サタスペ シナリオ
他界記念日
- 想定プレイ人数:2~4人
- 顕現したばかり、もしくは変転したばかりの屍人を想定。
- また、陣営はモール以外にしてください。
概要
PCたちは"使える"かどうかのテストとして、監督役をつけられて屍人歩きに向かうよう命じられました。
モールの陣営の屍人を補充するという計画。
それを邪魔するために、新人屍人たちは獄や大阪の闇を這いずり回ることになったのです。
使用ルールブック
基本、デッドマンウォーキング
デッドカード
このシナリオでは4枚のデッドカードを使用します。
使用するのは、1番「悪魔」、9番「色欲」、13番「迷路」、17番「狩人」です。
■導入
●描写
君は殆どの記憶をなくしてそこに立っていた。鮮烈な欲望を胸に抱いて死んでしまったがゆえに、この「獄」という場所に囚われ、刑期が終わるまで「屍人」として「管理人」の命令で働き続けるはめになってしまったのだ。
君は管理人の元から逃れられるその日を羨望する。君が持つただ一つの記憶である「思い出」を糧に、蘇るその日までの長く苦しい労働を耐え続けるしかないだろう。
PCたちは所属する陣営の管理人に呼び出され、以下のような命令を受けます。
- モールの手下が現世で兵士を補充しようとしている。それについて調べ、それを邪魔しろ。
- 解決はできるだけ早くしろ。いつ補充を行うかはわかっていないから、手遅れにはなるな。
命令をした後、PCたちの後ろから1体の屍人が出てきて、管理人は以下のようなことを言います。
- お前たちはまだ新人だから、監督役を1体つけてやる。困ったことがあればそいつに聞け。
その屍人は「ナイトナイト爵」と書かれた自分の名札を指さします。
それが終わると、管理人は立ち上がって奥へと続く通路へ入っていきます。
PCたちからの質問が特に無ければ、イベント「■扉の部屋」を行ってください。
■イベント:扉の部屋
●描写
「どうぞこちらへ」
監督役の鎧を着た屍人は迷いのない足取りで進んでいく。
さすがはベテランといったところだろうか、地図があっても苦労しそうないくつもの分かれ道を難なく通り抜ける。
「道をよく覚えておいてくださいね。あなたたちはこれから何度もここを通ることになるのですから」
それを言い終わったぐらいのときに、君たちは開けた場所へと出た。向かいの壁が霞んで見えるほどに広い部屋。無数の扉が宙に浮いている。
「屍人歩きを始めるとしましょうか」
ナイトナイト爵は近くの扉に手を伸ばした。
PCたちはナイトナイト爵に連れられてたくさんの扉がある部屋へとやってきました。ナイトナイト爵はその中から4つの扉を選び、開けます。
表向きにした状態で、デッドカードを並べてください。PLに初心者がいるのならばデッドカードや屍人歩きについての説明をしてください。PCから扉についての質問をされたら、ナイトナイト爵に以下のようなことを言わせてもよいでしょう。
「君たちはこれに入って情報を集めてください。これは獄や現世の様々な場所につながっております」
「これらの扉の先はたいていヒントとなるような場所でございます。君たちが求めるものを得ることができるかもしれませんね」
PCそれぞれに1回ずつデッドカードに挑戦させてください。デッドカード挑戦時のイベントは下を参考にしてください。
●1番「悪魔」
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この扉は真っ暗な空間につながっています。音の反射は無く、相当広い場所であることが察せられるでしょう。PCが中に入ると、突然にピンスポットライトが前方を照らし、そこに赤い肌とスーツ姿の男性が立っていることがわかります。みるからに人間ではありませんし、屍人でもないだろうと直感できます。
多少会話を続けると、男はPCに記憶をのぞかせてほしいと頼みます。デッドカードの判定を行い、結果によって以下の描写を行ってください判定に成功した場合、PCの記憶の中に男が満足するようなものがあったということになります。
●秘密
悪魔は満面の笑みを浮かべて君の方を見る。どこか満足げな風で話し始めた。
「モールは旧友でしてね……向こうが覚えているかはわかりませんが。やつのしそうなことならば想像がつきますとも」
「大阪の天王寺公園に扉が新しくできたんですよ。知ってます?天王寺公園」
悪魔が指を振ると君の脳裏にその場所への行き方や景色などが鮮明に刻み込まれる。
「これで満足したでしょうか。いえいえ、お礼は結構です。面白いことを知れましたからね」
そういうと悪魔の声がどんどん遠ざかってゆく。気がつくと君は扉の前に立っていた。
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●9番「色欲」
