アベノミクスの今後について
1.アベノミクスの今後について①
アベノミクスの影響で円安が進み株価が上昇している。たいへん喜ばしいことである。円安効果で、輸出産業が伸び、国内全体の景気も回復基調となってきた。あとは、雇用の回復であろう。心配事としては、円べース総資産の数100兆円近い目減りがあるが、日銀での大規模緩和がそれを相殺してくれるだろう。とにかく、早めの景気回復は新しい日銀への期待効果によるものなので、その期待に日銀は答えてほしいと思う。
TPPについては、現在の日本経済にとってプラスとなるのかマイナスとなるのか、一庶民としてはよくわからない。聖域がなくなれば、農業などは壊滅的打撃を受けることは明白である。世界情勢を考えると、中国や韓国とのFTPとの絡みにおいても、他の環太平洋諸国との絡みにおいても、TPP参加は流れの一つと言える。TPPに参加しなければ世界情勢に後れをとることになるだろう。日本は元々アジア地域の経済圏を作る努力を過去してきた話がある。実はこれらの努力が実を結ばず、環太平洋パートナーシップ(TPP)により、アメリカ主体の経済圏構想が日本を飛び越えてアジア諸国やオーストラリアに波及してしまった。日本がここで手をこまねいていたのでは、中国、韓国、その他アジア諸国との関係がますます悪化していくことは大いに予想されることである。日本の外交がこの10年間の中で低迷してきたツケがここにきて身動きの取れない国際情勢を作り上げてしまったと言わざるを得ない。
日本の農業は守らなければならない産業であることは、以前のブログで述べてきたが、この産業がもしTPPにより壊滅したら、日本そのものが壊滅するであろうことは明白である。都市部に住む人々にとっては、物が安くなるのでいいと思っているであろうが、農業が壊滅すれば、雇用がなくなり、多くの人が浮浪者となった社会が到来することは明白なのだと言っているのである。あなたの勤める会社が倒産し、あなたは路頭に迷う生活を余儀なくされるであろう。貧富の差はますます拡大し、一部の特権階級の人間のみが外国から輸入した食料品を満喫し、多くの人は奴隷以下の生活を余儀なくされる社会が到来することになる。もしも、日本の農業が壊滅したら、このような社会が到来することは明らかである。日本は、TPP参加をしなければならない世界的立場に追い込まれているが、日本の農業は守らなければならない産業である。とても複雑な思いをしているのは安部総理自身であろう。苦渋の選択をされたと同情を禁じえない。
現在の日本の農業政策は、とてもまともではない。農業をしないことに補助金を与えたり、お金にまみれた農地転用があったりと、衰退する農業とはこんなものかと考えさせられることが多い。これまで日本は輸出産業が外貨を稼ぎ経済が発展してきた。多くの食料品を外国から購入することができる財力を日本国内に貯めることができたため、国内の高い農産物を買うよりも、安い食材を世界中から調達するようになった。そして農業は衰退し、日本の食料自給率は著しく低下している。他の国とは比較にならないほど、こんなに食料自給率の低い国はないであろう。裏を返せば、それほど日本は経済的に豊かな国になってしまったと言える。
昨年度、日本は貿易赤字国になった。輸出産業は今後それほど伸びないであろう。なぜなら、アジア近隣諸国の経済成長は目覚ましく、それらの国々の輸出産業は低賃金労働と最先端の科学技術に裏付けされたものだからである。発展途上国のみすぼらしい農村に突然、多国籍企業の巨大資本と最先端科学技術が投下され、あっという間に最新鋭の工場が建設されるというのが、世界的主流となっている。日本国内ではおおよそ考えられない事態となっている。日本国内の企業がいくら頑張っても、日本の輸出産業を昔の高度成長期の日本の時のようにすることは不可能なのである。しかし、日本には才能を持った人々や技術者がたくさんいる。日本独自の科学技術で世界に対抗している企業もたくさんある。それは大いに誇れることであろう。