第5スレ ログ2

151 名前:Ⅳ 2009/03/21 13:17 ID:mRXkHTB0
>>150
「あー・・・どうも。」

包帯を受け取り健は複雑な表情で手を離す。そこには弾のめり込みはあったものの、出血は無い。

「防弾繊維製のスーツですか・・・流石はゴールド商会、金かかってますね。」

アハハと笑いながらⅣは健の肩を叩く。「たはぁ!?」と健は転がるのを見る限り怪我はしているようである。

「45ACPはマジ勘弁・・・」

「ははは、本当にご苦労様。皆さんもお騒がせしました。
んでもって後は・・・」

パチッと指を鳴らし右手を掲げ、

「俺に任せろ。」


152 名前:ハバネロ 2009/03/21 16:10 ID:0heTz6I3
>>151
「あぁそうですか、じゃあ後はお任せしました」
「えぇっ! ハバネロさんっ!」

ヒルダが本気にして大きな声を出す。

「冗談だよ冗談。あーでも半分本気。俺じゃカノンには太刀打ちできないから」
煙草を吸いながら冗談をとばすハバネロを、ハゼリアは信じられないといった目で見ていた。

「貴方……一体、何者なの?」
先ほどの目。
ただ者じゃない―とハゼリアは震えたが、今は微塵も感じない。

「あー? 俺? ハバネロと呼びやがれ。くっくっく、何かもう馴染んじまったねぇ。俺自身」
「…………」

「防弾繊維ィ? 流石はⅣの部下だな。一年中戦争中みたいな?
まぁいいや。……じゃあ行くか? 今回の騒動をきっちりシメにさ」


153 名前:Ⅳ 2009/03/22 01:24 ID:UT.Gb5de
>>152
「正確にはヘンリーの部下で協力してもらってるに過ぎないんですけどね。」
「ッ!?Ⅳさん!!大将がやられたようです!?」
「ッ!?・・・だろうね。流石の『義士』も愛刀無しじゃ持ちこたえられないか・・・」

ため息と共に歩を外に進める。

「まぁアイツのことだから殺しはしてないでしょう。
まったく・・・」

そして出口のドアノブに手をかけ、扉を開いた。

 


死闘を終えたばかりの外の世界は静寂に包まれていた。
一般人が1人も見当たらない街、ゴーストタウンを思わせるそこに立つ『それ』は異質であるが故にかえって自然だった。

「・・・Ⅳ。」
「カノン・・・」

両手に『処刑刀』を握り仁王立ちして彼は待っていた。
わき腹から肩口まで大きな刀傷を負いながらも彼は倒れることは無い。
痛みに歯を食いしばりながら睨む表情は羅刹のようで、両の手に大型拳銃を握り佇む様は幽鬼を思わせた。


154 名前:ハバネロ 2009/03/22 15:06 ID:kcfk4F4q
>>153
(亜玉さんは……?!)
ハゼリアは辺りを見回す。

「……生きてますよ」
亜玉の絞り出すような声が車の陰から聞こえた。

「ここに隠れているのが精一杯でやした」
「だろーな」

ハバネロが煙草を携帯灰皿に押し込みながらつぶやいた。

(……待てよ? 俺、Ⅳのこと知ってたのに言わなかったよな……
=死の危険じゃね……?)
カノンを見る。
「全く……Ⅳ、ここまで仲間に思われているとは、な。
いや―あの目はもう仲間を見るような目じゃないか」


155 名前:Ⅳ 2009/03/23 02:09 ID:laAsfix2
>>154
「いやぁホント熱い視線ですよねェ。なんつーかモテる男はつらい・・・みたいな?」

「・・・」
「ッ!?」

その瞬間カノンとⅣの腕が同時に動き、

バン!!!!ギンッ!?

二つの銃声と高速で金属がぶつかる音が響き、ハバネロの眼前で何かが爆ぜた。

「おいおい、やきもちか?」

Ⅳの右手にはいつの間にかホルスターに収まっていたはずの『鷲』があり、
カノンの右手には『処刑刀』があって・・・

丁度亜玉が隠れている車のドアに何かがぶち当たってめり込む。
それは・・・

「・・・腕は相変わらずのようだな。」
「おかげさまで。」

50S&W弾の横っ腹にめり込む50AE弾だった。


156 名前:ハバネロ 2009/03/23 20:41 ID:jckbMrp1
>>155
「ヒルダ、入り口までの距離」
「えぇと、約10m……逃げないでくださいよ、ハバネロさん」
「うるせーッ!! 万が一ということもある!」

ハバネロは、やっぱりコイツらは規格外だと思った。

「カノーン!! そんな銃使ってると筋肉痛になるぞーッ!!」
と、適当な事を言うしかなくなった。


157 名前:西涼の錦 2009/03/25 22:10 ID:Ueo3htQn
マンション

「俺は星宮が狙われそうな気がする・・・」

隼人は、川の時に会ったのが気掛かりだった。

そう言うと、クリスは。

「そうね、私もそう思うわ、けど・・・」


158 名前:西涼の錦 2009/03/26 02:50 ID:5rUKD3EQ
>157
「・・・いや、なんでもないわ・・・」

クリスは言うと。

そして考えながら、こう思った

(さて、相手はどう動くかしら・・・)


159 名前:Ⅳ 2009/03/27 01:34 ID:uwGZ/Fzv
>>156
「・・・ハバネロ。」

ボソッと呟くと同時に睨みを利かせた視線がハバネロに向けられる。

「『全て』聞かせてもらった。テメェには後で話がある。
このヴォケをしばき倒してふん縛った後でゆっくり相手してやるから覚悟・・・」

「『処刑人』ッ!!」

カノンが話している途中で健がいきなり叫ぶ。
見るとその手には一本のフォークがあり、それをエリスの首筋に突きつけていた。

「エリスちゃんは今現在俺達の手にあります!!貴方も妹が可愛かったら武器を捨ててください!!」
「兄さんッ!!」

エリスもカノンに退いてもらおうと、とりあえず人質になった気で声を上げていた。


160 名前:ハバネロ 2009/03/27 11:14 ID:u/Wd0jv9
>>159
「分かった。年貢のおさめどきって奴ね」
ハバネロはあきらめたようにそう応えた。

「……それとは別に、カノン。やりすぎだ。とにかく落ち着け」


161 名前:怠惰・ベルフェゴール 2009/03/28 00:28 ID:vgVY5GCx
>>140
「殺すつもりで、ですか…。ふふ、相手が奈落の王ではそんな余
裕もないかもしれませんねぇ」

 蛭孤はくつくつと楽しげに笑う。そしてナイアから写真を受け
取るとそれを見て言う。

「見た感じだと、普通の娘ですね。もっと特別な『何か』を持っ
た娘だと思ったのですが…」

 蛭孤はふむと唸るとその写真をポケットにしまう。

「それでは下でうるさいのが待ってますので…」

 蛭孤はそう言ってナイアに向かって一礼する動作を取ると、車椅子を器用に動かしてナイアに背中を向ける。

 

>フォルズ側

「ふぉるず!早く!早く!」

「あーわかったわかった」

 フォルズは相変わらずルーミに導かれて警察署に向かって歩い
ている。すでに警察署との距離はあまりなくなっていた。


162 名前:Ⅳ 2009/03/28 01:27 ID:5OSL005L
>>160
「落ち着け?いやいや、俺は今ものすんげ~落ち着いてるよ。」
「もう一度いいます!武器を捨ててください!!」

健が再び大声で叫ぶ中、カノンは平然とそう答える。

「やり過ぎ?はッ!むしろやり足りないくらいだよ。
此処が中東の戦場なら既に四方に死体で築いたバリケードでも張っておくんだがな。
そうすりゃテメェも逃げずに向かってくるよな?あぁ?『軍勢』。」

「いい加減にしろ!!」

無視して続けるカノンに対し、しびれを切らした健が怒鳴る。

「アンタ今自分の妹が人質に取られてんだぞ!?何平然としてんだよ!!」
「・・・・五月蝿ェなぁ・・・・」

カノンも一応知覚していたのか、鬱陶しそうにため息をついて健の方を見る。

「どうせ出来もしねェんだからいきり立つなよ坊や。
エリス、お前もくだらねェ芝居なんざしてないでとっとと建物の中に引っ込め。
ここじゃあさっきみたいな流れ弾の危険もあるからな。」

「兄さん!!私はッ!」
「・・・甘く見るなよ・・・『処刑人』・・・」
「きゃッ!?」

グッとフォークを握りしめ、同時に首元を押さえ込んでいた片腕にも力を入れる。

「俺も新人とはいえ『ゴールド商会』の一員です。アンタが退かないならこの娘も敵対組織の司令官として・・・処断します。」
「・・・へェ・・・面白いじゃねェか。」

本気の目で言い放つ健にカノンは笑う。大胆に、不敵に、そして余裕のある笑みで笑うと・・・

「じゃあ・・・一斉に・・・やろうか。」
「な・・・・大将!?」

気絶して地面に横たわっていたヘンリーに左手の『処刑刀』の銃口を向ける。

「今から10数えるから数え終わったら互いの人質をぶっ殺そう。」
「な・・・」
「ハイい~ち・・・・」
「ふざけんな・・」
「に~~~~い♪」
「アンタ正気かッ!?」
「さ~ん♪」
「自分の妹じゃねェのかよッ!?」

焦り怒鳴る健、それとは対照的に・・・

「よ~~~ん♪」

カノンは鼻歌交じりにカウントダウンを続けていた。


163 名前:ハバネロ 2009/03/28 22:06 ID:GptFL/mB
>>161
「……ありがとうございます。」
ナイアは蛭子を見送った。
そして笑った。
嘲笑。

ご機嫌な子供のように。

笑いながら立ち去った。

>>162

ヒルダはハバネロを見る。焦りと困惑が入り交じった目で見る。何かにすがるような目で―、

ハバネロは携帯で電話をかけていた。

「どうする?」

ハバネロは電話の向こうの何者かに聞いた。
そして、この一言を確認した。


『やれ。』
「了解」
上司の声を確認……する前に、ハバネロは銃を片手に走り出していた。

「残念だぜ。今だけお前の敵にならなければならない。
カノン、街の平和を乱すお前は、今は敵だ!!」
(ぶっちゃけ滅茶苦茶怖いし正直戦いたくないけど仕方ないから適当な事言ってやらぁ!)


164 名前:Ⅳ 2009/03/29 02:21 ID:xHebjqT/
>>163
「ご~~お♪」
「・・・・・・」

ハバネロの言うことももはや気にせずにカウントダウンを続ける。
だが・・・

「・・・黙れ。」

「糞ッ!畜生!!Fu○k!!」
「兄さん!!」
「ろ~~く♪」

 


「皆黙れェェェェ!!!!!!!」

各々が騒ぐ中、突然Ⅳが怒鳴る。

「ハバネロさん、すみませんが下がってください。そして健君・・・エリスちゃんを離してくあげてくれ。」
「しかしッ!」
「早く!!」

解放を渋る健に再び怒鳴る。健もビクッとしながら仕方無しとエリスを解放した。
その様子を見てカノンもニヤリと笑いカウントダウンを止める。

「ハッ!相変わらずだなお前も。いいのか?エリス離せば人質持ってるのはこっちだけだぜ?」
「・・・『一にして千の軍勢(サウザンドワン)』に女子供の背中は不要。
そちらが人質を要するのなら勝手にしろ。手負い相手にはいいハンデだ。」

