内田クレペリン精神検査
内田クレペリン精神検査はドイツの精神医学者であるクレペリンが考案した
連続加算法を採用して
内田勇三郎が作成した検査である。一列に並んだ数字を加算していくという
作業検査法で、その作業曲線の型、全体の作業量水準、誤答の有無と分布を総合的に見て人格特徴を判定する。クレペリンの仕事は、連続加算法を用いることによって作業中の人間の心理過程がいかなる因子によって規定されているかという一般法則を追求することを目的としていたが、内田は人間の精神活動の健康・不健康や性格特徴を予測するのに役立てようとした。よって連続加算法を心理テストとして用いたのは内田であって、クレペリンではない。
内田クレペリン精神検査は、器具などを必要とせず検査用紙1枚と安価で済むこと、内容が簡単な足し算であり受験者が特別な警戒心を持たない、検査の実施が簡単、集団に実施できる、時間も約1時間で終わる、作為がほとんど防げる、そして非言語的な検査であるから外国人にも実施できるという長所がある。
この検査は主に採用試験や配置など会社や官庁方面で使用されたり、診断や治療効果測定、薬物効果測定といった病院での使用、そして入学試験やクラス編成、
個別指導や進路指導として学校方面、鑑別所や刑務所でも使われたりしている。
テスト方法
この
テストで被験者は、ひと桁の数字が横に複数印刷されている用紙を用いて、隣合わせである2つの数字を加算し、1の位の数字だけをその間に記入していくというものである。用紙には数字が横に115字並んでおり、それが34行印刷されている。被験者は1分毎に行われる被験者の号令に合わせて行を変える。これを15分間行う。検査実施者は「はじめ」という号令と同時にストップウォッチを押す。60秒ずつ15行の前期範囲が終わったら休憩をはさみ、その時に中央の仕切り線をこえてしまった人に対して2枚目の新しい用紙を配布する。休憩後、今度は仕切り線の下から前期と同様に検査を行う。終了後、必要事項を記入する。
分析
この検査の着眼点は定型かあるいは非定型かというところである。この区別は、全体の作業量の水準、曲線の型、誤答の量や現われ方という3点から判断する。作業量の高低からは知能、作業の処理能力、積極性、活動のテンポ、意欲、気働きなどの高低が分かる。そして性格や行動ぶり、仕事ぶりといった面の特徴や片寄り、異常、障害などの程度がわかる。これを曲線類型判定という。また、曲線の型は後者の性格や行動ぶり、仕事ぶりといった面の特徴や片寄り、異常、障害などの内容がわかる。これを個別診断的判定という。
まず、定型の場合は作業曲線において前期がU字またはV字で後期が右下がりという特徴がある。更に、前期よりも後期の方が作業量は増加し、曲線において適度な動揺が見られ、誤答が少なく作業量が低くない状態を示す。定型の人の特徴は仕事に対して力一杯に、欣然と没頭することができ、長時間でも適度な緊張が保てる。そして仕事にすぐ慣れて上達が早く、物事に興味を持ちつかれにくい。更に、騒音など仕事の妨害になるものに影響されることが少なく、外界の変化に適切に対応することができる。人柄も円満で素直であり、確固たるところがあるとともに、事故や災害、不慮の事故などを引き起こすことが少ない。
次に、非定型の場合であるが、こちらは誤答が多く、大きな落ち込みや大きな突出などが作業曲線に見られ、激しい動揺があるもしくは動揺が欠如しているということができる。そして後期作業量の下落や後期初頭の著しい出不足、また全体的に作業量の著しい不足が特徴である。非定型の人は、性格・行動面でその人なりの独自性が強すぎたり、変調・異常・障害がみられたりする場合が少なくない。
(データの整理方法は省略)
最終更新:2008年06月04日 23:08