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この世界においての壁の建造は最重要事項である。
左のわかりやすい図のように(単行本では図が挿入されている)、単純に壁の中に街を作ってしまうと、万が一壁を巨人に突破された際に対応の術がない。つまり広大な範囲の、どこを突破されるかわからないからである。
当然、壁の全周をあらかじめ監視・警備するだけの兵力は、人類には無い。そこで、解決策として採用されたのが、下のわかりやすい図である(単行本では以下略)。
つまり「的を絞ること」が目的である。この策により、壁を警備するコストは抑えられ、兵力も集約できる。だが、巨人を集める「エサ」となる人間がこの壁の中に入っていなければ、当然効果は無い。兵士が駐屯することによる街への経済効果は約束されるが「経済的利点」と「巨人に食われる恐怖」を天秤にかけ、この街に住もうと思う者は決して多くないだろう。
そこで王政府は、この先端の町に住む者を「最も勇敢な戦士」として祭り上げ、大衆を扇動した。
人類の領域と壁外の巨人の領域を結ぶ扉は強度が劣るため、保守派により埋められる計画があった。しかし「壁外への扉を放棄することは人類の復権への意志を放棄することである」と主張する革新派によって計画が阻まれてきた経緯がある。
この壁の建造時期や建造方法は、物語が進むにつれて明らかになるだろう。
(単行本では図が以下略)
立体機動を可能にする為には、全身に張り巡らされた、固定ベルトを利用した細かい体重移動の技術が必要になる。
立体的で高速な機動が目的である装備は、徹底して軽量化の限りを尽くされている。
両側の腰のどちらか一方に全体重をかけることになる。その体重のほとんどは、反対側の足の裏にかけられる。宙を舞うような機動であっても、全身の筋肉を酷使することによって成り立っている。
(単行本では図が以下略)
<立体機動装置本体>
・本体部分に鉄線を収納
・軸が二つあり、独立して回転
・ガスはボンベに圧縮して注入されている
操作装置が作用する部分はブラックボックス(技巧科が秘密裏に管理・改良)
<ファンの部分>
・ガスはファンに直接吹きかけられて回転
・排出部は吸入口から入るガスに干渉しないように羽根の形が工夫されている
・ガスの圧力を調整して出力を操作
ファンへの吹き出し部と排出部を兼ねる部分はブラックボックス(技巧科が秘密裏に管理・改良)
(単行本では見開きで人類活動領域の俯瞰図が収録)
この図説は、人類に残された領域の広さを感覚的に示したもので、街や壁の大きさを正確に描写したわけではない。
先端の壁「ウォール・マリア」の外は、依然として謎のままであり、正確に描写されているわけではない。
人類領域の中心ほど標高は高くなり、中心から外に向かって川が流れる。
人類領域内は水と鉱物資源と天然ガスなどの資源に恵まれている。
(単行本では図が以下略)
大砲は立体機動装置登場以前の対巨人主力兵器であったが、機動力に欠け、地上戦での運用は困難を極めた。
その代わり固定砲が壁に配備され、防衛用の改良が施された。
従来の機動式大砲との違いは、垂直下に砲撃が可能であることと、反動を軽減する仕組が加わったことである。
ぶどう弾
主に兵士による近接戦闘前の支援砲撃に使用される。
巨人に対して殺傷効果は低いが、ある程度動きを停滞させる効果はある。
榴弾
対巨人の殺傷が目的。
巨人の弱点を捉えることができれば一発で仕留めることも可能。
しかし、動く目標に対しての滑腔砲自体の精度が低いために、狙って当てることは大変困難である。
成果は殆ど無い。
レール上の大砲は、砲撃時にしっかり固定されていなければ砲台ごと吹き飛ぶ。
照準を定めた後レールに固定する作業が入るため、即射性は落ちる。
(単行本では比較図が掲載されている)
壁50m、超大型巨人推定約60m、15m級(エレン巨人体)、7m級、4~5m級、兵士1.7m
調査兵団とは、壁の外の探索活動が主な目的だが、ウォール・マリア陥落以前と以降では活動内容が異なる。
陥落以降の活動は、来るウォール・マリア奪還作戦二回目の為の布石を打つ作業である。壁を破壊されたシガンシナ区へ大部隊が向かえるよう、途中に点在する廃墟と化した町や村に、補給物資をあらかじめ設置し、大部隊が移動する順路を作成する。
