新しい国富論の必要性について④
7.エネルギー問題
「日本の将来展望:エネルギー不足をどう解決するか」で述べたが、改めてここでも述べることにする。国富論を展開するにあたり、エネルギー問題はどうしても避けることができない。石油や石炭は時代とともに掘削困難になりつつあり、コスト高のために価格上昇していく運命にある。特に日本はエネルギー源を輸入に頼っている現状があり、電気料金は今後値上がりし続けるであろう。企業が工場を建設するにあたり、どうしても電気料金が安い国へシフトせざるをえない。アメリカなどのエネルギー輸出国が有利であるのは明白である。日本は高い電気料金でもやっていける高付加価値商品の生産工場以外は国際競争に負けることになろう。
今、原子力発電の再稼働問題で国民の心は揺れ動いているが、日本は地震大国なので都市部に近いところでの原子力発電は段階的に止めていくべきであろう。何らかの事故が起きる可能性は地震の少ない国より圧倒的に高い。また、プルサーマル発電(高速増殖炉の間違いでした。ごめんなさい。)は世界的には日本だけが莫大な予算をかけて行ってきたが、成功する目処は全く立っていない。開発のための開発になっているように素人目には見える。とても危険な開発であり、安全性の面で問題が多い。即刻中止し、今まで大量に貯蔵してきた放射性廃棄物をどう処分するのかトップダウンで方針を決定するべきであろう。
原子力の問題は、段階的に停止していくことになるであろう。原子力の安全神話が崩れてしまった今、我々は命の安全を脅かす原子力を放棄していくことにならざるをえないであろう。とても残念なことではあるが、原子力の平和利用はなくなっていくことになる。しかし、原子力に対する科学技術を温存し、開発研究を続けていく必要はある。人里離れた住民のいない離島での原子力発電所は温存していく必要がある。
今後、原子力に頼ることができないのであれば、電気料金を安くする望みが遠のいてしまう。エネルギー源を外国からの輸入に頼っていたのでは、さらにその望みは遠のく。自前で安くエネルギー源を供給できる体制を作る必要がある。水力発電、風力発電、地熱発電そして太陽光発電などがあるが、政府は多額の資金をこれら火力発電以外の発電に投入して行く必要があるであろう。また、国内に保有する世界有数の森林資源のエネルギー源としての活用も視野に入れるべきであろう。現在の電力会社は電気料金の値上げを次々と行っているが、各家庭や工場での太陽光発電の助成や電力料金値下げのための何らかの政策を早急に行うべきであろう。