アベノミクスの効果について
はたして庶民の味方なのか、それとも金持ちの味方なのか

 アベノミクスは一般庶民とは関係がない。一部の金持ちや輸出企業のみが恩恵を受けているだけだ。という論評が最近おおくなった。輸入関連企業や国内産業の多くは、円安の影響による輸入原料費の値上がりが足を引っ張っている。確かにそのとおり、今まで円高で利益を得ていた企業は、これからはそうはいかなくなっている。儲かっているのは輸出関連企業と株価の上昇により利益を得た人たちだけであろう。
 しかし、考えてほしい。日本は農業、漁業、林業などの第1次産業は低迷し、鉱山や油田もたいしたことはない。国内で生産される富はたいしたことはないのに、日本国民はそれ以上の富を消費している消費大国である。このまま輸出産業が外貨を稼いでこなければ、日本そのものが沈没するのは目に見えている。今の日本は過去に輸出産業がせっせと外貨を稼いできた膨大な量の富を食いつぶしている状況なのである。今まで貿易黒字であった日本は2011年あたりから貿易赤字国へ転落してしまった。(2008年も貿易赤字であったので、この頃からという話もある。) 輸出産業が外貨を稼いでこなければ、現在ある日本の富は急激に縮小し、内需は冷え込んでしまうであろう。そして、それによって、輸入産業も衰退することになる。輸入しても買ってくれるお客がいなくなるからである。どんなに円高になって輸入品が安く買えるようになっても、内需が冷え込んでしまっては何にもならない。このことをしっかりと考えてほしい。日本は輸出企業が外貨を稼ぐことで保っている国なのである。輸出企業ばかり優遇してずるい、という人もいるが、もうちょっと大人になってほしいと願うばかりである。
 輸出は、工業製品ばかりではない。外国人の観光収入も貴重な外貨獲得源である。富士山が世界遺産として認定されたが、沢山の外国人観光客を呼び寄せるいい材料である。円安は外国からの観光客にとっては好材料となる。また、サービスや文化の輸出もある。これまで、国内に保有されていた莫大な富を収入源としていた輸入関連企業にとっては頭の痛い話であるが、輸出関連企業がせっせと外貨を稼いで国内の富を増やし、内需を大きくしていけば、自然と輸入産業も栄えることになる。

最終更新:2013年08月01日 20:08