていたなら、うんとほめてくれただろう。誇りに思ってくれただろう。
それに疑う余地はない。父はそういう人物だった。しかし母は…
「私は人間じゃないんだなぁ。あんな嘘まみれの世界…反吐が出る。人間ってなんで平気なんだろ?」
18 名前:Ⅳ 2009/02/28 01:08 ID:3SCl2WxA
>>16
「ええ、分かりました。まあもっとも、用があると言っても貴女ではなくそこの彼なんですけどね・・・」
そう言って視線をアブドゥルに向け、窓から侵入しスタスタと歩き対峙する形で向き合う。
「初めましてアブドゥル=アルハザードさん。そして『すみません』。
今からすることに対して先に謝っておきます。」
爽やかな笑顔でそう言うと、右手を握りこみ、
「この馬鹿野郎。」
アブドゥルの左頬をいきなり『グー』で殴りつけた。
19 名前:アス 2009/02/28 10:21 ID:b0fP9Etd
山が隆起する。大地が裂ける。
大きなひび割れはまた閉じて、また開く。
大地が火に包まれた。
この日、世界は崩壊した。
「いや~いつ見ても壮大なストーリーだな~。」
エマは、テレビを見つめながらドットで構築された世界が崩壊する様子を見ている。
・・・彼女はいま、F○6をプレイしている。しかも、低レベルクリアのやりこみ中だ。
「さて、さっさとシ○を殺して、セ○スの身投げを見たら、セーブするか。」
「平和だな。」
アスカは、街のど真ん中で背伸びをする。
「願わくば、この平和が長く続くことを・・・だな。」
20 名前:ハバネロ 2009/02/28 11:37 ID:y5XbICu.
>>18
「あっ」
森岸がつぶやいた瞬間、アブドゥルは吹っ飛んだ。
「ちょっと!貴方何やってるの?!
これでアブドゥルに何かあったらねえ、今度は私が怒られるんだよっ!」
「……う……」
殴られたところを押さえながらアブドゥルはどうにか立ち上がる。
「……歴史が移ろううちに、初対面の人間を殴るのが礼儀になったのか」
「あのねぇⅣさぁん? 乱暴はよしてくれます? これで死にでもしたら、あたしはⅣさん諸ともリーダーの所にしょっぴかれて抹殺されるかもだよ」
†
ルルイエ。
「…………贄だ」
クトゥルフは、自分に合う『入れ物』が生贄になっているのを悟った。
しかもそれは、自分を殺し、物質的な体を破壊した女。
……なんという皮肉。しかし、利用しない手はない。上手くやれば、再びルルイエの長に返り咲く日も……。
21 名前:Ⅳ 2009/02/28 14:32 ID:3SCl2WxA
>>20
「心配しなくても加減はしましたよ。ただね、やっぱり一発くらいは殴っておいたほうがいいと思いましてね。」
ふぅ・・・と息を吐き、再びアブドゥルを見据える。
「改めて初めまして。俺はⅣ、貴方の娘さんの・・・仲間です。
となれば・・・殴られた理由に心当たりはありますよね?」
おっと、言葉足らずですね・・・と咳払いし、
「言い直しましょう。『まだ生きている』貴方の娘さんの仲間です。少なくとも『仲間』としてこの場に来ています。
そしてもう一度言います・・・」
今度は睨みつけて彼は言った。
「殴られた理由は分かるよな?」
22 名前:ハバネロ 2009/02/28 14:50 ID:y5XbICu.
>>21
「…………!!!」
アブドゥルが驚愕に目を見開く。
そして、状況を理解した。―殴られたわけも。
「分かっている。
殴られた程度では罪は贖えまい―
そして、娘は生きているのか。……良かった」
安心と、罪悪感とで肩を落とす。
「娘には謝っても謝りきれん。
君にも良くない思いをさせてしまった。すまない……」
23 名前:Ⅳ 2009/03/01 01:48 ID:CpqlnDM6
>>22
「罪なんてものは贖えるもんじゃない。罪は・・・背負うものです。」
肩を落とすアブドゥルに対し、Ⅳはあえて厳しく叱責するように続ける。
「貴方がこの場でいくら後悔し罪悪感を感じても貴方のしたことは変わりません。」
だから・・・と彼は言う。
「忘れないでください。そして噛み締めてください。
貴方が今感じている罪悪感とその頬の痛みを・・・」
もしアリスが目の前の男と再会を果たしても恐らく責めはしないだろう。
むしろこの場を彼女が見ていたら責められるのは自分だと思う。
だが、いや、だからこそ殴った。そうしなければ目の前の男は自分で自分を責め続けるしかないだろうから・・・・
「俺がこの件で言いたかったのはそれだけです。」
24 名前:ハバネロ 2009/03/01 10:14 ID:nLoJuTmP
>>23
「……教えて欲しい。
娘は―アリスは、今どこにいるんだ?」
ふう、と森岸はため息をつく。やれやれ、ここに留めておくのは難しいようだ。
(まあそのときはそのときで、アブドゥルを別な奴の管轄に置けばいいか)
25 名前:Ⅳ 2009/03/01 13:32 ID:CpqlnDM6
>>24
「勿論お教えしますよ。なんならそこまで今から連れて行ってあげてもいい。
俺はその為に来たんですから・・・」
険しい表情を緩め、微笑を浮かべる。
「案内しますよ。アリスが居る場所・・・『特殊課』へ・・・」
26 名前:八神 2009/03/01 15:44 ID:FVKTcW9o
>>9
「素敵だなんて。彼の取り合いと嫉妬ばかりの毎日よ? 全然いいものじゃないわ」
自嘲気味にアリアは笑う。それに茶々は憮然として返す。
「嫌ならさっさと何処へなりとも往ってしまえば良かろうが……」
しかしアリアはころりと表情を変える。
「やぁよ、そんなの。私からナナセをとったら何が残るっていうのよ?」
その顔と声音は自分が心底幸福であると思って疑わぬ様子だった。
「法律的に結婚は出来ないんでしょうねぇ……残念だけど」
「そもそも汝は戸籍をちゃんと持っとるのか?」
茶々はヒルダとアリスには聞こえぬようぼそりと呟いたが、それを聞こえていたのかいないのか、アリアは完全にスルーした。
「私達が悪い人かどうか? ……どうなのかしらね。少なくとも、私は善い人だ、と胸を張って言うことは出来ないわ」
:
局長室。
コンコン、コンと控えめなノックが響いた。
27 名前:ハバネロ 2009/03/01 16:28 ID:nLoJuTmP
>>25
「特殊課……
頼む、私を案内してくれ……! アリスがいるのなら、行かねばならない」
「そうなると思ったよ。いいよ、どこへなりとも行ってしまいな」
森岸は突き放すようにアブドゥルに告げる。
そこへ―
「あぁ、こんな所に居たんですか! 亜玉さん、こっち!」
ガラリと窓が開かれ、保健室にさらなる客人が現れる。
「Ⅳさん、私です、ハゼリアです。モスクワ以来ですね」
「あぁっ、ハ、ハゼリアさんじゃないですかッ」
「あら、兄弟の弟のほう。元気?」
ヨタヨタと出てくるファゴッツをさらっとあしらう。
>>26
「私たちはこれで上がります。ごゆっくりです」
アリスの頭をガシガシと拭きながら、ヒルダが二人に告げた。
「…………あの、」
アリスが頭を拭かれながらも、自発的に口を開く。
「縁があったらまた会いましょう」
微笑と一緒に二人にそう告げた。
……局長室。
「入ってくれ」
局長はドアのほうに目をやり、ノックに返答した。
ハバネロは壁にもたれかかって欠伸をする。
28 名前:八神 2009/03/01 19:05 ID:cPA8M.mg
>>27
「ええ、縁が合ったら、ね」
アリアはにっこり笑って見送った。茶々はじゃばじゃばと頭を洗っている。
(局長室)
「ぇーと……失礼します」
怖ず怖ずといった体で七星が入って来る。ついうっかり中での先程の会話をかれは聞いてしまっていた。
29 名前:ハバネロ 2009/03/01 19:46 ID:nLoJuTmP
>>28
「局長ッッ! 聞いてくれ局長。八神だけに簡単に事情聞いたら済む、そうだろ?無駄に話を長くすることはない!!」
「え?」
「だからその……『あの二人』にここまでご足労願う必要は無いんだって!!」
局長はいきなりまくしたてられたので、目を丸くした。
「……まあ、別にいいが。」
「よし!!」
ハバネロはほっとした、心の底からほっとした。
(―これであの二人にSATSUGAIされる危険性は無い……
待てよ、あの二人のことだ。コイツを追ってすぐここまでたどり着く可能性も……
どういうわけかあの女二人、マグロ漁船のソナーばりのHOF(ヤツカミ・オート・フォーカス)を備えているからな。迅速に行動を開始せねばならない……!!)
「よし、八神! さらわれた時の事情をなるべく簡潔に告げろ!
いいなッ! うちの局長は何かと忙しい! マスコミ押さえたり、最近の滅茶苦茶事件を上に報告したりなっ!! 時間をかけんようになっ!!」
30 名前:八神 2009/03/01 22:35 ID:OSSX3buN
>>29
「は、はぁ……」
ちょっと困惑しながらも七星は説明を始めた。
そして一方、シャワー室の二人も着替えを終え局長室へ向かおうとしていた。
31 名前:Ⅳ 2009/03/02 01:09 ID:IGGh28q2
>>27
「あれ?珍しいところで会いますね。ええ覚えてますよハゼリアさん。マリーって呼んだほうがいいですかね(笑)」
急に現れたハゼリアに少し驚くが、すぐに笑って返す。
「こんなところに何か用でもあったんですか?あれ?もしかして俺を追っかけて来ちゃったとか?」
参ったなあ・・・とおどけて見せた。
32 名前:ハバネロ 2009/03/02 11:01 ID:PJ9/1dxN
>>30
「成る程」
「……お前も大変だよな、随分巻き込まれてるんじゃね?」
局長はデータをPCに打ち込み、ハバネロは思わず八神に同情する。
「……すまない、我々もマスコミを押さえきれない。もちろん名前や学校名は確実に押さえてはいるが、事件そのものは……報道を規制できる自身がない」
「今までずいぶん頑張ってきたしなぁ」
局長は悩ましげにつぶやく。
「―引き留めて悪かった。八神、気を付けて帰ってくれ。
それとも不安ならば我々が送り届けるが」
>>31
「あぁ……相変わらずのようで安心しました」
ハゼリアは苦笑する。
「あの時言ってくれたわよね。モスクワの、あの時に。
疑問の答えが出た。私は何のために闘ってたかってね。
私は今までとは別の道を進む。だから、
同行させて下さい。」
腰を40度曲げて頭を下げる。
「お願いします」
33 名前:Ⅳ 2009/03/02 13:47 ID:IGGh28q2
>>32
「・・・参ったなぁ。マジに追ってきちゃったのか・・・
まあでもしかし・・・男として言ったことには責任を取らなきゃならんか・・・」
嫁にばれたら24時間耐久正座だろうなぁと考えながらまあいっかと呟き、
「俺の進もうとしている道が正しいとは限りません。
いや、はっきりと断言しますが、俺自身自分の進む道に迷いをぬぐいきれて居ません。」
ですが・・・と彼は微笑み告げる
「それでも付いて来てくれると言うなら・・・是非お願いします。
『一にして千の軍勢』と言えども人の子でしてね。一人じゃ出来ないことも多いため協力者は必要です。その協力者も多いほうがいい。
頭を上げてください。そして・・・」
右手を差し出し、
「宜しくお願いします。」
34 名前:ハバネロ 2009/03/02 15:03 ID:PJ9/1dxN
>>33
「……ありがとう」
ハゼリアは少し笑って、Ⅳの右手を取る。
「この人もおまけでいいかしら? 亜玉さんって言ってね、私に付き合う形で組織を抜け出してね」
「亜玉闘骨と言います、以後お見知りおきを」
「まッ!! 待って! 待ってくれぇハゼリアさん! 俺も、俺も連れて行ってくれぇッ!!」
ファゴッツがすがるように駆け寄ってくる。足に包帯をまいて、若干よろめき気味に。
「……あら、弟のほう」
「お願いしますよっ! あああ、兄貴も喰われたしっ、俺も何か組織に見捨てられた形でっ、そもそも戦艦と連絡つかないし、もう宙に放り出された感じで……」
床に顔を押しつけてファゴッツは土下座した。全身から必死さのオーラが漂ってきている感じの。
「はいはい、じゃあ弾避けか囮で活躍して頂戴。ごめんなさいⅣさん、もう一人引っ付いてくるみたいで」
「た、助かっ……って、えぇぇえー?!」
†
保健室外、森岸は携帯を耳に当てていた。
「もしもし、周防? うん、アブドゥルは必要になったら確保すればいい。」
そうか、と電話の向こうで応答がかえる。
「そんなことより、そっちは黒田清隆の監視はやってるの」
沈黙。
「頼むよあんた? サイバー何とか事件だっけ。黒田が首謀者ってこと以外は全く情報なし。フリーメーソンとしても一応注意しておきたいらしいから。
と言っても、何かすでに「首輪」と「鎖」があるみたいだけど。
その「鎖」、この前黒田を抱えて保健室まで来たけどすごいねアレ、鎖なんてもんじゃないよ。下手すりゃフェンリルとドラウプニルだよ」
こっちもいろいろあるんだ、と電話の向こうの声。
「まあいいか……。周防も頑張りな。じゃ。」
携帯を切って、ため息と一緒にパタンとたたむ。
35 名前:アス 2009/03/02 16:06 ID:UwUBEc4Q
「さて、そんなこんなでここに来てしまったんだが・・・・」
アスカは、蓮田警察署の前に来ていた。
ちなみに、一回マンションに戻ったらしく、『リベリオン』入りのボストンバックを持っている。
奥に土下座をしているなんか見覚えのある男がいる。
「何だ?トラブルでもあったのか?」
アスカが、何の躊躇も無く、警察署の中に入る。
「あ~やっとファル○ン手に入れたわ~」
エマは思いっきり背伸びをする。
「・・・もうそろそろバイトの時間だな。」
エマは○F6のセーブをして、だらだらと歩き出す。
36 名前:Ⅳ 2009/03/02 19:18 ID:IGGh28q2
>>34
「は・・・はぁ・・・まあ置いていくのも可愛そうですしね。」
若干定員オーバーな気もするがまあ仕方ないだろう。あとでヘンリーと相談するとしよう。
「では早速ですが、これからこのアブドゥルさんを『特殊課』まで送らなければいけません。
あー・・・森岸さんは外で電話中か・・・まあ連れてけって言ってましたし別にいいか。
