考えられる対策として、
1.大気中の温室効果ガスの削減
2.アルべドの上昇
3.放射冷却の促進
である。ニューズウィーク日本版2015.5.19号「温暖化対策はもう手遅れか」でマーク・ハーツガードが冒頭で述べている。「たとえ今すぐCO2排出量をゼロにしても、気温は上がり続け、その影響は約25年間続く」と有名な気象学者デービッド・キングの言葉を借りて抜本的対策の必要性を強調している。その対策の第1は「希望を捨ててはいけない」、第2は「植物本来のメカニズムに注目」である。私もこの考えには賛成である。今から悠長な対策を練っている時ではない。もっと抜本的対策を早急に行う必要があると思われる。
1の対策
1-1 CO2を工場や発電所などから放出しない。CCS技術や炭素塩固定。
1-2 農業廃棄物を利用した有機肥料による「グリーン農業」の世界的推進。
1-3 世界的森林の育成(日本国内は空きがあまりないので他国への助成)。木材加工製品や木材由来のバイオ燃料の世界的備蓄。
1-4 大気中の温室効果ガスの直接回収(今のところ技術面で追いついていないかもしれない。)
2の対策
2-1 住宅やビルの屋根や壁を黒いものは白っぽいものへと変更。
2-2 道路の黒いアスファルトを廃止し、できるだけ白っぽいものへと変更。
2-3 利用していない空き地は白い砂利を撒く、もしくは草木を植える。(アルべドの上昇もしくは温室効果ガスの削減)
2-4 黒っぽいゴミや不要建築物の撤去。
2-5 晴天時の市街地などの不必要な水撒きは道路や地面のアルべドを減少させるので、なるべく控えたほうがよいかも。(生活面に関わる場合は例外である。水撒きは地面の温度低下を引き起こし、周辺地域の気温低下を引き起こすが、水の蒸発による潜熱への熱エネルギーの変換であり、地球全体では放射冷却の阻害になると思われる。しかし、この効果は微々たるものであろうから、あまり気にする必要はないであろう。ただし、大規模に都市計画の一環として行われている場合は、アルべドと放射冷却を考慮に入れて検討するべきであろう。快適な生活環境も重要であるが、潜熱の増大はヒートアイランドや温暖化を増長させるかもしれない。)
2-6 アルべドの高い白色塗料を岩壁に塗る、植物が生息しない岩場などに白い砂利を撒くなど、太陽光を直接反射するようにする。(風光明媚な風景を損ねる可能性が高いので、観光と関わり合いが薄いところでのみ行う。また、盆地などでは岩山からの反射光による住宅地域の気温上昇も考慮する必要があるので、単に白くすれば良いというわけでもないであろう。)
2-7 砂漠地帯に無害の白色の砂を散布し、アルべドを上昇させる。(継続的に表面に散布することで、アルべド上昇を維持する。近隣住民との話し合いが必要であろう。)
3の対策
3-1 人がまったく住んでいない砂漠地帯で、近隣住民の被害がでない程度に、CO2ガスなどを継続散布し、CO2からのフィードバック放射を増加させることで地表温度を増加させ、放射冷却を促進する。夜間の場合は、地表温度が地表付近の大気温度より低くなるので、地表付近の大気から地面への熱放射を加速することで放射冷却を促進する。(熱帯砂漠地帯のみ)この対策は、砂漠の砂そのものの温度をいくらか上昇させるであろうが、その上昇した分だけ地表近くの大気の温度は低下すると思われる。それゆえ、熱帯砂漠周辺に住む人たちにとっては、いくらか気温が下がり、より快適になるのではないかと思われる。これは、毒には毒を持って制すの対策である。しかし、CO2は温室効果はあるが毒ではない。また、砂漠周辺のCO2濃度は僅かに上昇する程度であるので、周辺住民への害は全くない。
3-2
私自身は、「CO2の温室効果はIPCCが見積もったほどは高くはないかもしれない。人類が放出する熱エネルギーがヒートアイランドなどを通して大気や海洋に蓄積されてきた効果も地球温暖化へ寄与している可能性が高いであろう。また、森林から農地や都市への土地利用の世界的変化や植物相の変化、大気汚染や海洋汚染などの影響もあるであろう。もちろん、太陽活動などの自然変動の要因もあるであろう。」と考えている。それゆえ、すべての問題を人類は解決していく必要があるであろう。そして、それらの解決策は長い年月をかけて行われるべきものばかりである。しかし、現在の人類は、即効性のある対策を早急に行う必要に迫られている。要は、地球全体を冷却すればよいのであるから、2.「アルべドの上昇」と3.「放射冷却の促進」を重点的に行えばよいのではないであろうか?CO2の削減はとても時間がかかる問題であり、とても間に合いそうにない。膨大な量のCO2を削減することに膨大な費用と人材を投入した結果、仮に成功したとしても、その効果は未知である(一時的に大気中のCO2濃度を低下させることに成功したとしても、海洋などからのCO2放出がどの程度起こるかわからない)。それよりも、現状のCO2濃度で、これ以上の急激な濃度上昇をある程度抑えることに専念し、その他の地球全体の温度上昇を抑える即効的対策を人類の英知を絞って考え、実行することが重要であろう。もちろん、日本単独で行う話ではなく、世界中の国が資金を出し合い、何をどの程度行うのかを決めてから行うことが重要である。日本だけが先行しても地球温暖化を食い止めることはできない。ましてや、日本だけが犠牲になる必要もない。
100年で1.3℃、10年で0.13℃、1年で0.013℃程度の温度上昇である。南極の氷は増えているという状況であり、今すぐ海面上昇が起きて都市が沈没するというわけではない。海面上昇がせいぜい10年で数センチ程度から数10センチ程度になるかもしれないが、土木工事の仕事が少し増える程度であろう。しかし、砂漠地帯が年々増加し、住めなくなる土地が年々増加しているという。