だが・・・と繋げると同時にその場の空気が重くなる。

「今お前は俺が最も許せないことを口にした。それが意味することは分かるな?」

重苦しい空気は重圧となり、それを一点に向けられたカノンの表情から笑みが消える。それどころか『処刑人』は・・・

「ッ!・・・」
「答えろよ『処刑人』・・・」

問われたカノンはジリッと後ずさりをする。
対峙した彼にしか見えないもの。『軍勢』の威圧感を肌で感じながら・・・

「答えろって訊いてんだろうがッ!!」
「!?っくぅ!?」

その怒声に気圧されないようにカノンは地に着けた足に力を入れひたすら意識を保つ。
その意識は既に人質には向けられない。いや、向けていられる余裕が無かった。

「Ⅳ・・・俺は・・・・」
「言い訳は聞かない。いいぜ、認めてやるよ『処刑人』。」

腰のホルスターからもう一丁の『鷲』が抜かれる。
それに応じ更なるプレッシャーがカノンに押しかかる。もはやその重圧は個人の程度ではなく、

「今を以って『軍勢』は貴様を『敵』と認識する。」

猛る軍勢そのものだった。千の軍勢を前にした一、このときに限っては流石の『処刑人』も・・・

「っくぅ!!はぁぁぁぁ!!!!」

絶対の強者では居られなかった。


165 名前:ハバネロ 2009/03/29 13:23 ID:lzeSUk7X
>>164

「もう…………嫌になってくるぜ」
ハバネロは煙草をくわえた。Ⅳを見る。カノンを見る。

「ハバネロさん、下がって!」
「ヒルダー、火持ってない?」
「あるわけないです!」

「早く済ませろよ、Ⅳ」
いいんですか、とヒルダが不安そうに聞く。

「別にいい。早く済めばそれでいい。
それに、これはこれで見てみたい」


166 名前:Ⅳ 2009/03/30 01:49 ID:9ZZr8LUm
>>165
重苦しい空気がその場に満ちる中、先に動いたのはカノンだった。
対峙するだけで体力が削られていくプレッシャー、一度前線を退いてなお健在の『軍勢』相手にこれ以上の睨み合いは逆に不利と判断したのだろう。
二挺の『処刑刀』のうちの一丁を向け特攻する。そしてそれに応じるようにⅣも『鷲』を構え疾駆する。
二つの銃口が互いの頭を捕らえ、互いの意識が同時に引き金に掛かる指に向けられた直後、


静寂を切り裂くように二つの銃声が響き渡る。
一直線に互いの頭蓋に向けて撃ち出される大口径、直撃すれば頭を吹き飛ばすほどの威力を持ったそれを前にしても退くことのない二人。
疾走する両名は目の前の銃口が火を噴くと同時に・・・

「ッ!」
「ちィ!」

身を捻ることにより上体をわずかに逸らす。コンマ1秒以下の刹那、弾丸は互いの頭があった位置を通過し、一発は壁に、もう一発は停めてあった車のフロントガラスを砕きつき抜ける。
そして、

「Ⅳ!!!!」
「カノンッ!!」

速度を落とすことなく凶弾を回避した二人はその勢いのままその手にある獲物を振りかざす。
ぶつかり合う二振りの銃剣、ショートレンジで衝突した二人はあっという間にクロスレンジに移行し、

「はぁぁぁ!!!」

両の手の得物をぶつけ合い、鳴り響く剣戟を奏で合った。


167 名前:ハバネロ 2009/03/30 13:20 ID:zruM1eN0
―特殊課内部。
「…………」
「ア、アリス……」
アブドゥルは必死に冷静になろうとつとめた。

アリスはふてくされたように、休憩室の一室で床を見ている。
今アリスは何を見ているだろうとアブドゥルは視線を追ったが、アリスはただ床をじっと見ているのである。

そんな折、剣がぶつかりあう音を聞いたのだ。

「…………ごめんなさい」
つぶやく。
アブドゥルは息を吐く。

「もういいよ。アリスはここにいればいい。
それに謝るのは私のほうだ」
アブドゥルは頭を下げた。アリスはそんなアブドゥルを見る。追憶の彼方に有ったはずの父親は、今こうして頭を下げている。

「今まですまなかった」

>>166
「こいつら人間じゃねぇ」
「…………」

ハバネロはそうつぶやいた。そして思った。

―京岡の奴は何で行方をくらましてやがるんだ!!

携帯電話がなった。ハバネロのものだった。
「もしもし」
『何してる! とっとと二人を止めろ! 周りに被害が及ぶだろ!』
「無理」
『なんでだ!』
「俺死んじゃうもん。 大丈夫だって、すぐ済むって。」


168 名前:Ⅳ 2009/03/30 21:32 ID:9ZZr8LUm
>>167
「凄ェ・・・」

交戦するⅣとカノン、両名の戦いを眺める健の口から思わず言葉が漏れる。
ぶつかり合う剣戟、奔る刃をギリギリでかわす体捌き、動きの一つ一つが洗練されていたそれらは見惚れるほどのものだった。

『処刑人』は己に突き出される刃を身を翻してかわす、『軍勢』はカウンター気味に振るわれる一閃を肘で凌ぐ。
無駄無く攻撃を繋ぐ時もあれば、わざと隙を作り相手の一手を誘う・・・刹那の読み合いは幾重にも交わされ戦闘を芸術の域に昇華していた。


169 名前:ハバネロ 2009/03/30 21:47 ID:zruM1eN0
>>168
「……流石ね」

ハゼリアも目の前の有様には目を見張った。

さて、ハバネロはというと弾丸を銃に詰めて懐にしまったところだった。
傷からの血は止まったが、戦闘が終わった今になってズキズキし始めた。

「すごいなアレ」
「あう……」

「俺の知ってる奴であんなんできんのはあいつらだけだろーねぇ」
「そうなんですか…? そこまで、ですか?」
ヒルダが意外そうに聞く。

「うん。俺はダルいから無理。京岡はまだ未熟だからムリ。首領んとこのフランケンとかいう朴念仁は頑張ればできるかもね。首領はどんな手を使ってでも勝つからああはならない」

タバコの煙を吐いてハバネロは言う。そして思う。

―ああ、マジでクラクラしてきやがった。


170 名前:Ⅳ 2009/03/31 00:27 ID:bxJ2oZPT
舞うように幾重にも繰り返される攻防の応酬、しかしながら終焉は刻一刻と近づいていく。

「っく!」

苦悶の表情と息切れ、先に集中力とスタミナが切れてきたのはカノンだった。

「・・・っちィ!」
「・・・騙し騙しやっても違いは出てくるものだな。」

息一つ乱さず、汗一つかかず精密機械のように淡々と刃を振るうⅣが口を開く。

「そこがお前の限界だよカノン。ここまでついて来たのは賞賛に値するが所詮は猿真似、まともにやれば俺のが勝る。」
「っく!黙れ!」
「確かにお前は傭兵としては優秀だし完成されたオールラウンダーだ。そこいらの奴じゃ相手にもならんし、プロ相手でも一蹴出来るほどの腕だよ。
だが思い出せカノン・・・」

キンと刃を弾き、Ⅳはさらに一歩踏み込む。

「これを先に始めたのは俺だ。そしてこの先は・・・俺にしか出来ない。」

もはや銃剣拳銃でも近過ぎる間合い、拳で打ち合うのにも近過ぎると言える間合いに入る。
そう此処は・・・

「ようこそ俺の王国へ。十秒持ったら・・・」


褒めてやる。

(しまッ・・・!?)


カノンがその危険に気づいたときにはもう遅かった。
Ⅳが踏み込んだ右足が地を踏むと共に打ち込まれる肘、

裡門頂肘

二の打ち要らずの八曲拳技は的確にカノンの胸部に打ち込まれ・・・

「うぶッ!?」

嗚咽と共にメシィと鈍い音が響く。そしてさらなる追撃をかけようとⅣが身を翻し、

「はぁぁぁぁ!!!」

勢いを殺さないまま背中からぶち当たる。バンッと衝突音が響き、カノンの体が後ろに吹っ飛び、硬いアスファルトに背中から落ちる。

「・・・4秒すら持たんか・・・まあそんなもんか。」

繰り出した鉄山靠に会心の手ごたえを感じ、血振りするかのように両の手の『鷲』を振り、Ⅳは呟く。
地に横たわったままピクリとも動かない『処刑人』、今このときを以って『軍勢』の勝利が確定した。


171 名前:ハバネロ 2009/03/31 12:35 ID:nREG//ZW
>>170
「…………ひゅう」

吹っ飛んだカノンを見つめ、ハバネロは思わず口笛をふく。

「さすがⅣ。ミッションコンプリートだ。おつかれー」

ハゼリアはというと、口に手を当てて呆然としている。
「亜玉さん、あれ何てCQC?」
「CQCの領域を越えておりやす」


172 名前:Ⅳ 2009/03/31 20:44 ID:bxJ2oZPT
>>171
「CQCではなく八曲拳です。もっとも、ちゃんとした師から学んだものでないので完全な我流ですけどね。」

優雅に微笑みハゼリア達のほうへ歩き出し、

「それより健君、ヘンリーをお願いします。見たとこ大口径で撃たれてはいないようですが、脳震盪を起こしてるみたいですからね。
すぐに連れてかえってしかるべき処置を施しましょう。」


173 名前:ハバネロ 2009/03/31 22:15 ID:nREG//ZW
>>171
「―手伝います。ほら、亜玉さんも」
ハゼリアが歩み出る。それと同時に……

「……カノンどうしよう」
ハバネロが困ったようにつぶやく。

「アレ、俺らが介抱してやればいいか?」
くい、と親指をカノンに向けて尋ねる。


174 名前:Ⅳ 2009/03/31 23:22 ID:bxJ2oZPT
>>173
「ッ!?兄さんッ!?」

横たわるカノンに急いでエリスが駆け寄る。
ピクリとも動かない『処刑人』、気づけばヘンリーに抉られた傷から血が溢れてきていた。

「・・・行きましょう皆さん。」
「え?でも・・・」
「加減はしておきましたので向こうもすぐに介抱してやれば問題ありません。もっとも・・・」

横目でカノンを見やり彼は言う。

「アイツにとっては殺されること以上の仕打ちになったでしょうけどね。」


「ッ!血が・・・血が止まらない!!」

傷口から溢れ出る血液はすぐに血溜まりになっていった。


175 名前:ハバネロ 2009/03/31 23:35 ID:nREG//ZW
>>174
「ふぅーむ、コイツは結構血が出てるな」
「ハバネロさん、タバコ吸わないでくださいよ!」
ヒルダが責めるようにどなった。

「分かってるわい。 エリスー、どうする? 一旦ウチに運びましょうか。血ぐらいは止めてやれる」

ハバネロがタバコを消しながら言う。


176 名前:Ⅳ 2009/03/31 23:44 ID:bxJ2oZPT
>>175
「お願いします!!兄さん!」

駆け寄りながら必死でカノンに声をかけるエリスを見てⅣは・・・

「・・・ゴメンねエリスちゃん・・・」

複雑な表情で一言そう呟くとⅣは車に乗り込んでいく。

「さようなら戦友、そして・・・

 

 

御免ね『義理姉さん』・・・」


177 名前:ハバネロ 2009/04/01 12:00 ID:ICZPhvvh
>>176
「りょーかい。ヒルダ、そっち持て」
「分かりましたっ」

ハバネロはⅣを少し見たが、負傷人に目を移し持ち上げる。

「このまま医務室に運ぶ。オーライ?」
「了解ですっ」


178 名前:Ⅳ 2009/04/01 13:17 ID:0Y2.cLnA
>>177
ハバネロに持ち上げられたカノンの傷は内臓にまでは達していない。
しかしながら胸部へ打ち込まれた一撃のせいか、右脇から左肩まで抉る切り傷が完全に開いていた。

「こちらエリス=リーデベルト!!日本支部03に通達!!
『処刑人』が『軍勢』と交戦したのち負傷、直ちに医療班をよこしてください!!」

エリスは即座に連絡するとハバネロの後を追いかける。


179 名前:ハバネロ 2009/04/01 16:31 ID:ICZPhvvh
「うんせ、うんせ、ヒルダ! がんばれ、もうすぐ医務室だぞ!」
「あ、あうううう、結構重たいです~」


ハバネロは医務室の扉を蹴破る。

「……?!」
突如けが人を運ばれた医務室の医師は一瞬豆鉄砲を喰らったような顔になった。

「ベッド借りるぞ! 随分血が出てるなぁ、おい」
「…………」

漆黒の肌―見るに、黒人のその医者は、黙って応急手当を始める。


180 名前:Ⅳ 2009/04/01 18:10 ID:0Y2.cLnA
>>179
「あ!ちょっとすいません、ハバネロさんは一旦外に出てもらえませんか・・・」

医者が手当ての為に服を破ろうとする直前にエリスは気がついたようにそう言う。

「とりあえず出てください。はい出て行って!!」

背中を押して半ば強引に締め出す。


181 名前:ハバネロ 2009/04/01 22:37 ID:ICZPhvvh
>>180
「……ぬああ、エリス!
 何だよもう……」
閉められたドアの前で不満そうにそうつぶやく。
「仕方ありませんよ。ちょっと待ってましょう」
ヒルダがため息混じりにそうつぶやいた。

