参考書(教科書)を軸とする勉強法について

 いよいよ、勉強会の本番の勉強をすることになりますが、その前に勉強法について注意をしておきたいと思います。
 受験体制の中で勉強をしてきた人たちは、つまりここに参加しているほとんどの人たちは、勉強法について通常大きな誤解をして、間違った方法をとっています。それは何かというと、問題集を中心に勉強するということです。そういった方法が染みついていませんか?しかし、問題集というのは、現在の学力を「診断」するものであって、学力をつけるための勉強ではありません。問題集を使って診断することは、何度か必要になりますが、それはあくまでもどこまで到達したかを、調べるためです。実力を身につける為の勉強は他の作業が必要です。
 特に今回は、問題を作成することを軸に学習を進めることになりましたので、きちんと方法を理解しておきたいと思います。

1 まず必要なことは、テキストを正確に、丁寧に読むことです。重要事項をノートに整理することも有効でしょう。(これは不可欠の作業ではありませんが。)少しでも曖昧な点は印をつけ、調べたり、その結果をそこにメモしておいたり、徹底的に読み込みましょう。人名が出てきたら、もっと詳しく調べておく態度などを身につけましょう。先生になったときに、そういう姿勢はとても役にたつはずです。

2 そして、次に「重要事項」だと理解したことをテストにします。これは分担なので、分担したときだけですが、自分で試験問題を作成することを意識するようにしましょう。 さて、テストの作成方法ですが、ここで、実力を身につけるような勉強をしているかが問われます。昔の先生は、みんなテスト問題を自作し、印刷して実施したものです。たぶん、70年代に日本標準などの市販テストが使用されるように、先生たちはテストを自作しなくなりました。それは先生の成長にとって、ずいぶんとマイナスだったと思います。みなさんは、ここでテスト作成について、じっくり勉強しておきましょう。いいテストを作れるということは、適切な勉強方法を知っているということなのです。
 いい問題とは、「確実に覚えている、確実に理解していないと解けない問題にする」ということです。あやふやでも山勘で正解になるような問題は作ってはいけないのです。もちろん、診断テスト用には、採点の都合上、そうすることもOKですが、実力を身につけるためのテスト作成は、完全に理解を求める問題を作成してください。

 例えば、以下のウィキペディアのチョムスキーの説明の一部です。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A7%E3%83%A0%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC

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 チョムスキーの提唱する生成文法とは全ての人間の言語に普遍的な特性があるという仮説をもとにした言語学の一派である。その普遍的特性は人間が持って生まれた、すなわち生得的な、そして生物学的な特徴であるとする言語生得説を唱え、言語を人間の生物学的な器官と捉えた。初期の理論である変形生成文法に用いた演繹的な方法論により、チョムスキー以前の言語学に比べて飛躍的に言語研究の質と精密さを高めた。チョムスキー以前の言語学ではフェルディナン・ド・ソシュールの学説やレナード・ブルームフィールドのアメリカ構造主義を基盤とする言語形式を観察・記述する構造主義的アプローチ(構造主義言語学、または構造言語学という。)、が支配的であったが、これに対し生成文法は言語を作り出す人間の能力(あるいはそのメカニズム)に着目した点が画期的であった。より具体的に言えば、適切な言語形式を産出する能力(linguistic competence: 言語能力)と、実際に産出された言語形式(linguistic performance: 言語運用)とを厳密に区別し、前者を研究の焦点としている。

チョムスキー自身はソシュールの熱烈なファンであり、熱心な読者でもある。

彼以降、言語学は認知科学や情報処理と強い親近性を獲得した。また、統語論の自律性を主張したことで、かえって意味論や語用論などの隣接分野も浮き彫りにする形となった。この生成文法はチョムスキーがハーバード大学でジュニア・フェローとして過ごした時期の考察に端を発する。

一方で、生成文法の徹底した演繹的な手法や言語の自律性を強調する点に関して、いくつかの立場から批判がなされている。たとえば、認知言語学は言語を人間の認知体系から自律させて考えることに批判的な立場であり、人間の脳内に自律的に言語を司るモジュールが存在するとする生成文法の仮説を批判している。

現代の言語学を語る上でチョムスキーの言語理論を避けて通ることはできず、その影響は自然言語研究だけでなくコンピュータ言語や哲学、数学などの分野にも及んだ。
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 これを具体例として、いくつかの問題の作り方を確認しておきましょう。
 入学試験などは、採点の都合から、大抵穴埋め問題、しかも、選択肢で問題を作成します。これは簡単ですが、山勘が効く典型的な例です。

 チョムスキーの提唱する(  )とは全ての人間の言語に普遍的な特性があるという仮説をもとにした言語学の一派である。
 問題 (  )に入る適当な語を選びなさい。
  ア 生成文法 イ 規範文法 ウ 高度文法 エ 構造主義言語学

 こういうのは、まぐれ当たりがありまし、正確に生成文法という言葉を記憶しなければならないのですから、よくない問題です。
 知識の確認という目的なら、例えば、以下のような感じにします。
 ア チョムスキーが唱えた理論をなんといいますか。→ 生成文法
 イ それはどんな理論ですか。→ 言語を生物学的特性と考え、人間には本来適切な言語形式を産出する能力があるとする。
 ウ チョムスキーが批判の対象としたのは、なんという理論ですか。→構造主義
 等々

 また、ここに出てきている専門用語について、ここに解説はなくても、確認する問題などを出しておけば、もっといいでしょう。

 次の言葉の意味を簡単に説明しなさい。
  認知科学 統語論 演繹法 ソシュール

 もちろん、こうした問題を出す限りは、それを解説するためにきちんと理解しておく必要があります。このような学習を日常的に行なっていけば、確実に知識が理解、記憶できるようになります。問題作成は、単に「順番」でやるのではなく、自分の知識を確実にするため、そして、適切な学習法を身につけるために利用してください。

 最後にもう一度、ポイントを

 「山勘ではできない、確実な理解を必要とする問題作成をしましょう。」(わけい)
最終更新:2008年10月31日 20:08