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アニメ2期、第29話「兵士」にて、ウトガルド城でのユミルとライナーの缶詰問答が放送されました。
そこで、アニメ版で新たに判明した事実を踏まえて、もう一度このシーンの意味を考察してみます。
前回、「ウトガルド城の「ニシンの缶詰」の意味」で考察した内容をまとめます。
・ウトガルド城でのユミルとライナーの会話が分かりにくいのは、互いに自分の素性を隠して、相手の正体を確かめるためにカマをかけ合っているから
・ユミルもライナーも、自分たちの素性が壁内にばれるのを極度に恐れている
・もともと壁外の国の存在を知っていたユミルは、ヒストリアを守る保険として外国と内通したかった
・しかし、自分の素性が壁内人類にばれるのは絶対に避けたい
・ところが、うっかりライナーの前で缶詰という言葉を使ってしまった
・そこで、「壁内人類には理解できず、壁外の人間だけに理解できる確認方法」として、鰊の缶詰を利用した
・壁内は技術が18世紀で止められているため、19世紀に発明された缶詰は存在しない
(ただし18世紀以前に発明された気球は例外で、これは空を飛ぶこと自体が禁止されているから)
・鰊は海の魚なので、海が無い壁内に鰊は存在しない
・缶詰の「ニシン」の文字は、壁内で使用されている文字である ←今回のアニメ版で、この点が違っている可能性あり
・ライナーが壁内人類が知らないはずの缶詰や鰊を知っていれば、ライナーは壁外の人間である
・ライナーも、うっかり「こりゃ缶詰か?」と発言し、缶詰を知っていることをユミルに知られてしまう
・同時に、缶詰を知っているユミルも壁内の人間ではないと気づき、ユミルの正体を探るために逆質問をした
・「缶詰は知っているが、壁内の文字は読めない=自分は外国人だ」(鰊は知らないか、知らないふりをしている)
・「ユミルも缶詰を知っている=お前も壁内の人間じゃないな?」
・「よくこの文字が読めたな=外国人なのによく壁内の文字が読めたな?どこの国だ?それとも別の何かか?」
・ライナーたちとユミルは互いに情報を隠しながら会話をしているため、これ以降の全ての会話は鵜呑みにできない
<ウトガルド城の会話の意味>
①ライナーとユミルが、お互いに壁内の人間ではないと確認し合った瞬間
②読者に世界の秘密を開示するためのフックをかけた(伏線を張った)シーン
③ライナーたちとユミルに物語の核心が移るという導入部
上記の考察を踏まえて、アニメ版でのライナーとユミルの会話を考察します。
まず、アニメになったことで明らかになった重要な事実があります。
それは、缶詰が古いことです。
実際の映像を見てみましょう。
上は画像を明るくしたもの。
下は、さらに「ニシン」(ンシニ)を読みやすくしたものです。
赤い矢印の箇所にも、「ニシン」(ンシニ)と書かれていますね。
(※ただし、片仮名に見えるのはひっかけで平仮名やアルファベット、フェニキア文字やヘブライ文字を混ぜている可能性も)
(※以下の画像参照)
また、なぜ「ニシン」の缶詰なのか?
理由は複数あると考えられますが、その一つは第1話にヒントがあると思います。
第1話「二千年後の君へ」で、グリシャに「どうして外に出たいんだ?」と聞かれ、エレンはこう言っています。
「ここで誰も続く人がいなかったら 今までに死んだ人達の命が無駄になる!」
このエレンのセリフ、「今までに死んだ人達の命」の《に死ん》から、ニシンにしたのだと、私は考えます。
これが、「ニシン」である理由の一つです。
では、なぜ缶詰なのか?
壁が今までに死んだ人達を保存している”缶詰”のような存在だからです。
この点については、「二千年後の君」というタイトルの考察とともに、別項で書こうと思います。
2期のEDに、一瞬だけ登場する「ニシン」の缶詰。
これは壁を象徴している絵だと、私は見ました。
缶の側面の文字は、この絵では平仮名の「に」に見えますね。
話を戻します。
アニメ本編での缶詰の絵を見ると、缶詰が錆びているかのような、古びた絵になっていることが分かります。
これは何を表しているのでしょうか?
私は、「この世界が丸ごと再生されている」という擬似ループ説を考えています。
この仮説に基づいて考察しましょう。
私はこう分析します。
缶詰が古いのは、「前の世界」のものだからです。
ウトガルド城は、おそらくウォール・シーナしか壁がなかった頃、あるいはすべての壁が存在しなかった頃の建物です。
その頃、そこは「壁の外」だったのです。
では、どれくらい前の缶詰でしょうか?