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この扉は、どこかの都市の高層ビル屋上につながっています。辺りはビル街になっていて、ビルの下を見下ろせば交差点を大量の車が行き来しているでしょう。屋上は肌を刺すような風が吹きすさび、空には丸く大きな月が浮かんでいます。PCが辺りを探索しようとすると、風の音にまぎれて、屋上の端の方からかすかにうめき声が聞こえるでしょう。
PCがそちらの方に行くと、男が倒れています。その男はまるで全身の血が抜けているかのように顔が真っ青ですが、胴体のあたりから血のように赤い色のバラが咲いています。PCがその死体に近づこうとすると、男から生えたバラがPCに向かって話しかけてきます。
「あら?屍人に合うのは久しぶりね。ごきげんよう」
PCが何かしらを聞こうとすると、バラはため息をつくでしょう。
「気分が乗らないのよね。最近は私の美しさを褒め称えてくれるような奴隷もいないし……」
「あなたが私の気分を良くしてくれるなら教えてあげてもよくってよ」
デッドカードの判定を行い、結果によって以下の描写を行ってください。判定に成功すると、バラが満足するように褒められたということになります。
●秘密
バラは嬉しそうに花びらを揺らすと、一段高い声で話始める。
「この子の知っていることなら多少わかるわ。血には記憶が宿るの」
「……屍人が死体を集めているようね、たくさんの人間が死んでしまったのよ」
「それで、屍人の動きを知るためにそこの扉から獄へ侵入しようとしてたみたいね」
後ろのドアが意味深に開く。どうやら獄へと続いているようだ。
「この子が知ってるのはこれでおしまい。久しぶりに楽しい時間が過ごせたわ」
バラは人が手を振るように葉を揺らした。
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●13番「迷路」
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この扉は真っ暗な病室につながっています。窓は割れ、ガラスが地面に散乱しています。厚く埃が積もったベッドには長らく人の手が入った様子はありません。
PCが辺りを探索すると、突然、キィと音を立てて病室の扉が開きます。扉の奥には、上下がさかさまな廊下が伸びています。廊下の奥の方からは鼻歌交じりの声が聞こえてくるでしょう。しかし、廊下は3次元的にねじれており、まともな方向感覚では隣の部屋に辿り着くことさえ難しいだろうと察せます。
PCが声の元に行こうとするのならば、デッドカードの判定を行い、結果によって以下の描写を行ってください。
●秘密
迷路を抜けた先にはたくさんの屍骸と紙になんやら書きこんでいる屍人「リーダー・ゾンビ」がいた。敵対的では無い所を見るに、どうやら君を同じ陣営のものだと思っているようだ。
「どっから入ってきた?迷い込んできたのか?ここはモール様の兵隊置き場だ。お前が来るところじゃねぇぜ」「ああ、こいつらは結構前に集めたやつだぜ。次の回収は……ちょうど今夜だな」
「場所?そんなもん知らねぇな。俺はあくまで集められたやつらを管理するだけだ」
君が質問を終えると、後ろの手術室の扉が開く。
「どうせ新入りだろう?道に迷うのはよくあることだ。内緒にしておいてやるぜ」
リーダー・ゾンビは君を扉の方へ誘導し、ここから出ていくよう促した。
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●17番「狩人」
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この扉はボロボロの廃屋につながっています。じめじめとした空気が辺りを満たし、壁からはかびた布が垂れ下がっています。 部屋の向かいには猟銃を抱えた老人が座っており、鋭い視線をPCに向けているでしょう。
PCが何かを言ってきたら、敵意マシマシな感じで返答させてください。
PCが戦う意思を示したら、デッドカードの判定を行わせてください。デッドカードの判定の結果によって、戦闘の演出を行った後に以下の描写を行ってください。
●成功時
その老狩人の死体から手記が転がってきた。手記には「これでもヤバい修羅場は何度かくぐってきた。それで知ったが、本物の屍人は死の力を持っているんだ。だが、"収獲用"の屍人は牙を抜かれている。普通の屍人と違って死の力が発動することはない」と書かれている。
敵の屍人の滅殺が必殺へと変更されたことをPLに伝えてください。
手帳を確認すると、廃屋の入り口のドアがギシギシと音を立てながら開きます。その先は真っ暗闇ですが、なんとなく獄へ続いているだろうということは直感できるでしょう。
