日本が貧しくなった原因と対処法
日本が貧しくなった原因を以下に列挙する。
- 1990年代初頭に起きたバブル崩壊により、多くの企業が大打撃を受けた。それにより企業の倒産やリストラが起こり、特にIT関連企業の多くの優秀な技術者が路頭に迷い、韓国や中国に引き抜かれ、技術流出が凄まじい勢いで起こった。
- 日本企業の多くが、国際競争力を得るため、中国などの発展途上国へ工場の多くを移設した。そのことにより日本人の雇用が失われ、日本国民の平均所得は悪化の一途を辿ることになった。
- 近隣諸国は、日本を含む海外企業の工場進出に伴い、急速に経済発展が進んだ。特に中国や韓国は、日本からのIT関連技術の大量流入により、凄まじい経済発展を遂げ、今や、日本を凌駕する技術立国になった。
- 高度成長期に蓄えた莫大な資産を所有していた日本は、海外から羨まれ、アメリカを中心に海外から強い圧力がかかり、内需の拡大と輸入の増大を強要されていたため、輸出産業の保護をしてこなかった。アベノミクスは、膨大な日本の資産の海外放出にもつながり、海外勢にとってはある意味都合の良い話であった。しかしながら、海外勢の思惑とは裏腹に、内需の拡大はあまり起きなかったものの、国内工場の海外移転により、中国を中心とする国からの輸入は年々急激に増大した。
- 海外の国からは、「日本は輸入する国であり、消費大国になることで、莫大な資産を海外に放出してくれる」ことを期待されていた。今も、期待されているだろう。
- 技術というものは流出するものである。昔アメリカが世界のトップを走っていたころ、日本はアメリカやヨーロッパの国々の高度な技術を貪欲に吸収し、労働力が安いことを背景に、戦後の高度成長期を迎え、バブル崩壊のときには世界1位の経済大国にのし上がった。中国が日本の高度な技術を吸収し、今や世界の超経済大国に上り詰めたことは、歴史の繰り返しである。高度な技術はすぐに拡散し、発展途上国も高度な技術の商品を生産することができるようになる。
- アメリカやヨーロッパの国々が日本に技術を奪われ、各国の企業の収入が大きく減少したにも関わらず、景気悪化はさほどではなかった。どうしてか?それは、輸出産業に大きく依存する経済ではないからである。欧米の食料自給率はどの国も100%近くを維持し、どんなに国内企業の業績が悪化しても、外国からの輸入品は買えなくとも、それなりの豊かな生活を維持できる体制を整えてきたからである。
- アメリカの例で言うなら、広大な土地があり、農業や牧畜が盛んである。資源も豊富ではあるが、食料は人間にとっては不可欠なものであり、それが豊富にあるということは、そこに膨大な富があることになる。食料危機になれば、人間は金よりも食料を大切にするだろう。日頃、食料が豊富にあると、そこに富としての価値を見いだせなくなるが、潜在的富としての価値は高い。大昔、技術のない時代では、食料こそが富であり、それを中心に様々な職業が派生し、発展してきたのである。つまるところ、農業は経済の基盤であり、そこが欠けると、まともな経済学は成立しない。
- 日本は、戦後の高度成長期に食料自給率を軽視してきた。海外から安い食料を輸入できるようになり、農業はますます凋落していった。人口が増えたことも食料自給率の低下を加速した。韓国の今の食料自給率は40%を下回ったそうだが、アジア系の国々はどうも食料自給率を軽視する傾向にあるように思う。
- 輸出産業が好景気に沸くことがいつまでも続かないことは、歴史を見れば明らかである。日本の高度成長期のような、外貨をどんどん稼ぎ、国民の生活が日増しによくなる時代は、人件費が安い時代はともかく今の人件費が高騰した時代では、もうこない。それよりも、欧米先進国の平均的なところで輸出産業がほどほどの成果を上げてくれればよいと考えるべきだろう。
- 農業が経済の基幹産業であることは説明したが、今の日本は、ほどほどの成果の輸出産業では、経済を維持できないことは明らかである。食料自給率が異常に低い、逆に言えば、食料生産量に対して、人口が多すぎるのである。では、どうしたらよいのだろうか?
- まず、考えられるのは、人口を減らすことだが、それは大変難しいだろう。地価の暴落や過疎化が加速し、混乱が続くことになる。なので、食料自給率を上げる方法として、国土の70%を占める山林を開拓し、農地を拡充することであろう。これはすぐに手を打たないと、いざ食糧難で危機が始まってしまったら、日本国は国際的貧困国として難民が続出し、政府そのものが崩壊することになる。
上記のことから、結論として、ますます貧しくなる日本に必要なことは、農業の推進である。国土の70%を占める山林を切り開き、農地を作ることを、国民一丸となって政府が強引に進める必要がある。食料自給率100%以上を目指し、多くの食料を輸出する体制を早急に作らなければならない。
最終更新:2021年11月21日 00:56