「しかし、あんな医者いたかね? まあ人手不足だしどっかから引っ張ってきたか……局長もそういうの強引だから…」

「……よろしいか」
医師は、二人を追い出したエリスに聞く。
「治療を始めても……というより、服を脱がしても……?」


182 名前:Ⅳ 2009/04/02 02:37 ID:kNXXQeA.
>>181
「ええ、お願いします。」

ため息混じりにそう言うと横たわるカノンに目を向ける。
治療の為に服を切ると胸部の辺りにさらしが巻いてあり、

「・・・『姉さん』・・・」

そこにはあまり大きくはないものの、確かな膨らみがあった。


183 名前:ハバネロ 2009/04/02 12:44 ID:rSjpfAIB
>>182
「…………!」

医者は少し驚いたものの、しかし迅速に手当てに取り掛かる。

「酷い傷だ。とりあえず応急手当はしよう。
しかし、きちんとした施設で治療をしなければ歪な傷跡が残るかもしれん」


184 名前:Ⅳ 2009/04/03 00:39 ID:mBx80RAM
>>183
「こちらの医療班に連絡を取っておいたので、応急処置が済む頃にはこちらに着くはずです。」

ですのでその辺は心配ありませんと言うと、

「それに傷の件は本人はあまり気にしないと思います・・・何せ・・・」

再びカノンの方に目を向ける。
血に塗れた上半身、多量の出血で気づきにくいが見るといくつもの弾痕と切り傷の痕が見えた。

「もう『今更』ですから。」


>>181
ハバネロとヒルダが待つ待合室、そこで・・・

「・・・よぅ・・・」

入り口の方から足音と共の声をかける者が居た。黒田清隆である。

「ひとまずこんばんは・・・んでもって・・・」

ため息をついてハバネロの隣に座り、

「なんでこんなことになっちまったんだろうな・・・」

ひとりごちる。


185 名前:ハバネロ 2009/04/03 19:26 ID:hx/rDyUC
>>184
「……今更、か。
 この人にとって、この傷すらも今までと変わらない出来事の一つにしか過ぎないのだろうな」

医師は手早く処置を済ませる。カノンの傷を見ながらつぶやく。

「……おう」
「あう、どうもっ」

ハバネロはちらりと横目で黒田を見る。ヒルダはお辞儀をする。
「…………
なあ黒田よ。 修学旅行のとき……悪かった。蹴り入れて」

ヒルダは驚いたように目を見開き、ハバネロを見た。
「何見てんだよ、ヒルダ。」
「いえ、いえいえいえ。何にも」
「…………」

それでもヒルダは驚いたようにハバネロを見る。

「アリスちゃんに見せたかったです」
「うるせぇ。
フン、星宮の奴! これでいいんだろうがッ。俺は謝ったぞ」


186 名前:Ⅳ 2009/04/04 02:22 ID:jiJA0FHt
>>185
「ん?ああ、いいよ・・・あんときはお互い様だし。
俺も俺でアンタやカノンの奴に一発入れたしな。」

気にしてねェよと笑いながらため息をつく。

「あー・・・そうだ。せっかくなんでアンタに渡しておくよ。
本当はエリスさんと一緒に局長室に行って雅ちゃんに渡そうと思ったんだけど、今はそれどころじゃなさそうだしな。」

そう言って黒田はポケットから黒いフラッシュメモリを取り出しハバネロに渡す。

「八神救出の際に火事場泥棒の要領でⅣさんに取りに行かせたデータだ。
ナチ公の保有してたデータ+通信履歴から逆探した奴等の本部の場所が入っている。
今後のことにでも役立ててくれ。」


187 名前:ハバネロ 2009/04/04 16:30 ID:x3gwufC9
>>186
「ほう、お手柄だぜ黒田少年。局長もきっとお喜びになる」
くくくく、とハバネロはメモリを受け取りながら笑う。

「……黒田、お前って絶対敵に回したくねぇーわ」
メモリと黒田を交互に見比べてハバネロは言う。

「……お前もひょっとしたら知ってるかもしれんが、星宮が狙われてるらしい。ナイアとかいう奴に。
一応気を付けてやってね。俺もひょっとしたら、学園祭のあたりに警備員とか適当な形で行かされるかもしんない」


188 名前:怠惰・ベルフェゴール 2009/04/04 22:49 ID:sCUDHATr
>廃ビル地下
 遠ざかるナイアの気配を背後に感じ取りつつ、蛭孤は廃ビルに
取り付けられた緩いスロープをゆっくりと降りる。

(…アバドンにあの少女。くく、楽しみだ)

 蛭孤はくつくつと笑う。そしてスロープを下りてしばらくする
と鉄製のドアが見えてくる。彼はゆっくりとした動作でそのドア
を開ける。

「主、何してたんですか!」

「ちょっと世間話を、ね」

 ドアを開けると同時にヒステリックに叫ぶベルに向かって蛭孤
は涼しげな顔で応える。そしてにこにこ笑いながら彼女に聞い
た。

「ところで『両足』がいなくなったんだって?はは、しょうがな
いねぇ、あの娘は」

「笑い事じゃないですよ!あの子はあの子はー!」

 余裕のある蛭孤の様子がさらにベルの冷静さを削いでいく。彼
はそんな彼女に対して諭すように言う。

「あの娘ももういい歳なんだから、過保護すぎるのもどうかと思
うよ?私はね」

「あの娘はまだまだ子供です!」

「……」

 ベルが激昂して蛭孤はため息をつく。そして面倒くさそうに言
う。

「わかったわかった…私の『虫』で探そう」

「…ありがとうございます、主」

 ベルは蛭孤の一言で冷静さを取り戻すと彼に頭を下げた。

(まいるねぇ…本当に)

 蛭孤は内心苦笑し、蓮田市に存在する自分の『虫』たちの目を
使い、『両足』の捜索を開始した。


189 名前:Ⅳ 2009/04/05 01:37 ID:LkLjYcqD
>>187
「ふーん・・・分かったよ。俺としてもまた学校で揉め事っつーのも気に入らないしな。
それとなく気にかけておいてなんかあったらそっちに伝わるようにするよ。」

黒田がそう言ったところで、

「ん?」

入り口から担架を持った連中が入ってくる。

「失礼します。『呪い十字』医療班の者です。司令(エリス)からカノン=リーデベルト殿が負傷していると聞いて参りました。」

来るや否やハバネロにそう告げる。


190 名前:アス 2009/04/05 10:34 ID:cz3oUEzZ
「なあ、アスカ。てめぇの親族が死んだって言うのに何であたしとこうやってDD○Fをやっているなかな?」
エマがP○Pを握り締めている。
「・・・葬式や通夜の前に遺産相続の話をする親族が嫌だから逃げてきた。俺はあの伯父のぎらついた目が嫌いだ。」
アスカはエマと向かい合ってPS○を握り締めている。
「・・・あのさ、それだけの理由でこうやってジェ○トであたしのジ○ンをボコるの止めてくれない?」
どうやらアスカはジェク○を使い、エマはジタ○を使って対戦しているようだ。しかも、アスカが押しているようだ。
「あのな、葬式とか通夜の前に遺産相続の話って、何か・・・だめだろ。ちゃんと俺は葬式に行く。でも遺産相続の話はドロップアウトだ。」
二人はDDF○を続けている。


191 名前:ハバネロ 2009/04/06 15:39 ID:imqEc.zY
>>189
「えぇ、はい、どうぞー」
ハバネロは軽く返事をする。

「……黒田、背中。虫付いてる」
その後、黒田少年の背中に付いていたイナゴに気づいて教えてやる。

(最近イナゴ多いなぁ……何なんだろうな。何かの兆候じゃないといいんだが)

部屋の端で、ヒルダがふるえながら丸まっていた。

「どうした」
「むしっ」
「あ?」

「虫がぁーっ」
「…………ヒルダ、情けないからやめなさい。な。ほら。怖くないから」
「怖いです!! ハバネロさんは虫が怖くないんですか?!
その凶悪そうな顔! しかもイナゴって全身を食い尽くされそうで怖いじゃないですか」

どうやら、随分イナゴを誤解しているようである。

「大丈夫だっての」
「イヤです! イナゴは悪魔の使いです! 奈落の王アバドンの使者ですぅぅ、あうううう」


192 名前:アス 2009/04/07 16:34 ID:Y0Qk4WAD
「…いやだ。蟲嫌い…イナゴ…イナゴ…」
アスカは布団をかぶり、ぶるぶる震えていた。
エマは先ほど何かありそうだと言って嬉々として飛び出した。

「ウハ…こりゃ…これはカオス。」
エマはガスマスクをかぶり、モップを持って街中にいた。
そこらじゅうイナゴだらけ。
「詠子、何?これ。」
エマは隣に立つこれまたガスマスクをつけた詠子に話しかける。
「これが、アバドン…」
「また、黙示録関係ですか。」
ちなみになぜ彼女らがガスマスクを付けているかというと、目と鼻、口を大量のイナゴから守るためである。
「…とっ捕まえて佃煮にしたろか…」
二人はイナゴの群れをかき分けていく。


193 名前: 西涼の錦 2009/04/07 20:41 ID:2OTPB1dP
「(イナゴ・・・・・・)」

クリスは部屋からイナゴの群れを見ていた。

「(見たところ、ただのイナゴじゃ、ないわね・・・)」


194 名前:Ⅳ 2009/04/08 02:55 ID:wFsYrklq
>>191
「アバドンの使者ねェ・・・」

背中に付いていたイナゴを指で摘み、ポイっと投げる。

「怖いかどうかは別として、どっかのラッパみたいに群れで来たら気持ち悪いな。」

「ちょっと失礼しま~す。」

黒田が呟くと奥の方からカノンが担架で運ばれてきて、それを追うようにしてエリスもやってきた。


195 名前:アス 2009/04/08 15:05 ID:5NWC4JMy
「嫌だ…蟲…蟲…蟲ィィィィィ!」
アスカはどこからか部屋に入ってきたイナゴと格闘していた。
片手にはハエたたき。もう片手には殺虫スプレー。
「蟲ィィィィィ!蟲ッ!蟲ッ!」
ぷしゅー。ばし、ばし。
スプレーで動きを止めてハエたたきで執拗に殴る。
「そこか!」
アスカは換気扇をまわしてイナゴの侵入を食い止める。
「・・・きりが無い。ならば!」
アスカはガスマスクをかぶり、最終兵器『バル○ン』の缶に水を注ぎ込む。
とたんに虫殺しの霧が噴出し、イナゴを殲滅していく。
「この部屋は・・・渡さない!」


196 名前:八神 2009/04/08 18:54 ID:qEcMldv3
>>110
「す、鈴……?」
 鈴は七星のベッドの上にやはり背を向けて三角座りで座っていた。より加えて言えば布団に包まり枕を抱えた状態で座っていた。

「……馬鹿」
「え?」
「兄さんの馬鹿、大馬鹿っ! 兄さんが拉致されたって聞いて本当に本当に心配したのに、兄さんは他の女といちゃいちゃいちゃいちゃばっかりしてっ! ……まるであたしが一人、馬鹿みたいじゃないっ……」
「えっ……えと?」
「全部見えてるんだからっ! 茶々はあたしの使い魔みたいなもんなの。だからあの子の見てるものはあたしにも見えるの。
 ……公用車の後部座席で女二人侍らせていちゃついてるところもね」
 ……うっ、そういうつもりでは……。ばつ悪げに言葉を詰まらせる七星の方を鈴はちらと見遣る。
「……兄さんがわざとそうしたのではない事は解ってる。けど、退け者みたいにされてあんなの見せ付けられたら、……しょうがないじゃない」
 鈴の声はむくれた風ではあったが、刺が緩んで聞こえた。
「……ごめん」
「悪いと思うのなら。
 ――……抱きしめるくらい、してくれてもいいんじゃないの」
「ぅえ?」
「抱きしめて。兄さんから。強くでも優しくでもいい。あたしがいいって言うまで、ずっと抱きしめていて。 それくらいしてくれても罰は当たらない……はずよ」
 七星は思わず目を丸くした。それに鈴は少し不満そうに見返すが、しかしすぐに表情を曇らせる。
「……やっぱり、あたしが妹だから? 妹じゃ、駄目なの……?」
 その瞳を覆うのは不安と恐れの色。そんな顔をさせてしまうのが嫌で、七星は。
「そんな事ない……!」
 前触れ無く、抱きしめた。離すまいと言うかのように力強く。突然の事に鈴も驚いたようだったが、やがて七星に身を委ねた。
「ねぇ……兄さん?」
 鈴は七星の胸に頬を擦り寄せながら。
「何だ?」
「求められたからって、あんまり知らない女にホイホイついていったりしたら……駄目なんだからね」
「……何だそれは」