それじゃあ早速行きましょう。いちおう校門のほうに車が停めてあるんでアブドゥルさんは俺と一緒に。
亜玉さんとハゼリアさんは出来ればそちらのアシで付いて来て欲しいんですが・・・問題は彼ですね・・・」
ファゴッツを見てうーんと考える。見たところ怪我してるみたいだし流石に走って付いて来いは可愛そうだよなあ・・・
「OKOK。貴方はこちらでなんとか話をつけて車に乗れるようにしましょう。」
37 名前:ハバネロ 2009/03/02 19:47 ID:PJ9/1dxN
>>36
「すまない、恩に着る」
アブドゥルが感謝で頭を下げる。
「それじゃ行きましょう。ほら弟のほう、とっとと準備しなさい」
「ははははい、お世話になります、Ⅳの旦那っ」
亜玉さーん、バイクお願いしまーす とハゼリアが、既にバイクの方向に走り出していた亜玉に言う。
38 名前:Ⅳ 2009/03/02 21:22 ID:IGGh28q2
>>37
「・・・事情は理解しやがりました。ようこそアブドゥルさん。そしてファゴッツさん。貴方方二人はお客様として扱いやがりましょう。さあ後部座席にどうぞ。」
ヘンリーが後部座席から降りてドアを開けて乗車を促す。
Ⅳもどうぞとドアを開けて迎える。
しかし・・・
「あー・・・ですが大将・・・大将はどうするんですか?一人余るような・・・」
「・・・私は運転席に座りやがります。」
「え?」
「先ほどから運転で疲れていやがるでしょう?代わりやがりましょう。」
「え?でもじゃあ俺は・・・」
そう言う健の額に嫌な汗が浮かぶ。おいおいこの展開は・・・
「そういえば健・・・昼間の件のお仕置きはまだだったっすよね?」
はい来た来た。えーハイハイそういうことなら・・・
「・・・走ります。」
「よろしい。さ~て、皆さん。定員オーバーの問題は解決したっすよ。」
5人乗車1人走りこみ・・・
39 名前:怠惰・ベルフェゴール 2009/03/02 22:14 ID:CBjrGsZ0
>>12
「今日もこの町はお祭り騒ぎ…いいねぇ、これは」
蛭孤はにこにこと愉しそうに終末主義者の集会を少し離れた所
から見つめる。
今、彼は一人。こういう騒がしい夜は一人でいたい気分だっ
た。
(毎日、騒がしいですからねぇ…)
彼はキャラが濃すぎる自分の『駒』たちを思い出して苦笑す
る。
「おや?」
そこで彼は集会に集まる人間の中に見知った顔があるのに気づ
く。
>蓮田市内空き地
「…またここか」
フォルズはベルフェゴールに背を預けながらそう呟いた。気が
つくと彼は最初に自分がいた空き地に戻ってきてしまっていた。
彼はあくびをするとそのまま目を閉じた。どうも眠い。彼はそ
のまま眠りにつく。
そんな彼の姿を歩道から眺めている人影があった。その人影は
ひょこひょこと空き地の中へと入っていった。
40 名前:ハバネロ 2009/03/02 23:33 ID:PJ9/1dxN
>>38
「すまない、ありがとう」
「旦那、感謝しますっ!」
二人は車にいそいそと乗り込む。ハゼリアも亜玉も、準備は完了したようだ。
>>39
「あっ、」
ナイアは知った顔を見つけると、嬉しそうに歩み寄る。
「どうも、お久しぶりです。
いきなりで何なんですが、ちょうど貴方が現れたもので、一つお願いがありまして。
―聞いてくださりますね?」
ナイア独特の凶悪な笑みと共に、そう持ちかける。
41 名前:Ⅳ 2009/03/03 00:56 ID:BmIdQ1sB
>>40
「さて、じゃあ行きましょうか。・・・健君大丈夫ですかね?」
「大丈夫っすよ。アイツの体はガンダ○ウム合金で出来てるっすから。それにいざとなれば究極奥義のトラ○ザムが・・・」
「・・・OOまで守備範囲ですか・・・」
「当然っす。日5最強!!」
さてさてこんな感じで発進・・・健君は・・・
「今の私は阿修羅すらも凌駕する!!!」
車道を全力疾走・・・良い子は真似しないでね。
>>(黒田サイド)(http://28916.l-3-l.me/1234542765/ >>236を参照)
「・・・成る程ね。それで私に連絡を・・・」
「ああ、アンタのほうがカノンより話が通じると思ったんだよ。」
「・・・懸命な判断ね。兄さんに話してたらそのまま地獄の果てまで追っかけてたわ。」
ため息をついてエリスは言う。
「なにはともあれ良く知らせてくれたわ。」
「・・・別にアンタのためじゃないよ。俺自身あのⅣって奴のことを聞きたかっただけだ。」
なにせアイツは・・・
「俺の師・・・七海幸太郎に『似すぎている』。」
42 名前:アス 2009/03/03 15:32 ID:Ca9cP0eQ
「ファゴッツか…あの怪我だと、何かあったみたいだな。」
アスカが、走っていく車を見る。
「ま、いいか。無駄に首突っ込んで痛い目には遭いたくない。」
そのまま何事もなかったかのように警察署から歩き出す。
43 名前:ハバネロ 2009/03/03 20:12 ID:XKFu65f0
亜玉は、Ⅳ達が乗った車を追いかける形で走る。
「Ⅳ殿について行って、これからどうする気ですかい」
「ナチスみたいなテロリストじみたやり方は好ましくない。
これから先、Ⅳさんと行動を共にしながらナチスやナイアの事を調べ、まずは情報を集める……
今、どんな状態か、とか。」
簡単に言ってくれる、といわんばかりに亜玉はため息をつく。
44 名前:Ⅳ 2009/03/03 21:26 ID:BmIdQ1sB
「アリスとはまあとある事情で雇われた先で知り合いましてね。
俺の他にも・・・ヒルダさんという仲間が居ます。」
そう言って懐から写真を取り出す。米国で撮影した写真、バーナード、ヒルダ、そしてアリス・・・今は揃わない4人で、ハイネに撮ってもらった写真だ・・・だが・・・
「あー・・・これなんて説明したらいいですかね・・・」
写真に映るアリスとヒルダはウェディングドレス・・・
45 名前:ハバネロ 2009/03/03 21:45 ID:XKFu65f0
>>44
「なッ、ア リ ス …?!!
いくら何でも早いぞ?! まだあの子は―
いや待ってくれ、これは婚姻を結んだ時の絵、というわけでは……ないんだな?」
アブドゥルがかなり動揺しながらⅣにおそるおそるたずねる。
46 名前:Ⅳ 2009/03/03 22:03 ID:BmIdQ1sB
>>45
「も勿論ですよ!!ほら俺妻帯者ですし。」
ほらほらと言って手の薬指の指輪を見せる。誤解されては適わんとこちらも焦る。
「これはアレですよ。なんていうかその・・・」
「また女遊びっすかⅣさん。」
「そうそれだ!!ちょっとした遊びですよ・・・あれ?ちょ愛さん何言わせるんですか!?」
誤解は悪いほうに向いていく。
47 名前:八神 2009/03/04 01:41 ID:3s9ehCxb
>>32
「……そう、ですね。でもまぁ、こうやって皆さんのお陰で無事で済んでるんです。そう考えると運が良い方ですよ」
そう言って七星は困ったようにへらっ、と笑みを浮かべた。
しかし、七星の表情は曇る。
「……ハバネロさんには既に車内で伝えてありますが……第五のラッパの標的は星宮さんだと……、ナイアがそう言ったと聞きました。
……大変だって聞いてすぐにこんな事頼むのも心苦しいんですけど、……星宮さんの事、お願い出来ますか」
※
もし車内での会話からの繋がりがおかしければ後半はスルーしてください><
48 名前:ハバネロ 2009/03/04 13:32 ID:P73hjtqE
>>46
「お、」
アブドゥルは言葉を繋げることができなかった。
背中をシートにあずけ、「女…遊び…」とつぶやいている。
>>47
「星宮が?」
ああそういや、その事まだ言ってなかったとハバネロは気づく。
「分かった。任せておけ。なあ、ハバネロ?」
「え? ん、ああ、そうだな」
ハバネロを見ながら局長は言う。
ガチャリとドアを開けて、アリスとヒルダがやってくる。
「おう、二人とも戻ったか」
「お待たせしましたです。そちらのお客さんにお茶でも出せばよろしいですか?」
ヒルダがアリスの髪を櫛でとかしながら言う。
49 名前:Ⅳ 2009/03/04 14:28 ID:tK0ygq6N
>>48
「誤解ですよ!!女遊びなんてそんな・・・」
「そうっすよ!せいぜい×××(自主規制)して○○○(自主規制)しただけっすよ。」
・・・
その場が静まり返る。
「『一にして千の軍勢』つったらジゴロで有名でしたっすからねえ。
実はもう寝てんじゃないっすか?」
「愛さん!!ありえないですよ!!アリスは何歳だと思ってるんですか!?」
「・・・アンタの嫁の年齢を言ってみろよ。」
「・・・17・・・」
「・・・手を出したのはいつからだったっけ?」
「・・・2年前・・・・」
ほら見ろやっててもおかしくないじゃないっすかと愛に言われⅣは固まり・・・
「あの・・・アブドゥルさん・・・あのう・・・」
「よかったっすねアブドゥルさん。再会したときには孫にも会えるかもしれないっすよ?」
「誰かこの馬鹿女を黙らせろォォォ!!!!」
50 名前:ハバネロ 2009/03/04 17:08 ID:P73hjtqE
アブドゥル(Ⅳに対する評価が著しく墜ちたかもしれない目)
ファゴッツ(引き気味)
51 名前:Ⅳ 2009/03/04 17:52 ID:tK0ygq6N
「あー・・・」
とんでもなく気まずい空気が車内に充満する。
しばらく無言の間が続き・・・
「・・・着きやがりましたよ。」
目的の場所(『特殊課』)に到着した。
52 名前:ハバネロ 2009/03/04 17:55 ID:P73hjtqE
「―ここが、」
アブドゥルが扉をあけ、特殊課の前に降り立つ。
「特殊課……。アリスがいる場所なのか」
アブドゥルが車に向き直る。
「ここまでしてもらって本当に感謝する」
「アブドゥルさん、でしたっけ? 頑張ってくださいね」
後ろのバイクのハゼリアも、思わず応援の言葉を口にする。
53 名前:Ⅳ 2009/03/04 18:44 ID:tK0ygq6N
「あ、アブドゥルさん。これを・・・」
車内からⅣが声をかけ写真を渡す。言うまでも無くそれは4人で撮ったときのものである。
「それアリスに渡して置いてください。そして伝えて置いてください。」
真剣な顔で目を閉じ彼は
「『さようなら』・・・と。」
そう言った。
54 名前:八神 2009/03/04 22:07 ID:lcRX6etw
>>48
「あ、いえお気遣いなく。そろそろお暇しますので。
それじゃ、星宮さんの事……お願いします」
七星は席をたち、局長とハバネロ、ヒルダとアリスにそれぞれ軽く礼をして部屋をあとにするため扉を開く。と、
「おや」
「ちょうどだったみたいね」
アリアと茶々も局長室前に着いたところだったようだった。
55 名前:怠惰・ベルフェゴール 2009/03/04 23:04 ID:8UIs/YLf
>>40
「お久しぶりです、ナイアさん。その節はどうも…」
蛭孤はにこにこ笑いながらナイアに返答する。そしてその笑み
を崩さずにさらに続ける。
「私で叶えられるお願い事なら、お聞きしましょ……あ、ちょっ
と失礼」
彼が話している途中、ポケットの中から一昔前の流行曲が電子
音となって聞こえてくる。それは彼の携帯の着信音だった。
「もしもし?ああ、私です。え?…はいはい。……わかりまし
た、今すぐ帰ります」
蛭孤はそれだけ言って携帯の電源を切ると深いため息をつく。
そして肩を落とすようなしぐさをしながらナイアの方を向く。
「…ナイアさん。すみませんが、その話はうちで聞いてもいいで
すか?ちょっと面倒な事が起こりましてね…」
彼はどこか疲れたようにナイアに聞く。
>蓮田市内空き地
何分寝ていただろうか、フォルズは目を覚ます。相変わらず、
見る夢は悪夢。自分の生まれ故郷が一人の男に燃やされる夢だっ
た。
「…うわっ!」
フォルズは目を開けて思わず飛びのいた。彼の目と鼻の先、そ
こには彼の顔をしゃがんで覗き込んでいる少女がいた。
背格好は十七歳ぐらい。髪は金髪のロングヘアー、頭には黒い
ヘアバンド。上は長袖だが下は半ズボンというどこかアンバラン
スな格好をしている。そしてその黒い瞳はじっと、驚いて飛びの
いたフォルズの顔を愉しそうに見つめている。
「…誰だ?俺に何か用か?」
フォルズはまだ眠気がとれぬ思考回路でその少女に向かってそ
れだけ聞く。
「おじさんこそ、だれ?こんな所で何してるの?」
その少女は彼の質問には応えず、逆に質問を返してきた。フォ
ルズはため息をつくと立ち上がって名乗る。
「俺はフォルズ・ヴァーンエッジ!今は旅の途中!あと俺はおじ
さんではない!」
「ふぉるず・ヴぁーんえっじ?…ふぉるず?…ふぉるず!ふぉる
ず!」
その少女は彼の名前を聞くとしばらく虚空を眺めていたが、次
の瞬間、嬉しそうに手を叩きながら彼の名前を連呼する。それは
どこか幼さを感じるリアクションだった。
フォルズはその様子を見て苦笑すると、彼女に向かって言う。
「というわけで…俺も今言ったとおり、旅の途中で忙しいんだ。
もう少しいい女になったら嬢ちゃんの相手をしてやるから…そん
ときまた会いにき」
「ルーミ、ふぉるず案内する?どこいきたい!?」
フォルズが言い終える前に少女が勢いよく立ち上がって彼に向
かって聞く。その目は純粋でただただ好奇心に満ち溢れている。
(……う、まるっきり子供の目か。はぁ、どうもこういう奴から
のお願いは断りづらいな)
フォルズはそう考えてため息をつく。どうも子供は苦手だっ
た。
「わかったわかった、ルーミ…だっけ?じゃあ、この町の警察署
にでも案内してくれないか?今の目的地はそこだ」
「うん!」
それを聞いて少女、ルーミは嬉しそうにうなづく。フォルズは
その笑顔を見てただただ苦笑するしかなかった。
56 名前:ハバネロ 2009/03/05 12:48 ID:7I61JgnA
>>53
「ああ…分かった」
アブドゥルは写真を受け取る。
「伝えるよ」
少し振り向いて、特殊課の建物を目に焼き付けるように見つめる。
>>54
「……っ、」
ハバネロは若干うろたえる。
(落ち着け……! 元傭兵はうろたえないっ!)
