「すべての障害者の発達をどう保障していくか」について「改革への提言」として「義務教育制度の早急かつ完全実施」を
要求する立場を明らかにした。すなわち「障害を持つ児童・生徒の義務教育完全実施」のために「養護学校の設置
義務と保護者の就学保障義務の即時施行」を要求し、前者に対しては、「障害者・保護者・関係教職員をはじめ地域
住民の要求に根ざして決めること」を主張していた。他方、児童・生徒の就学指導体制に関しては、教育委員会
設置が進められている「就学指導委員会」は「本来、障害の原因やおよび状況について科学的に診断し、それに基
づいて、障害の克服に必要かつ適切な治療・教育のあり方を示唆し、就学権を完全に保障していくためのものである。」
従ってその名称を「就学適正保障委員会」と改めること、そして保護者や関係教職員など「障害者の要求に応えう
る人びと」を参加させ「民主化」を図るべきことであった。しかし、そのことと関連し報告書はまた別な主張もし
ていた。「障害者」の就学にあたっては、「障害者の発達保障に必要かつ適正な」という原則をふまえた上で「第一
次的には、保護者の希望を優先すべきである」こと、従って「従来の行政側の措置権優先から、国民側の要求・選
択権優先への転換」を提起する必要があるということである。また、「保護者は、まず『就学保障義務の猶予・免除』
を『願い出』を提出することをやめ、義務履行に必要な行財政の保障を教育委員会に要求すべきである」(教育制度
検討委員会梅根悟編,1974)と述べている。
最終更新:2013年03月04日 09:55