197 名前:ハバネロ 2009/04/08 22:32 ID:.w8OKauD
>>194
「おう、ようやくカノンが運ばれていくか。良かった良かった」

その後を、足を投げ出すようにして白衣の漆黒の肌の医師が見送る。

「……おい。あんた、特殊課にいたっけ?」
ハバネロが近寄っていってその黒人を振り向かせる。

「何か?」
「……あんた、名前は?」

その黒人はつぶやく。

「ブラックファラオ、とお呼び下さい」
「…………ッ!!」

その声はまぎれもない駿河ダウトの声で、銃を抜きかけたハバネロの腕を黒人の医師の腕がおさえる。

「お久しぶりですね。ハバネロさん……久々に会えたのにそれは無いんじゃあないですか。それから黒田少年もお久しぶり」
黒人の医師は、にやりと嘲笑的な笑みを浮かべた刹那、一瞬にして元の姿―ナイアへと変貌を遂げる。

「ハバネロさん!!」
ヒルダがナイアをにらみつけると、ナイアは満足そうにまた笑った。

「ようやく特殊課のほうも一段落ついたようで安心です。はっはっは」
ぶぅん、とナイアの後ろからイナゴが飛ぶ。


198 名前:アス 2009/04/09 16:19 ID:g7OpVQT6
「・・・くそ・・・ナイアの奴め・・・今度あったらイナゴの佃煮を贈ってやる・・・」
エマと詠子はイナゴの群れをかき分けながら蓮田高校へと向かう。
「今までの騒ぎの多くは、蓮田高校が中心になっていたことが多いから・・・多分ナイアもあそこにいると思う。」
詠子の言葉を信じ、二人で蓮田高校に向かう。
「・・・待ってろよナイア。てめえに佃煮を贈ってやる。」


199 名前:Ⅳ 2009/04/09 22:38 ID:t3ijAcyp
>>197
「なッ!?」

驚きとともに黒田は一歩退いて制服の裏地に隠したナイフを抜く。
だが、急に飛んできたイナゴに怯み、

「うぜェ!!なんだこいつ等!?」

制服を脱いでそれを振って追い払おうとする。


200 名前:ハバネロ 2009/04/09 23:23 ID:KpJ9irE1
>>199
「イナゴ1匹で怖がってもらうと困る。これからいっそう増えるのだから」

「何ぃ……」

「まだまだ増えるよ。もっと増える。これからもっと」
しゅん、と空気を切り裂いて短剣が飛ぶ。
短剣はナイアの右目に突き刺さる。


「?!」
「ようやく会えたな、ナイアルラトホテップ!」

廊下の先にはアブドゥルが居た。

「……アブドゥル。まだ私の邪魔をするのかい。君は何一つ変わってないな。数世紀前、ティンダロスの猟犬に喰われて少しはおとなしくなったかと思ったが」
ナイアは短剣を引っこ抜き、ニヤニヤと周りを見回した。

「それでは学園祭でまた会おう。黒田少年、それからハバネロ氏、星宮少女との残り少ない日々をせいぜい楽しめ。それではまた」

パチンとナイアは指をならし、紫の煙と紙吹雪を残して消え去った。

201 名前:Ⅳ 2009/04/10 00:56 ID:3uXV25zx
>>200
「野郎・・・また学校で騒ぎ起こす気かよ・・・」

不快そうに舌打ちをし、ハバネロとアブドゥルの方に向き直る。

「・・・どうやら学園祭で面倒が起こるのは確実なようだな。どうする?」


202 名前:ハバネロ 2009/04/10 21:44 ID:t8LjVavd
>>201
「やれやれ。どうもこうもない」
ハバネロはタバコを口にくわえる。火はつけない。

「学園祭が……どうしたって? ナイアはなんと言った?」
「あー、アブドゥルさん、ガッコのお祭りみたいなもんよ。なあヒルダ」
「え、あ……よく分からないですけど」

ハバネロはジッポーライターを探す。上着。ズボン。ありとあらゆるポケットを探す。内ポケットに目当ての物を見つけて火を灯す。

「面倒は未然に防ぎたいけど、正直言ってあの神出鬼没のナイアさんは防げないや。だからまあ、被害を『最小限』にとどめる努力はしなきゃならないだろうねぇ。
ヒルダー、お前も多分学園祭にかり出されるぞ。アリスちゃんはちょっと分からないけど。
……あと黒田はそろそろ帰れよ」

タバコの煙をはき出しながら言う。


203 名前:Ⅳ 2009/04/11 01:13 ID:kfvftpqn
>>202
「ああ、そうだな。俺もこれ以上此処には用はないしな。」

ふぅ・・・とため息をつき、今回は邪魔したなと言って背を向ける。だがふと立ち止まり、

「学園祭の件だが、何かするなら俺にも連絡をくれると助かる。
この件に関しては俺としても利害が一致するからな。こちらに出来ることなら可能な限り協力しよう。」

そう告げてスタスタと歩き出した。


204 名前:あまちゅか 2009/04/12 01:16 ID:5RCcdSYH
「…流石に却下されたかぁ。世界の死刑博覧会。」

「その意見が元で、ほら、お化け屋敷という方向性は決まったじゃん。それで良しにするべきだ…よっと。」

天塚及び燈哥のクラスはお化け屋敷という出し物に決定した。
とりあえず幽霊の衣装やらは簡単に準備出来そうだ…

天塚はやる気がない。机に突っ伏してなにやらごそごそ机の中をいじっている。
対して燈哥は今からやる気がある。何かに燃えている。

「…あ、そうだ。銀樹の家って何してるの?いつ行ってもお父さんもお母さんも…」

「母さんはホストで昼間は時間外営業中。父さんは少女漫画家で仕事場は別にある。」

「ま、魔法中年ぷりてぃぱぴぃ?」

「ちなみにうちじゃしないが女装して漫画描く時あってな、下手に似合ってて怖いぞ?まぁ、あれのせいで母さんとつり合いが…」

銀樹の下が滑らかになっていく。
無論すべて作り話。ろくな話題がない時には積極的に作り話をするのは悪癖か、現実逃避か?


205 名前:ハバネロ 2009/04/12 07:58 ID:us3NT5RD
「よしハバネロ、決まりだ。学校に行け」
「いつからっすか?」
「明日から」
「エェェーーーッ」

というわけで、局長の鶴の一声で、ハバネロは警備員として学校に潜伏することが決定された。

今まであったことを報告し、それで局長が発した言葉がこれである。
「ところで、京岡は……?」
「それが俺にもようわからん」
「……そうか」


206 名前:怠惰・ベルフェゴール 2009/04/13 23:15 ID:3P0bYri3
>廃ビル地下

 蛭孤は目を閉じて町中にいる自分の虫たちへと意識を飛ばす。
だが、普段とは違い、虫たちの視界はまるで壊れかけのテレビの
ようにノイズまみれで安定しない。

(?…アバドンの影響ですかね。今後、毎回こうだと困ります
ね)

 蛭孤は人差し指でとんとんと頭を叩き、虫たちとの感度を上
げ、まるで自分が虫になったように想像する。
 イナゴに隠れて行動する彼の虫。または羽虫、または害虫、ま
たは幼虫。多くの虫たちの視界情報が彼の頭の中に流れ込んでく
る。『両足』を見つけるまであまり時間がかからなかった。


>蓮田市歩道

「あールーミ。もうここでいいから」

 フォルズは警察署付近の公園の前で足を停めてさらに先に進も
うとしているルーミに向かってそう言う。

「うー?ここ警察署じゃない」

「いいんだよ。騒ぎがわかりゃ」

 フォルズはベルフェゴールを押して公園の中に入る。そしてル
ーミの方に向き直ると、ポケットから出したものを彼女に投げる
と言う。

「ここまで案内ありがとな。これは駄賃」

「うー?」

 ルーミはそれを両手で受け取る。それは紙に包まれた飴のよう
だった。ルーミはその飴を見て不思議そうに彼に聞く。

「くれるの?」

「ああ。そんなもんしかあげられねぇけどな」

「うー。ありがと、フォルズ」

 ルーミはにこにこ笑いながらその飴を胸ポケットにしまって頭
を下げる。フォルズはそれを見届けると片手を挙げて言う。

「どういたしまして。また縁があったら道案内してくれ」

 彼はそれだけ言うと、公園の中にベルフェゴールを押して消え
ていく。ルーミは彼を見送るとくすりと笑って言う。

「『またこんど』ね」


207 名前:ハバネロ 2009/04/14 22:03 ID:fLv2s6Vt
学園祭の季節になった。

学校内が、段々と段々と飾り付けられていった。
昨日まで無かった万国旗が付けられたり、
昨日まで無かった張り紙があったり、
特に喫茶店の予定の教室の前には、宣伝の張り紙がかわいい絵で喫茶店のコーヒーブレイクを主張している。

星宮は校門をくぐった。
完全に遅刻である。ギリギリとかいうレベルではなく、今頃はすでに授業が始まっているであろう時間。
遅刻と分かっているのなら焦る必要も無く、悠々と校門をくぐる。

「……はふ」

欠伸が出る。

ぶぅん。
羽音がした。

「最近イナゴ多いなぁ」


208 名前:西涼の錦 2009/04/14 22:35 ID:Mn5yyUH9
「(それにしても京岡・・こんとこ、欠席だな・・・)」

隼人は心配そうに思った。
「(今度、ハバネロとかに聞いてみるか・・・)」


209 名前:天塚 2009/04/17 00:34 ID:6k2YU.Uj
海辺の洞窟。
ダゴン、ひいてはそれの崇拝するクトゥルーの崇拝者達の領域。
そこでは邪悪とも神秘的ともとれる儀式の準備が行われていた。

その儀式は祭司及び生け贄を捧げてダゴンを復活させる為のものだ…が。
肝心の生け贄がアレだけで大丈夫か否か、儀式にふさわしい日を待つ等の理由で未だに始まらない。


210 名前:Ⅳ 2009/04/17 02:13 ID:V5x0p1Ca
『呪い十字』日本支部、事務室にて・・・

「ロバート君お疲れさん。カノン君はちゃんと病院に運ばれたみたいだね。」
「・・・ふん。」

自分に向かって話しかけてきた仮面野郎にロバートはプイっと向いて不機嫌そうに舌打ちをする。

「そんなに怒らないでくれたまえ。私だってまさかカノン君がここまでやるとは思わなかったのだから・・・」
「言い訳はいい。そしてどのような気分であれ仕事はこなす。
貴様がこのタイミングで俺に話しかけてくることと言えばどうせカノンの代わりの仕事を押し付ける気だろ?」
「察しが早くて助かるよ。そうそう、実はカノン君の代わりに例の学園に行ってほしくてねェ・・・警備員として。
例の『特殊課』からもハバネロ君が行くらしい。」

「あの喫煙者か・・・ふん、まあ場所は学園・・・煙草は吸えんだろう・・・」

「本当に君は喫煙者が嫌いだねェ・・・そういえばエリスちゃんの煙草を辞めさせたのも君だったっけ?」

「当たり前だ。喫煙が人体に及ぼす害を知らんわけでもあるまい。
ましてやエリスは女性、子供を産むときに・・・ブツブツ・・・・・」

「あーもういいよ。とりあえず頼んだねェ。」


211 名前:ハバネロ 2009/04/17 23:29 ID:tztORbSj
―洞窟。
其処は陰気くさくて、人が住むような場所じゃないと京岡は思った。
今更ながら、黙ってつれてこられた事を後悔し始めた。」
しかしこれが、自分の為すべきことなのかもしれない―すなわち、死をもって今までの罪業を洗いざらい償う。

臓物メイドという禄でもないあだ名が脳裏をよぎった。

ガチャリと扉が開いて、アリスが顔を出した。

「今の話は聞かせてもらいました。私も行きます」
「えー、アリスのお守りかよー」
「ふむ、しかしアリスは闘えないだろう。ナイアが現れたらなんとする」

局長の言葉にアブドゥルが答える。

「ならば私も行こう。ハバネロ君は自らの仕事に専念できるだろう?」
「マジかい、パパも来ますかい」
「無論だ。娘を一人、未開の地にはやれん」
いつの間にか、特殊課の一局員と化したアブドゥルが言った。