「そうか、気を付けて帰ってくれ」
「…………あ、」
アリスがその表情を若干ゆるめ、小さい控えめな声で、八神らに別れを告げる。
「さようなら」
>>55
「ええ、ええ。喜んでお伺いしますとも」
ナイアはいつものニヤニヤ顔で蛭子の後につく。
57 名前:Ⅳ 2009/03/05 12:59 ID:unv8h/T.
「・・・それじゃあ行きましょうか。」
そう言って発進を促そうとⅣが指示を出したところで・・・
「あーⅣさん・・・そのなんというか・・・」
次の瞬間
「無理そうっす。」
ぱぁんと乾いた銃声と何かが破裂すると共に車体が左に傾く。
「何事!?」
「・・・久しぶりね。Ⅳさん。」
乾いた銃声が再び響くと同時に再び後部座席が左に傾く。
「あー・・・久しぶりですね。」
左の前輪後輪がパンクし車体が傾いた中、仕方ないかとため息をつきⅣがドアを開けて出て行く。
「エリスちゃん。」
58 名前:ハバネロ 2009/03/05 15:51 ID:7I61JgnA
>>57
「……!!」
ハゼリアが懐から銃を抜き出さんと身構える。
「いけねえ、姐さん!」
亜玉が必死に制止する。ハゼリアは亜玉を横目で見て、銃を抜くのを抑える。
「敵?」
「―にしては、不自然すぎやす。車を止めるための発砲だと思いやすが」
59 名前:アス 2009/03/05 16:25 ID:oLqsM6cd
「銃声・・・何かあったのか!」
アスカは振り返り、急いで警察署へ向かう。
60 名前:Ⅳ 2009/03/05 18:35 ID:unv8h/T.
>>58
「ちょ!アンタいきなり何してんだよ!!」
物陰から黒田も出て来て混乱したようにエリスに問い詰める。
しかしながら彼女は気にも留めず今度はハゼリア達に視線を向ける。
「他の人は出てこなくていいわよ。あら?ヘンリーさん。ご無沙汰してます。」
「はーい!皆は出てこないでください。ハゼリアさんも銃しまって。彼女は俺の知り合いです。」
等と呑気にそう言ったものの両手はしっかりとホールドアップして「撃たないでね」と笑顔で言う。
「いやぁエリスちゃんしばらく見ないうちに美人になりましたね。
胸も大き・・・・」
パン・・・
と再び銃声が響き、Ⅳは黙る。
「黙ってついてきてください。あと今度そのセクハラまがいの発言したら手足撃ち抜きますよ?」
「了解・・・しました。・・・・いい腕だ。」
頬に軽い銃創(かすり傷)を作り、冷や汗タラタラでⅣは答える
「とりあえず黒田君。いきなりで悪いけどこの人達が下手な真似を起こさないように見張っててくれる?
貴方なら彼等に危害を加えられることは無いと思うから・・・」
てきぱきと指示を出すとエリスはⅣの背中に銃を向け、
「貴方は両手を上げたまま最低三メートルの距離を空けて歩いてください。」
「・・・・・・・はいはい。」
Ⅳに『特殊課』に入っていくように命令する。
61 名前:ハバネロ 2009/03/05 19:42 ID:7I61JgnA
「銃声だ」
局長が、乾いた音にいち早く気づく。ハバネロが「あー」と気の抜けた相づちをうつ。
「外を見てきてくれ。早く!こういうときがお前の出番だろう」
「うえーい」
ハバネロは実にだらしなく、ポケットに手を突っ込んで出入り口へ歩き出す。
>>60
「…………こっ、恐ッ」
ファゴッツが絞り出した声でつぶやく。
「ハゼリアさんより恐いかもしんねぇ」
†
「亜玉さん……。どうにも面倒なことになっちゃったわね」
はあ、と銃を懐に戻してハゼリアがつぶやく。
「姐さんより恐ろしい女を初めて見やしたよ」
「あら。どういう意味?」
62 名前:Ⅳ 2009/03/05 20:00 ID:unv8h/T.
>>61(Ⅳ&エリスサイド)
「どうも。お邪魔しますね。」
出入り口でハバネロと鉢合わせになりエリスが笑顔で挨拶し、
Ⅳは「捕まっちゃいました(笑)」とホールドアップしながら苦笑いを向けてため息をつく。
「早速で悪いけど、この人の腰の得物を取り上げてもらえる?私がやると下手すれば逆に押さえ込まれないから。」
鉢合わせしたばかりのハバネロにもⅣの銃(両腰のホルスターに収まってる二挺の銃剣付きデザートイーグル)を取り上げるように指示を出す。
>>(黒田&ヘンリーご一行)
「あー・・・すいませんヘンリーさん。例のデータを渡すために来たらこんなことになって・・・」
「君のせいではありやがりませんよキヨ君。我々ももう少し考えるべきでありやがりました。」
寄り道はしやがるもんじゃありませんね・・・とため息をつく。
「それはそうと・・・此処でただ立ち往生してやがるもの問題でありやがりますね。せめて例のバックアップデータだけでも持って帰りやがりたいのですが・・・」
「それくらいなら見逃しますよ。ところでこの人たちって確か学校に来てたテロリストじゃないですか?
あー・・・どうも。先日は連れに両足撃たせてすいません。」
ハゼリアと亜玉に軽く会釈し、ファゴッツには凄い気まずそうに謝る。
63 名前:八神 2009/03/05 20:25 ID:89z0cltD
>>56
「えぇ、さよなら」
アリアは微笑みアリスに小さく手を振った。茶々はハバネロがちょっとうろたえる様子を見せたのを少し不審に思ったが、気にしないことにした。
そして三人は特殊課を後にする。
(Ⅳさんのパーティーとはかちあわない方が良いでしょうか?)
64 名前:Ⅳ 2009/03/05 20:53 ID:unv8h/T.
>>(中の人)
んー・・・エリスちゃん&Ⅳ君とかちあっても面識が無いから軽くあしらって帰れ的なことを言うと思う。
外の連中なら一応黒田君とは面識はあるんで会話くらいなら全然OKです。
65 名前:ハバネロ 2009/03/05 21:32 ID:7I61JgnA
>>62
「えぇーーーーーーッ」
ハバネロは心臓が口から飛び出るかと思うほど驚いた。
(待て待て待て待てこのままアリスに会わせるのは望ましく……)
「そ、それじゃ……失礼させていただいて」
二つの銃を取る。
「それで一体何のご用で? この特殊課に、人に銃を突きつけながらやってくるとは素晴らしいご身分なことだなぁ?」
口ではそう言いながらも、目は少しⅣの方向に向く。
(おいⅣ……このままだと恐ろしいことになるかも、だぜ。
アリスやヒルダと感動の再会を果たすことになるかもしんねぇぞ……!)
66 名前:Ⅳ 2009/03/05 21:48 ID:unv8h/T.
>>65
「あら?『呪い十字』と『特殊課』は協力関係にあり、彼はそのきっかけとなった新生フリーメンの元構成員・・・
此処にこうして、このような形で連れてくるのがむしろ自然でしょう?」
ニコニコ笑いながら正論をズバッと通す。
「なんならここの最高責任者である雅ちゃんに許可を求めるけど・・・必要はあるかしら?」
「ハバネロさん。まぁ俺のことはエリスちゃんに任せておいて・・・外に居る写真持ったおじさんをアリスに会わせてやってくれませんかね?
俺たちは取り調べ室にでも言って仲良くずっこんばっこん・・・」
そう言った瞬間Ⅳの耳元でもう一度銃声が鳴り響く。
「いぎィ!!」とⅣが鈍い悲鳴を上げると共に耳を押さえしゃがみこむ。
見るとエリスの何も持っていなかったほうの手に中型拳銃が握られていた。
「威嚇射撃用の空砲です。あと『十数発』程ありますんで良かったら鼓膜の耐久度の実験でもしてみますか?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいもういいませんホントマジに勘弁してホント。」
『一にして千の軍勢』、並大抵でないはずの男がまだ未成年の女に怯えていた。
「・・・そうね。ハバネロさん、この人の頼みは訊いてあげてくれるかしら?あと取調室を借りるわ。
そして出来ればこの人の用事が終わったら来てくれるかしら?」
流石の私もこの人が本気で逃げる気になったら押さえきれないからとしれっとお願い(つーか指示?)・・・
『呪い十字』の司令官はかなり人使いが荒いようだ。
67 名前:八神 2009/03/05 22:43 ID:89z0cltD
>>65-66
「「「…………」」」
三人揃って隠れながらいきさつを見ていた。
「……怖い人もいたものね」
とりあえずこの人達が行ってしまったらさっさと帰ろう、と七星は思った。
68 名前:ハバネロ 2009/03/05 23:32 ID:7I61JgnA
>>66
「はいはいはいはい。好きに使って下さいよ。(もう勝手にしてくれ。)
分かりましたよ、何だかわからんけど善処いたしますよ。」
ハバネロは外へ向かって歩き出す。
(…………、
局長とどっち怖ぇぇかなー……)
69 名前:Ⅳ 2009/03/06 00:04 ID:tYBqRxCR
>>68
「じゃあそういうわけでお願いね。」
「ハバネロさ~ん!『鷲(銃の通称)』は後で返してくださいね~。」
パァンと再び銃声が響き、Ⅳの「なんでェ!?」という理不尽な音の暴力に対する抗議に似た悲鳴がこだました。
>>黒田&ヘンリーご一行・・・
「はァ・・・はァ・・・大将・・・ただ今戻りま・・・」
「遅いっすよ健!!」
「あー・・・すっかり忘れてやがりました。」
遅れてやってきた健に各々が反応する。
「あれ?タイヤどうしたんですか?うわひでェ・・・前輪も後輪もやられてるじゃないですか。」
「あー話すと長くなりやがるんですがね・・・」
あったことを順を追って健に説明する。そして・・・
「まあ彼のことでありやがりますから別に問題はないと思いやがるんですがね。
ですがこのままではマズイ気がしやがりますね・・・あー・・・せっかくなんで多数決でも取りやがりますか?
とりあえず助けに行ったほうがいいと思いやがる人は挙手しやがってください。あ、キヨ君は今回の件には関係ありやがりませんので上げなくていいですよ。」
そう言って挙手を確認しはじめるヘンリー・・・ちなみにこっちサイドでは健しか挙手しない・・・orz
「貴方達はどう思いやがりますか?」
ハゼリア達にも尋ねる。
70 名前:アス 2009/03/06 17:03 ID:cz3oUEzZ
「あ、ハバネロさん。どうしたんですか?さっき、銃声が聞こえたんだが…」
アスカが、ハバネロを見つけ、駆け寄る。
どうしても、あの銃声の正体が気になるようだ。
詠子は、クレーターができた蓮田川の川岸にいた。
「…何が起きているんだ。第四のラッパって…何?」
詠子は、クレーターを見つめる。
71 名前:ハバネロ 2009/03/06 19:05 ID:BFtsxzHV
>>69
「……一応行ったほうがいいと思うわ。私は。」
「あっしも同意見ですが、できれば発砲沙汰にはならんようにしたいんですがねえ。」
「え、あー、お、俺も同じっす」
3人とも救出側の意見ではあるが、あまり強気ではない。
>>70
「あん? んなことこっちが聞きたい。
お前部外者だろ? ややこしくなるから、あんまりこの件には関わるな。
―ここに居るのは勝手だが、面倒起こしたらケツ穴溶接して脳天に新品のケツ穴作ってやるから覚悟しやがれ。」
―蓮田川。
「うーわー、すごっ! 何これ?!」
クレーターの近くに星宮が駆けてくる。
「おねーさーん、何これ?! ねえちょっと何これ?!」
72 名前:Ⅳ 2009/03/06 19:29 ID:tYBqRxCR
>>71
「まあ助けに行くのはかまいやがりませんが、問題はその後でありやがりますね。
この通りアシも潰されてやがりますし・・・」
「それにまあエリスちゃんのことっすからそこまで手荒な真似はしないと思うっす。
あれが『処刑人』の方だったら話は別っすけど・・・」
どうにも事を起こすのに消極的な感じである。
「お!そうこうしてる間にスタッフが来たようですよ。まあまずはパンクを直してもらい、話はそこからでどうです?
まあエリスさんのことですから流石にこの場にカノンさんを呼ぶことは無いと思いますし。」
事を起こすのはそれからで・・・と言い車から降り、かけつけたスタッフに「こっちで~す!」と手を振った。
73 名前:ハバネロ 2009/03/06 20:58 ID:BFtsxzHV
「はあ。私たちは脇にどいておきましょうか」
「ええ」
ハゼリアと亜玉はバイクを路肩に寄せる。
「やれやれ。どうなることやら。先が思いやられるわね」
†
「おい、おっさん」
道に立ちつくすアブドゥルに声をかける。
「Ⅳに言われたから仕方なくやるけどよぉ、あんたアリスに会いたいんだろ? 早く入れよ」
ハバネロは親指で特殊課を指さす。
「……ああ、すまない」
アブドゥルもそれに従って特殊課に入る。
74 名前:Ⅳ 2009/03/07 01:03 ID:e/2Vpz5M
「さてと、それじゃあ取調べを始めさせてもらいますね。」
「・・・ハイ。」
薄暗い取調室、二つの椅子とライトスタンドが置かれた机のみが置いてあるその部屋でⅣはとぼとぼと奥の方へ歩いて向こう側の椅子に座ろうとする。
座ろうとする・・・が、
「誰が座っていいと言った?」
「え?」
エリスのその言葉でⅣは急に停止する。
「自分の立場がまだ分かっていないようですね。」
「いや立場も何も俺何も悪いことしてな・・・」
「正座。」
「はァ!?」
「黙れ。」
「・・・・・・・・・・ハイ。」
ナイフのように鋭利なエリスの睨みに速攻で正座するⅣ、あァ・・・今からどんなプレイが始まるのやら・・・
>>73
「まあまあお姉さん、ここはゆっくり待ちましょうや。」
ゆらゆらとした足取りで愛がハゼリアの傍までやってくる。
「まあ色々と気になる話はあるんすけどね?単刀直入に訊くとするっす。」
ニヤニヤといやらしい笑みで・・・
「Ⅳさんとはどのような関係で?つか・・・」
指で○を作り、それに指を出し入れして・・・・
「やった?」
とんでもないようなことを訊きやがった。
75 名前:ハバネロ 2009/03/07 13:00 ID:jN74Dk73
>>74
バッ!
ガシッ!!!
