アクション・リサーチ

アクションリサーチ(action research)は、社会的な問題が効果的に解決されるために理論的研究(リサーチ)と実践的活動(アクション)が統合されなければならないという考えに基づいており、1940年代から50年代前半にかけて、元はグループ・ダイナミクスの創始者であるクルト・レヴィン(Lewin,K.)によって提唱された方法である。1970年代あたりから、アクションリサーチは、再び盛んになっている。日本でも、社会心理学や教育社会学などの領域を中心に、大きな注目を浴びている。また、学会以外の場、たとえば産業界における企業内社員教育、職場の改善運動などでは、以前から継続して用いられ、洗練されてきた。アクションリサーチでは、心理学などの基礎研究と、そこから引き出された知見の実践過程の相互のやり取りを強調する。そのため、教育現場でのアクションリサーチは、自分の授業の質を高めるために行う調査研究であり、実際に行なわれた授業の内容を観察し、どんな問題があったか、より良い授業を行うためにはどうしたら良いかを考え、問題点を解決していく。理論だけではなく、実践に即した、教師自身の研究が中心になる。基本的には個々の教師が個人で行うものだが、授業の内容を他の教師に見てもらい、問題点を発見し、共にどうしたらより良い授業が出来るかを考えていくことも重要である。

アクションリサーチの過程

(1) 現実場面を部席検討し、改善問題を設定する。
(2) 心理学の知見を駆使し、改善策の仮説を立てる。
(3) 改善策を具体的に実践する。場合によっては、実践のための訓練・教育を行う。
(4) 改善策の効果を科学的に測定し、改善策(仮説)を評価・考察する。
(5) さらに継続して改善すべきなら、(1)~(4)の手続きを重ねる。
(6) 改善目標が達成されたら、ほかの場面へ応用し、一般化と限界を検討する。
以上がアクションリサーチの過程をまとめたものだが、大きく見ると、(1)と(2)は企画(plan)の過程である。現場を観察し分析することから、「気づき」を抽出し練り上げ、解決すべき課題として具体化する部分である。そして、改善の工夫を立案する。(3)は実行(do)し、効果を導く部分である。(4)は評価・考察(see)する部分である。もちろん、実際には、このように、すべてがすべて、(1)から(6)までの過程をたどるわけではない。(1)から(3)までで、打ち切られることもある。(1)から(4)のケースもある。


りえ
最終更新:2007年11月15日 23:40