……ヒルダが少し困ったような声をあげた。

「ああすまん、ヒルダはここに居てくれ。留守番が要る」
「やっぱり……」


212 名前:あまちゅか 2009/04/17 23:47 ID:dG0dM0cZ
「燈哥?お~い?燈哥?どうかしたか?」

学校では文化祭の準備のため皆忙しい。しかし今の今まで張り切っていた燈哥は目でイナゴやら雲を追うばかり。
たしかに奇人が静かなのはいいことかもしれないが…

「ダディの田舎ってさ…イナゴのクッキーが名物なんだ。お姉ちゃんのお父さんの田舎はね。
雨が降ると陸にもわかめが出るんだよ…」

狐のお面も制服に吊るされる玩具もどこかおかしい。
つけ方がいい加減というかヤケクソというか…

「ん?姉さんの父さん?」
「…お姉ちゃんと私、血がつながってないんだ。養子だよ二人とも。だからかな?
私…嫌いになったのかな?お姉ちゃん…」

燈哥は机につっぷして狐のお面を被る。


213 名前:あまちゅか 2009/04/18 00:01 ID:ELghDXxz
>>211

洞窟は常に深き者…あ半人半魚のバケモノ達がいるわけではないようだ。牢も難しい作りではない逃げようと思えば逃げられるかもしれない。

問題は洞窟を出れば村に行くか海に行くかなのだが…

「…深き者は人間との混血を作ることに躍起になってたらしいよ。だから私が生まれたの。
母さんは私を連れて逃げて…人として育てようとした。人じゃないのにね。」

だから自分は歪んだのだと思っていた。
自分は何をしても人と違う、仲間外れだと感じた。

「食事だよ?それと…話をしましょう?狂ってもらっちゃ困るの。
昔放置しといたらおかしくなっちゃったらしいし。」

貝を皿にして魚を焼いたもの、ご飯、野菜のみそ汁といったものが京岡に運ばれた。


214 名前:Ⅳ 2009/04/19 01:34 ID:IHg5zH8C
学園祭、クラス中がその準備に向けて忙しく動く季節である。
しかし・・・

「たるい。たるい過ぎる。」

そんな中かったるいことこの上ないと言わんばかりにだれる男がいた。
黒田清隆・・・クラスが役割決めをしている最中に顔伏せてぐったりしている糞ガキである。
クラスが真面目に班やら何やら決めてるってのに

「あ、俺そういうのいいからテキトーに決めといて。」

って言っちゃう奴はもう糞ガキと言われても文句は言えないだろう。
当然そんな奴には・・・

「では黒田君には○○○○をやってもらいましょう。」
「・・・はぁ!?」

天罰が下るものである。つーか今下りました。


215 名前:ハバネロ 2009/04/19 19:13 ID:e93Sao0e
>>213
「ありがとう」

京岡は黙々と食べる。

「おいしい」
自分が、単なる食物消化マシーンとなっていることを思う。

「私を生け贄にする気でしょ? なんか声が聞こえるもの。
おかしくなったかと思った」
京岡は味噌汁をすすった。

「また聞こえる。―そういえば、そんな小説があったわよね」
京岡は苦笑した
「何だっけ。 コール・オブ・クトゥルフ……だか何だか。まさにそれね」


「みんなー! 是非是非喫茶店にきーてねー」
教室のドアを一つ一つ開けて京岡が声を張り上げる。
しかも服装はウェイトレスで、名札には「星宮明」とかかれている。当日の服装で宣伝を呼びかけているのだ。大胆である。

「喫茶店をよろしくねー! ……っと、やばいやばい」
星宮は、半開きのドアを全開にして教室に入り込む。そこは黒田のクラスで、あわてて星宮は身を隠す。

「星宮さん、そーいうことをされてもらうと困るんだ、非常に」
生徒会の周防充哉が星宮を捕らえにやってきたのである。

「その服装は当日にするべき服装でね、今されると少しばかり困るというか、星宮さん?! 観念して出てきてくれ! 仕事増やすな!!」
「……あ! 黒田君ちょりぃっす! 黒田君は何の係? ヒマなら喫茶店よろしくぅ」


216 名前:あまちゅか 2009/04/19 22:18 ID:9rO/XzOV
>>215

「私は活字が嫌いだから…あんまり本なんて読まないのゴメンナサイ。よかった。おかしくなってなくて。」

胸をなでおろし、味見の仕様がなかった魚を横から少しつつく。
端に延びる手には鱗があり、水かきのようなものも見て取れる。


「最期の時まで快適に過ごしてね?散歩程度なら許すし、何かほしいものがあれば言うといいわ。
私にとっては…貴女は私と仲間たちを近づけてくれた大切な人ですもの。」

その笑顔は今までの悲痛なものと全く異なり、優しげで無邪気なものだった。

_学園にて_

男どもはカップルの男の方の醜態をさらさせるために張り切っていた。約クラスの半数の男の嫉妬パワーで、会議室及びその隣の資料室の許可を申請した。

それから先はヤレ温めたコンニャクだ、やれ扇風機の配置がどうだ…井戸のリアルさが足りない。
剣道部に摸造等降らせようだの追加案が次々と出てくる…

その輪の中には天塚は居なかった。奇人だろうとも女のそばにいることが許された天塚を寄せ付けない空間ができている。


217 名前:Ⅳ 2009/04/20 02:04 ID:CHFk4pAl
>>215
「あー・・・星宮さん・・・」

教室に入ってきた星宮を困ったような顔で見る黒田、よく見ると冷や汗タラタラで表情に余裕がない。
んでもって・・・

「ナイスブロック!!」
「ちょwwwキヨざまぁwww」

なんか黒田の後ろをクラスメートがにじり寄って居た。

「出来れば・・・このタイミングでそこを塞がないで欲しかったなぁ・・・」

バッと黒田の腕がつかまれて羽交い絞めにされる。
HANASE!!と悲痛な声を上げる黒田にニヤニヤと好奇と悪ふざけのまじった嫌な笑みを浮かべるクロスメイト・・・
黒板を見ると・・・・


黒田清隆・・・コスプレ宣伝隊長


「ぎゃあああああああ!!!」

即座に剥がされる制服、下ろされるズボン、逃走に失敗した愚人は敗者のぺナルティを負うことになった。


218 名前:ハバネロ 2009/04/20 20:14 ID:fOyruUQ6
>>216
「そう。なら……良かった」
京岡は自分自身に向けて皮肉を送った。
人を殺すのみの自分がようやくこうして人のために立てたのだ。喜べ。ほら笑え。何故泣く。

「……っ」

ぽた、と涙が一筋京岡の頬を伝わる。

>>217
「うわぁ」
星宮は腕を組んで悲劇を見守った。
その後ろの周防はあからさまに引いている。
「あたしのこれもコスプレに入るかな」
「知らん。とにかくソレ脱いで。当日までしまっておかなきゃならないんだから」

うぇーんと悪態を付きながら星宮はウェイトレス服を脱いだ。


「黒田君……うわぁ。何かごめん。可哀想に。あぁそうだ、あたしと一緒に喫茶店宣伝とかさぁ」
「星宮さん! 宣伝はいいから別の所手伝ってくれ!」

そうこうするうちに黒田がドレスアップされていく。

「ひゃあ……」


219 名前:あまちゅか 2009/04/21 00:55 ID:ce/cRK/J
>>218

「どうして泣くの?私が大好きになれた人間に泣いてもらうのはイヤ。私…無神経なこと言った?」

急に涙にオロオロとしだす。
何とかしようとするも人とのかかわりあいを避けてきた彼女に何かがわかるわけでもなく…

「も…もっと明るいとこに行く?泳ぐ?」

_学園_

さて、燈哥は上の空だが彼女の独特のセンスが今役に立つとき。
お化けのイメージ映像が完成した。

「こうゆうのって本当上手だよねぇ…」
「ふふふ、インクのソムリエと呼びたまえ。」

下書き一切なしでボールペンで完成されたおどろおどろしい土器風妖怪図。クラスの女子と軽くおしゃべりして…
本格的に天塚の居場所がない。ひっじょうにいにくい。

「…わかったよ、消えればいいんだろ消えれば…」

呟いてクラスを後にしようとすると…
「ダメっ消えちゃダメ!!」

突然耳をつんざくような声で燈火が叫び、駆け寄って腕を掴んでくる。

女子から冷やかしの声が聞こえる。男子の約半数の嫉妬パワーがマッシブ全開で今にも変身しそうなのを感じる…


220 名前:ハバネロ 2009/04/21 20:36 ID:t5Rw7M3S
>>219
「いえ」

京岡は目をおさえる。

「怖く……なっただけで……」
赤くなった目で、彼女を視た。

「いつです? いつ行われるんです? いつ―あなた達の主は戻ってくるんです?」

特殊課は紅茶がブームだった。ヒルダが流行らせたのだ。
ただハバネロは紅茶が飲めないので話題に入れずにいる。

「なあヒルダ、紅茶ってまずくね?」
「何言うんですか」
「…………」
「それでねアリスちゃん、私……外に屋根つきのテーブルとイスがあって、そこでみんなで紅茶を飲むのが夢なんですよ」
「素敵な夢ね」

局長は局長で元々紅茶飲む人だし、畜生タバコでも吸うわタバコ。

彼がそう思っていると、局長からいやな事実を知らされた。
「ハバネロ、学校は禁煙だからそのつもりでな」
「無理っすよ…… あ、トイレとかで吸うのとかはアリですか?」
「却下」


221 名前:あまちゅか 2009/04/21 22:40 ID:2vV3MIjG
>>221
「頭数合わせ用の生贄も捕まってる頃だし…そうね…三日後かな?周りのみんなは明日にでもしてほしいらしいけど…ね。」

確認に確認を重ねた上で、リハーサルも行うだろうからね…と沙耶は小さな声で呟く。

「正直いうと失敗してもいいんだ。またみんなと頑張れるからさ。
…ねぇ…なんて呼びかけてくるの?私は血が薄いせいかな?さっぱり聞こえない。どんな神様なの?」


222 名前:ハバネロ 2009/04/21 23:38 ID:t5Rw7M3S
>>221
「色々と呼びかけてきます」

京岡は耳を澄ました。その何者かに向けて。

「……静かな神様ですね。
あんまり騒がしくない。でも、自分の肉体を欲しがっている。
ルルイエ、という場所の再興と、眷属の復活を願っている。」

京岡は彼女の顔を見た。

「そういえば、貴女の名前をまだ聞いていなかった。教えてくれません?」


223 名前:Ⅳ 2009/04/22 00:18 ID:AcOAK5n8
>>218
「間違っている・・・こんな不条理・・・世の中間違ってる・・・」

数の暴力にもみくちゃにされ、やっと出てきた黒田は生気の無い顔でうわ言のように呟く。
それとは対照的に、女生徒からは黄色い声、男子生徒からは驚きの声が上がる。

「馬鹿な・・・俺が萌えている・・・だと?よりによって清隆に・・・」
「奪われた・・・ああ奪われてしまった・・・君の存在に心(ry」

漆黒のドレスに身を包み、背中に生える黒い羽・・・某薔薇乙女のジャンクのコスで出てきた黒田を見て各々がワーワー騒ぎ出した。


224 名前:あまちゅか 2009/04/22 00:52 ID:G3nfpwj5
>>222
「信濃沙耶よ。そう…沙耶って呼んで京岡さん…あら?下の名前を忘れた…?」

急に表情が暗くなり…俯く。

「…神より貴女が大事なつもりでいたのに…忘れるなんて恥ずかしい…」


225 名前:西涼の錦 2009/04/22 21:51 ID:s9cG9pkg
「(はぁ~)」

隼人はため息をしていた。
「(とうとう、もうすぐだな・・・)」

ちなみ、隼人のクラスは休憩所をやるらしい。


226 名前:特攻屋 2009/04/23 00:25 ID:ih3sKJia
警察署前。
そこに悠然と佇む二人、拳護とルウである。
人目を引く箱やゴスロリではなく、拳護は髪型を七三分けにし、二人ともスーツ姿だ。

二人は並び歩きだし警察署に入り、受付の人間に用向きを伝える。
「ここの署に、ハバネロ…と名乗る方がいらっしゃると思うのですが、お呼び出しいただけませんか?」


227 名前:アス 2009/04/23 16:44 ID:BHaZaI7W
「・・・特に大きな変化はなさそうだな。」
エマがガスマスクを顔から剥ぎ取る。
「でも、これから先注意した方がいいわね。」
詠子も同様にガスマスクを顔から剥ぎ取る。