「姐さん、」
「残念ですけど私はまだ未体験ですので」
「姐さん!!」
「それから口の聞き方n」
「姐さんッ……」
亜玉が恐怖におびえながらハゼリアを必死の思いで制止する。
「……私とⅣさんは仲間。それだけ。」
亜玉がこくこくこくと必死にうなずき、「いいからソレしまったままにしてくだせえ」とハゼリアのポケットに入った右手を必死に押さえる。
「それから、そのような発言は無いようにしてください。不愉快ですので」
「姐さん、気が済んだでやんしょう? だから危ないからソレはしまったままにしておきやしょう、ソレは怒りに任せて振り回すようなものじゃ」
「ふん」
亜玉の手を振り払って、塀に背をあずける。
76 名前:アス 2009/03/07 13:45 ID:BrGRwxOW
「う~ん。やっぱり深く突っ込むべきではなかったか。」
アスカは腕を組む。
バン!という音が聞こえたが、ハバネロの言うとおり、気にするのはやめにした。
「・・・あたしも、それを考えたところ。でも、いくら考えてもマトモな答えが浮かびやしない。」
詠子は頭を掻く。
「第四のラッパ・・・ね。何で新約聖書なのか。
でもな~。川の三分の一が毒になってもいなけりゃ、地上の三分の一が焼け野原になったわけでもない。海が三分の一になってもいないし、昼の時間も全く変わらない。
この調子だったら、アバドンも来なけりゃ、人口三分の一も無し、ってことになるわね・・・」
77 名前:八神 2009/03/07 14:35 ID:4sQ53jlb
>>74-75
「……」
修羅場を過ぎたと思ったらさらに修羅場に出くわしてしまったでござるの巻。
もしステータス画面などがあれば間違いなく彼のLUK値は限りなく低い値だろう。もしくはUNLUCK状態が三倍掛けになっているのかもしれない……
78 名前:Ⅳ 2009/03/07 15:34 ID:e/2Vpz5M
「さて、もう一度訊くわ。何故自分がこんな正座しなければならないか・・・分かりますよね?」
「・・・嫁ほったらかしてプラプラしてるからです。」
「よろしい!!」
正座するⅣの周りを歩き回りながらエリスは続ける。
「さて、となると疑問があります。貴方は可愛いお嫁さんをほったらかして何をしてるんですか?」
「・・・」
「何をやってるんですかね?」
「・・・言いたくありませんね。」
顔を上げてⅣはエリスに言う。
「言う気はありません。」
「貴方自分の立場が分かって・・・」
「なんならこれから俺を拷問して吐かせますか?怖いですねエリスちゃんは・・・」
「茶化さないでください!!」
「俺は真面目に言ってますよ。もう一度訊きます・・・」
正座したままであるが、Ⅳは余裕の表情で言い放つ。
「俺を痛めつけて吐かせますか?まあさしもの俺も女の子に手をあげることはしませんからね。
このまま両手両足撃ち抜いて動けなくすればゲームオーバーです。
まあカノンならやるでしょうがね。」
>>75
「なんと!!処女っすか!?いいっすねェ処女!!ますます『軍勢』が好みそうな・・あだァ!!!」
ニヤニヤと調子こいているうちに脳天にスコーンとチョップが入る。
「失礼しやがりました。愛さん、いい加減失礼にも程がありやがりますよ。」
「だってェ・・・」
「車内でもてアブドゥル氏の不安を煽るような真似して・・・
流石に目が余りやがりますねェ・・・
ほら、ちゃんと謝りやがってください。」
「ぶー・・・ごめんなさい。」
ヘンリーに叱られてしぶしぶ謝った。
79 名前:ハバネロ 2009/03/07 15:35 ID:jN74Dk73
>>76
「そうかなー? 今流行の新興宗教の人たちはさー、ソレでも「世界の終わりだー」って騒いでいるみたいだよー?」
心配そうに辺りを見回す。
「焼け野原がどうとかいうのはナチスで、海が三分の一は最近の海面低下、そんで川はこのクレーターがニガヨモギでどうたらこうたら、新約聖書はこれを誇張表現により予言とか何たらかんたら。
……今学校でそういうの流行ってて、なんか……怖い。」
心配そうに星宮は言う。
80 名前:西涼の錦 2009/03/07 18:26 ID:IYRkGG5S
>>75
「(あらあら…今、首をつっこむとえらい事になりそうね…)」
クリスはドアからアブドゥル達のやりとりを見ていた。
「(いろいろと、蓮田市の情報を聞かせてもらおうと思ったけど…今はやめましょうか…)」
そう思うとクリスは、特殊課を立ち去る事にした。
>>76蓮田川
「お前まだいたのか…」
そこへ隼人が来た。
「何か調べてるのか?…」
81 名前:ハバネロ 2009/03/07 18:49 ID:Yzsslral
「―アブドゥルさんよ。このドアの向こうだ。
早く入れ。いいから入れ。そんでアリスに会ってやれ」
「ああ」
アブドゥルは動かない。
「……早く行けよ」
「―その、君には分からないかもしれないが、怖いんだよ」
「なんじゃそら。俺にはわからん。会ってやりゃあいいだろ」
それを聞いてアブドゥルはかえって決心がついたのか、ドアを見つめ、ドアノブを握る手を見つめ、もう一度ドアを見つめ、
ドアを開いた。
>>78
「……いいわ、もう」
ハゼリアはもう喋る気力が失せて、適当に返事を返す。亜玉が胸をなで下ろす。
「ハゼリアさん、その銃は国から支給されたものでやんしょう」
「……そうね」
「誇りのためには、耐えねばならんこともあるでしょう?」
「うるさいわね、もういいって言ってるでしょ。上手いこと言ったつもり?!」
「すいません、もう何も言いません」
82 名前:怠惰・ベルフェゴール 2009/03/08 02:34 ID:p.UBwBWL
>>56
「すみませんね…うちも何かと複雑でして」
蛭孤は疲れたようにナイアに言うと、自分の手で車椅子の車輪
を回し、ゆっくりと町中を進み始める。
「ああ。そういえば…前の仕事でうちの『右手』となにか話をし
てたみたいですが…何の話をしてらしたんですか?私が聞いても
応えないんですよ、彼」
蛭孤は前方を見つめながら後方からついてきているであろう、
ナイアに向かって聞く。
>蓮田市歩道
「ふぉるず、こっちこっち!」
前方を歩くルーミが後方を歩くフォルズに向かって叫ぶ。彼は
ベルフェゴールを押しながら彼女に向かって疲れたような声で言
う。
「わかった、わかったからちょっと待ってくれ。こいつもなかな
かおもてぇんだよ…」
「はやく!はやく!」
ルーミはまるで子供のようにその場で駄々っ子のように地団駄
を踏む。フォルズはそれを見てため息をついた。
さっきからこれの繰り返しである。まだそこそこ若いつもりの
彼も体力的に相当厳しくなってきた。ならやる事は1つ。
「ルーミ、ちょっと休まないか?」
フォルズは地団駄を踏んでいた彼女に追いつくと開口一番、彼
女が走り出す前にそう切り出す。
彼女はそんな彼の言葉を聞いて首をかしげながら聞く。
「うー?ふぉるず疲れた?」
「人生の先輩からの助言だ。…人生というのは急ぎすぎてもろく
な事がない。だから休みながらでもゆっくりいくんだ。それがい
い人生を歩みというものだ。…断じて俺が疲れているわけではな
いぞ?」
彼の性分か、異性の前では本音を隠しついついかっこつけてし
まう。だが、汗だくの顔でかっこつけても決まらない。
「よくわからないけど、ふぉるずが休むならルーミも休む」
ルーミはころころと笑いながら彼に向かって言った。それを聞
いてフォルズはほっとベルフェゴールに背中を預ける。
その様子を見てルーミは笑顔を浮かべる。彼はそんな彼女の様
子を尻目につかの間の休息を満喫する。
83 名前:Ⅳ 2009/03/08 02:56 ID:QzkhZUrJ
「・・・馬鹿言わないでよ。」
銃を机の上に置きエリスはⅣの目を見つめる。
「私は、いえ、私も兄さんは貴方のことを家族だと思ってるわ。昔も・・・そして今も・・・
だからこそ・・・怒ってるのよ。この世界から足を洗い平凡に生きるといった貴方が、笑顔で幸せになると言った貴方が・・・
こうしてコソコソやってることに。」
「・・・」
「兄さんなんか特にそうよ。コウ義兄さんのことも・・・」
「兄さんのことを言うな!!」
口を閉じていたⅣが突然怒鳴り、エリスがびくっと怯む。
「・・・今回の件は兄さんとは関係ない。だから・・・それ以上は止めてくれ。
もうそれは終わった話だ。ぶり返したくはないんだよ・・・」
「・・・すみません。」
取調室の空気が一気に重くなった。
>>81
「すみませんうちの馬鹿上司が・・・」
「健テメェ!むぐゥ・・・」
「貴女は黙ってやがりなさい。」
これ以上騒がないようにヘンリーは愛を取り押さえ、それを確認した健がハゼリアに近づく。
「とはいえまぁせっかく時間があることですし、交友を深めるという目的でお話でもしませんかね?
ああ、勿論さっきみたいなセクハラな話題は無しで。
んでもってよかったら聞かせてくれませんか?貴方達が此処まできた経過や理由を・・・」
84 名前:ハバネロ 2009/03/08 08:59 ID:71O3UFsD
>>82
「―まあすぐに仕事の話に移るのもつまらないですし。
右手とはヴィジョン氏ですか? あー、話をしましたよ。
私が何故、人間をもてあそんで楽しんでいるか。その理由。
こう言ったんです。『ただの暇つぶし。それだけだ』……そういう内容のことを。」
ナイアはにっと笑ってそう言った。
「次のラッパは面白くなりそうです」
>>83
「……我々は軍人。少なくとも私はそう思っている。本当は違うわ。ナチスが滅んでも、過去にすがって総統の悲願を達成しようと動いているテロ集団」
やや機嫌を直したのか、ハゼリアはぽつぽつと喋りだした。
「ナチスが数カ国に大規模な戦闘を仕掛けたのは知ってるでしょ?あれで私の信念が揺らいだのよ。
何のために闘ってるのかなって。こんなことで国のためになるのかなって。
その後、任務で訪れた先のモスクワでⅣさんに出会った。Ⅳさんは私に言ってくれたわ、自分の行いに悔いと疑問を感じるなら、自分についてこいって」
亜玉も初めて聞く話だったらしく、「そうでやしたか」としんみりと聞いている。
「だから組織を裏切った。私は―その、誇りのために闘ってるから。亜玉さんもついでに引っ張ってきてね」
「ハゼリアさんだけ、学校を占拠したときに生徒を守ろうとしたんでやんしたからねぇ」
85 名前:アス 2009/03/08 09:46 ID:Y0Qk4WAD
「ま、そういう解釈もできるけど・・・無理がある。」
詠子がクレーターの周りを歩く。
「海面が低下しても三分の一にもならない。大体、質量保存の法則があるから隕石でも衝突しない限り海の面積三分の一は無理。」
詠子がクレーターを一周する。
「隼人さん。あなたはこの事について何か心当たりでもあるのですか?」
突然隼人の方を向く。
86 名前:Ⅳ 2009/03/08 15:31 ID:QzkhZUrJ
>>84
「成る程、あの人らしい。」
ハゼリアの話を聞いてうんうんと健は頷く。
「いやぁ安心しましたよ。元ナチスっていうから最初はどんな人たちだと思いましたが・・・
仕事の失敗で公道を全力疾走させるような鬼上司より遥かにまともでね。」
愛がヘンリーに取り押さえているからって言いたい放題である。
「いいんじゃないですか。Ⅳさんもまぁ性癖やらストライクゾーンは少々アブノーマルですけど根はいい人ですからね。
テロ集団と居るよりはいいと思いますよ。」
87 名前:ハバネロ 2009/03/08 18:13 ID:71O3UFsD
ぶぅーん
星宮の頭上を虫が飛ぶ。
「何……? イナゴ?」
その虫は星宮を『見た』。
……いや、ただ単純に、星宮の方向を向いただけ―である。
ただそれだけの事に、星宮には戦慄が走った。
「何だろ」
飛び去っていったイナゴを見つめ、星宮は嫌な気分になる。
(なんか……監視されてる気分)
†
扉の先には局長がいた。
局長室のはじのソファーに、ヒルダとアリスがいた。
「…………」
沈黙。静寂。
やがて、アリスが「ぁ」と口を開いた。
「……ぁ、とう……さま?」
「なッ」
局長とヒルダがいっぺんにアリスを見る。
「父様?!」
「済まない、アリス……辛い思いをさせてしまって」
ハバネロは廊下を歩く。
後ろでアリスが誰かに抱きつく音がする。
「……ちッ!
