ときは上越新幹線経由で東京~新潟間を結ぶ列車の愛称。新幹線開業以前は上越線経由で上野~新潟を結ぶ特急列車の愛称だった。

早期から電化されていた上越線

 上越線は群馬県高崎市の高崎と新潟県長岡市の宮内を結ぶ路線だが、水上~越後湯沢間は「上越国境」と呼ばれており、ループ線や長大トンネルが存在する山岳線区である。その険しさから1931年の全通当初から水上~石打間が電化されていた。
 そして電化は拡大し、上野~新潟間を見てみると1947年4月に高崎~水上間が、同年10月に石打~宮内間と直通する信越本線宮内~長岡間が、1952年4月に高崎線全線が電化された。そして残る長岡~新潟間が1962年5月に電化され、上野~新潟間の幹線ルートの電化が完了した。

 国鉄ではこれを機会に上野~新潟間に電車による特急の投入を計画する。当時東海道本線で特急こだま等で活躍していた151系電車をベースに、上越線ならではの急勾配や寒さ・雪に対応した設備を施した161系電車を製造し、1962年6月10日より特急ときとして運転を開始した。当初のダイヤは以下の通り

2M:新潟08:30→上野13:10
1M:上野16:50→新潟21:30

 このように新潟から東京への日帰りを意識したダイヤであった。とき登場以前では客車急行の佐渡で同区間を最速5時間45分で結んでおり、1時間以上の大幅な時間短縮となった。

新型車両の投入と増発で栄えるとき

 1964年10月に東海道新幹線が開業すると、特急つばめこだま等に使用されていた151系が山陽本線で活躍するようになるが、八本松~瀬野間に屈指の急勾配を抱えており、151系では出力が不足していた。このためパワーアップ改造となる181系の計画が持ち上がった。
 この改造計画は161系も対象となり、151系と機能を統一した181系へと改造がなされた。
 改造が全て完了した1965年3月にはときは1往復が増発された。

 さらにその翌年には信越本線に特急あさまが、中央東線に特急あずさが誕生することから181系の新製車100番台が投入され、同時にときあずさと共通運用となった。
 また1967年10月には新清水トンネルの開通により上越線全線の複線化が実現。これによって全線で15分のスピードアップになる。この時1往復が東京まで乗り入れるようになった。

 1968年10月で季節列車を含む5往復となったときは最高速度が120km/hとなり、上野~新潟間の最速列車の所要時間は4時間となる。
 昭和40年代の後半には山陽本線の電車特急が485系に置き換わったことで、捻出された181系が流れ込むようにときに投入される。1972年には10往復となり、「エル特急」の仲間入りを果たした。

 そんなときだが、初期車が15年以上経つ頃であり、過酷な自然条件においてもろさが出始める。1974年の1月から3月にかけて東北・上信越地方を中心に襲った豪雪によって181系にトラブルが相次ぎ、ときの一部で長期運休が発生する。485系などの代走によって急場を凌いだ。
 国鉄ではトラブル回避のため、豪雪により強い新製車を投入する事を決定。房総方面への特急に使用されていた183系をベースに耐寒・耐雪設備を施した1000番台をときに投入する。

 昭和50年代になると183系1000番台の勢力が増し、1978年には14往復中3往復を除いて183系1000番台となった。さらに181系にのみに連結されていた食堂車もこの時消滅している。

上越新幹線に召し上げ、一度は消滅するも復活を果たす

 1982年11月、上越新幹線大宮~新潟間が開業した。これによって在来線の昼行特急が
大幅に削減され、特急ときは全列車が廃止、名前は上越新幹線に使用されることとなった。またときを長らく支えてきた181系もこの時形式消滅している。
 新幹線のときは速達タイプのあさひを補完する各駅停車タイプの列車として1日10往復が設定された。200系新幹線電車12両という編成で大宮~新潟間を2時間10分で結んでいた。
 しかしJR移行後、あさひに旅客転移が進み存在感が徐々に薄くなる。1988年に8両編成に減車、さらに1995年には新潟直通が8往復まで減便され、東京~越後湯沢間の運用がメインになってくる。そして長野新幹線の開業した1997年10月、上越新幹線は東京~新潟間があさひ、東京~越後湯沢間がたにがわという2本立てとなり、ときの愛称は消滅した。

 ところが2002年、上越新幹線開業20周年となったこの年にあさひときに改称される。実際は長野新幹線あさまと混同しやすいと言う理由もあったが、奇跡的な復活を果たした。
 現在も東京~新潟間を結ぶエースとして活躍している。


臨時特急「想いでのとき」

大宮駅を発車するE1系「Maxとき」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2009年01月06日 20:49