228 名前:ハバネロ 2009/04/25 23:16 ID:qKfSvjyp
>>223
「うわぁ……黒田君、なんか普通に良いよ」
星宮は携帯を取り出す。
「はいはい動かないでねぇ~。掲示板の女装スレにでも画像貼り付ければ神扱いされるかも~」


>>224
「円華です。京岡円華。沙耶さん、よろしく」
京岡は静かに笑ってみせる。

>>226

「ああハバネロさんですか。どうせまたトイレで煙草吸ってるんでしょう。
ハバネロさーん!」

「ぁんだよ!」
「お客です」

受付の声に、ハバネロがブツブツ言いながら答える。
トイレから出てくる。二人を見る。

「……えぇと、誰だっけ。こんな所に何か用でも?」


229 名前:Ⅳ 2009/04/26 01:44 ID:uwGZ/Fzv
同時刻・・・

「はー・・・とりあえず一段落っすね。ボスも峠を越えたようっす。」
「ふー・・・一時はどうなるかと思いましたよ。まったく、数打ちで『処刑人』に挑むなんて・・・大将も無茶しますよね。」

ソファーに座りながら疲れたァ~~~と伸びをする健と愛、あー疲れたァ!!と上司が居ないのをいいことにダラダラグダグダし放題である。

「そう言えばハゼリアさん方ご一行はどうしたんですか?一応彼女等も外の人間ですし、監視とかしてなくていいんですかね?」
「そこは『軍勢』の鶴の一声でVIP扱いっすよ。最上級の客室用ルームにご案内、1人1部屋とか贅沢の極みっすね。
あそこは本来お得意様の重役に割り当てる部屋だっていうのに・・・」

ブーブー言いながら愛はばたつく。それを見て健は、

「まァ仕方ないですよ。成り行きとはいえいきなり国外に連れて行くわけですしね。
それも・・・こんな『輸送艦』で・・・」

そう言って窓の外に移る月を眺めて彼は言う。
ゴールド商会、現会長をヘンリー=ゴールドとし、世界を股にかけて商売を行うそれは・・・

「まさか彼女等も思いもしなかったでしょうね。俺等が『武器商人』だなんて・・・」

 

>>228
「はははは、お褒めの言葉ありがとう。殺意が沸くほどジャンクな気分だよ。」

この腐女子が!!と心で毒づきながら笑顔を振りまく。
そして同時に沸くシャッター音・・・ああ、皆ジャンクにしてやりてェ・・・


230 名前:特攻屋 2009/04/26 02:15 ID:WkVOzSqm
>>228

二人はハバネロの姿を認めると軽く会釈をする。

「ああ、霞拳護ですよ。
以前、米国のホテルで会った……お久しぶりです」

もはや別人と思える程の慇懃さである。

「はい、実はある人物にいくつか尋ねたいことがありまして……
その人物との仲介を頼みたいんですよ」

「そう、アブドゥル・アルハザード氏との仲介を」


231 名前:ハバネロ 2009/04/26 23:03 ID:ldtxXgIt
>>229
ハゼリアはPCを起動させていた。
調べているのはクトゥルー神話。しかし荒唐無稽でカオスってる情報ばかりが蔓延し、ろくな調査にならない。

ぱたんとPCを閉じた。

>>230
「…………

あぁぁぁぁ!! 修学旅行ねぇ~。ごめん忘れてて。
で、何だって? アブドゥルだって? その前に、そのアブドゥルさんの娘が過保護でねぇ、
逆なんだよなぁ、『親を過保護』なんだよねぇ。普通過保護なのは親なのにさ。

だからまずはアブドゥルの娘っこに話を付けろ。あの娘がまた厄介で、まさにファザコンというか何というか、」
「ハバネロ、誰?」

その過保護な娘、アーデルハイドがゴスロリな格好で現れた。

「アリス、この人がアブドゥルに話があるらしいんだが」
「…………」

アリスの視線は氷のように冷たく、剣のように鋭かった。


232 名前:Ⅳ 2009/04/27 01:56 ID:5OSL005L
>>231
VIPルームにて・・・

「今回はご迷惑をかけてすみません。ヘンリーに怪我させて来た上に連れに部屋まで割り当ててもらっちゃって・・・」

ソファーに腰掛けてⅣはその場に居た人間に頭を下げる。
そして『彼女』は・・・

「そんな!!頭を御上げください!!」

慌ててⅣに駆け寄りそう言う。そして・・・

「それと私なんかに敬語はお止めください。今の私は・・・貴方様のおかげで在るのですから・・・」

座って頭を下げるⅣに対し、さらに自分の頭が低くなるようにそこで跪く。

「ちょ!悠さん!!貴女こそ頭を上げてくだ・・・」
「『悠』で結構です。そして敬語もお止めください・・・でないと私は・・・」
「ああ!!分かった分かった。分かったよ悠ちゃん!!もう敬語使わないから頭を上げてくれ。」

口調を変えてⅣは悠と呼んだ女性にそう嘆願する。そこでやっと彼女も跪くのを止める。

「勘弁してくれよ・・・ただでさえ今の俺はヘンリーと君に世話になっているんだから・・・
この上跪かれまでしたら罪悪感でどうにかなってしまうよ。」
「罪悪感など・・・むしろそれは春香・・・失礼しました。ご夫人に感じてあげてください。」
「・・・そうだね。君の言うとおりだ。」

はァ・・・とため息をつき、Ⅳは悠を見る。

「君には本当に感謝しているよ。俺が居ない間、『不知火』を動かしてまで春香の警護に当たってくれて・・・
そして何より・・・アイツの友人で居てくれて・・・本当にありがとう。」

再びⅣは頭を下げようとするが、悠はそれを止める。

「お気になさらないでください。彼女と私は立場など関係なく友人です。」

笑顔でそう言う彼女に再びⅣはありがとうと礼を言う。そして・・・

「いけないね。春香のこと思い出したらまた涙が出てきた。
ちょっと船内を歩いてくる。君ももう部屋で休んでてくれ。」
「そうですね。では部屋に戻るまでの道をお供させてもらっていいですか?」
「・・・ああ。宜しく頼むよ。」

そう言ってⅣはドアを開けて通路を歩き出した。


233 名前:あまちゅか 2009/04/27 21:05 ID:CjYHxwjg
>>229

居場所が本格的に無くなった天塚。
教室から出る。

そしてどこからか聞いた声がするではないか。
あらあら?銀様っぽい方がいるではないですか。

ここで相手にインパクトを与える方法はただ一つ。
黒田の前まで行って片膝をつく。

「貴女のネジを回させてください。」

そしてポケットにあった…ハサミを渡す。


234 名前:特攻屋 2009/04/27 21:28 ID:AiO6B5Pa
>>231

「それは…また…」
ハバネロの『親を過保護』発言に言葉を濁す拳護。
(…アブドゥル氏は死亡フラグ持ちか何かか?)
などと過保護にされる親というのを考えていたり。

「ど、どうも。
霞と…申します、この度はアブドゥル氏に知恵をお借りするため来た次第でして……」
アリスの射殺さんばかりの視線にびくつきながらも、用向きを伝える拳護。
額に見える冷や汗は気のせいではないだろう。


そんな拳護の隣りで、ルウはアリスを凝視していた。


235 名前:Ⅳ 2009/04/27 22:25 ID:5OSL005L
>>233
「お前もジャンクにされたいかッ!?」

はさみをバシッと奪い取り、逆手に持って天塚に襲い掛かろうとするが、クラスメイトに止められる。

「離せェェ!!!つかもう脱ぐ!!この服脱ぐからなコラァァ!!!って!?なんだこれ!?脱げね!?1人で脱げねェ!?」

バタバタと暴れるが、結局は数の暴力で押さえつけられた。


236 名前:八神 2009/04/30 19:28 ID:SLgnv2nN
>>235
「あららー」
「まあまあ」
 七星とアリアは少し遠巻きに黒田こと最凶の逆十字さんを見ていた。暴れても数には逆らえないのが哀愁を誘う。

「……ところで、七星はやってみないの? コスプr」
「いやだ。断る。断固拒否する」
「えぇー」
「そんな残念そうに言っても駄目だ!」
「いけず」
「いけずじゃないっ!」


237 名前:西涼の錦 2009/05/02 08:26 ID:r7MpwykL
「ここは、騒ぎがなくていいね」

隼人はつぶやいた。


238 名前:怠惰・ベルフェゴール 2009/05/08 23:51 ID:WcjS5xlY
>警察署付近公園

「どっこいっしょ、と…」

 フォルズは自身の近くにベルフェゴールを停めるとベンチに腰
をかける。その動作はどことなくオッサンくさい。

(…さて。後は野となれ山となれか)

 フォルズは蓮田市の空を見上げてそう考える。その顔はどこか
余裕に満ち溢れている。

 

>蓮田市歩道

 フォルズと別れたルーミは元来た道を歩いていた。そしてその
進行方向の電柱に立つ男が一人。
 野球帽を深く被り、まだ冬でもないのにいくつもの服を着込ん
でいる。

「…『両足』、主から帰還命令が出ている。遊びの時間は終わり
だ」

 その男はルーミに向かって呟くように言う。彼女はそれを聞い
てにやりと笑うと足を止めずに歩き続ける。それに野球帽の男は
続いた。


239 名前:天塚 2009/05/10 22:57 ID:NX1ORI24
「な~みを~まくらに♪ね~ぐらは…骨よ?」

屋上でうろ覚えのビンクスの酒を楽しげに歌う燈哥。
愛するべき人は行方不明。
いつか波のように消えてしまいそうだったその人は…本当に消えてしまった。

自分を心の底から心配してくれた。不器用だったけど…

「おねーちゃーん…帰ってこないと日記読んじゃうよ?」

姉がかえってくると信じて、抱いている日記を読まないでいる。
もう自分の仕事はない。変わり者だから。

「文化祭か…ハァ…」


240 名前:西涼の錦 2009/05/11 19:45 ID:cC7ncaBy
「なにやってんだ?・・・」

そこへ、隼人がやって来た


241 名前:天塚 2009/05/11 23:05 ID:6sJB1u6t
「んん?おおう?ええと…」

まだ顔と名前があいまいな人物が突然やってきて反応に困った。

とりあえず姉の日記を片付ける。

ここは屋上、ねっころがって歌うにはちょうどいい。
それだけなのだが…何か言わなければいけない気がした。

だんだんとネタがうかばずに汗が出てくる。

「俺と逢引(でえと)さ!!」

突然扉が開く。天塚だ。

「あんなふつくしひ人が女の子のわけがない!!そうだ!!俺は最初から男とわかってたさ!!」

わけのわからぬ叫びをあげて現れた天塚はしばしそこにいたが、隼人を見てすぐに出ていく。

「…ええと、なんだっけ?」

燈哥は何もなかったかの如くに聞き返す。


242 名前:西涼の錦 2009/05/12 20:34 ID:oZhbH3m2
「え~と、さっき片付けたのってなに・・・?」

隼人はとりあえず、尋ねた。


243 名前:Ⅳ 2009/05/12 22:34 ID:JFvFBKnu
「このお馬鹿さん♪」
「ちっげェェェよ!!!そこは「お馬鹿さぁん♪」だろうがぁ!!」

黒田は憤慨した。この理不尽な世界に。この不条理な現実に。そして・・・

「んでもって「ジャンクにするわよ!!」はもっと語尾を強く!!何度言ったら分かるんだこの劣化コピーが!!
本番までにシンクロしないとテメマジにジャンクにすんぞコラぁぁ」

テメェを今すぐジャンクにしてやろうかと黒田は心で毒づく。
さて現在のこの状況、どこから説明すればいいだろう・・・
まず最初に、黒田はとある同好会の一室に居た。例の銀様のコスで。
んでもってこの空間に居るのが・・・

「見た目可愛ければ許されると思うなよコラ!!」
「党員舐めんな!!」
「及第点行くまで今日は帰れると思うなよ!!」

ちょっと頭が残念な人たち・・・なんでも『水○党』とかいうわけの分からん団体を名乗る同好会の人たちだった。
勘弁してくれよ・・・黒田は死んだ魚のような目で自分を取り囲む頭がジャンクな糞共を見渡す。
お前らさぁ、自分のこと客観的に見てみろよ。こんな一室に男をコスプレさせて取り囲んで軟禁なんかして・・・親御さん見たら卒倒もんだぞ?
つーか学校もこんな同好会認めるなよ・・・何此処、俺と同じ服来た銀髪黒羽の女の子の同○誌や人形、おまけに抱き枕とかあるんですけど?何これ病気?本当にこいつ等頭がジャンクなんじゃねえの?つーかもうマジに帰りたいんですけど?いやもうホントマジに泣きたいくら・・・