親……ねぇ……家族……ねェ……」
アリスのくぐもったうれし泣きを背中で聞きながら、取調室に向かう。
(ん、いや違うな……重要なことを忘れてたねぇ)
取調室ではなく食堂に向かった。
88 名前:西涼の錦 2009/03/08 20:17 ID:kjfpOOK6
>>85
「別に、特になにもないね・・」
と隼人は言った。
「ただ言えることは、今起こっている事が、事実だって事だ…」
>>87
「どうした、気分でも悪いのか…」
89 名前:名無しさん 2009/03/08 21:00 ID:71O3UFsD
>>88
「な、なんでもッ」
星宮はあわてて笑顔を作る。
「なんでも……ない
あ、あたしっ……もう帰らないと。それじゃあね、お姉さんに隻人君。」
星宮は何かから逃げるように帰る。
クレーターを見つめるようにしてイナゴは飛ぶ。
†
「おう」
取調室にハバネロが現れる。
「Ⅳ、カツ丼ですぞー。熱々のカツ丼ですぞー。
さあそろそろゲロっちまえよ。お前がやったんだろ?」
カツ丼を持ちながらハバネロは言う。
†
「父様、とうさまぁ……あ、あ、あ、会えないと、思ってた」
アブドゥルに抱きついたまま、アリスは息も絶え絶えに言った。
「貴方……ひょっとしてアリスの父親なのか?」
局長の疑問にアブドゥルが答える。
「ああ。Ⅳという男のおかげでここまで来れたのだ」
Ⅳ、という名前にアリスが反応する。
「……Ⅳ?」
「ああ。アリスにその男から伝言だよ。
『さようなら』―だそうだ」
アリスの目が見開かれた。ヒルダもⅣの心の内を理解する。
「……Ⅳ……は?」
「彼なら今、多分この建物のどこかに―」
「父様、再開を楽しむのは暫し待っていて」
その瞬間、アリスは疾風のごとく駆けだしていた。
「しまッ……!! 貴方!! 何考えてるんです、Ⅳがそういう伝言を残したんですから、居場所なんて」
「局長さん、お説教は後でいいですから早く!! このままではアリスちゃんは建物を破壊しながらⅣさんを探し出します!」
局長は廊下に出て叫んだ。
「止めろ!! アリスを止めろ!! 命にかえてもだぞ!!」
「どきなさい!! あなた方、いいからどきなさい!!」
アリスさん困ります、暴れられては困ります!という局員の制止も振り払い、ドアをいうドアをあけ、ロッカーというロッカーをあけ、アリスは特殊課の全てのものを開かんとする勢いで探し始めた。
90 名前:特攻屋 2009/03/08 21:35 ID:jKbWW6lJ
>>89
「……騒がしいな」
特殊課の食堂、厨房にて皿洗いをしながら、拳護は言葉をもらした。
厨房にも他に数名の職員がいるが、拳護の居る事実に不自然さを感じずに仕事をしている。
皿洗いの手を止め、厨房の外を覗いてみれば、一人の少女―アリスが駆け回っている姿が見えた。
91 名前:ハバネロ 2009/03/08 21:44 ID:71O3UFsD
「アリスさん! 止まってくださいアリスさん!」
「どけ!!」
足と手を首にまとわりつく局員をちぎっては投げちぎっては投げ
前に立ちふさがる局員は押しのけ払い
後に残るは無惨にも開かれた扉・扉・扉―
「出てきなさい! Ⅳ!! 姿を現わしなさい!! どけ!! 邪魔するな!!」
「アリスちゃん、そこまでです!」
ひゅばっ、とワイヤーが伸びてアリスを捕らえる。
ヒルダが両手の袖からワイヤーをのばしたのだ。
「……く、くうううっ、んんんんっ」
「え、あ、」
ワイヤーを体に絡ませたままアリスは走る。
ヒルダを引きずってアリスは走る。
「あうー、駄目です! アリスちゃん、止まってくださいぃ~」
92 名前:Ⅳ 2009/03/09 00:31 ID:U8QuLiGO
>>89
「・・・」「・・・」
ハバネロが取調室を開けるとそこにはなんとも言えない静寂に満ちた空間が広がっていた。
立ったまま気まずそうにⅣと目を合わせようとしないエリス、
正座したまま口を閉ざして居るⅣ・・・互いに言葉が無く、それがかえって重苦しい空気を演出していた。
そして・・・
「・・・エリスちゃん、ハバネロさんがカツ丼持ってきてくれたからそろそろ椅子に座って食べていいかな?」
「・・・はい。」
じゃあ頂きましょうかな・・・と静かにⅣは立ち上がりハバネロに「ありがとうございます。」と静かに礼を言う。
「・・・私はちょっと本部に連絡を入れないといけないのでひとまず外に出ます。」
「どうぞご自由に。せいぜい俺を囲んでぶち殺す算段でもしておいてください。」
そう・・・と一息ついて彼は静かに言い放つ。
「『4年前』、俺の兄さんにカノンがしたように。」
「ッ!」
その言葉にエリスは振り返りキッと睨みつける。睨みつけて・・・
「・・・ごめんなさい。」
最後には泣きそうな顔で出て行った。
93 名前:アス 2009/03/09 16:30 ID:5NWC4JMy
「イナゴ…」
詠子は、星宮の言った事が気になった。
「…隼人さん。さっきまで言った事、撤回です。
確かに海も川も人口も陸地も何にもありませんが、来るかもしれません。アバドンが。」
94 名前:西涼の錦 2009/03/09 18:15 ID:oNfUSCvg
「その時は、倒すのみだ…」
隼人は詠子に言う。
95 名前:ハバネロ 2009/03/11 20:43 ID:Bd0EBCtV
>>92
どす、とカツ丼を机に置く。
「4年前……ねぇ」
別に人の過去に干渉しようとは思わない。
思わないが、
”4年前に数十人の死傷者を出した『連続サイバー強盗事件』”
「…………お前も大変だねぇ。何やったらここまでされるんだよ」
偶然といえば偶然だろうが、局長がいつも言っていたではないか。
『警官とは、まず偶然という事を可能性から消すことから始まるのだ』
コツコツコツ、と机を一定のリズムで叩く。
「まあ食べろ。いやぁ一度やってみたかったんだ。」
96 名前:Ⅳ 2009/03/11 22:27 ID:Mks37Ftt
>>95
「俺は言うほどなにもしていませんよ。周りが騒いでるだけでね。」
割り箸を割って涼しい顔で答える。
「4年前俺の兄さんが死にましてね。まあそのことがあって周りがちょっと神経質になってるだけですよ。」
こっちはいい迷惑だと呟いてカツ丼を頂く。
「ん・・・しかしなんというか・・・貴方には借りばかりつくってますね。
モスクワで会ったときのことは黙っていてもらってますし、今回もアリスとアブドゥルさんを会わせてもらいましたし・・・」
現在もこうしてアリスから匿ってもらってるようなもんですしねェ・・・と呑気に言いながらモサモサカツ丼を食っていく。
そしてゴクリと水を飲む。
「ここいらで貸しを返したいところですけど・・・あ!そうだ!いいこと思いつきました。」
こりゃ名案だと言わんばかりに箸を置きハバネロを見据える。
「此処は丁度取調室ですからね。ここは場所にあった形で行きましょうか。」
そう言って指を三本立ててハバネロに見せる。
「1、モスクワでのことを黙ってくれていたこと。
2、アリスをアブドゥルさんに会わせることに協力してくれたこと。
3、そしてこうしてアリス達から匿ってくれていること。
その借りを返すという意味で俺は提案します。」
腕を組んでハバネロを見据える。
「三回です。貴方が俺に訊きたいことを三回正直に答えましょう。質問の内容は問わずにね。どうです?」
97 名前:あまちゅか 2009/03/11 22:27 ID:7NSi5wcW
>>蓮田学園
最近様々なことがあったてのに皆さん普通だ。普通に振舞っている。
あまり燈哥は気に食わなかった。存在するそれを認めないというのは・・・
不思議な現象や想いを否定するのと変わらない。
燈哥はそう信じている。
授業中・・・そんなことを考えながら、雲を見つめていた。
98 名前:ハバネロ 2009/03/11 23:09 ID:Bd0EBCtV
>>96
「ほうほう。3回ねェ。
うーん。どうしようか、うーん、」
もし局長なら恐ろしい質問をしているであろう。
ハバネロは煙草を吸いながら考える。
「一つ。お前の雇い主はどういう御方で。
二つ、お前―『こっち側』のくせに嫁なんか貰って大丈夫だったのか? 慣れちまってんだろ、戦場やら鉄火場に。「あっち側」で暮らしていけたのか?
三つめ、告ったのはどっちからだ。」
>>蓮田学園
「それじゃーみんな、文化祭の役割決めます。やりたい係に手ぇ挙げてー。」
LHRの議長のあまりやる気のなさそうな声、やる気の無い生徒、しかし何故かどことなくテンションは上がり気味。主に女子。
「俺最後に残ったやつでいいやー」
「ばっかお前、じゃあ一番面倒なゴミ捨てとかにされるぞ」
「ハイハイハイハイ!! あたし喫茶のウエイトレスー!!」
星宮がウエイトレスの項目で挙手したので、一瞬でウエイトレスに決まった。
99 名前:Ⅳ 2009/03/11 23:42 ID:Mks37Ftt
>>98
「雇い主は・・・あー・・・今のところ雇い主と言えるかは微妙ですけど・・・モスクワのときの雇い主はプレシデントでしたね。
ただ今回の件はあくまで俺が好きでやったことであるんで彼は関係ありません。」
事も無さげにあっさり答える。
「さて二つ目ですけど・・・あー貴方みたいな人にありがちな疑問ですね。」
つーかまるっきり私事の質問じゃねえか。くすくす笑う。
「大丈夫どころか幸せでしたよ。銃を置き片田舎の一軒家で嫁と暮らす生活はね。
お金は『呪い十字』に居たときに溜め込んだ分がたんまりあったんでロクに働かずにニートやってましたね。
嫁と一緒に家事やったり遊びに行ったりと・・・少なくとも俺が生きていた中で最高の時でしたよ。」
まるで懐かしむような目で生き生きと話す。
「で、三つ目ですが・・・もう完璧私事ですね。とりあえず貴方が真面目に仕事する気が無く、俺がしようとしていることに興味が無いことがよく分かりました。」
そして照れたような顔で・・・
「んー告白は実は嫁なんですよね。まぁそのなんつーか・・・」
話しにくそうに下を向き、
「ちょっと欲望不満なときにまあ成り行きで押し倒しちゃって・・・
そのとき馬乗りになったときに向こうに言われたんですよ。「責任取ってくれるなら・・・」って・・・
そのときに思ったんです。まぁこの後することして責任取ることになっても、彼女とこのまま暮らしていくのもいいかなぁ・・・ってね。
まぁもっとも・・・」
そこで一瞬彼は口を閉じる。そしてその瞬間その場の空気が変わった。
重く・・・暗く・・・
「今はそのときの己の選択を後悔してますがね。」
一息置いてそう言った彼の顔は歪なまでに無表情だった。
100 名前:アス 2009/03/12 17:25 ID:W4fTKvIM
「倒すのみ…ね。」
詠子は立ち止まり、クレーターを見下ろす。
「私も、できる限りやってみるさ。」
アスカは、何の用もなく、ただ何もやる予定もないので、そのまま警察署の廊下に突っ立っていた。
「タバコ、何年ぶりかな…確か6年ぶりだったな…」
アスカはどうでもいい思考をしながら天井を見上げる。
ものすごい速さで走る女性を見かける。
「廊下は走ったらいけないぞ~」
気の抜けた声を出すも、多分その声は届かないぞ。アスカ。
101 名前:ハバネロ 2009/03/12 18:59 ID:FHDlkFvF
>>99
「なるほど、」
変態でロリコンという言葉を飲み込む。
「てかさー、俺半分この警察の雇われみたいなもんだからー。
仕事とかめんどくさーい。Ⅳの過去とか興味ねーしー。ブッチャケ
って、雇い主大統領だったのォォ?! すっげぇ!」
ズドドドドという走行音を地面で感じる。
「やれやれ。」
ハバネロは扉のノブをひねる。
「あいつ静かにさせてくるわ。顔出しちゃいけないよー、Ⅳ」
102 名前:Ⅳ 2009/03/13 01:54 ID:Fcv03dyq
>>101
「ええ、お願いします。」
軽く手を振ってハバネロに応じると再びカツ丼に手を出す。
緊迫感の欠片もあったもんじゃなかった。
>>ヘンリー一行
「あーご苦労様です。」
特殊課の入り口で健が軽く頭を下げる。例のパンクの修理がたった今終わったのだ。
やれやれこれでアシは戻ったなと一息してふと辺りを見回す。
そして・・・
「あれ?」
彼は異変に気づいた。
>>エリス
「なん・・・ですって・・・」
特殊課の建物のとある通路、『呪い十字』本部に連絡を取っていたエリスはある一報を聞いて言葉を失った。
あまりの驚きに危うく自分の携帯を落としそうになる。だが、
「まさか・・・『これ』にも・・・」
「一回切ります!!」と言って携帯を切り自分の携帯の電池パックを外す。そしてそれを見て・・・
「兄・・・さん!!!」
やられた!!と悪態をつき『それ』を叩きつける。そして・・・
「っく!!早く知らせないと!!」
血相を変えてⅣの居る取調室に走った。
103 名前:ハバネロ 2009/03/13 15:43 ID:ol7UjW0K
取り調べ室から出ると、アリスは扉の前に立っていた。
まるで毘沙門天のようだった。息を吐きながら、ハバネロをにらみつけていた。
「どいて」
「おいアリス、廊下走るな」
アリスの言葉を無視してハバネロはしかりつけた。
「どいて!!」
「何なんだよ。こんなに局員に迷惑かけやがって」
「Ⅳがいるんでしょ?!」
アリスは取調室へ入ろうとする。それをハバネロが押しとどめる。
「お前、Ⅳが言ってたこと何も分かってねーだろ」
「うるさい!!」
「Ⅳがアリスに何で会わないか分からないか」
「だって―」
「グダグダうるさいんだよこのクソガキ!!」
アリスの体がビクンと震える。
「会えないんだよ! Ⅳの立場っつうものがあんだろうが……
お前とはもはや仲間ではない。いやもう『知り合い』ですらない。
ガキみたいに現実を知らないで喚いているお前を見てるとイラついてくるんだよ!」
アリスは大人に叱られてうつむく子供そのものだった。
周りの局員は心配そうに遠巻きに見ている。ヒルダがようやく追いつく。
「ヒルダ、頼むわ」
あう、というヒルダの困った声を背中で聞きながらハバネロは取調室に戻った。
「やれやれ―アリスにも困ったもんだ。まさかあそこまで暴走するとはねぇ」
104 名前:怠惰・ベルフェゴール 2009/03/13 23:22 ID:vfKDA.Yw
>>84
「彼が隠し事をしてたんで何か悪巧みの話し合いでもしてたのかと思いましたが…ただの世間話ですか。それにしても『暇つぶし』とはあなたも面白い人ですね」
蛭孤はくつくつと笑う。そして駅前から少し離れた位置にある、工事途中でほったらかしになったようなビルの前で車椅子を停める。
「ここからちょっと足場が悪いですから気をつけてください」
彼はそうナイアの方を見て告げると、ゆっくりとした動作で車輪を回し、仕切りとなっている黄色いテープを越えてビルの中へと入っていく。
105 名前:Ⅳ 2009/03/14 01:18 ID:aFYY9khl
>>103(Ⅳサイド)
「・・・少々優しくし過ぎましたね。父親に会わせればもうあの娘は俺を求めないと思ったんですがね。」
はぁヤレヤレだとため息をつき、
「ご馳走様でした。なかなか美味しかったですよ。」
手を合わせて空のどんぶりを前に出す。
「さて、もうそろそろ俺も失礼しますかねェ・・・今ならエリスちゃんも居ないし・・・」
席を立ちハバネロに愛銃を返してもらおうとしたところで・・・
「失礼します!!」
「ありゃ・・・戻ってきちゃいましたか。」
タイミングよくエリスが急いで戻ってくる。どうやら全速力で走ってきたようで肩で息をしていた。
「どうしたんだい?もしかして俺が逃げようとしたのが分かってすぐに戻って・・・」
「兄さんにばれました!!」
「・・・マジで?」
その一言でその場が固まった。
>>ヘンリー一行
「やられやがりましたね。」
健と同じように異変を感じたヘンリーがため息混じりに辺りを見回す。
その視線の先にあるのは公道、何の変哲もない街の風景であり、別段そこに異質なものがあるわけでもない。
むしろ・・・
「『人払い』・・・でありやがりますね。」
そう、この場合『無いこと』が異質となっていた。公道には車はなく、さらに街を歩いている人々も居ない。
見渡す限りが無人となっていた。
「私が気づきやがらないほどの『人払い』となりやがりますと・・・『赤(コードレッド』レベルでありやがりますね。
そしてそれが発令出来やがるほどの人間は・・・エリス嬢を除きやがりますとあの方ぐらいでありやがりましょう。」
ふと視線を前に向ける。するとスタスタとこちらに向かって歩いてくる1人が見えた。
黒いアウター、茶髪、そして二挺の銃剣付き大型拳銃・・・
「『処刑人』・・・カノン=リーデベルト・・・」
106 名前:ハバネロ 2009/03/14 10:34 ID:M2bSIlNs
>>104
「時間があまりありませんので歩きながら話させていただきます」
ナイアはきびきびとそう告げた。
「第5のラッパは、奈落の王…アバドンが召還されます。
しかし、召還されたばかりではアバドンも上手く活動できないことでしょう。
そこで、あなた方から誰か一人、召還直後のアバドンと戦闘し、完全に目覚めさせて欲しい。
殺すつもりで全くかまわない。付近の人間はどうなっても問題ない。
日付は―高校の文化祭…とでも言いましょうか…。報酬は望みのものを差し上げます。」
>>105
「求める、求めないじゃなくて……アリスは多分、まだお前を仲間だと思ってるんだろうな。」
ドアが開いて、エリスが入ってきて、ハバネロが何か言う前に衝撃の事実を知らされて、ハバネロは血の気が引いた。
ゴトリとⅣの銃を二丁机に置く。
「……あ、あんたらで解決しやがれ……っていうか、俺には手に負えないぜ…?