缶詰の平均的な賞味期限は36か月だそうです。
缶の状態や中の無菌状態を考慮すると、だいたい10年くらいは食べられるようです。
ですから、ここでは「およそ10年前の缶詰」だと考えます。
(湿度などの保管状況次第で、もっと早く錆が浮くこともあるそうです)
ユミルが「前の世界」の缶詰めの文字を読めたということは、ユミルは「前の世界」の住人です。
これは、2巻で初登場したユミルが、巨人に蹂躙される街を見て喜んでいるように見える描写とも合致します。
ユミルのいた「前の世界」も、同じ「呪われた歴史」を繰り返していたのではないかと、私は考えています。
>ウォール・ローゼが超大型巨人に攻撃され、人類が巨人に食べられている時、ユミルが非常に楽しそうだったのは、「ざまあみろ、お前らもユミルの民と同じ目に遭えばいいんだ」と考えていたからではないか。
■第74話「作戦成功条件」 黒い液体と猿巨人の正体 ※ネタバレ注意(最終更新日:2015/10/15)
>2巻第5話「絶望の中で鈍く光る」で初登場時のユミルはエレンたちの班がアルミンを残して全滅したことにも全く動じず軽口を叩き、コニーからは「いつも以上にふざけている」と評されている。
※2017.4.27注:「ふざけている」は漢字で書くと「巫山戯る」になる。これは当て字で、巫山は中国四川・湖北両省の境にある峻険な山のこと。長江が山中を貫いており、そんな危険な山で戯れるのは馬鹿のすることだ、という意味。ふざけるの「ける」は、「たわけもの」から来た「戯く(たわく)」が転じたもの。
※重要なのは「巫」。巫女(ミコ)であり、シャーマンのこと。これはユミルを象徴する言葉である。おそらく作者チームは、ユミルがふざけているシーンだからこの言葉を使ったのではなく、、「ユミルの正体はミコという設定なので、漢字から連想し、しょっちゅう「巫」山戯るキャラクターに設定された」と考えられる。
(参考:ふざけるの漢字は?意味や由来とは?ふざけろとふざけるなの違い)
>これはユミルがすでに同じような巨人による都市蹂躙を経験をしており、また、むしろ面白がっているようにも見える。
>「かつて自分を蹂躙した壁内人類が、今度は巨人に蹂躙される側になった、ざまあみろ、私と同じ苦しみを味わえ」という感情?(サネス「こういう役には多分順番がある・・・」14巻第55話「痛み」)
では、ライナーの「俺には読めない」発言はどう考えればよいのでしょうか?
私は前回の原作に基づく考察で、「ライナーは壁内の文字を読めないということで、ユミルに自分が外国の人間であることを教えている」と考えました。
しかし、缶詰の文字が「前の世界」のものであれば、ライナーは本当に読めなかった可能性があります。
そして、「缶詰が古い」という新事実によって分かったことが、もう一つあります。
それは、ユミルが缶詰を見つけたときの「こりゃいけそうだ」というセリフの、本当の意味です。
つまり、このセリフは「美味しそう、味が良さそうだ」という意味ではなく、「古くなっているが、これなら食べても大丈夫そうだ」という意味だったのです。
まとめると、ユミルは「前の世界」の住人で、ウトガルド城のことも知っていて(※大砲のある場所を知っていたと思われるため)、城に放置されていた物資が食べられるかどうか怪しいほど古いことも理解していた。
そして、「前の世界」には缶詰や鰊が存在し、今の壁内よりも文明や技術が進んでいて、海もあり、複数の国も存在した。
さて、そこで考えなくてはならないのは、なぜ「前の世界」は消え、今の世界になったのかということです。
そのヒントは、始祖の巨人と145代?フリッツ王の「不戦の契り」です。
レイス家の例を見ても分かるように、壁内では人に戦争を忘れさせようとしています。
そのため、文明や技術の抑制も、「戦争を忘れさせるため」だと考えられます。
逆に言えば、「戦争を忘れさせるためには、18世紀より先に文明を進めてはいけない」わけです。
しかし、「前の世界」は缶詰があるので、19世紀以降の文明レベルです。
壁内で厳重に禁止されているものが、「前の世界」に存在していた。
つまり、18世紀より先に文明を進めてしまったので「前の世界」は消えてしまったのではないでしょうか。
そうすると、気になるのは、エレンたちがクーデターで、文明を抑制していた王政を倒したことです。
王政の消滅で、隠されていた技術が実用化され、文明レベルが進むのは間違いありません。
ということは、エレンたちは今の世界を消滅させるフラグを立ててしまったのではないでしょうか。
これは、「前の世界」と同じことを繰り返している、という事なのかもしれません。
まさに「呪われた歴史」というわけです。
私はもともと、壁内人類缶詰説も考えています。
>缶詰説
>・壁内人類の正体は、食料となる動物を封じ込めた生きた缶詰である。
壁そのものが一種の缶詰なのかもしれません。
さらに、この考察が正しければ、他の点も説明できます。
それは「古くなった缶詰、ミケとナナバ、そしてライナーとベルトルトから見えるもの」です。