伊藤仁斎


江戸時代の前期に活躍した儒学者・思想家。日常生活のなかからあるべき倫理と人間像を探求して提示した。

仁斎は、はじめ朱子学を学ぶが、次第に懐疑を抱くようになり、やがて独自の古義学を形成していく。
朱子などの後世の注釈を排して、直接孔子・孟子の原典にあたり、本来の意義(古義)を明らかにする古義学を提唱。萩生徂徠の古文辞学の成立などに影響を与える。
代表著作『堂子問』では、仁斎の古学思想を余すことなく述べている。この『堂子問』において、『後世の注釈書によらず、原典本文の精読によって孔子・孟子の主旨を明らかにすべきである』という古義学の本領を説く。また「論語」の根本思想は、日常生活の実践の中に求められる「人倫日用の道」であると説いた。つまり知り易く行い易いものであるべきで、朱子学などの高遠な議論は邪道であるとした。
著作はいずれも、仁斎没後に長男東涯によって刊行された。
最終更新:2007年03月16日 11:09