海、売ります 岡田 貴久子
1 非常に不思議な話だ。岡田貴久子という人は、まったく知らない人だが、こうした不思議な世界を描くのが得意な作家らしい。この話はまだ不思議度では低い方かもしれない。「ねずみ」を誰かのいたずらと考えれば、リアルな現実的な話になる。
2 発問集
法則化運動の中に、発問を100以上作るというのがあるらしい。それをやってみる。100になるかどうかわからないが。
- 「小さな駅」どんな場所か。
- 「一番列車」なぜ、こんなに早くやってきたのか。
- 「皮の上着にペレー帽」どんな感じか。
- ベレー帽はどんな帽子か。どんな人がよくかぶるか。
- 「トランク」どんなことをやっている人か想像しなさい。
- 「なな山神社」をおじさんは本当に知らないのか。あるいは知っているのに話しかけたのか。だとしたらそれはなぜか。
- 「うれしそうに」なぜ、おじさんはうれしかったのか。(こたえはたくさん)
- どうしてこんな名刺を作ったのか。渡したのか。
- 改札係はどうして「あきれた」のか。
- ブンさんが「おおまじめ」なのはなぜか。
- 「目をのぞくようにして」「ささやいた」のはなぜか。
- 「さっさと駅を出て」というのはどうしてか。改札口にきたときはどんなだったか。
- 改札係の気持ちはどんな風に変化したか。整理しなさい。
- 改札係はどうして切符を受け取らずに通してしまったのか。
- お祭りらしいことを示すことをできるだけたくさんあげなさい。
- ブンさんの台詞を言ってみなさい、どうしてこのような言い回しなのか考えながら。
- 「まるまる三日、塩水につけて暗いところに置いてください。」と言ったのはなぜか。
- 「いくつも重なった顔」とは何のことか。
- 口元を見つめているのは何故か。
- 「大負けに負けて」と言っているが、なぜか。
- 「くださいな!」以降の台詞から何がわかるか。
- 「ブンさんは笑いが止まりません。」とあるが、この時のブンさんの気持ちを説明しなさい。
- にんまり笑ったのは何故か。
- 「海だって?」とブンさんが言ったのは何故か。
- おかしくてたまらないのはどうしてか。
- 「それでもせいいっぱいまじめくさって」からわかるブンさんの気持ちを説明しなさい。
- 「よろしい。明日ゆっくり話そう。」と話を延ばしたのは何故か。
- 次の朝、部屋はどうなっていたか。
- 朝ごはんとしてねずみが用意したものを挙げなさい。
- 「ブンさんはびっくりしてねずみとテーブルを見くらべ」たのは何故か。
- 「特別スパイス」について説明しなさい。
- 「ブンさんは幸せでした。ずっと前から~」何故そう思ったのか。
- 「(売りとばすのはやめよう)」と思ったのは何故か。
- 「ブンさんは思い直しました。」とあるが、何を思い直したのか。
- 「どぎまぎ」とはどういう意味か。
- 「ブンさんの顔は、信号みたいに赤くなったり青くなったりしています。」からわかるブンさんの気持ちを説明しなさい。
- 「ブンさんはあわてて言いました。」これはどうしてか。
- 「わしは今ばんここを出るつもりだよ。」これはどうしてか。
- 「最後の列車」で出たのは何故か。
- 「差出人の名前がない」のはなぜか。
- 小包の中に入っていたものを挙げなさい。
- 「色とりどりの貝がら・・・・。」“・・・・”の意味を答えなさい。
- 「本物です。」何故本物だと思ったのだろうか。
- 手紙の内容からわかることを答えなさい。
- 「そんなばかな・・・。」と言ったブンさんの気持ちを答えなさい。
- 「旅のしたくをはじめた」のはなぜか。
- 「ねずみのやつ元気かな。わしを見たらどんな顔をするだろう。」この台詞から、ブンさんがねずみをどう思っていることがわかるか。
- 「きろきろした目」の意味を説明しなさい。
- 「いそいそと」とはどういう意味か。
- 「ブンさんの手が止ま」ったのは何故か。
- 「ひどいめにあうでしょう。」そう思ったのは何故か。
- ブンさんの毎日の仕事とは何か。
- またどうしてそんなことをしているのか。
- 「目をかがやかせて」からブンさんの気持ちを答えなさい。
考えられることはたくさんある。
300円分働くと言っていたが、ねずみが片づけをしたり掃除をしたり、朝ごはんの支度をしたり、そんなことが一晩でできるのだろうか。また、実際にねずみが仕事をしたところを見たわけでもそうした描写があるわけでもない。
また、あえて詳しいことをブンさんに聞き、ブンさんを困らせているあたりは、ねずみはブンさんが嘘をついて海を売っているのを知っていたのではないかとも取れる。
ねずみが文字を書けるのも不自然であるし、やはりねずみはビー玉を海だとだましてうっていたブンさんに対して、罰を与えるような役割を持っているのだと思う。
そして本当にビー玉は海になったのかどうか、それも謎のままである。
毎日ビー玉を塩水の中に沈めて、様々なスパイスを試しているブンさん、そして「今に海をお分けしますよ」と目をかがやかせて言うブンさんを想像すると、ブンさんはちょっとおかしくなってしまったのかなと感じた。
それがねずみの罰だったのではないだろうか。
ビー玉が海になると信じ込んで生きていくブンさんの姿は悲惨に思う。
この文章が何を言いたかったのか、どこまでが真実でどこからが夢というか現実でなかったのか、考えていると大変だが、授業においてポイントとすべきは一つ一つ、ブンさんの気持ちの移り変わりを整理することと、ねずみが何故現れたのか色んな意見を出させて考えさせることが大事だと思う。
ゆき
最終更新:2007年04月15日 23:25