レディネス


 ある事柄を学習するにはそれに適した年齢や期間が存在する。最適な学習時期とは学習に必要な能力が備わり効率よく学習を進められる時期をいう。このように学習を行うための発達の準備状態をレディネスという。
 レディネスの研究は発達心理学者であるゲゼルらによって行われた乳児の階段登りの訓練に関する研究である。(双生児統制法)彼は一卵性双生児に対して異なる時期から階段登りの訓練を行った結果、遅れて訓練を開始した方が効率よく階段登りを学習し上達を見せたと報告した。早くから訓練を開始した方はまだ身体的に発達していなかったということが明らかになった。これは学習と成熟の関係を調べたものである。(成熟優位説)ゲゼルは発達は成熟に依存し、教育によって超えることはできないと考えている。また、レディネスが成立した時期に学習を行うのが最も効果的であると考え、この時期を最適期という。

 レディネスの主張は身体的運動技能だけでなく知識習得学習についても研究が促された。さらに、今日では成熟過程との関係だけでなくレディネスも先行学習によって獲得されるという先行学習経験を重視する考えに変遷されつつある。

 また、早期教育について言えば、就学前に読み書きの能力に差があっても、小学校に入学して半年間の間にその差は消えてしまうという報告もある。よって、早期教育はその時点での能力は優れているかもしれないが、長期的にみると学習に効果的ではないことを示している。(黒田、内田による研究より)


最終更新:2008年02月05日 01:32