立体機動装置の訓練は、人間という二次元的な動きをする生物を、三次元に適応させるための過酷なものである。何よりも物をいうのは体力、ことに脚力であるが、耐G能力(特に女性が優れる)と空間把握能力も欠かせない。特に空中において自分の状況を素早く認識し、パニックにならない為には並大抵でない精神力が必要になる。このためバンジージャンプや器械体操、果ては命綱を教官が故意に切ってその対応を見る訓練(俗に「闇討ち」と呼ばれる)などが行われる。いずれも安全な訓練とは言い難いが、訓練中に死んでしまうような者が巨人と戦うことは、いずれにせよ不可能なのであり、訓練を乗り切った兵士たちの士気と自負は強い。
設定協力/小太刀 右京・三輪 清宗
工場都市でのみ生産される鋼材。強靭さとしなやかさを兼ね備え、巨人の肉質を斬裂しうる、現在ではほぼ唯一の素材。これによって鍛造した刃に特殊な製法で折れ筋を入れた「半刃刀身」は対巨人兵器として広く知られている。「超硬質スチール」の精錬には、工場都市が備える高炉が必要不可欠であり、工場都市以外では製造できない。
また、超硬質スチールの鍛造時には複数のレアメタルを微量に混入させる必要があるが、その素材と割合は工場都市内部の秘中の秘となっている。
設定協力/小太刀 右京・三輪 清宗
調査兵団に与えられている馬種は、それ専用に品種改良されたもので、体高160cm程度、体重は450kg~500kg。
粗食に耐え、長時間の行動にも不平を漏らさない。気性も温順で、巨人に対してもパニックを起こしにくい。
トップスピードは、時速75km~80kmに達し、巡航速度でも35km程度で走ることができる。粘り強い足を持っており、馬車を引かせても十分な速度(時速20km程度)を確保できる。
馬は巨人の直接の目標にならず、また巨人の足から逃げることができる、ほぼ唯一の手段である。
これらの馬は極めて高価である。
金銭に換算すれば、平均的な庶民の生涯年収に相当する。
設定協力/小太刀 右京・三輪 清宗
ウォール・シーナ内でのみ生産される特殊な酵母。
外見は、人の頭ほどもある発酵した大豆の塊である。
酵母を飼い葉や小麦、大豆、干し肉などの入った倉庫やテントに置いておくことで腐敗が極端に遅くなることが知られている。
酵母が食料を変質させることで、保存されるのだという経験則だけが知られており、科学的な理論までは理解されていない。
酵母を置いた貯蔵プラントを各地に展開することで、ウォール・マリア奪還のための補給物資を備蓄するのが、これまでの人類側の戦略であった。
設定協力/小太刀 右京・三輪 清宗
壁内、壁外に点在する巨木群。ある地区を境に局所的に自生し、樹高は80mを超える。
なぜこれほど巨大な木が存在し得るのかはわかっていないが、地質に原因があると唱える者もいる。
ウォール・マリア崩壊以前は、観光地として人の手による整備が施されていた。
現在は人の手が入らなくなったために荒れ果て、林道はほとんど保持されておらず、草や木々に飲み込まれつつある。
巨人が森林内を移動したことで、道が保持されている部分もある。
調査兵団にとっては、壁外遠征において巨人の脅威から身を守る重要な拠点となっている。
設定協力/小太刀 右京・三輪 清宗
特定の巨人を拘束することを目的として、新たに開発された調査兵団の兵器。
見た目は、あえて普通の馬車に見えるようにしている。
積載している樽の中には七本の鉄の筒が敷き詰められており、その筒には矢じりを両極につけたワイヤーが螺旋状に内包されている。
ワイヤーは頑丈でありながら、起爆後に伸縮するよう特殊な構造で作られている。
この装置を起爆させると筒の両端から矢じりが射出され、その矢じりの一方は目標とされる巨人に向かい、もう一方は木の幹に撃ち込まれるので、先端が巨人に命中すれば木の幹と巨人をワイヤーで繋ぐことができる。
それらの矢じりの鉄砲を多方向から無数に撃ち込み、ワイヤーの特殊な張力で目標をその場に繋ぎ体の自由を奪い拘束することがこの兵器の用途である。
調査兵団は、この兵器を開発させるために多大な資金が必要となり、必ず成果を出すことを条件として、出資者から多額の投資を受けた。
そのために作戦の結果次第で、調査兵団の存亡が左右される状況となった。
その年の訓練兵団成績上位10名が志願を許される。
他には駐屯兵団で経験を積んだ兵士が転属されるケースなどがある。
総数は2000名程度だが、憲兵団の指揮下にある駐屯兵団を加えると5000名程度が実働兵力と考えられる。
駐屯兵団の上位として振る舞い、内政のあらゆる部分に隠然たる権力を持つ。
前線で巨人と接触する機会もないので、人的損耗もない。
各城壁都市には200名程度の憲兵が配備されている。
主な任務は、訓練兵団の統括や駐屯兵団の監視、消防の指揮統制。政治犯や重要犯罪者を逮捕拘束することもある。
貴族や王室などの関与する犯罪は憲兵団が優先的に操作を行う。
民主的な設立起源を持つ調査兵団とは、性質上対立しやすい。
設定協力/小太刀 右京・三輪 清宗