アベノミクスは成功したのか? 2018-04-20

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 アベノミクスはお金を刷って国民に配り、長期国内景気低迷をV字回復させることが目的であったと思っていたが、実際に成功したのであろうか?どうも現状は、ほとんど成功とは言えない状況と思われる。ただ、円安になって、少し株価が上がっただけのように見える。依然として国内景気は不調のままであり、平均年収は2009年のとき最低であったところから少しずつ上昇してきたが、実感はほとんどない。

        

      平均年収の推移(出典:日本人サラリーマンの平均年収の推移と中央値について。K's Affiliate Strategy.

上図は、K's Affiliate Strategyというサイトから引用したものであるが、平成27年までしかない。平成28年度は421.6万円と国税庁のページにあり、27年度の420.4から1.2万円ほどの微増であった。平成29年度はまだ公開されていない。平成9年頃と比較すると、かなり減った状態なので、給料が下がっているという実感の方が強いであろう。なお、平成21年(2009)の急激な低下はリーマンショックによるものであろう。ところで、平均賃金はどうかというと、

           

       平均賃金の推移(出典:日本人サラリーマンの平均年収の推移と中央値について。K's Affiliate Strategy.

上図の赤の男を見ると、平成21年のリーマンショック時の低下から横ばいであったものが、平成26年度付近から徐々に上昇傾向に転じているように見える。女性の平均賃金はパートやアルバイトが多いので何とも言えないが、正社員の採用が増えてきたためずっと上昇傾向にある、と考えると納得できる。平均年収と平均賃金の違いはボーナスが加算されているかどうかの違いと思われるが、近年の不景気のせいで、ボーナスが大幅に減額されている状態が続いていると見てよいだろう。

        

上図は同じサイトから抜粋したものであり、平成21年度調査の景気が最悪の時のものであるが、現在とさほど変わっていないであろうと思われる。これは世帯別の調査なので、このときの平均年収よりも大きな平均所得金額となっている。所得200~300万円がピークとなっており、貧困家庭が圧倒的に多い実態がわかる。このようなことを考慮すると、近年のサラリーマンの平均年収の微増は、あまり貧困家庭の減少につながっていないのではないかと推測されるが、どうであろうか?

        

上図は、「子どもの貧困率の低下」の背景を探る(三菱UFJリサーチ&コンサルティング シンクタンクレポート)からの抜粋である。2012年のピークから2015年調査ではかなり下がった。大きな要因は貧困家庭の減少とのことである。依然として1980年代と比較すると高い水準であり、さらなる改善が必要であろう。

 はてさて、アベノミクスは効果があったのか?は微妙である。中堅サラリーマンから見れば年収は下がったままであるが、若手から見ると徐々に年収は増加しているという実感があるかもしれない。また、子供の貧困率のかなりの改善はアベノミクスの影響かどうかよくわからないが、貧困家庭の減少の効果が大きかったことから、少子化の影響もあるであろうが、アベノミクスの影響もあったのではないかと思われる。しかし、当初思っていたよりも劇的な効果はあまりなく、僅かな景気の回復が見られた程度であろう。

 日銀の金融政策は、現在、限界局面に差し掛かっているようであるが、金は大量に刷ったぞ、の状態だと思われる。しかし、大量のお金は庶民には回っておらず、民間銀行の残高にストックされたままの状態と言える。ここからどうやって庶民にお金を回すかは、政治の問題である。

 ところで、奨学金制度は苦学している学生に貸し与える制度であるが、就職氷河期のため、卒業後の返済がうまくできず困窮するという若者が増えている実態がある。奨学金の返済期限の先延ばしする制度があるが、さらに、銀行にはお金が有り余っているので、若者の将来を担保にお金を貸与し、奨学金返済に充てることはできないだろうか?と思うのであるが、どうであろうか? 返済金利の分だけ政府が負担するようにすれば、さほど政府も出費しなくて済むと思われる。さらに、就職奨励制度を新たに設けて、低賃金で困窮する若者に対して貸与する制度を設けてもよいと思われるが、どうであろうか? 民間銀行が貸しやすくする制度を行政側で用意していけば、お金は庶民に回っていくと思うのであるが、岩盤規制で難しいのかもしれない。

最終更新:2018年04月20日 16:07