まりも札幌~釧路間を千歳線・石勝線・根室本線経由で結んだ夜行特急列車。平成20年(2008年)8月に廃止。

函館と釧路、東西の都市を結んだ急行「まりも」

 北海道の長距離列車の歴史は古く、明治44年(1911年)、函館~旭川間に設定されていた急行3・4列車が釧路まで延長されたことまで遡る。この列車は1等寝台車を連結し、旭川~釧路間は、現在の富良野線経由で走行する普通列車だった。
 根室本線経由の急行列車としては昭和15年(1940年)に登場した函館~根室間の7・8列車が最初となる。この列車は2・3等寝台車と食堂車を備えた豪華な編成で、函館~札幌間は昼行、札幌~根室間は夜行で運転された。これが後のまりもの起源だといえる。なお、釧路~根室間は普通列車であった。
 この7・8列車は太平洋戦争の影響によって昭和18年(1943年)に一旦廃止されてしまう。

 戦後昭和24年(1949年)9月、戦前の7・8列車と同様の列車が3・4列車として函館~釧路間で運転され始めた。この列車は函館~札幌間が急行、札幌~釧路間が準急で運転されていた。その当時のダイヤは以下の通り。

3レ:函館15:06発→札幌21:37着・21:51発→釧路08:41着
4レ:釧路19:55発→札幌08:35着・08:54発→函館15:20着

 この列車は翌年に全区間急行運転に変更され、ダイヤも見直された。そして昭和26年(1951年)4月にまりもの愛称が付けられたのである。
 編成は昭和31年(1956年)に10系客車が登場するまでは旧型客車のみだったが、昭和20年代は本州で使用されていた1等・2等寝台車が連結され、古参の優等者が終結していた感があった。
 また、昭和31年(1956年)、東海道線の全線電化で職を追われたC62型蒸気機関車が北海道に進出し、函館~小樽をC62が、小樽~釧路をC57が牽引した。
 昭和39年(1964年)では同じ列車であるにも関わらず、函館~札幌では座席車主体、札幌~釧路間では寝台車主体の編成となった。このため、札幌到着時には寝台車と座席車を組み替える作業が行われた。現在では考えられない作業である。

系統分離で区間短縮、そして1回目の愛称消滅

 昭和40年(1965年)10月、今まで函館~釧路を走行してきたまりもは札幌を境に系統分離が行われ、函館~札幌間はていねとなった。これは、昼行と夜行の性格の異なる列車が1本になっていたことと、札幌駅での編成組み換え作業が煩雑だったこと、冬季でのダイヤの乱れをできるだけ食い止めたいという理由があった。

 函館~札幌を走行するていねはまりも時代から長万部~小樽間でC62の重連運用がある急行としてSLファンに注目されていた。この列車は昭和43年(1968年)にニセコに改称されている。

 一方札幌~釧路間の夜行急行となったまりもの方も昭和43年に改称され、狩勝となった。とは言っても、編成やダイヤに大きな変更はなかった。

石勝線の開業で復活するも、特急格上げで2回目の愛称消滅

 昭和57年(1981年)10月、道央と道東をショートカットする路線として千歳空港(現・南千歳)~新得間に石勝線が開業した。これに伴い、札幌~釧路間を結ぶ特急おおぞらと、急行狩勝の昼行と夜行各1往復ずつが同線経由に切り替わり、急行のほうは再びまりもを名乗ることになった。
 これによって昼行のまりもも1往復設定され、キハ56・57形によって運転された。しかし昭和60年(1985年)に特急おおぞらに格上げされる形で消滅している。

 夜行のまりもは昭和57年(1982年)に座席車が特急型の14系に置き換えられた。ただし、寝台車は北海道向けの改造が間に合わず、しばらく10系寝台車+14系座席車という変則的な編成で、全車が14系となったのは昭和58年(1983年)のことだった。

 JR化後の北海道では客車急行の気動車化が急速に進んでいた。昭和63年(1988年)には札幌~稚内間の急行宗谷天北が、平成3年(1991年)には利尻が気動車化された。利尻には気動車の中に14系寝台車を組み込み、初の気動車+寝台客車の併結運転を実現した。また、平成4年(1992年)には札幌~網走間の急行大雪が気動車化され、特急オホーツクに格上げされた。
 まりももその例外ではなく、平成5年(1993年)に183系気動車+寝台客車の併結編成となったうえ、特急おおぞらに編入され、まりもは再び消滅することになる。

特急となった3代目、そして廃止へ

 平成9年(1997年)から、特急おおぞらに新鋭の283系気動車が投入され、それらはスーパーおおぞらを名乗っていたが、平成13年(2001年)に昼行全てのおおぞらがスーパーおおぞらとなった。これを受け、夜行で残っていた特急おおぞら13・14号まりもに改称された。編成は夜行おおぞらと同じく183系気動車と14系寝台車の混結である。
 しかも、この時から夏季のみで根室まで延長運転された。ただし、釧路~根室間は快速列車となり、客扱いも先頭車のみで寝台車含めて2両目以降は閉めきり扱いとしていた。

 そんなまりもも平成19年10月に臨時列車に格下げとなり、翌平成20年(2008年)8月31日の運転を以って廃止となった。これによって、北海道内のみを走る夜行列車は全て消えてしまっている。

最後のダイヤ

9049D 9048D
札幌 2308発 0620着
新札幌 2320発 0609発
南千歳 2349発 0540発
追分 0008発 0520発
0515着
新得 0238発 0306発
帯広 0324発 0157発
池田 0348発 0132発
浦幌 0417発 0104発
音別 0457発 0027発
白糠 0515発 0009発
釧路 0550着 2330発


札幌駅を発車するまりも

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最終更新:2008年09月27日 13:05