「日本の将来展望:リング計画 ③」
宇宙エレベータと比べてどちらが実現可能?
3. リング計画の実現可能性
リング構造体の最小単位の上下を常に1台の車が存在しているような状況を作れば、上の車が引き起こす落下力(重力)と下の車が引き起こす上昇力(遠心力)が釣り合うことになり、リング構造体は落下も上昇もしない安定状態を作ることができる。(下図参照)
リング構造体の安定性
リング構造体最小単位には常に上下1台の車が存在していれば、
上の車は落下方向、下の車は上昇方向の力が働き、互いに相殺
しあうため、安定化する。
現実には、リング構造体は猛スピードで回転しているため、構造体の上下で走る車は信じられないほど速く走る車でなければならない。リング構造体の表面と車との間の摩擦抵抗が大きいと、このリング計画は実現不可能となる。説明の便宜上車を走らせるとしたが、実際の計画は、リニアモーターの原理を使って、宇宙空間の中でリング構造体の表面をほとんど摩擦抵抗なしで滑って行くモノレールのようなものが適当であろう。そして、上と下の車を入れ替え、下を走るモノレールは静止衛星モノレールとなるように、上を走るモノレールはリング構造体を上昇させるための超高速回転モノレール(リングの回転方向と同方向に超高速回転)として、上図の上下の車を入れ替えたつり皮にぶら下がって走るイメージである。
赤道上空を回るリング構造体の想像図
上図は、赤道上空高度350km付近を回るリング構造体の想像図である。リングの内側(地球側)と外側(外宇宙側)の両方でモノレールが反対方向に走ることにより、内側のモノレールを静止衛星にすることができる。つまり、地球の回転速度と同じスピードで同方向に回転するようにすることで、地球表面上からは静止している状態をつくりだすことができる。赤道は1年間を通じてわずかにずれるが、そのずれは大したことはない。残念ながら、日本は赤道直下の領土を持たないので、赤道直下の公海のどこかに海上ターミナルを設置するか、他国領土のターミナルを利用することになろう。