てか、俺どっちの味方にもつけないから!
……まさかここでやり合うつもりじゃないだろうなカノンの奴…!」
107 名前:アス 2009/03/14 10:41 ID:HDYIytMu
蓮田川
「さて、隼人さん。私はもう行きます。」
詠子が視線を隼人に向ける。
「アバドン、来るのだったら、準備が必要ですから。」
アフリカ 南アフリカ共和国 地下『ジャセス』施設
暗い部屋の中、えいなは目を覚ました。
「・・・ここは、どこ?」
えいなは周囲を見渡すが、かすかな明かりしか見当たらない。
108 名前:Ⅳ 2009/03/14 11:38 ID:aFYY9khl
>>106
「いえ、Ⅳさんは出ないでください。」
ハバネロが銃を置くとすぐにエリスが静止する。
「あーでもエリスちゃん、アイツは俺が出ないと・・・」
「・・・いけません。」
Ⅳの片手を両手で包み、エリスは頑なに銃を取らせることを拒む。
「もう・・・止めてください。コウ義兄さんに続けて貴方まで・・・」
「・・・」
エリスのその言葉に動きを止める。
「・・・そうだね。これじゃあアレの再来か。」
ハァ・・・とため息をつき椅子に座る。
「分かったよエリスちゃん。もうしばらく俺は出ずに待とう。
まあ外のことはヘンリーに任せるとしよう。」
>>(ヘンリー一行)
「よォ久しぶり。」
「久しぶり・・・でありやがります。」
陽気に手を振って近づいてくるカノン、その姿にその場に居たほとんどの者が戦慄する。
『処刑人』、『一にして千の軍勢』に並ぶ実力者であり、『呪い十字』の現エースと言える存在、
それが此処に来る理由といえば・・・
「まぁ此処は久々の再会を楽しみたいところなんだけどよ・・・居るんだろ?アイツ・・・」
「さぁ・・・どうでありやがりましょうね。私は存じ上げていやがりません。」
そうは言いつつもゆっくりと車のボンネットに近づくヘンリー、健も静かにそこに近づいてそこを開ける。
「・・・そこをどけ。」
「お断り・・・しやがります。」
「俺は『どけ』と言った。」
「私は『断る』と言いやがりました。」
「・・・ほォ・・・そうかそうか。」
その返答にカノンは愛銃に手をかけ、
「健君!!」
「はい!!」
健はボンネットから一本の日本刀を出し、ヘンリーに渡す。
「愛さんは例のデータを持ってひとまずここを離脱!!
健君は『特殊課』に進入し、彼を向かいに行きやがってください!!」
「了解」「しかし・・・恐らく邪魔が・・・」
「障害は・・・全てねじ伏せやがりなさい。そして出来ればエリス嬢も連れてきやがりなさい・・・無論人質として・・・」
「・・・分かりました。」
健はゆっくりと頷くとハゼリア達のほうに向き直り、
「今からⅣさんの救出に向かいます・・・着いて来たい人があったら一緒に来てください。」
そう告げた。
「やっぱ居るんじゃねえか・・・そうか、あくまで阻むと言うなら・・・」
右の『処刑刀』を抜き、銃口をヘンリーに向ける。
「お前は『壁』だ。俺の道を阻む壁と判断し・・・打ち砕かせてもらう。」
「・・・いいでしょう。」
ヘンリーもその言葉に応じ柄に手をかける。
「『呪い十字』所属・・・『処刑人』カノン=リーデベルト。」
「ゴールド商会取締役会会長・・・『義士』ヘンリー=ゴールド。」
「「参る!!」」
刃が鞘の中を滑り、撃鉄が下りる。鳴り響く銃声と奔る剣戟が開戦を告げた。
109 名前:ハバネロ 2009/03/14 12:42 ID:M2bSIlNs
>>108
「……っ!!」
局長は、またやっかいごとが起こったことを知った。
「あう、どうしましょう」
「アリスは?!」
「部屋で…眠らせてます…不本意な方法でしたけど」
分かった、と局長は軽く返事をして、外を少し見た。
(呪い十字と我々は協力体勢を―
しかしどうする……?!)
局長の頭の中がめまぐるしく駆けめぐる。
「ハバネロ!! 聞こえているだろ?!
エリス殿に危害が加わるようなら、それを容赦なく攻撃しろ!! いいな!!」
ハバネロはうええええ!?と焦り出す。
「ま、待て待て待て…!! 呪い十字側に付けってかい?!
あぁー悪いわⅣ、ちょっとお前の同志とやり合うかも、うあーマジかよ!」
†
「私も行きます! 亜玉さん、ここに残っていて下さい。」
「御意」
ハゼリアは早足で健に付いてゆく。
110 名前:八神 2009/03/14 15:54 ID:oPGGwPVN
そんなこんなで家に帰った八神だった。アリアは自分の家があるのでそちらへ戻っていった。
「ただいま」
「ああ、お帰りなさい七星。無事なようで本当に良かったわ……」
帰って来た七星と茶々を出迎えたのは彼の母親だった。
「うん、なんとか」
「茶々もお疲れ様。ゆっくり休んで頂戴ね」
「うむ」
「あれ? ところで鈴は?」
普段ならこんな事があれば安堵のままに泣きながら真っ先に腰に強烈なタックルハグをかましてくるような妹の姿が見えないのを彼は不思議に思った。
「うーん、それなんだけどねぇ……」
彼の問いに母親は困った顔をした。見れば茶々も同じような表情だ。
その原因は直ぐに知れる事となる。
「……」
居間を覗けば彼の妹が背を向けて三角座りで「わたし、おこってます」といった空気を醸し出しながら椅子に座っているのが窺えた。
「えーと……、た、ただいま鈴」
七星は声をかけたが鈴はふいと顔を背け彼の横をすたすたと抜けていってしまった。それを七星は慌てて追い掛ける。彼女が入って行ったのは……
「俺の部屋……?」
111 名前:特攻屋 2009/03/14 16:33 ID:/NV7w4rD
>>109
「…また何かあったか?」
やることもおよそすませ暇を持て余す拳護。
その近くにはいつの間にか
膝まで届く漆黒がごとし長髪、ゴスロリな黒いドレスと、黒ずくめな少女―ルウがいた。
「そうみたいよ…この間の彼女も来るみたいね…」
しばし思案の沈黙が続き、
「行くか?」「行きましょうか?」
意気揚々と食堂を後にし、拳護は取調室、ルウは入口へと歩いて行った。
112 名前:ハバネロ 2009/03/14 16:36 ID:M2bSIlNs
保健室。
「ああ、周防か」
森岸は入ってきた生徒を見るなりすぐに応対した。
「黒田の様子は?」
「別に。報告するようなことは何も」
周防の役目―それは黒田清隆の監視、状況の報告である。
彼がとある事件の首謀者であることを突き止め、万が一のために監視役を立てたのだったが―
「どうやら、黒田一人じゃおさまらなくなりそうだ。
ボスに言われたよ。学校全体を視野に入れる必要があるって。
あたしにも働けってかねぇ」
「…………」
周防はどこか別の所を見る感覚でカベを見る。
「まぁ…黒田にも護衛がいるようだし。
万が一っていうけど、別に監視する必要無いんじゃないかと思うんだが。
普通の生徒のようだし。それとも、黒田が何か問題を起こすと思うか?」
森岸は答えなかった。
113 名前:Ⅳ 2009/03/15 02:14 ID:64L/tKKR
剣戟に続く銃声、銃声に続く鍔鳴り。ありふれた街の光景にそぐわない二名によって公道は戦場と化していた。
「しッ!」
「ちィッ!」
もはや何度目だろう、奔る刃をカノンが銃剣で受け距離を取ろうと後ずさるが、
「遅い!」
それをさせまいと再びヘンリーが踏み込んで追撃をかける。
居合いで抜いた一閃でカノンを横薙ぎに捉え、それが受けられると、
「しッ!」
すぐさま諸手に柄を持ち直し斬り下ろす。
ショートレンジ、銃でもなくナイフでもない、刀にとって絶好の間合いが保たれていた。
そう、現在優位に立っていたのは・・・
「いい加減もう片方も抜きやがったらどうでありやがりますか?」
「うるせえよ。」
五度目の発砲で牽制し、逃げるように後ずさったカノンが悪態をつく。
S&WM500、カノンの『処刑刀』の装弾数は5発、そう五度目の発砲は弾切れを意味していた。
「変わりやがりませんね。もう一丁を抜きやがらないのは私の刀が本来の愛刀ではありやがらないですからか?」
「分かってんなら訊いてんじゃねえよ。ああそうだよ。今の手前に二挺の『処刑刀』はもったいねえ。一丁で事足りる。」
「それが現在押されている方の言葉でありやがりますかねえ。」
ため息をついてヘンリーはカノンの銃を値踏みするように見る。
「S&WM500、市販品としては最強の拳銃弾「500S&W」を使用するとはいえ装弾数は5発、そしてリボルバーであるため連射機能は無い。
一発の威力は強力ではありやがりますが、そんなものは実用性のありやがらないイロモノでありやがります。」
「ああ?」
「「舐めるな。」と言ってやがるんですよ。そんな銃でしかも片手落ちで相手をされやがってはこちらもいい加減不快です。」
再び柄に手をかけヘンリーはカノンを見据え、
「どちらにしやがってももう一丁抜きやがらないのならチェックメイトでありやがります。
もうその銃は弾切れ、先ほどのように牽制して抜けるような芸当は叶いやがりませんよ。」
「・・・」
再び踏み込み、
「しッ!!」
その一閃を放つ。
>>(健サイド)
「おじゃましま~っす!!」
入り口を蹴破って元気に侵入、威風堂々と健は『特殊課』の内部にずけずけと土足で踏み歩く。
しかしその手に銃は無く、代わりに左手には・・・
「あーあ、まさか使うことになるとはなぁ・・・まあ銃を使うよりはマシか。」
何故かテーブルクロスが手元を隠すように被せられていた。
「あーハゼリアさんでしたっけ?出来れば銃は使わないようにお願いします。
荒事になったとは言え、警察殺しはスンゲーめんどくさくなりますからね。」
114 名前:ハバネロ 2009/03/15 10:28 ID:XzEuARjm
>>113
「ええ―」
「止まれっ!!」
ハゼリアの応答に被さるように、警官の有象無象が数人、健とハゼリアを取り囲む。
皆、銃を向けるその面持ちはどこか後ろめたいものがあるようだった。
115 名前:Ⅳ 2009/03/16 01:21 ID:/GtlYOY.
その動きはまさに達人の域に達していた。
一旦離れた間合いを縮める縮地レベルの瞬動術、そして己の得物の間合いに適した場所で留まる踏み込み、
鞘の中を刃が滑走する。狙いは胴、その一閃は今まさに眼前の相手を真っ二つにするはずだった。
そう、その一閃を振りぬけたなら・・・
「なッ・・・」
驚愕のあまりヘンリーの口から驚きの声が漏れる。
完全なまでの居合い、弾の切れた相手の得物では絶対に届かないであろう距離で振りぬかれるはずの一閃・・・それが・・・
「悪いねェ。足癖が悪くて。」
余裕の笑みでカノンは言う。ヘンリーの刀の柄を・・・前蹴りで押さえつけながら。
「ご丁寧に納刀しやがって。」
カノンの腰のホルスターから銃が抜かれる。それと同時にヘンリーは身を逸らし回避の動作に入る。
(相手の得物はS&WM500、この距離なら先を取られやがっても回避は・・・)
そう思った次の瞬間、彼は信じられないものをみたような表情になる。
「悪いね。今度はフルオートだ。」
カノンの左手に握られていたそれは『処刑刀』ではない。
それは回転式拳銃ではなく、
「グロックッ!?」
グロック18C、自動連射機構搭載の自動拳銃である。
「使用弾薬9mmパラベラム、装弾数にして19発の鉛の雨だ・・・」
引き金にグッと指が掛かる。ヘンリーが身を逸らそうとした先に銃口が向けられ、
「存分に味わえ。」
乾いた銃声が幾重も重なり、数多の9mmの弾丸は吸い込まれるようにヘンリーの腹部に叩き込まれていった。
116 名前:Ⅳ 2009/03/16 01:31 ID:/GtlYOY.
>>114
「まぁまぁ・・・」
警官が進路を取り囲むようにして銃を構えた瞬間、健の左手が動くと同時にテーブルクロスが翻る。
「お手本を見せますよ。」
そう言った直後、数人の警官に向かって白銀の輝きを持った何かが飛び出す。ナイフとフォーク、銀色の輝きを持つ銀食器は正確に銃を持った手元を狙い肉を抉った。
117 名前:ハバネロ 2009/03/16 10:50 ID:uG3niHhu
>>116
「!!!」
ぎゃああああ、と悲鳴が起こってガシャガシャと銃が落ちる音が廊下に響いた。
「退くぞ!」
「しかし―」
「俺たちではもはや手に負えない! ハバネロさんに任せる!」
後から続いたさらに数人の警官隊と共に、早々に廊下の奥に引っ込む。
「行きましょう」
ハゼリアは、相手が敗走するのを見届けてから静かに言った。
「貴方、黒執事になれるかもね」
118 名前:Ⅳ 2009/03/16 12:50 ID:/GtlYOY.
>>117
「悪魔で(あくまで)執事ですから(笑)」
そう言って健は笑いながら歩き出す。
「銃よりもこっちのほうが手加減が利きますしね。それにこの場合は戦術的にも有効なんですよ?
