あいたくて
工藤 直子
まず詩を読んでみたいと思います。
皆さんは、目をつむって話しを聞きながら、想像していってみてください。
それでは、読みます。
あいたくて
工藤 直子
だれかに あいたくて
なにかに あいたくて
生まれてきた―――
そんな気がするのだけれど
それが だれなのか なになのか
あえるのは いつなのか―――
おつかいの とちゅうで
迷ってしまった子どもみたい
とほうに くれている
それでも 手のなかに
みえないことづけを
にぎりしめているような気がするから
それを手わたさなくちゃ
だから
あいたくて
はい、目を開けてください。
どうでしたか? はっきりと想像できた人いますか?
生徒:?(いなかったと仮定して)
先生:「もう一度よんでみたいと思います。次は、先生のあとに続いて読んでください。」(一行ずつ先生→生徒といった感じで追いかけっこのように読ませる。)
「では、まずこの詩は“あいたい”というタイトルの詩だったので、まずみんなに質問をます。皆さんは誰かに会いたいなあ。と思った事はありますか?何でもいいです。例えば、転向しちゃった友達に久しぶりに会いたいなあ。とか、おじいちゃんが病院に入院していしばらく会ってなかったから会いたいなあ。など。とにかく、誰かに会いたいなあ。などと思ったことがある人!?」
生徒:(手を上げた人を全員指す)
「小さいころ死んじゃった犬」
「遠くにいるおばぁちゃん」
「
幼稚園のときの先生」などなど
先生:「みんないいですね~。普通あいたい!!と思ったってことは、犬とかおばあちゃんとか、“誰か”がはっきりしているよね。でも、この詩は、あいたいのに、誰に会いたいのかははっきりとわかっていないよね。みんなも誰かがはっきりしていないと、伝えるのは難しいと思うんだよね。でもこの人は、誰か分からないけど“あいたい”って思っていて、それをこうやって文に表していて、私たちに伝えてようとしているよね。だから、この人の気持ちをみんなで少しづつ考えていってみたいと思います。
まず、この人はどのくらい会いたいのかなあ。」(すごく・普通・少しで、生徒の意見を聞く。)
生徒:(“すごく”が一番多かったと仮定する。)
先生:では、なんで“すごく”と感じたのかなぁ。
生徒:「握り締めているって書いてあるから」
「“あいたくて”って何回もいっているから」
「“あいたくて生まれてきた”って書いてあるから」など。
先生:「よく読みとっていると思います。先生も同じようなことを思いました。では、もうひとつ質問をします。この人は、何であいたいのかなあ?だれかわかる人?」
(たぶん子供たちは少し考えると思う。その後、わかった人がいればさす。)
生徒:「にぎりしめているものを渡すため。」など。
先生:「よくできました!!何で?と聞かれたときにはその理由として“~だから。”と答えますよね!?例えば、“今日なんで休んだの?”“風邪だったから。”など。なので、もし“何で?”説きかれたときには、その文に出てきた“だから”や“~から”というところに注目するということを覚えておいてください。そうするとこの文では、“手のなかに見えないことづけを 握り締めているようなきがするから”というところになりますね。なので、A君の答えは大正解です。」
「では、いまの部分で“ことづけ”という言葉が出てきたけど…この意味がわかる人いますか?」
(いなければ、辞書で意味を引かせて、印を付けさせて誰かに発表してもらう。)
先生:「では、最後の質問です。今“ことづけ”という意味はわかったよね?じゃあこれは、だれがこの子にことづけを渡したのだと思いますか?でも、この答えに正解ちかはありません。みんなが思ったことを発表してください。」
生徒:「お母さん」
「神様」
「生まれてきた人」
「作者」
「あなた」など。(ここは、ww5.tiki.ne.jp/~yoshiokat/kokugo/aitakute.htmlを参考にさせていただきました。)
先生:「みんなよくこの短い文章で想像していきましたね。
はじめにいったように、これには答えはありません。作者の工藤 直子さんしかわかりません。だから、この詩を読んで、どう想像しても、何を思ってもいいわけです。そのため、文1つでも、みんなの意見はいろいろありましたね。100人読んだら、100通りの考えがでる。これが、“詩”というものであり、詩の面白さだと思います。
自分で想像して、好きなように読むということはとても、楽しいことでもあり、
これから、辛いときや、寂しい時、いろいろなことに悩んだ時には、なにか助けになってくれるかもしれません。なので、いろいろな詩を読んで見ましょう!!
また逆に、自分で詩を書いてみてもいいと思います。詩は思ったことをそのまま書いていいのです。作文のように、はじめは一マスあけて…なども必要ありません。思ったことを好きなように書けばいいのです。思ったことを書き表すということはすごく大切なことで、相手に何かを伝えるという方法でもあります。なので、いまから、実際にみんなで詩を書いてみましょう!!タイトルは自由です。好きなように書いてみてださい。」
(授業で終わらなかったら、宿題にし、次の授業でよいものは紹介して詩の授業を終わりにします。)
①「読む」練習(先生のほうで、感情をうまく入れて強弱や、速度を考えて読むことをポイントと考えた。)
②“あいたい”というタイトルということもあり、生徒たちの体験を聞き本題に入っていく。
③「あいたくて」を分析!!
Aどのくらい会いたいのかということで、頻度を考える。
Bなんであいたいのか?ということで、接続詞の働きも学習!!(何で~? ~だから。といったながれ。)
C言葉の学習。(ここでは“ことづけ”をとりあげた。辞書をひかせるということもポイントと考えた。)
D 誰がことづけをしたのか?(子供たちの想像力を引き出す)
④詩の説明と詩の制作。
という流れを考えました。
勉強会の時にでた「もし会えたらそれはなんなのか。」という質問も入れようと思ったのですが、小学生5年生には少し難しいかな。と思い上のような内容に絞ってしまいました。
また、「あいたくて」の授業記録が書いてあるページがあったので、紹介します。実際に授業したままに書かれていました。ここでは、2つを紹介します。①は、ここでは、詩の内容を考えるのでなく、そっくり写し書くことや、音読の授業のようでした。そのため私は②、③のほうの授業に大変魅力を感じました。②、③は、言葉の意味や、内容を考えるための発問が大変上手だと思いました。
興味のある人はぜひ見てみてください。
①www2.ocn.ne.jp/~boss/kokugo2/sibun/aitakute.htm
②ww5.tiki.ne.jp/~yoshiokat/kokugo/aitakute.html
③www16.ocn.ne.jp/~ondoku/gr5aitakute.html
りえ
最終更新:2007年04月14日 22:18