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PL全員が1回ずつ屍人歩きを行ったら、以下の描写を読み上げたあと、イベント「■横槍」を行ってください
●描写
君たちが屍人歩きから帰ると、ナイトナイト爵は新たな扉を開けていた。
「お前たちが持って帰ってきた情報から考えると、この先が目的地だろう。」
■イベント:横槍
●描写
雲に覆われた月とノイズを垂れ流す場内スピーカー。その雑音と公園の木々によって外界からの情報はすべて遮られ、まるでこの世界にはこの場所しか存在しないかのように錯覚させる。フィラメントが切れかかった街灯はチカチカと点滅を繰り返し、腐りかけた看板の影は、まるで怪物のようだ。
急にナイトナイト爵が走り出す。
「モールの手下を見つけました。彼は私が対応するので、君たちは回収の対象を処理しておいてください」
君達が周りを見まわすと、いくつもの人影が見える。それらは、肌が裂け、肉がちぎれたグロテスクな姿の動く死体だった。
君達はその屍骸がこちらへ向かってきていることに気づく。直感的に、彼らが君達に敵意を持っていると感じるだろう。
モールの計画を邪魔するイベントです。モールの手下が作り出した屍骸たちと血戦を行います。
通常攻撃の滅殺を必殺に変更した屍骸[PC人数]体と血戦を行ってください。
ジオラマは次ページにのせたものを使用します。屍骸を全滅させられれば血戦終了です。結末フェイズとなります。
■結末フェイズ
行動によって別の結末となります。
●全滅した
残念でした。
●生き残った
PCたちは命令の成功を管理人に褒められます。
屍人歩きで手に入れた情報があれば、「褒美を考えておく」などと伝えられるでしょう。
アフタープレイに移行してください。
■アフタープレイ
デッドマン・ウォーキングp.44の記述に従い、通常通りアフタープレイを行ってください。屍人歩きに成功したPCがいたら、そのPCに追加で2点の功績点を与えてください。
血戦マップ
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もし、PC人数が2人か3人の場合は、屍骸の数をPC人数と同数になるよう減らしてください。
ここは天王寺公園の休憩場です。
ここにありそうなものを発見する時には修正をあげてください。
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■NPC
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●老狩人
データは「狩人」を使用します。
猟銃を担いだ、白髪が目立つような老年の男性です。
これまでにも屍人を何体も倒していますが、体の衰えのせいで最近は思うように動けなくなったようです。
今回の集団失踪事件を解決したら、狩人は引退して後進の育成にとりかかろうと考えています。
●悪魔
データは「大天使」を使用します。
獄とも現世とも少しずれた場所にいる自称悪魔です。真っ赤な肌と二本の角、燃える石炭のような赤黒い目をしています。服装は真っ黒なスーツです。
最近は悪魔とかかわろうとするものが少なくなったため、暇を持て余しているようで、新人の屍人をからかいに来たのでしょう。
死力が発動した場合、どこからか現れた契約書に相手の名前が刻まれ、その相手は魂が抜かれたように倒れてしまいます。
●バラ
データは「誘惑者」を使用します。
動物の生き血を啜って成長する花で、偶然風に乗ってビルの屋上に辿り着いたようです。
死力が発動した場合、相手の体から植物が生え、真っ赤な薔薇を咲かせます。それと同時に相手は干からびてしまうでしょう。
●瀕死の男
データは「犠牲者」を使用します。
最近の集団失踪事件について調べているようです。もともとは2人で行動していたのですが、相方は不気味な扉に触れた瞬間にどこかへ消えてしまいました。
彼の帰りやどこへ行ったかの痕跡を調べていたら、謎の植物が体から生えてきてしまって動けなくなりました。
●リーダー・ゾンビ
データは「屍闘士」を使用します。
モールの命令で現世で収穫した屍骸を管理しています。
死力が発動した場合、たくさんの屍骸が相手に襲い掛かり、喰い尽くしてしまいます。
●ナイトナイト爵
データは「屍闘士」を使用します。
長剣を持ちヨーロッパ風の鎧を着た屍人です。丁寧な口調で話します。
新人であるPCたちにも優しく対応し、わからないことは丁寧に教えてくれるでしょう。
死力が発動した場合、一瞬のうちに相手を剣で切り刻んでしまいます。
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感想、コメントなど
最終更新:2021年10月22日 03:46