下手に殺したり大怪我させたら向こうは逆上してさらにムキになりますからね。
適度に怪我させて向かうと痛い思いをするって思わせたほうが敗走させやすいんですよ。」
再びテーブルクロスを左手にかぶせる。
「まあでも貴女の得物は銃ですからね・・・見たとこ口径もそんなに大きくないみたいですし、手足狙うくらいなら問題ないかもしれませんね。」
次は援護をお願いしますとエレガントに笑いながら歩を進めた。
119 名前:ハバネロ 2009/03/16 13:20 ID:uG3niHhu
>>118
「…………」
ハバネロは声を出さずにため息をついた。
「あー……仕事だわ……」
実にやりたくなさそうに、ハバネロは銃を抜いた。
「エリスもⅣも、こっから出るなよ。
ヤダなぁ~……やりたくねぇなぁ……
まあでもやるしかないかなぁ」
取調室の扉を開く。
「そいじゃ。死なない程度に頑張りますよー…」
120 名前:Ⅳ 2009/03/16 13:36 ID:/GtlYOY.
>>119
「行ってらっしゃ~い。」
頑張ってくださいね~と呑気に椅子に座ってハバネロを見送る。
そしてその場にはエリスとⅣが取り残される。
「んじゃあエリスちゃん、俺らはゆっくりと待ちましょうか。」
「・・・大丈夫なんですか?」
「ん?」
心配そうにエリスはハバネロが出て行った扉を見て呟く。
「あー・・・ヘンリーは恐らくカノンの相手をしているからなぁ。
来るとしたら愛さんか健君だろうけど・・・」
愛さんは恐らく例のデータを保護を任されるだろうから来るのは恐らく健君だろう・・・
「来るのが健君ならハバネロさんとはいい勝負でしょうね。
モスクワで向かい合ったときの記憶では恐らく実力は同等、もっとも地力ではハバネロさんのほうが上でしょうがね。」
とはいえ・・・と彼は続ける。
「センスは健君ですね。彼はまだ未熟ですが、そのトリッキーなスタイルはなかなかの好評価だ。
まあ結論としてはやっぱりいい勝負にはなると思いますよ。」
121 名前:アス 2009/03/16 16:42 ID:T9SsO8D.
「・・・何だったんだ?今のは。」
アスカが警官たちを遠巻きに見つめる。
何か面倒事の気配がしたので、アスカそのまま警察署から歩き去る。
携帯の着歌が流れる。
「アスカだ。」
すぐにアスカは携帯に応る。
そして、顔色が一気に変わる。その色は、悲しみの色。
「・・・じっちゃんが、死んだのか。」
アスカは携帯を切る。
そして、目を瞑る。
122 名前:ハバネロ 2009/03/16 18:18 ID:uG3niHhu
「あら」
ハゼリアが、一人の男に気づく。
モスクワでは見かけなかったが、学校では見かけた。
カノンと一緒にいた男。
特殊課のあの男。
「…………」
ハバネロは二人を見るとゲンナリした。
「にーたいいちですか? マジか? 俺不利じゃん?
あーすまんね。仕事だからさー、俺としてはやりたくないんだけどさー、」
銃を取り出す。未だにコルト・ガバメント。色々な銃を扱いこなさなければ鉄火場はやっていけないが、結局銃は一丁だった。
「……おぉ、ねーちゃん。学校にいた人か。」
「そっちもね」
ハゼリアも銃に手をかける。
123 名前:Ⅳ 2009/03/16 20:28 ID:/GtlYOY.
「ぐッ・・・」
腹部に十数発の集弾を受けてヘンリーは体をくの字に曲げる。
だが追撃は終わらない。ここぞとばかりにカノンは身を翻し、ヘンリーの右わき腹にまわし蹴りを叩き込む。
メシィっとアバラが軋む音と共に「うぐゥ!?」とうめき声を上げてヘンリーは蹴り飛ばされた。
「はッ!ざまぁ!!」
うめき声を上げながら地に伏せるヘンリーを見てご機嫌に笑いながらカノンはグロックの弾倉を交換し、『処刑刀』の空薬莢を捨てスピードローダーで一気に全弾装填する。
「っく・・・う・・・ぐ・・・」
「おいおい、まだやんのかよ。」
わき腹を押さえ、苦悶の表情で立ち上がろうとするヘンリーにカノンは呆れてため息をつく。
「手ごたえから言って今のでアバラにひびくらいは入ったろ?もう寝てろよ。」
「黙れ!!っくゥ・・・」
痛みで膝をつきながらも、鞘を杖代わりにしてヘンリーは立ち上がり、再び刀を構えた。
>>122
「すいませんね。俺も仕事なんで・・・」
申し訳なさそうな顔でハバネロを見据える健、しかしながらこちらも既に臨戦態勢といった感じでテーブルクロスに隠れた左手を動かす。
「駄目元で訊きますが降参してくれませんかね?
そうすればこちらも助かるんですが・・・」
124 名前:特攻屋 2009/03/16 23:28 ID:wn3phDg0
>>123
対峙する二人(ハゼリア・健)と一人(ハバネロ)。
そこに場の空気を読まず歩を進める男、拳護。
「はいはい、ちょっと通りますよ~」
その頃ルウは玄関前に佇み、目の前で繰り広げられる死闘を観戦していた。
125 名前:ハバネロ 2009/03/16 23:36 ID:uG3niHhu
>>123
はぁ、とハバネロはため息をついた。
そして少し笑った。
両手で、いつものように銃を構えた。
「嫌だね。
降伏はな、首領に見付かるとな、
夜飯抜きにされたあげく、砂漠にその日いっぱい天日干しにされたんだ。
局長はもっとひでぇ! 減給だ!!」
この男、天日干しより減給が怖いらしい。
「2対1はキツいが、やってやらぁ。 ……かかってきやがれ!」
126 名前:Ⅳ 2009/03/17 00:56 ID:JfH6g0SI
ヤレヤレとため息をつきカノンが一歩ずつ近づいていく。
右手に『処刑刀』、左手にグロック、両の手に拳銃を携えそれを構えて一歩一歩にじり寄っていく。
対するヘンリーは・・・
「すー・・・・はぁぁ・・・・・」
深く息を吐き、抜き身の刀を諸手で握り、正眼の構えを取る。
二挺拳銃vs日本刀、どう見ても前者のほうが有利なのだが、
「・・・ちィ・・・」
双銃の担い手は眼前の敵を見据え舌打ちをする。
手負いの獣、カノンにとって目の前の敵を言葉で表すならばまさにそれだった。
圧倒的に優位なはずのこの状況で、彼はヘンリー=ゴールドという男のプレシャーを肌でひしひしと感じていた。
ふと左手のグロックに意識をやる。グロック18C、フルオート機構を持つ自動拳銃。
いくらヘンリーが達人級の使い手だとしても、フルオート射撃をかわしきるのは不可能だろう。
だが、
(さっきの掃射をもろに受けて立ち上がるっつーことは・・・間違いなく防弾繊維だな・・・)
先ほどありったけの9mmパラペラム弾を叩き込んだ腹部に目をやる。
そこにはいくつかの集弾のあとがあったものの、出血や穴は見当たらない・・・その予想はまず間違いは無かった。
(となると・・・決め手はコイツか・・・)
右手の『処刑刀』を意識し、グリップを握り締める。
恐らく次に互いの誰かが動いたときで決まるであろうこの戦い、相手は間違いなく捨て身で来るだろう。
となれば防弾仕様である以上9㎜口径では止まらないはずだ。
一陣の風が吹き荒れる。『義士』は切っ先を、『処刑人』はその銃口を、それぞれ目の前の相手に向けてにらみ合う。
そして再び風が互いの頬を撫でた瞬間、
「しッ!」「はぁぁぁぁ!!!!!」
互いが同時に動いた。
>>125
かかってきやがれ。そうハバネロがそう言うや否や健はすでにモーションに入っていた。
拒否をするのは分かっていた。だからこそ彼は・・・
(出鼻を・・・くじく!!)
ぶっちゃけ「かかってきやがれ」の『か』の時点には身をひねっていた。
テーブルクロスが翻ると共に白銀の輝きがその身を現す。
銀のフォークにナイフ、その数計30本、それらは銀の奔流となってハバネロに降り注いだ。
127 名前:アス 2009/03/17 16:01 ID:aCR6Sgn.
「じっちゃん・・・」
アスカは、うつむく。
警察署の中で何が起きているのかが気になったが、数少ない理解者が減った悲しみにアスカは包まれていた。
アスカの前に黒いリムジンが止まる。
リムジンの中からタキシードを着た老人が出てくる。
「アスカ様、お迎えにあがりました。」
アスカは、無言でリムジンに乗る。
その行く先は、神原家の屋敷。
128 名前:ハバネロ 2009/03/17 18:42 ID:O01qJ8yP
>>127
「ぴゃーーーーーー!!!」
何が出てくるかと思えば、きらびやかに光る銀食器!!
ハバネロは悲鳴を上げて跳んだ。
「いッ!」
右手の甲をナイフがかすめる。
ポタ、と鮮血が滴った。
「こッ、こいつ……」
普通に銃とかで来れば良かったかもしれないが、まさかナイフとフォークとは、
さらに銃声が響いてハバネロはさらにのけぞった。
ハゼリアが間髪入れずに引き金を引いたのだ。
「出鼻くじきやがって! こんのやろ……」
両手で構えているためにブレはほとんど無いコルト・ガバメントの引き金を引いて、一気にマガジンの半分近くを消費する。
129 名前:Ⅳ 2009/03/17 20:16 ID:JfH6g0SI
>>128
銀食器を放った直後、健はハバネロの懐に入るべく走りだす。
銀食器の弾幕は牽制としては効果的だったらしく、相手が怯むのを確認、さらにハゼリアの射撃でのけぞった隙に彼は間合いを一気に詰めた。
そうこうしているうちにハバネロが両手に構えたコルト・ガバメントの引き金を引く。
両手で構えられているためブレはほとんどない・・・が、
「残念♪」
いかんせん苦し紛れの反撃のせいか初弾から数発はかすりもしない。そしてとうとう銃口が健に向こうとする頃、
健の重心が低くなると同時に加速、銃口の先から逃れる。そしてついにはハバネロの懐に入り込むと、
「失礼♪」
突然左のテーブルクロスをバッと広げハバネロの視界を塞いだ。
130 名前:特攻屋 2009/03/17 21:36 ID:xDvJ12MZ
>>128
>>129
(うーむ……)
血舞い銃声轟く眼前の闘争を見て拳護は腕を組み立ち止っている。
ときおり流れ弾が傍を通過したりするが、当たりそうな物のみ避けその場を動かない。
(どうするかな・・・まぁ、とりあえず・・・)
しばし思考し、拳護は息を潜めハゼリアの背後に近付き
「あー、ちょっと通りたいんだが・・・・・・いいか?」
場の全員に聞こえる声で問いかけた。
131 名前:ハバネロ 2009/03/17 22:25 ID:O01qJ8yP
>>129
「!!!」
俺の仕事じゃないってば。
いや、俺はそこら辺のチンピラはもちろんのこと、普通の軍隊相手なら死なない程度の実力は自負してるよ。
並大抵の敵になら勝てる自身あるよ。
「テメェ!! 並大抵じゃねぇなぁ?!」
クロスがハバネロの上半身を覆った。
>>130
「うるさいわね、今取り込み中なのよ!
…あら、貴方、モスクワの」
ハバネロに銃口を向けつつ、拳護の方向に目線をやる。
「早くしなさい。私は目前の目的に集中したい。」
132 名前:Ⅳ 2009/03/17 23:00 ID:JfH6g0SI
それは時間にすれば数秒のことだった。『義士』が刀を構え踏み込み、『処刑人』が二挺の拳銃を構え疾駆する。
距離はあっという間にロングレンジギリギリの所に移行、あと2、3歩で互いの得物が届く間合いに入る。
その中で先手を取ったのは、
「はぁぁぁぁ!!!!」
『処刑人』、カノン=リーデベルト。この拳銃での交戦距離に移行した瞬間、左手に握ったグロックがけたたましい発砲音を響かせ掃射を始める。
いくら刀の間合いとはいえ、引き金を引く動作に刃を振り下ろす動作に勝ることは無い。
「ぐうッ!!」
数発の拳銃弾は再びヘンリーの腹部に撃ち込まれていく。
しかしそれで止まる『義士』ではない。フルオートの集弾射撃、それを受けながらも彼は止まる事はない。
ひたすら前へ前へ踏み入り、正眼に構えたその刀を振り上げる。だが、それを予想の範疇の内、
フルオートの9mmパラペラムはジャブに過ぎず、そしてジャブの後には・・・当然ストレートが待ち受ける。
「終わりだァ!!」
すぐさまカノンは右手に構えた『処刑刀』の引き金を引く。
完璧な間合いとタイミング。ヘンリーの刀ではギリギリ届かず、そしていかに彼でもこの距離の射撃は避けられない。
この一発で全てが終わる。『処刑人』がその絶対的な勝利を確信した。
強装弾の炸薬に打ち下ろされた撃鉄が火をつける。点火された炸薬は爆音に近き銃声を放ち、その弾頭を解き放つ。
50S&Wマグナム、弾頭重量400グレイン、初活力 約2700ft-lbs。
この最大最強の市販拳銃弾の前に防弾繊維は無意味、
撃ち出された化け物口径弾はその射線上の先にある獲物を食い荒らすべく疾走し、そして・・・・
「うおォォォォォ!!!!!」
振り下ろされた一刃にひれ伏す。
「なッ・・・」
このときカノンは目の前で何が起きたのか理解できなかった。
狙いは完璧、己が撃ち出した弾丸は確実に敵の胸に向かって放たれたはず。
(馬鹿な!?弾丸を斬りやッ・・!?)
目の前の事象を理解したときには全てが遅かった。振り下ろされた刃が反され、その切っ先が上を向く。
間合いはショートレンジ、切っ先は既にその身に届く位置にあり、
「チェエストォォォォ!!!!」
掬い上げるように切り上げた一刃は防弾仕様のアウターをたやすく断ち、切っ先は肉をえぐった。
133 名前:Ⅳ 2009/03/17 23:09 ID:JfH6g0SI
>>131
「そうでもッ」
視界を塞いだのを確認した直後、ハバネロの目の前で健は左足を踏み込む。そして接近の際の勢いを殺さずそのまま・・・
「ありませんよッ!!」
ハバネロの腹部に右足の裏を突き出す。槍を突き出すがごとく放たれるミドルキック。それはボンッッ!!と爆ぜるような音を立てて腹部に叩き込まれ、ハバネロを吹っ飛ばした。
134 名前:ハバネロ 2009/03/17 23:36 ID:O01qJ8yP
>>133
「ぶ!!」
ハバネロは吹っ飛ばされて、壁に爆発音のような轟音を立てて激突した。
「…………」
死体のようにハバネロは床に転がったが、ゾンビのようにムクリと起きあがる。
(ふ、不死身……?!)
シーツを頭から剥ぎ取ると、額から血が出ていた。
まるでゾンビのようだった。
「……痛ってぇなぁ、おい……
グッ、いって……ッ。てんめぇ……」
ゼェゼェとアスリートのような息づかいで、
―まるで狼のように敵をにらむ。
135 名前:Ⅳ 2009/03/17 23:52 ID:JfH6g0SI
>>134
「・・・マジかよ。」
会心の手ごたえを感じていたせいか、健も起き上がったハバネロに驚きを隠せないで居た。
そしてハバネロの眼光が己を捉えた途端、背筋に冷たいものを感じる。
(ヤバイ・・・ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!!)