しかし、政府が輸出産業を活性化する様々な政策を実行したとしても、(もちろん、大いにそれを実行しなければならないが、)限界があり、輸入と輸出が拮抗したものになっていくであろうことは大いに予測されることである。とすると、これまでのように、有り余る外貨で食料を輸入し続けることは不可能になることは明白である。もしも、ここにおいて、日本の農業が壊滅し、すべての食材を輸入に頼ることになったら、日本の総人口約1億人の食料を確保することは不可能になる。恐らく、数千万人の日本人が餓死することになる事態となるであろう。今のところ、日本には財力がまだ残っているので、すぐにこのようなことにはならないが、政府がただ手をこまねいて無策政治を行えば、いつかは日本はアフリカにおけるソマリアになるであろう。
そういう理由で、日本の農業を活性化し、産業として育成していかなければならない。将来の日本にとって、輸出産業の活性化だけではなく、農業や漁業、さらに、林業などの第1次産業を活性化していくことが必要である。具体的に、どのようにして農業を活性化するのであろうか。日本の国土は狭く、すべての国民の食生活を支えるほどの農地はないように思える。しかし、やがて迫り来る食料不足の危機に対処していく必要がある。
この狭い国土に1億人もの人々が生活しているが、食料不足はどのようにやってくるであろうか。ひとつの最悪のシナリオであるが、数年後か、もしくは数10年後か、徐々にやってくるのか、それとも突如やってくるのか、想像することは難しい。恐らく、今の日本の現状から想像すると、日本経済は停滞から悪化の方向へと向かい、貧富の格差はますます拡大し、低所得者層は食事することすらできない状況となってくるであろう。そのうち、国民の大多数の人が低所得者層となり、多くの人が餓死することとなる。そうなる前に、何か起きそうな気がするし、日本の現状を救ってくれる素晴らしい指導者が出現するかもしれない。なんとか戦争だけは回避してほしいが、放置していると、戦前の日本やドイツのような軍国主義が跋扈する事態となるいやな雰囲気である。
人類の歴史は戦争の歴史でもある。なぜ戦争が起きるのか。ほとんどは食料不足による食料の争奪戦である。人間は生き残るために他の民族を殺してきた歴史がある。大きな気候変動により温暖な土地が氷の土地と変わり、民族の大移動が起き、世界中で戦争が起きたという歴史研究もある。いざとなれば、すぐに戦争となるのが人類なのである。今、中国やインドの人口増加はすさまじく、他の発展途上国も人口増加の一途である。ヨーロッパや日本は人口はほとんど増えていないが、すでにソマリアのように飢餓に苦しんでいる国もある。世界人口が増えすぎると、世界大戦が勃発することは歴史的に検証されてきた事実である。ローマクラブ「成長の限界」は、世界人口がどこまでかに増加すれば戦争が勃発し、世界の人口が半分以下になってしまうことを予測している。それがいつかはわからないが、そう遠い将来でもないようである。
多くの人を不安がらせることばかり書いているが、最近の日本政府の政策は場当たり的なものばかりである。こもまま行けば、最悪のシナリオが実現されてしまうであろう。「産めよ増やせよ」は戦前の軍国主義時代のものであったことを思い出してほしい。人口が増えれば国力増強につながると考えるのは戦争論者の思考ではなかったか。日本の子供の出生数が激減していることも確かであるが、恐らくこれには理由があるはずである。子供の出生数が激減しているから原因も考えずに産めよ増やせよ政策を実行するのは、場当たり的政策と言わざるを得ない。日本の人口の減少は、人間自身が持っている本能に起因していると私自身は考えている。どれくらいの人口がいいのか判断することは難しいが、自然に人間の本能が教えてくれるもののような気がしている。それゆえ、適正な人口になったら、本能が子供を産むよう促してくれる。つまり、人口は自然に任せておけばよい。減るときは減るし、増えるときは増える。わざわざ中国のような一人っ子政策をとる必要もない。