「雑念を入れるなぁ!!!」

一括とともに黒田の頭がパンと叩かれる。党員の1人にスリッパで後頭部を叩かれたのだ。
と同時に・・・黒田の中の何かが切れた。

「あんた達・・・・」

今まで内に秘めた何かが許容量を超えてあふれ出す。
そう今彼は黒田清隆ではなく。


「ジャンクにするわよォォォォ!!!」


シンクロ率400%でシンクロし、暴走モードに突入した。
余談であるがこの日は後々のこの同好会に『銀様が舞い降りた日』として語られることになる。


244 名前:天塚 2009/05/13 00:29 ID:cqMwoxdq
>>242

「ああ…あれ?なんでもないよ?ただの日記。うん。物忘れをしなくなるんだって。恨みつらみも忘れられなくなるらしいけどね。」

燈哥はとりあえずねっ転がるのをやめて、訪問者のほうを見て座る。

「あれ?私あなたに自己紹介したっけ?私も日記書いた方いいかな?忘れちゃった。」


245 名前:西涼の錦 2009/05/13 15:59 ID:Vt8vjas6
「いや、してないと思う・・・」

隼人は、はっきりと言った。

「こっちから、たずねるけど、名前は?・・・」


246 名前:ハバネロ 2009/05/13 17:31 ID:1eZunbj8
>>234
「・・・」
アリスはいわゆるジト目で二人を見た。

見る。

凝視する。

「駄目」
「何でだよアリス、あわせてやってもいいだろうに」
ハバネロはそう言うが、アリスは首をふった。

「知らない人は許可できない」
アリス、アリスと彼女を呼ぶ声がする。

「ああアリス、ここにいたのか。お茶の葉が切れてしまっ・・・
 おお、客人か?」
「お父様! ここに来ては駄目よ、早く戻って!」


星宮は教室に戻った。

「星宮さんねぇ。あーいうことされると困るよ」
「ごーめーん」
生徒会腕章を付けた周防は困り顔で星宮に説教をする。

「周防さん、大変です! 水○党がまた活動を開始してます!」
「何っ?! あいつらまだ馬鹿やってんのか! ええい、くそ! すぐ行く!」

「ねぇねぇ周防さん、すい○○とーって?」
「元々は普通の同好会だったんだが最近活動が暴走気味でな。
時々摘発せねばならん。おい、みんな早くしろ! 逃げられたら遅いんだ!」

周防は全速力で、黒田が囚われている現場に向かう。

「あれ? このままじゃ黒田君もガサ入れに巻き込まれちゃうかも?」
星宮も走った。―黒田をジャンク達から助けるために。


247 名前:天塚 2009/05/13 23:44 ID:dSoqbk8A
>>245

「信濃燈哥…レディだよ?うん、たぶん。みんなは…特にひねった呼び方はしないかな?」

ニコリとわらって、スカートの裾をつまんでお姫様がするような礼をする。制服に吊るされたおもちゃが揺れる。

「さぁ、レディがなのったんだから君の番。残念ながら今日はネタがなくて…」


248 名前:Ⅳ 2009/05/14 02:34 ID:dg5LSUW7
>>246
周防率いる生徒会が現場に到着する頃、そこにはもう『結果』しか残っていなかった。
誰かが暴れた後なのだろうか。机と椅子がいたるところで倒され、散らかっていた。
そしてその中心に・・・

「ああ?」

黒翼の堕天使は君臨していた。そう彼女、いや彼は唯1人その場で立っていた。その場にいた連中全てを平伏させて。
その光景は駆けつけた生徒会のメンバーに滑稽を通り越して異常を感じさせただろう。
なにせそこでひれ伏していた連中は・・・

「銀様だ・・・」
「俺たちの銀様がやっと画面から・・・」
「俺は今猛烈に感動しt(ry」

そこに君臨する黒田を拝むようにして見上げていたのだから。

「はぁ?あんた達黙れというのがまだ分からないのォ?ジャンクにするわよォ!!」

黒田のその台詞に傍から見てて気持ち悪いくらいに身悶える党員の方々・・・もうやばい空気しかしていなかった。
そんな中で・・・

「・・・生徒会が何のようかしら?」

口調が銀様モードのまま黒田は周防達に意識を向けた。


249 名前:西涼の錦 2009/05/14 18:30 ID:L515QZAt
>>247
「俺は毛利隼人、よろしく・・・。」

隼人は自己紹介をした。

「(それにしても、ここは静かでいいな・・・。クラスとかは今、大騒ぎしてるしな・・・)」

隼人は空を見ながら、思った。


250 名前:天塚 2009/05/14 21:27 ID:/XPWpmNB
>>249

「…あ~…あれ?」

聞いたことがある様な気がした。
これはプラズマか?それともただのデジャヴか…?

「それで薩摩隼人君。どうだいこの場所は?町が一望できる景色!!そして体中にプラズマエナジーが胸に集まるように気がするよ!!」

燈哥は大げさに胸を広げて叫ぶ。

「こんな日はいいことがある気がするね!!今ならライダーキックが出せる気がするよ!!」


251 名前:特攻屋 2009/05/16 17:24 ID:Vhbv82jd
>>246

(子供っぽい理由だが普通だ・・・)
ジト目で凝視されつつもアリスの返答にポカーンとする拳護。

しかしアリスを呼ぶ声とその声の主を確認するやいなや拳護もルウも雰囲気を引き締め・・・・・・過保護の理由を悟った。

(いかん、この親なら娘がこうなっても仕方がない!)

しばし唖然としたがすぐ目的を思い出した。
「え~・・・失礼ですが、貴方がアブドゥル・アルハザードさんですか?」


252 名前:西涼の錦 2009/05/16 23:33 ID:Hyk1LLWm
>>250

「はっはっはっ、そうだな。それに人間、元気が一番だしな・・・」
隼人は納得するような感じで言った


253 名前:天塚 2009/05/20 19:38 ID:DIQFrnbu
>>252
「うん、なかなか話せるね君。」

機嫌よさそうに微笑む。男子で己のそばに好き好んで
寄ってくる人物はいない。改造とは言わないが趣味の知れないおもちゃのぶら下がった制服もその一因だが…

「どう?ここ等で一発花火でもして見ない?」

火をマイディアーとかボーイフレンドと呼んで、やたらと火を使いたがることだろうか。

「すれば…元気出るよね…うん…」

一瞬寂しげな表情になるが、スカートをまくってそこから火種と花火を取り出す。


254 名前:西涼の錦 2009/05/20 22:13 ID:v4nGauaz
「どうした、元気でもないのか?・・・」

隼人は心配そうに言った。


255 名前:天塚 2009/05/20 22:57 ID:DIQFrnbu
「うん…見知らぬ君になら教えてあげよう…私のお姉ちゃんがね…どっかに消えちゃったんだ…」

声の調子が少し低くなる。
呟きつつ、マッチで火をこすり、線香花火をつける。

「…寝るときには、私はここにいるって毎晩…ぎゅッテしてくれたのに…」


256 名前:西涼の錦 2009/05/22 02:29 ID:nk6kiFlS
「そうなのか・・・」

隼人はすまなそうな感じで言った。

「それ、俺に一つ・・・」

隼人は、信濃に言った。


257 名前:ハバネロ 2009/05/24 21:54 ID:ntZ8ANYs
>>248
「……またそんなことやってんのか。君らは」

周防は呆れ顔で部屋を見回す。
「あのねぇ、困るんだよ。いくらなんでも学業に必要の無いものを持ち込みすぎだ。」
「く……黒田君……?」
星宮は、自分の常識の範疇外にある何かをひしひしと感じていた。

(こんなヤツをうちの組織は一目置いてたんかぃ)
「とにかく片付けろ。いいから片付けろ」
周防は非情にも告げた。

>>251
「そのとおり」
アブドゥルは微笑と共に名乗る。

「アブドゥル・アルハザードと言います」
「戻りましょう」

アリスが父親の袖を引っ張る。

「おいおい待てアリス、そこまでしなくても! それとアブドゥルさん、お茶の葉っぱならヒルダに聞け」
「ハバネロ! 貴方分かってないわ。考えても見て頂戴」

ナイアルラトホテップに魅入られた手下だったら―?

アリスの表情はそう言っていた。

(…………)
しかしアブドゥルは、娘の心配をよそにこう言う。

「私に何か御用ですかな?」


258 名前:Ⅳ 2009/05/25 01:29 ID:uwGZ/Fzv
>>257
「ああ?ジャンクにするわよ?」

銀様(黒田)のこの台詞を皮切りに跪いていた連中が立ち上がる。

「オレはオレの中にあるルールで(銀様崇拝を否定する)お前らを悪だと断定する。」
「あーやだやだ。(こちらの)文化を知らない奴らは。」
「意地があんだよ!男の子にはなあ!」
「銀様!!ここはこのマシュマーが。」


熱い漢と化した親衛隊(気取りの基地外)が各々の名台詞を吐き敵意を生徒会の連中に向けた。


259 名前:名無しさん 2009/05/25 19:33 ID:ocAophLG
>>258
「……」

もうダメだコイツら、と周防は思った。
いわゆる狂信者だ。今ここに宗教が生まれた。

「いーから帰るよ! 黒田君!」

星宮が黒田の手を引っ張る。あわや脱臼という勢いで引っ張る。

―好機!
「突入だ! 確保しろ!! 人形に同人誌に雑誌に、一切合財を没収する!! 続け続けェェーーーっ」

周防がときの声を上げ、生徒会員が突入する。
そこは戦地と化した。


260 名前:天塚 2009/05/26 01:16 ID:JqYFVhAn
>>256

「ん。」

一本の線香花火を隼人に渡す。下のお祭り騒ぎには気が付いていない。気がつけば正義の味方気取りで介入するのだろうが…
とうの天塚は、精神的ショックを受けて教室で廃人をしている。

「火っていいよね?私のボーイフレンド。いやなことも全部消してくれるし…この中にはダディもマミィもいる…♪」

クスリと笑って燈哥はもう一本線香花火に火をつける。
ぱちぱちと小さな火がはじけ…かわいらしく光る。

「いいよね火って♪」


261 名前:Ⅳ 2009/05/26 01:28 ID:5OSL005L
>>259
「ちょ!?貴女!?痛ッ!」

星の宮に腕を引っ張られてワーワー言いながら黒田は戦線から強制的に離脱させられる。
と同時に突入する生徒会員と、

「強い人だ、惚れがいがある、残りの命を懸けるに値するほど!」
「銀様ばんざぁぁぁぁぁぁぁいィィ!!!!」
「ーーー唯一無二の力を見せてやる。」
「これが、天下無敵の力だぁぁァァラァァァッ!!! 」


燃え上がる戦場に方向は響き渡る。

 

「・・・は!?俺は一体・・・」


星宮に引っ張られて安全な場所に避難した頃にやっと黒田は正気を取り戻した。


262 名前:ハバネロ 2009/05/26 20:55 ID:4Fc.peyr
>>261

「黒田君! 清隆君! 大丈夫? 私のことわかる?」
黒田の肩をゆすりながら星宮は意識確認を行う。

「もう……。生徒会の人たちに捕まるかと思って助けに来たのに
清隆君までノリノリになってるもん。びっくりしたよ」


263 名前:Ⅳ 2009/05/26 21:52 ID:5OSL005L
>>262
「確か俺は・・・あ~・・・」

自分の格好を再確認し、だんだん思い出していくうちに脱力していく。

「ああ・・・精神的疲労がピークに来て少しぶっ壊れていたようだ。
うん、もう大丈夫だよ・・・一応自分は取り戻したから・・・」

うん疲れていただけだよと言って手をついてブツブツ言い始める。

「この間の一件からリタがどっか行っちゃってさ。ずうぅぅぅぅぅぅぅっと待ってて・・・それこそ寝ずに待ってんのに帰って来ないんだよ。
そして寝不足で夜を明かして学校でせめてもの睡眠を貪ってたらいつの間にかこんな格好で宣伝する係にされてこの様だよ。
連れは俺の制服隠してさっさとドロンするし、必死で学校中探していたら水○党とかいう変な連中に見つかり拉致監禁・・・んで今に至るわけさ。もういいよ・・・もう考えるのもダルイ。いっそもう俺この銀様とやらになろうかなマジで・・・」