理性ではなく本能が告げる脅威、それを肌で感じた直後、
「ハゼリアさん・・・ひとまず先に行ってください。」
先ほどまで余裕のあった表情が一転、真剣な顔で健は言う。
そして両手をくるっと返し、
「この人マジでやばそうです。下手すりゃ全滅もありえるほどにね。
此処は俺が食い止めます。貴女は『軍勢』のもとへ・・・」
再び袖からナイフとフォークを出す。
136 名前:特攻屋 2009/03/18 20:43 ID:6k2YU.Uj
>>131
>>134
「ああ、久しぶり…」
構えたままのハゼリアをあまり気にせず相づちをうつ拳護。
「まあ、いいならそうさせても…ら…えないかもしれないな」
そのまま返事をし進もうとするが、ハバネロの様子を見て歩を止める。
137 名前:ハバネロ 2009/03/18 22:51 ID:Jh2xe9WQ
>>135
無言でマガジンに弾を装填する。
ハゼリアの足がようやく扉へと向かう。
「…………全く、」
銃を健に向けた。
「遅ぇーよ!! ヒルダ!!」
ヒュン、と空を切る音と共に、ハゼリアの胴体がワイヤーに絡め取られた。
「!!!」
ハゼリアが振り向くと、袖口からワイヤーを伸ばし、息を急ききってヒルダがそこに立っていた。
「遅れました!!」
「アリスは?」
「寝かしています!!」
「上出来だ」
「あ、あの……ハバネロさん、ケガしてます」
「まだ戦闘は終わっていない!! 俺の任務はまだ果たされてない!! ヒルダ、油断するな!!」
さらに引き金を引く。
感覚は完全に戻った。―中東で狼男とあだ名を付けられた自分。マガジンを一気に空にする。足下や壁の付近、若干ねらいをバラつかせて撃つ。
138 名前:怠惰・ベルフェゴール 2009/03/19 00:19 ID:uw0ZAZEz
>>106
「…アバドンとはこれはまた」
ビルの中で車椅子を止めて蛭孤は楽しそうにくつくつと笑う。そしてその笑いをやめるとナイアに向き直る。
「今回の報酬ですが…頂きません。お客様サービスという事で…」
蛭孤は目を細めるとさらに続ける。
「アバドンの相手をする人選は私の方で決めてしまっても?それとも誰かご希望の『駒』はいらっしゃいますかな?」
くつくつと蛭孤は笑う。
139 名前:Ⅳ 2009/03/19 00:57 ID:7n1dBVDj
>>137
「ちィッ!増援!?」
健が舌打ちすると同時にハバネロの銃撃が始まる。
先ほどとは違う点でなく面での射撃、回避するために床を蹴るが、ヒルダの出現に気を取られたせいか一瞬動作が遅れ・・・
(しまッ!?)
一発が肩に被弾し、思わず左手に持ったナイフとフォークをガシャンと床に落とす。
「くぅ・・・」
140 名前:ハバネロ 2009/03/19 19:01 ID:aEarAfI5
>>138
「やっていただけますか! 流石だ。話が早い…
誰が向かおうと構いません。
―とある女子生徒に私がアバドンを「注入」します。その直後、殺すつもりで飛びかかって欲しい。
念のため……顔写真を」
ぴら、と一枚の写真を渡す。
星宮明。ナイアが言う「とある女子生徒」である。
>>139
「あッ……」
ハゼリアが健の方向を振り向く。
ヒルダはワイヤーをほどき、ふらついたハゼリアの首筋にナイフを突きつけた。
「…………っ」
ヒルダのこめかみに一筋の冷や汗が滴る。
ハバネロは銃口を健の頭にしっかりと向ける。
「任務終了だ。どうする? 俺はこのまま終わりにしてやってもいい。
お前達が背を向けてここを去るんだったらな。
さあ、どうする」
141 名前:名無しさん 2009/03/19 21:59 ID:X5NOyHkb
>>140
生殺与奪を握るもの、握られるもの…。
その光景を目の前に拳護は迷う。
関わるべきか、関わらざるべきか。
今の膠着状態は四人が一対一×2だからこそなりたち、そこに自分が入れば結果はどうであれ状況は変わる。
しかし―――
(…けど、こっちを先に済ますか)
拳護は取調室に向かおうと、四人の脇を通り過ぎようとする。
「俺には関係ないか…」とこぼしながら。
142 名前:Ⅳ 2009/03/20 01:55 ID:wficr52e
>>140
「そうもいかないから俺等が動いてんだよ・・・」
実質的な詰み、なすすべも無いこの状況で健の口調が変わる。
「あんた等自分達が何してんのか分かってるのか!?外に居る『処刑人』の暴走に加担してんだぞ!?
俺達だって好きでこんなことしてんじゃねえんだよ!!」
両手に持ったフォークとナイフを床に叩きつけて健は言う。
「悪いことは言わない!!早くエリスちゃんとⅣさんを出してくれ!!
いくらうちの大将でも愛刀では無い数打ちの刀じゃ分が悪いんだよ!!
このままじゃ大将は殺されて、『処刑人』が侵攻してきてしまう!!
そうなったら戦場になんのはこの『特殊課』だぞ!?」
アンタ達に本気になったあの化け物を止められるのかよ!?と健は怒鳴る。
143 名前:ハバネロ 2009/03/20 10:29 ID:OrFrD2nT
>>142
「無理だね。」
即答するハバネロに、ヒルダが困惑の目を向ける。
「あう……ハバネロさん」
「エリスを危険な目に合わせるわけにはいかないんでね」
ヒルダはナイフを突きつけたまま、ハバネロと健とハゼリアの顔を見る。
「…………」
「ヒルダー。お前だって分かってんだろー。納得いかなくても俺らの仕事はコレだろう?
上司の命令は絶対だ。つまり敵の言葉に惑わされてはならない。」
沈黙。
「大体、てめぇらはエリスとⅣを引きずり出してどうするつもりだ? それによっても対応が違ってくる。」
144 名前:Ⅳ 2009/03/20 10:54 ID:wficr52e
>>143
「・・・俺等がエリスちゃんに危害を加えるわけねぇよ。
つかんなことしたらそれこそカノンさんが黙っちゃいねぇよ。」
肩を落とし少し落ち着いた感じで健は言う。
「エリスちゃんはあくまで人質ですよ。彼女を出せば流石の『処刑人』も銃を収めるしかなくなりますからね。
今回の件、流石に貴方方も非があるのが我々でないことくらいわかるでしょう?
俺達はⅣさんの計らいでアブドゥルさんも届けに来ただけで、たまたまエリスちゃんに捕まってこうなっただけだ。
それに引き換え『処刑人』はどうだ?私情と権利濫用で高レベル広範囲の『人払い』をかけてこんな街中で『処刑刀』抜いてんですよ?
無茶苦茶だ。貴方方も警察ならあっちを捕まえてくださいよ!!
このまま彼に好き勝手やらせたら此処でブラッドバスか街中でバレットパーティですよ!?」
そうならない為にエリスちゃんを人質にして彼を抑えてその間に逃げるんですよと必死に抗議する。」
145 名前:ハバネロ 2009/03/20 12:32 ID:OrFrD2nT
>>144
「…………エリス」
取調室に届くような声でハバネロは言う。
「だ、そうだ。板挟みっていうのはこーいうことだ。
無論あんたらと俺らは協力体勢にある。しかし、しかしな。
警察の連中が手に負えない事を解決するのもまた俺らなのだ。
―仕方がない、臨機応変に対処せよと局長に教えられたし。
…………」
ハバネロはうまく回らない頭で、事態の複雑さを必死にグルグルと回転させながら考える。
「どーすりゃいいか分かんねーよ!!!
エリス! どうする?! 単純に、俺らがコイツらを追い払えば済む問題でも無いぞ!!
少なくともカノンは止めなくてはならない……エリス、判断よろしく!」
146 名前:FIND 2009/03/20 19:13 ID:6hrBeRaW
[FIND側]
手紙には、もう1枚の写真が同封されていた。それは、1つの学校校舎の写真、しかも写真に直接ボールペンで文字が書かれており、名前もしっかりとそこに記されていた。
曰く――『蓮田高校』
学校名以外に書かれていたことといえば、最近その学校で何やら"面白そうなこと"が起こったということのみ。所詮、1枚の写真を跋扈できる文字列など知れているし、実際大した量の文字は書かれていなかったが、それが何を意味するのかはおぼろげであるが知れたことだった。
黒帽子の殺人鬼にして殺し屋が思う"面白いこと"といえば、詰まる所それは"まとも"ではない。
彼に連絡も取れない以上、最早直接止めるしかない。普通の人間ならば連絡の方法を模索することを考え、そんなことは考えもしないだろう。明らかに連絡がつく方が可能性が高いからだ。1つの町で1人の人間を直接探すなどということは、不可能ではないではないかもしれないが馬鹿馬鹿しい可能性に基づくものだ。
だが、FINDの思うことは違った。黒帽子が過去に幾度と無く、無数に、日常のように起こした騒動は常に馬鹿馬鹿しいほどの偶然に基づき、目を疑うような物事の進行だったからだ。それらの出来事の中には、FINDが黒帽子を"偶然"見つけるという出来事も多く含まれている。それはまさに、"異常"と"偶然"が親和しているかのようだった。
それ故に彼は行動をする。普通の人間なら信じれない可能性を認め、そこから導き出される結論に従う。余りにも都合よく、まるで偶然を司る女神が微笑んでいるかのような出来事に従っているが、今まではそうであり、つまり今回もそうである。
尤も、今回も今までもその"偶然"が元によって生み出された結果を考えれば寧ろ、偶然の悪鬼とでも言うべきだろうが。
・・・というわけでFINDは蓮田市に飛ぶことを決定したが、
「メンドクサーイ」「俺が行く必要は無いよねーウン。ねぇ?」「・・・・・・・」「間違って死にたくないです」「給料を2の10乗倍にしてくれるなら行く」「姉さんが・・・姉さんが姉さんが姉さんが」「知っての通り、2日後に仕事があるから無理だ」
渦巻くのは拒否の言葉の濁流だった。
結果として、FINDに同行するのは1人だけだった。尤も、何人もが行くのは無駄であるし、残る人間が何人か必要なのは明白だが・・・拒否の言葉のほとんどが、建前も何も無い言葉だった。
147 名前:Ⅳ 2009/03/21 01:08 ID:mRXkHTB0
>>132
左わき腹から右の肩口までえぐる剣閃、真紅に染まる切っ先は確かにその刃が『処刑人』に届いた証だった。
傷口から溢れてくる鮮血、そして糸の切れた操り人形のように崩れ落ちる体、全てがスローモーションに流れていた。
だがそれはまだ終局ではない。
「ッ!?」
崩れ落ちるその体は地に伏せることは無い。糸が切れたように崩れ落ちようとした人形はその足で踏みとどまる。
そう、『義士』の剣閃は確かに『処刑人』に届いたが・・・
「ッ!ならばッ!?」
勝利には届いていなかった。
追撃とばかりにヘンリーは再び刃を反しその一刀を振り下ろす。
今度こそ!!その迷い無き想いを乗せた一閃は・・・
「・・・どけよ。」
その身をわずかに逸らしたカノンによってたやすく避けられる。
「どけよ・・・」
うわ言のように再びそう呟きながら・・・カノンは右手の『処刑刀』を握り締め、
至近距離にでその銃剣をヘンリーのわき腹に突き刺す。
「っぐ!?」
肉をえぐる片刃の切っ先、だがカノンによる『処刑』はそれでは終わらない。
飛びのいて距離を取るヘンリー、その際に刃は抜け傷口から血があふれ出す。
だが痛みを感じている暇は無い。今度の追撃は・・・
「そこを・・・」
50S&Wマグナム
「っちィ!?」
絶叫と共に放たれる銃弾は音速を超え真っ直ぐに突き進む。
空気の壁を突き破り、音を追い越し・・・『義士』が反射的に射線上に置いたその刀身を一切の慈悲もなく打ち砕く。
刀身が砕け刃が落ちる刹那、『義士』の瞳に映るもの。それは・・・
「あ・・・」
先の射撃の反動を利用し、旋回する『処刑人』の背中。
そしてその直後・・・
「どォォォけェェェェ!!!!」
右の側頭部に走る衝撃は彼の意識を刈り取った。
148 名前:Ⅳ 2009/03/21 02:20 ID:mRXkHTB0
>>147
「っと!・・ッ痛!?」
大口径拳銃のリコイル(反動)を利用しての後ろ回し蹴り、その大技を鮮やかに決めたカノンはその場で膝をつく。
先のヘンリーの剣閃は内臓には達しなかったものの大きな傷跡を残していった。
あふれ出る鮮血と走る激痛、それでも、それでも彼は止まらない。
再び地を踏みしめ、立ち上がると高らかに叫んだ。
「表出ろやぁぁぁぁ!!!!!!!」
>>145
「無論、落とし前をつけるしかないでしょう。」
ハバネロが答えを求めた直後、あっさりとその答えが返ってくると共に取調室の扉が開く。
「健君、ハゼリアさん、お疲れ様。武器を下ろしてください。
そしてヒルダさん・・・お久しぶりです。」
中から出てきたⅣはこの状況下にもまったく動じずに歩き出し、
「ッ・・・・」
そしてその後ろを顔を伏せたエリスがついてくる。
「結論は出ましたよ。まぁいつまでも引きこもっているわけにも行かない上・・・」
そこで一息おいたところ、外から叫び声が聞こえた。
「先方がお呼びのようですしね。」
149 名前:アス 2009/03/21 11:12 ID:TTT/LJ.L
「アバドン…やっぱり、あのナイアって奴が関わってるのかしら?」
詠子はいつもより多い人ごみの中を歩きながら思考する。
「だとしたら、ナイアがアバドンを出すところは、やはり蓮田高校になるのかしら。」
詠子は歩く。ただただ歩く。
150 名前:ハバネロ 2009/03/21 12:42 ID:0heTz6I3
>>148
「たはーーーーー………」
ヒルダがナイフをおろす。ハバネロは銃をしまう。
「やれやれ」
ハバネロは懐から包帯を取り出し、健に向けて放る。
「悪い悪い、痛かったろ? 応急手当だけでもしておきな」
煙草を口にくわえ、ジッポで火を付けながら言う。
「Ⅳさん……お久しぶりです」
ヒルダは複雑な表情だった。
「じゃあ皆さん、行きましょうか? カノンをおとなしくさせに、さ」
「ハバネロさん、怪我が…」
「うっさいわボケ! カスリ傷だ!」