正気は取り戻したようだが、彼自身の状態はもう色々とダメッぽかった。


264 名前:特攻屋 2009/05/26 22:41 ID:AiO6B5Pa
>>257

「はい、単刀直入に言います。
『深海の大破壊竜』と呼ばれる存在に関して、ご存じありませんか?」


265 名前:西涼の錦 2009/05/27 01:06 ID:AdyvZJ83
>>260
「そうだな、心が落ち着くしな・・・」

隼人は明るい声で信濃に言った。


266 名前:天塚 2009/05/27 20:55 ID:PKm7bgRI 6964
>>265
「全く、後で呼び出し食らってもしらないよ?私は指導室には常連だけど…」

制服とスカートの下を見れば充分わかりそうだが…
燈哥はやや唇をとがらせながら言う。

「まったく、学校は何か大切な物を忘れてるよ。恋愛フラグを立てる為に屋上で花火してもいいじゃない。
…生徒会も…む?理不尽な悪の匂いがする!?」

ふと立ち上がる。が、まだ火は燃え尽きていない。
火の方が大事らしく身を屈める。


267 名前:西涼の錦 2009/05/27 21:37 ID:.mFvV2dH
「大丈夫、俺は証拠なんか、残さないほうだし・・・」

そう言うと隼人は持っていた線香花火を、マジック的な、なにかで消した。
「(それにしても、信濃てっおもしろいな・・・)」

隼人は思った。


268 名前:天塚 2009/05/27 22:36 ID:PKm7bgRI
「薩摩隼人…私の話聞いてなかった?
火は私のMY LOVERだよ?ボーイフレンドだよ?」

今まで穏やかだった視線が急に冷めたものに変わる。
そしてすっくと立ち上がり、花火の残骸を袋に詰めた。


「私のデートを、彼氏を追い払って邪魔なんかして…最低。」
そのままズカズカと扉の方へ向かい出す。


269 名前:西涼の錦 2009/05/27 23:05 ID:K.L1CAnY
「なんか悪かったな、ごめん・・・」

隼人は謝るように言った。
「(しかし俺、自分が持っていた、花火(使い切ったの)を消した、だけなのに・・・。 そこまで火が好きなのかね・・・ )」

と、隼人は考えながら思った


270 名前:アス 2009/05/29 17:04 ID:rG4ZdoPn
「イナゴもだいぶ減ってきたな。」
アスカは、イナゴが少なくなった部屋を見渡す。
「これくらいの数だったら気にならない。さて、外に出てみるかか。」
アスカは、護身用のトンファを持ってマンションのドアを開ける。


271 名前:天塚 2009/05/30 15:55 ID:iM89rvqG
「むー…人の彼氏の匂いのついたものをああして処分するなんて…」

火を彼氏とのたまう辺りで危険だが…
花火の燃えカスの臭いで恍惚とすると更に危なく見える。

「お姉ちゃん…」

不愉快な思いが再び目をさます。もう待つ気にはなれない。
仕事ををサボり、姉の日記を読むため人のいない図書室へ。

「…ええと…京岡さんを連れていく。
もしかしたら、もう燈哥とは会えないかもしれない?
私の存在する理由は彼女を得るこ…うわぁ…」

とりあえず、京岡のクラスへ行くことにする。


272 名前:西涼の錦 2009/05/30 16:44 ID:2FXJoApt
隼人はクラスに戻っていた。
「はぁ~、最近話す相手がいないし暇だ・・・」

「(それにしても、相変わらず、不登校だなあいつ・・・・)」

不在の席を見て思った。


273 名前:天塚 2009/05/31 13:03 ID:9U.MAObm
「京岡さ~んは…いないね…ウン。」

このクラスにいるわけがない。
さて、自分を腹立たせた男はガン無視だ。実は根に持つ。
そうなると話を聞くべき相手は定まる。

「星宮ちゃ~ん?ほっし~?あきちゃ~ん?」

クラスの女子に話を聞いても彼女の居場所はよくわからない。
仕方がないので叫びながら廊下を…歩き回るだけだが…

「あきら~!?不動~!?星アキ~?!小怪獣ホシラ~!?」

だんだんといら立ちが増しているのだろう。
乱暴な言葉づかいになっていく。


~洞窟?~

「…え?もうですか?もう…儀式に使うんですか?」

「十分量の生贄は確保し、儀式の予行も三度行った!!皆の待ちわびた瞬間は今まさに訪れる!!」

沙耶は少しだけ不満げな表情を見せたが、己の前に立つ老年の男性に微笑んで見せた。
濡れる洞窟の中を沙耶は歩く。その中で彼女は何度も同族の言葉を聞く。それはいずれも活気に、興奮に満ちていて…

「京岡さん、出番ですよ?」


274 名前:西涼の錦 2009/05/31 14:38 ID:rQEU4UKu
「(しかし、嫌な予感がする・・・)」

隼人は何かを感じていた。
「(それにこの感じ・・・。また、邪神でも復活するのかね・・・)」

と、隼人は考えていた。


275 名前:ハバネロ 2009/06/03 21:31 ID:zQETqt16
>>264
「深海の…」
「……大破壊竜?」
父親の言葉を娘がつなぐ形で二人が言う。

「いえ」
アブドゥルの記憶の中にそんな言葉は見当たらなかった。

>>273
「はいはい、はーいはーい! とーかちゃんお久~」
星宮はホップ・ステップ・ジャンプで信濃の所に到着する。

「そうですか」

京岡は立ち上がった。
「……早くすませちゃいましょう」


276 名前:森本 2009/06/04 00:22 ID:.E3cBBOP
>>263
 生徒会と宗教団体(一部語弊あり)の戦闘は未だ続いていた。
 その教室の前に、背の低い赤毛の女子と、軍帽をかぶった男子が近付いていった。二人とも蓮田高校の制服を身につけている。
 男子生徒は、乱闘中の部屋の中を見たあと、忙しそうな周防に質問した。
「あ~、すいません。黒田清隆君はここにいたんですよね?どこに行きました?」
 男子生徒の顔は軍帽で隠れて見えない。
「……。」
 女子生徒の方は何もしゃべらないがウズウズしていた。


277 名前:Ⅳ 2009/06/04 02:07 ID:2rFdPaIz
「まったく・・・今日は酷い目にあった。」

あれから十数分、ひとまず立ち直って黒田はため息をつく。
場所は屋上、結局銀様のコスプレのままじゃ家に帰れない上にこれ以上面倒に巻き込まれるのも嫌なので結局、そこでのんびりとくつろいでいた。
まぁ制服隠しやがった悪友にも連絡し、此処まで制服持ってくるように電話しておいたんでとりあえずこのままでいいだろう。


278 名前:アス 2009/06/04 16:19 ID:BrGRwxOW
詠子は、段ボール箱を開けた。
中に入っているのは白い紙。
「…まだ足りないわね。」
詠子はそうつぶやいて、紙と一緒に入っていたメモを捨てる。
メモには、こう書かれていた。
“この紙は高性能の爆薬です。取り扱い注意”


279 名前:特攻屋 2009/06/04 21:14 ID:mryWD1eB
>>275

「…………え?」

否定の言葉、それを聞いてしばし呆然とする拳護。
そしてジト目で拳護を見るルウ。

「……拳護?」
拳護にのみ聞こえる声で呼び掛けるルウ、なにかオーラがにじみ出ている。

「あ~、で、でわこんな容姿の竜はご存じでは?」
拳護は語る。

『腕は熊、頭はタコ、全身を鎧のようなウロコにおおわれ、背中にはコウモリの翼を持つ、
天をつくほどの巨大な竜』と。


280 名前:天塚 2009/06/04 22:30 ID:DFDxkVBx
>>275

「不必要なくらい元気だね~…」

さっきまで大声で星アキとかホシラなんて呼んでいた自分のことを棚に上げる。

「アキ君アキ君、京岡さんはいないかい?嘘付いたらとりあえず『嘘だっ!!』はしてあげるよ。」


281 名前:天塚 2009/06/04 22:37 ID:DFDxkVBx
~洞窟内~

沙耶は早く済ませましょうと言われると、己の勲章がなくなるのではないかと心配するようだったが…
一切無駄足をとらずにそこへと連れていく。

人身御供を捧げるべき岩の祭壇、不気味に光る青い炎、そして水中都市を映す水鏡…
老人がわけのわからぬ言葉を延々と唱え続ける。それに続いて宴のように興奮した声で奇妙な歌声が続く…

柱へと京岡を固定して、水鏡へと沈めていく。ソレが現れるように…


282 名前:森本 2009/06/04 22:45 ID:.E3cBBOP
>>276
「……。」
 赤毛の女子生徒は周防の返事も聞かずに歩きだした。もっとも、周防は戦闘に忙しく、男子生徒の質問も聞いちゃいなかった。
「あ!ちょと!」
 慌てて軍帽をかぶった男子生徒が後を追う。
「なんで君はせっかちなんだい?」
 男子生徒が女子生徒の後ろから言う。
「……。」
 相変わらず、しゃべらない女子。代わりとばかりに、男子は喋る。
「しかし、まあ、学校祭とは賑やかなことですね。うん、いいもんだと思える。外もうららかないい天気で……」
 いきなり、男子生徒の言葉が途切れ、彼は立ち止った。
「んだ、ありゃ?」
 彼は廊下の窓の窓の向こう側に、つまり校舎の屋上に変人を見つけた。フリフリの衣装を着ていてゴスロリちっくだ。
「…?」
 女子生徒は男子生徒が立ち止ったのに気付き、自分も男子生徒が見ているであろう方角を見た。
「!」
 途端に駆け足で、校舎の屋上を彼女は目指し始めた。
「いやあ、世の中には奇特な趣味の持ち主もいるんですねえ。」 男子生徒が自分の軍帽を棚に上げて言った。しかし、言ったはずの相手には届いていなかった。
「あら、いない。」
 男子生徒は苦笑いの表情を作った。

 男子生徒が苦笑していたとき、屋上の扉が勢いよく開いた。あんまり勢いよく開けたものだから、鉄をコンクリートに叩きつける重い音が響いた。
 開いた扉のところには、赤毛の女子生徒が立っていた。 


283 名前:Ⅳ 2009/06/04 23:03 ID:2rFdPaIz
>>282
「お!」

やっと来たかこの野郎。お前のせいで散々な目にあったわ!!
そんなことを考えながら、振り返れば居るであろう自分の制服を持ってきた友人に向かって口を開こうと回れ右をした直後・・・

「え・・・」

赤毛の女子生徒が視界に入った瞬間彼の体は硬直した。

「え?あ・・・れ・・・え・・・・ちょ・・・おま・・・」

パクパクと口を開けるその様は金魚が水槽で餌をねだっているようで滑稽だった。


284 名前:森本 2009/06/04 23:12 ID:.E3cBBOP
>>283
「……」
 女子生徒は驚いた。彼に会うために戻ってきたのに声も出せなくなっているのだ。それは、戸惑いの表情として外に出る。しかし、はたから見れば、眉をひそめただけに見えただろう。
 彼女は知らず知らずのうちに、前へ歩いて行った。
「……、清隆?」
 リタは黒田清隆に対して絞り出した発言は、名前を呼ぶことだけだった。


285 名前:Ⅳ 2009/06/04 23:37 ID:2rFdPaIz
>>284
「あ・・・リ・・・タ・・・」

自分の名前を呼ばれてやっとその名前が口に出る。やっとのことで振り絞った声は自分でも分かるくらい震えていた。
言いたいことが頭の中で駆け巡る。勝手に姿を消したことに対する怒り、そして帰って来たことに対する喜び・・・
感情があふれ出すが上手く言葉に出来なかった。そして・・・

「リタ・・・だよな?」

そう言う彼の顔は今にも泣き出しそうな表情だった。

 

 


「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『友人に呼ばれて制服を届けに来たらなんかギャルゲの再会イベント的なものに遭遇した。』
な… 何を言ってるのか わからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった…
それなんてギャルゲ?リア充氏ねだとかそんなチャチなもんじゃ断じてねぇ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。」

一足遅く屋上へたどり着いた友人A君、状況を確認すると・・・

「ふ・・・清隆、上手くやれよ。空気の読める友人Aはクールに去るぜ!!」

制服をその場に置くと静かにそこから立ち去った。

最終更新:2009年07月13日 00:10